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「私、淫乱フロティナと呼ばれてるみたいなんです」ジョッキを飲み干すと、フロティナは少し頰を染めながらバルカンに言った。「ブー!!な、なんだ急に!」バルカンはそれを聞いて、飲みかけていたビールを吹き出している。
「身に覚えがないのですが……なんだか巷ではそう呼ばれているみたいで……」
フロティナはしょんぼりしながら、テーブルに散らばったビールをふき取った。
「……そ、そうか……」
「私……あなたの陰茎を握ったのは偽善心からでして……淫乱だからではなく……」
「お、おい!わかったからやめろ。完全個室ではないんだぞ」
フロティナは口を噤むと、ジョッキに口をつけた。
「それもしなければよかったと後悔しています」
「……それは……」
「結局バルカン様にも嫌な思いをさせておりますし……何よりもフロティナはこんな目に合っておりますし……」フロティナは目の前の小皿にのったナッツをポリポリと咀嚼しながら寂しそうに言う。
「…………」
「第一にしてバルカン様も想い人がいらっしゃって、そんな掟があるのなら媚薬に気を付けてくださいまし……」フロティナは泣きたいような気分で言った。
良かれと思って行ったことが……感謝されないどころか自分の首を絞めるなんて。
「……媚薬を盛られるとは思わなかったんだ」
「フロティナはバルカン様の想い人に怒られてしまいましたよ……」フロティナは婚約したばかりの頃に会った彼の幼馴染を思い出しながら言う。
物凄くめんどくさそうな女性だった。
「なに?」
「怒られました。そそのかすな、って!」フロティナはジョッキをグイっと飲み干すと、テーブルの上に置きながらバルカンを見た。
「ち、違う!俺の想い人と会ったのか?なぜ……なぜそうだと思った?」
バルカンは目を丸くするとフロティナを問いただす。
「……え?だって彼女……フロティナに婚約を解消するように言ってきたのです」
「そ、そんな……」
「なんの関係もない女性がそんなことしませんよね」フロティナはテーブルの上の呼び鈴を鳴らしながら「バルカン様お代わりを?」と尋ねたけれど彼はそれどころではないようだ。
「……ど、どこから来たと言っていたその女性は?」
「さあ……バルカン様の故郷では?」フロティナは女性が仕切りに「国」と言っていたのを思い出し、なんとなくそう言った。
「あそこにいるのか……」バルカンは愕然としたような表情をして呟く。
フロティナはそんな彼を見ながら、新しいジョッキを傾けた。
「でもいいではありませんか。次にバルカン様が故郷に帰る頃には私たちは婚約解消ができていますよ」フロティナが歌うようにそう言うと、少しだけ恨めしそうな視線をバルカンから送られているのを感じた。
(それまでは仕方がないではありませんか……)
フロティナは苦笑いするとテーブルに頬杖をつく。
「ちょっと手洗いに行ってくる」
バルカンがそう言って席を立つのを、フロティナはぼんやりと見送る。
「失礼いたします」
それから暫くして……そう声が掛けられて扉の代わりのカーテンが引かれた。
シャ……と軽快な音がする。
「もう閉店ですか?」フロティナは夢うつつでそう尋ねる。
「いえいえ……こちら店からのサービス品です」
そう言ってガラスの器に入ったベリーのような果実を差し出されて、フロティナはにこやかにお礼を言った。
その店員の手には鱗のような模様があって(おしゃれなタトゥーだわ)とフロティナはぼんやりと思う。
「お連れ様の分もどうぞ、必ず召し上がってくださいね」
店員はバルカンの席にも同じようにガラスの器を置いて「ごゆっくり……」とまたカーテンを閉めた。
フロティナがそれをひと口かじると中からは果汁が溢れ出してきて、その甘さに酔いが覚めるような気分だ。
(美味しい……はじめて見るわ。変わった形ね)
「……すまんな。ん?何をまた……」戻ってきたバルカンはそう言うと、不思議そうに器を眺めている。
フロティナは「サービスだそうで、甘くておいしいですよ」と彼にすすめた。
(なんだか頬が熱いわ)
フロティナはぐにゃりと身体をテーブルに付ける。
なんだか身体が重だるい……飲みすぎただろうか。
(さっき酔いが覚めたかも……なんて思っていたのにね)「おい、大丈夫か?」バルカンがフロティナを心配したのか、隣に座り顔を覗き込んでいる。
(本当、見た目だけは素敵な男……)フロティナはぼんやりとそう考えた。
「バルカン様……」
「……どうした?吐くのか?」
「フロティナは吐きませんよ」フロティナは笑いながらサービス品の果実をバルカンの口に押し込む。「おい……甘いな……」バルカンはそれを咀嚼すると、呟くように感想を言った。
「甘いでしょう……」
バルカンの瞳孔がみるみるうちに大きくなっていく……
