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第三章 王都攻防編
新しいものたちに囲まれて②
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王都に行き最初に向かったのは、当然のことながらラフォン家の屋敷だ。
この国の貴族は領地以外にも屋敷を持っていることが多い。王都での活動も多い貴族達は、むしろ王都に住んでしまうことが多く、バルトやカトリーナもこれからそうなるだろう。
まあ、公爵領の屋敷よりもやや小ぶりであり管理するのを楽にしているのは、先代とバルトの考えによるものだろう。
カトリーナは、ダシャ、プリーニオ、カルラとともに屋敷へと踏み入れた。
ドアを開けると、中はとても綺麗に整えられている。
公爵領の屋敷よりも、やや装飾が凝っており煌びやかな印象だ。敷いてある絨毯もふかふかとしていた。
壁の色や家具も所々色が混じっており、見た目も重要視しているのがわかる。
(やっぱり外交のためっていうのもあるのかしら)
実家とは全く違う屋敷の様子に、カトリーナは目を丸くしていた。
すると、その前に三人の少年少女が現れた。彼らは、カトリーナに向かって綺麗に頭を下げる。
「ようこそおいで下さいました。奥様。私は、この度執事見習いとなりましたセヴェリーノでございます。こちらでの生活を快適に過ごせるように尽力いたしますのでよろしくお願いいたします」
「私はメイドのリリでございます。よろしくおねがいします」
「私はメイドのララでございます。よろしくおねがいします」
三人ともカトリーナと同じ、もしくは幼いようだった。
執事見習いのセヴェリーノは、育ちの良さだがうかがえるようなたたずまいであった。
おそらくは、カトリーナと同じくらいの年齢だろうか。
まっすぐ切りそろえられた前髪と、そこから覗く切れ長の瞳。やや硬すぎるきらいはあるものの、もう立派に執事を名乗れるのではないかという雰囲気だ。
その横に控えるメイドの二人は、うり二つの見た目であった。
年齢のほどは、十四、五とカトリーナよりも幼い印象である。
二人はやや色素が薄めのグレーのような紺のような髪色をしており、しっかりとカトリーナと視線を合わせているリリと、伏し目がちなララとが対照的な印象だ。
三人を見据えたカトリーナは、堂々と胸を張り挨拶をする。
「三人とも、名乗ってくれてありがとう。これからこちらでお世話になります。不慣れなこともあるとおもうけど、よろしくね」
「はい、奥様」
セヴェリーノの声に倣うように、リリとララも頭を下げた。
「この三人は、今回、カトリーナ様とご主人様がこちらに住まいを移されるということで雇ったものたちでございます。セヴェリーノは私が、リリとララはダシャが指導をしていく予定ですので、よろしくお願いします」
「ええ。三人とも、仲良くしましょうね」
「はい、奥様」
セヴェリーノは相変わらず機械的に頭を下げる。
そして、リリはその言葉にやや目つきが鋭くなり、ララはうつむいて顔を背ける。
その様子に首を傾げたカトリーナだったが、彼女はリリとララの前にしゃがみ込み笑顔を向けた。
「二人は双子なのかしら? どっちがお姉さんでどっちが妹なのかしら?」
そうやって声掛けしたカトリーナだったが、リリは顔をしかめてぽつりとつぶやいた。
「……です」
「ん?」
「そんなの関係ないです。では、御用があればお伝えください」
そういってぷいっと踵を返し去って行ってしまった。
ララは、リリの行く先とカトリーナを交互に見ながら、頭を下げてララの言ったほうに走り去ってしまった。
ダシャはその様子をみて大きなため息をつき、カトリーナに頭を下げる。
「申し訳ございません。あとできつく言っておきますから」
「えっと、私、嫌われてるのかな?」
「その……まあ、あの」
ダシャが言いよどむのをみて、カトリーナには嫌な予感をおぼえる。
「王都での、カトリーナ様の評判が関係しているかと」
