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056 たまさぶろうドック
しおりを挟むわたしの人形召喚ギフトによって召喚できるのは、ビスクドールのルーシー、サメのぬいぐるみのたまさぶろう、ブリキのロボットの富士丸の三体。
彼らは本来であれば、ふだんは専用車庫みたいな亜空間にて控えている。
が、わたしの健康スキルの恩恵とトンデモレベルアップにともない、彼らの能力もトンデモ超絶進化にて限界突破。
それに比例して彼らの所有する亜空間も拡大の一途をたどり、いまや、各々がひとつの世界を所有しているほどの大地主に。
しばらくは空いてるスペースの隅っこを間借りする形にて、物を放り込む倉庫代わりに使うに留めていたのを、「これじゃあ、もったいない」とルーシーが開発に乗り出し、その影響は残りの二体にも波及。
とどのつまり「自分ばっかりずるい」と、たまさぶろう、富士丸の両名がゴネた。
これを受けて、ルーシーの分体たちが、そちらも当人らの希望に沿うように開発を進めることになる。
本日、わたしは宇宙戦艦「たまさぶろう」の亜空間へと査察に赴いている。
さすがに前回のルーシータウンのようなことはあるまいと、ちょっと気を抜いていた。
のどかで、どこか異国情緒あふれる港みたいなのを想像していたわけだ。
イメージとしては、似合いもしないドレスを腐るほど持ち込んだ豚セレブども満載にて、世界を一周とかしちゃう豪華客船が停泊している港だな。
が、そんなのは甘々だったよ。
行ってみたら、これまたメタルちっくな未来型の艦船ドックがお目見え。
宇宙戦艦どころか宇宙艦隊が丸ごと係留されてそうな大軍港。
そんな中にデデンとしているのは、たまさぶろう。
巨大なマシンアームがいくつもウィーンと伸びては、チリチリ火花を散らしながら何やら工業的な作業がなされていたり、装備品の換装などが行われたりして、そこそこ忙しない。
作業を行っているのは、揃いのツナギの作業着姿のビスクドールたち。
こちらでも多元群体化した人形さんがメカニックとして大活躍。
案内してくれたルーシーの説明によれば「ここでは主にたまさぶろうのメンテナンス及び、武装のバージョンアップがなされています」とのこと。
「えっ! バージョンアップって、もしかして水爆っぽいのより更にエグイのが、まさかの標準装備?」
おどろくわたしに「なにをご冗談を」とルーシーさん。
だからよかったと油断したらすかさず、こうだ。
「アレだと使い勝手がイマイチなので、威力をそのままに使用後にヘンな線が残らないようにと改良された、比較的良心的な弾頭にとっくに変更済みですよ。ちなみにいまやってるのは新しく開発されたホーミングレーザーの設置ですね。アレは開発チームの自信作です。なにせ最初にロックオンしたら、あとは勝手に追尾してくれますから。それこそ地獄の底まで……」
はるか天空から発射すれば、地上に光のシャワーとなって降り注ぎ、狙いをつけたすべてをあやまたずズブリと貫くとかなんとか。
他にもズラズラと新装備の説明をしてくれたけれども、途中から適当に聞き流すことにした。
ひと通りメカメカしたドック内を探訪ののちに、たまさぶろうに乗艦。
そしてわたしは艦内にてあるモノを見つけた。
格納庫にて、ズラリと並ぶゼロ戦の勇姿。
もっともサイズはお人形さん準拠なので、全長二メートルほどでやや小ぶり。
「あー、それはいちおう作ってみたのですけれども、失敗作でして」
おでこをコツンとして、テヘっと照れるルーシー人形。
なんでもアカシックレコードから取り寄せた資料を基に、サクサクと機体を復元して、動力部分にはグランディアたちと共同開発した新型魔導モーターを採用。
そしてプロペラ機はあっさり空を飛んだ。
が、それを失敗だと断じたルーシーさん。
なにせここは異世界ノットガルド。
ただ飛ぶだけの飛行機に価値はない。だって魔法で空を飛べるのだから。ネコもどきのカネコたちですら自由に空を駆けやがる。
ぶっちゃけ機動性、速度、その他もろもろ、すべてにおいてお遊びレベル。
たとえ千機ならべて大編隊を組もうとも、数人のセレニティたちにボコボコにタコ殴りにされてしまうことであろう。
いかに身軽にてひらりひらりと旋回できるゼロ戦とて、彼女たちのギュンギュンカクンといった重力や遠心力をフル無視した脅威の運動性能を前にしては、比べるのがかわいそうになるぐらい。
「そんなワケで、それらは近日中に廃棄、リサイクルのあとに、ただいま開発中の新型機の素材になる予定です」
さすがはルーシー、貴重な資材を死蔵するようなムダはしないようだ。
なお新型機についての詳細はまだ秘密なんだって。期待して待っていてだってさ。
それにしても、いつのまにかエアフォースまで結成されていたよ。
武器を手にしたアーミー、たまさぶろうの乗組員たちスペースネイビー、これに飛行部隊のエアフォースが加わり、ドールズ軍団が陸海空を制覇する日もそう遠くはあるまい。
もはや何も言うまい。
わたしは何も見ていない、何も聞いていない。
どうぞ好きにして。
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