バルカンはフロティナの頬に手を当てながら「小さい顔だな……」と囁いたので「バルカン様の手が大きいのです」と彼女は言った。
「身に覚えがないのですが……なんだか巷ではそう呼ばれているみたいで……」
フロティナはしょんぼりしながら、テーブルに散らばったビールをふき取った。
「……そ、そうか……」
「私……あなたの陰茎を握ったのは偽善心からでして……淫乱だからではなく……」
「お、おい!わかったからやめろ。完全個室ではないんだぞ」
フロティナは口を噤むと、ジョッキに口をつけた。
「それもしなければよかったと後悔しています」
「……それは……」
「結局バルカン様にも嫌な思いをさせておりますし……何よりもフロティナはこんな目に合っておりますし……」フロティナは目の前の小皿にのったナッツをポリポリと咀嚼しながら寂しそうに言う。
「…………」
「第一にしてバルカン様も想い人がいらっしゃって、そんな掟があるのなら媚薬に気を付けてくださいまし……」フロティナは泣きたいような気分で言った。
良かれと思って行ったことが……感謝されないどころか自分の首を絞めるなんて。
「……媚薬を盛られるとは思わなかったんだ」
「フロティナはバルカン様の想い人に怒られてしまいましたよ……」フロティナは婚約したばかりの頃に会った彼の幼馴染を思い出しながら言う。
物凄くめんどくさそうな女性だった。
「なに?」
「怒られました。そそのかすな、って!」フロティナはジョッキをグイっと飲み干すと、テーブルの上に置きながらバルカンを見た。
「ち、違う!俺の想い人と会ったのか?なぜ……なぜそうだと思った?」
バルカンは目を丸くするとフロティナを問いただす。
「……え?だって彼女……フロティナに婚約を解消するように言ってきたのです」
「そ、そんな……」
「なんの関係もない女性がそんなことしませんよね」フロティナはテーブルの上の呼び鈴を鳴らしながら「バルカン様お代わりを?」と尋ねたけれど彼はそれどころではないようだ。
「……ど、どこから来たと言っていたその女性は?」
「さあ……バルカン様の故郷では?」フロティナは女性が仕切りに「国」と言っていたのを思い出し、なんとなくそう言った。
「あそこにいるのか……」バルカンは愕然としたような表情をして呟く。
フロティナはそんな彼を見ながら、新しいジョッキを傾けた。
「でもいいではありませんか。次にバルカン様が故郷に帰る頃には私たちは婚約解消ができていますよ」フロティナが歌うようにそう言うと、少しだけ恨めしそうな視線をバルカンから送られているのを感じた。
(それまでは仕方がないではありませんか……)
フロティナは苦笑いするとテーブルに頬杖をつく。
「ちょっと手洗いに行ってくる」
バルカンがそう言って席を立つのを、フロティナはぼんやりと見送る。
「失礼いたします」
それから暫くして……そう声が掛けられて扉の代わりのカーテンが引かれた。
シャ……と軽快な音がする。
「もう閉店ですか?」フロティナは夢うつつでそう尋ねる。
「いえいえ……こちら店からのサービス品です」
そう言ってガラスの器に入ったベリーのような果実を差し出されて、フロティナはにこやかにお礼を言った。
その店員の手には鱗のような模様があって(おしゃれなタトゥーだわ)とフロティナはぼんやりと思う。
「お連れ様の分もどうぞ、必ず召し上がってくださいね」
店員はバルカンの席にも同じようにガラスの器を置いて「ごゆっくり……」とまたカーテンを閉めた。
フロティナがそれをひと口かじると中からは果汁が溢れ出してきて、その甘さに酔いが覚めるような気分だ。
(美味しい……はじめて見るわ。変わった形ね)
「……すまんな。ん?何をまた……」戻ってきたバルカンはそう言うと、不思議そうに器を眺めている。
フロティナは「サービスだそうで、甘くておいしいですよ」と彼にすすめた。
(なんだか頬が熱いわ)
フロティナはぐにゃりと身体をテーブルに付ける。
なんだか身体が重だるい……飲みすぎただろうか。
(さっき酔いが覚めたかも……なんて思っていたのにね)「おい、大丈夫か?」バルカンがフロティナを心配したのか、隣に座り顔を覗き込んでいる。
(本当、見た目だけは素敵な男……)フロティナはぼんやりとそう考えた。
「バルカン様……」
「……どうした?吐くのか?」
「フロティナは吐きませんよ」フロティナは笑いながらサービス品の果実をバルカンの口に押し込む。「おい……甘いな……」バルカンはそれを咀嚼すると、呟くように感想を言った。
「甘いでしょう……」
バルカンの瞳孔がみるみるうちに大きくなっていく……
バルカンはフロティナの頬に手を当てながら「小さい顔だな……」と囁いたので「バルカン様の手が大きいのです」と彼女は言った。
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