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「んー!よく寝た!おはようございます」
「……おはようございます」フロティナは朝日を浴びて、なんだかゲッソリしたバルカンに挨拶をした。
昨日のお湯質のお陰だろうか?お肌がツルツルしている気がしてフロティナはご機嫌だった。
「とても素敵な場所でした。また来たいです」
宿から出たフロティナはそう言ってバルカンを振り返る。
「……好きにしろ」バルカンはそう言ってフロティナの荷物を奪い取る。
「あ、窃盗はおやめくださいまし」
「ぶ、無礼な奴だな!持ってやるんだよ!ここから長いからな!なんてうっとうしい女だ!」
「あら、紳士的なところもあるんですね。ありがとうございます」フロティナはニッコリ笑う。
「……チッ」
バルカンは不機嫌そうに舌打ちをすると「ついて来い」とフロティナの前に立った。
「わあ可愛い鳥」フロティナは自身の肩に止まった青い鳥に指を啄まれながら呑気に山道を歩く。
「……なんということだ」バルカンがそう言うと、彼の声に驚いた鳥はバサバサと飛び立ってしまった。
「あらあら。バルカン様の邪悪な空気に鳥さんが逃げてしまいました」フロティナはそう言うと不服そうに肩をすくめる。
「すまん……いや、違う。あの鳥はかなり警戒心が強い。なぜ……」
「私特異体質なんです」フロティナはそう言って笑いながら「人間とはあまり仲良くなれませんが、それ以外の生き物とは比較的仲良くなれるんですよ」と言った。
「……」
「あ、危ないですよ」フロティナがそう声を掛けるとよそ見をしていたバルカンは、木の枝に頭を打ち付けた。
「クソ!もっと早く言え!」
「すみません、今気付いたもので。でもよそ見は危ないですよ?」フロティナは蹲って額を抑えるバルカンの頭に濡れたハンカチを当てる。
ひやりとして気持ちがいい。が――――――
「…………どこで濡らした?」
「そこに川があったので」
「おい!あんな淀んだ川に漬けたものを俺の肌にのせるんじゃない!」
バルカンは怒った。
「あらぁ……バルカン様、いーちにー」
「ぐぐぐぐぐ……い、いち……にぃ……」バルカンがフロティナにハンカチを指先で摘みながら返そうとすると彼女は「あらぁ……そんな汚染されたもの、フロティナはもう持っていられませんの」と拒否した。バルカンはギリギリと歯ぎしりをしながら「5」まで数えると「5まで数えても怒りが収まらない場合は?」とフロティナに尋ねた。
「あはははははは!おやめくださいまし!」
「許さん、もう二度としないことを誓うまでやめん」フロティナはバルカンにくすぐられて身を捩ると涙目で「あはははは!わかりましたわかりました!もう汚染された水に浸したハンカチをバルカン様への嫌がらせに使用しません!」と宣言した。
「嫌がらせだと?」バルカンはそれを聞いて動きを止めるとフロティナの顔を覗き込む。
「いははは……すみませんすみません」フロティナは余韻でヘラヘラと緩む表情を押さえながら涙を流した。
「……」それを見て冷静になったバルカンは、背後からフロティナを抱きしめるような形になっていることに気付いたのか……
「……もうよい。俺は心が広いからな」バルカンはそう言って慌ててフロティナから離れると、フロティナが少し恥ずかしそうに頰を染めた。
「フロティナも心が広いのでバルカン様がくすぐるフリをして、時折胸に触っていたのは不問といたします」
「え!?」
「嘘です。うふふ、触られていません」フロティナはバルカンから離れてスカートを翻すように立ち上がる。
「ぐぐぐぐ……」
フロティナは踊るような足取りで石で出来た段差を踏みしめるとバルカンを見て笑った。背後から光が差して色の白い彼女はまるで光に溶けているように見えたかもしれない。
バルカンは舌打ちをすると顔を背けながら「お前は行き先がわからんだろ、一人で先に行くな」と言った。
しばらく山道を進むと日が落ちてきて、一件の酒屋の明かりが見える。もう随分と長い事歩いた。上に、上に。
「……今夜はここで休むか」
「酒屋さんのようですが……飲み明かしますか?」こんなに長い距離を歩いたというのに、フロティナはケロリとした様子だ。
「いや、ここは2階に宿もついているから。飯を食ったら休もう」バルカンはそう言うと酒屋のドアを押す。
背後から闇が迫りくるような予感にフロティナも後へ続く。
後ろを振り返るともうそこは墨で塗ったように真っ黒だ。
中はこんな山奥にあるにも関わらず意外にも盛況で、ガヤガヤと賑わっている。
しかし、店はそれぞれの席が仕切られており所謂簡易個室のようなスタイルのようだ。
外から見たときよりも思いの外広い店内を歩くと、店員に席へ案内される。
基本木で出来た内装に、布の仕切り。
その向こう側から透けて見える影は……まるで。
「……あまりキョロキョロするな」
「すみません、好奇心旺盛なんです」バルカンはフロティナの前に酒の入ったジョッキを掲げてそう言ったので、彼女も慌てて自分のジョッキを持ち上げる。
コツンとそれを合わせると「……お疲れ」とバルカンが呟きコップを一気に傾けた。
それを見たフロティナも「お疲れ様です」と呟いて、ジョッキを傾ける。
よく冷えたビールが喉を通っていく。
山歩きで火照った身体が中から冷えていくような感覚にフロティナは「ふー……」と静かに息を吐いた。