「ああ……そういうことね」
とりあえずの事態が把握できたカトリーナは、どうしたものかと天井を見上げて息を吐いた。
この国の貴族は領地以外にも屋敷を持っていることが多い。王都での活動も多い貴族達は、むしろ王都に住んでしまうことが多く、バルトやカトリーナもこれからそうなるだろう。
まあ、公爵領の屋敷よりもやや小ぶりであり管理するのを楽にしているのは、先代とバルトの考えによるものだろう。
カトリーナは、ダシャ、プリーニオ、カルラとともに屋敷へと踏み入れた。
ドアを開けると、中はとても綺麗に整えられている。
公爵領の屋敷よりも、やや装飾が凝っており煌びやかな印象だ。敷いてある絨毯もふかふかとしていた。
壁の色や家具も所々色が混じっており、見た目も重要視しているのがわかる。
(やっぱり外交のためっていうのもあるのかしら)
実家とは全く違う屋敷の様子に、カトリーナは目を丸くしていた。
すると、その前に三人の少年少女が現れた。彼らは、カトリーナに向かって綺麗に頭を下げる。
「ようこそおいで下さいました。奥様。私は、この度執事見習いとなりましたセヴェリーノでございます。こちらでの生活を快適に過ごせるように尽力いたしますのでよろしくお願いいたします」
「私はメイドのリリでございます。よろしくおねがいします」
「私はメイドのララでございます。よろしくおねがいします」
三人ともカトリーナと同じ、もしくは幼いようだった。
執事見習いのセヴェリーノは、育ちの良さだがうかがえるようなたたずまいであった。
おそらくは、カトリーナと同じくらいの年齢だろうか。
まっすぐ切りそろえられた前髪と、そこから覗く切れ長の瞳。やや硬すぎるきらいはあるものの、もう立派に執事を名乗れるのではないかという雰囲気だ。
その横に控えるメイドの二人は、うり二つの見た目であった。
年齢のほどは、十四、五とカトリーナよりも幼い印象である。
二人はやや色素が薄めのグレーのような紺のような髪色をしており、しっかりとカトリーナと視線を合わせているリリと、伏し目がちなララとが対照的な印象だ。
三人を見据えたカトリーナは、堂々と胸を張り挨拶をする。
「三人とも、名乗ってくれてありがとう。これからこちらでお世話になります。不慣れなこともあるとおもうけど、よろしくね」
「はい、奥様」
セヴェリーノの声に倣うように、リリとララも頭を下げた。
「この三人は、今回、カトリーナ様とご主人様がこちらに住まいを移されるということで雇ったものたちでございます。セヴェリーノは私が、リリとララはダシャが指導をしていく予定ですので、よろしくお願いします」
「ええ。三人とも、仲良くしましょうね」
「はい、奥様」
セヴェリーノは相変わらず機械的に頭を下げる。
そして、リリはその言葉にやや目つきが鋭くなり、ララはうつむいて顔を背ける。
その様子に首を傾げたカトリーナだったが、彼女はリリとララの前にしゃがみ込み笑顔を向けた。
「二人は双子なのかしら? どっちがお姉さんでどっちが妹なのかしら?」
そうやって声掛けしたカトリーナだったが、リリは顔をしかめてぽつりとつぶやいた。
「……です」
「ん?」
「そんなの関係ないです。では、御用があればお伝えください」
そういってぷいっと踵を返し去って行ってしまった。
ララは、リリの行く先とカトリーナを交互に見ながら、頭を下げてララの言ったほうに走り去ってしまった。
ダシャはその様子をみて大きなため息をつき、カトリーナに頭を下げる。
「申し訳ございません。あとできつく言っておきますから」
「えっと、私、嫌われてるのかな?」
「その……まあ、あの」
ダシャが言いよどむのをみて、カトリーナには嫌な予感をおぼえる。
「王都での、カトリーナ様の評判が関係しているかと」
「ああ……そういうことね」
とりあえずの事態が把握できたカトリーナは、どうしたものかと天井を見上げて息を吐いた。
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