そんな状況が、フロティナの気分を少し開放的にしてしまったのかもしれない。
「……おはようございます」フロティナは朝日を浴びて、なんだかゲッソリしたバルカンに挨拶をした。
昨日のお湯質のお陰だろうか?お肌がツルツルしている気がしてフロティナはご機嫌だった。
「とても素敵な場所でした。また来たいです」
宿から出たフロティナはそう言ってバルカンを振り返る。
「……好きにしろ」バルカンはそう言ってフロティナの荷物を奪い取る。
「あ、窃盗はおやめくださいまし」
「ぶ、無礼な奴だな!持ってやるんだよ!ここから長いからな!なんてうっとうしい女だ!」
「あら、紳士的なところもあるんですね。ありがとうございます」フロティナはニッコリ笑う。
「……チッ」
バルカンは不機嫌そうに舌打ちをすると「ついて来い」とフロティナの前に立った。
「わあ可愛い鳥」フロティナは自身の肩に止まった青い鳥に指を啄まれながら呑気に山道を歩く。
「……なんということだ」バルカンがそう言うと、彼の声に驚いた鳥はバサバサと飛び立ってしまった。
「あらあら。バルカン様の邪悪な空気に鳥さんが逃げてしまいました」フロティナはそう言うと不服そうに肩をすくめる。
「すまん……いや、違う。あの鳥はかなり警戒心が強い。なぜ……」
「私特異体質なんです」フロティナはそう言って笑いながら「人間とはあまり仲良くなれませんが、それ以外の生き物とは比較的仲良くなれるんですよ」と言った。
「……」
「あ、危ないですよ」フロティナがそう声を掛けるとよそ見をしていたバルカンは、木の枝に頭を打ち付けた。
「クソ!もっと早く言え!」
「すみません、今気付いたもので。でもよそ見は危ないですよ?」フロティナは蹲って額を抑えるバルカンの頭に濡れたハンカチを当てる。
ひやりとして気持ちがいい。が――――――
「…………どこで濡らした?」
「そこに川があったので」
「おい!あんな淀んだ川に漬けたものを俺の肌にのせるんじゃない!」
バルカンは怒った。
「あらぁ……バルカン様、いーちにー」
「ぐぐぐぐぐ……い、いち……にぃ……」バルカンがフロティナにハンカチを指先で摘みながら返そうとすると彼女は「あらぁ……そんな汚染されたもの、フロティナはもう持っていられませんの」と拒否した。バルカンはギリギリと歯ぎしりをしながら「5」まで数えると「5まで数えても怒りが収まらない場合は?」とフロティナに尋ねた。
「あはははははは!おやめくださいまし!」
「許さん、もう二度としないことを誓うまでやめん」フロティナはバルカンにくすぐられて身を捩ると涙目で「あはははは!わかりましたわかりました!もう汚染された水に浸したハンカチをバルカン様への嫌がらせに使用しません!」と宣言した。
「嫌がらせだと?」バルカンはそれを聞いて動きを止めるとフロティナの顔を覗き込む。
「いははは……すみませんすみません」フロティナは余韻でヘラヘラと緩む表情を押さえながら涙を流した。
「……」それを見て冷静になったバルカンは、背後からフロティナを抱きしめるような形になっていることに気付いたのか……
「……もうよい。俺は心が広いからな」バルカンはそう言って慌ててフロティナから離れると、フロティナが少し恥ずかしそうに頰を染めた。
「フロティナも心が広いのでバルカン様がくすぐるフリをして、時折胸に触っていたのは不問といたします」
「え!?」
「嘘です。うふふ、触られていません」フロティナはバルカンから離れてスカートを翻すように立ち上がる。
「ぐぐぐぐ……」
フロティナは踊るような足取りで石で出来た段差を踏みしめるとバルカンを見て笑った。背後から光が差して色の白い彼女はまるで光に溶けているように見えたかもしれない。
バルカンは舌打ちをすると顔を背けながら「お前は行き先がわからんだろ、一人で先に行くな」と言った。
しばらく山道を進むと日が落ちてきて、一件の酒屋の明かりが見える。もう随分と長い事歩いた。上に、上に。
「……今夜はここで休むか」
「酒屋さんのようですが……飲み明かしますか?」こんなに長い距離を歩いたというのに、フロティナはケロリとした様子だ。
「いや、ここは2階に宿もついているから。飯を食ったら休もう」バルカンはそう言うと酒屋のドアを押す。
背後から闇が迫りくるような予感にフロティナも後へ続く。
後ろを振り返るともうそこは墨で塗ったように真っ黒だ。
中はこんな山奥にあるにも関わらず意外にも盛況で、ガヤガヤと賑わっている。
しかし、店はそれぞれの席が仕切られており所謂簡易個室のようなスタイルのようだ。
外から見たときよりも思いの外広い店内を歩くと、店員に席へ案内される。
基本木で出来た内装に、布の仕切り。
その向こう側から透けて見える影は……まるで。
「……あまりキョロキョロするな」
「すみません、好奇心旺盛なんです」バルカンはフロティナの前に酒の入ったジョッキを掲げてそう言ったので、彼女も慌てて自分のジョッキを持ち上げる。
コツンとそれを合わせると「……お疲れ」とバルカンが呟きコップを一気に傾けた。
それを見たフロティナも「お疲れ様です」と呟いて、ジョッキを傾ける。
よく冷えたビールが喉を通っていく。
山歩きで火照った身体が中から冷えていくような感覚にフロティナは「ふー……」と静かに息を吐いた。
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