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1章 懐かしく新しい世界
初めての報酬
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「それでは、こちらをなくさないようにお持ちください。
査定が終わり次第、番号でお呼びさせていただきます。
また、順番に関してですが、持ち込んだ量、珍しさ、そういった要因で前後することがあります。
ご了承ください。また、そちらの用紙が引換券を兼ねています。
お呼びするまでお待ちできない場合は、時間を改めて総合受付に、そちらの用紙をもってお越しください。
そこで、ご案内させていただきますので。」
受付の女性は、トラノスケに対するものよりも、丁寧に、細かく補足を行いながら、オユキとトモエに告げる。
その内容に二人は頷き、用紙を受け取り、列から離れる。
そして、トラノスケが少し離れたところから見ていたため、そちらへと移動する。
「よし、ひとまず終わりだな。今持ち込んだものくらいなら、20分もあれば終わるだろうが。
どうする、ここで待つか?それとも、何か気になるものでもあるか?」
トラノスケの質問にトモエが応える。
「そうですね、お手数おかけしますが、何度かお話に出ていた、ギルドでの情報確認について教えていただけますか?」
「ああ、そうだったな。」
そういって、トラノスケがギルドの片隅に用意された一角へと向かう。
そこにはあまり人がおらず、いるのも見るからに駆け出し、トモエやオユキと大差ない、むしろ悪いものもいる、そういった装備で身を固めたものたちだ。
「ここが、まぁ、資料室のような役割を果たしている。
ここに在るものは、誰でも自由に閲覧できる。まぁ、あくまでこの町の周囲の情報だけだがな。」
「成程。持ち出しなどは?」
「持ち出してまで、確認するような内容ではないからな。
それこそ、採取者ギルドなんかであれば、図鑑が販売されたりもするらしいが、俺たちは魔物を狩って出てくるものを拾って持ち帰れば、それで終わりだ。」
トラノスケの言葉に、トモエが質問を重ねる。
「つまり、採取活動は、私達は行えないと?」
オユキは、ゲームの知識しかないため、現実となったこの世界での扱いはわからない。
オユキも言われて気になったため、トラノスケへと視線を向ける。
「いや、問題は無い。取りすぎれば問題にはなるが、一つ二つ、もしくは森の奥とか、人里から離れた場所であれば、とがめられることもない。」
そこまで言って、だがなと、トラノスケは続ける。
「狩猟者ギルドが受け付けるのは、あくまで魔物からの取得物だ。
採取品を納品するなら、採取ギルドに登録して、そちらに持ち込む必要がある。
加えて自然物が多いから、持ち運びも正直面倒でなぁ。」
その言葉に、オユキも頷く。
「そうですね。ゲームによってはインベントリなんかもありますが、ゲーム時代もありませんでしたからね。」
「そうなんだよな。自然物だから、丁寧に扱わなきゃいけない物もあるし、物によっては魔力を持つものもある。
そういったのは専用の容器がいるし、で、そういった知識をもって、見つけた物を正しく判別、必要な処置を現地で行う。
正直、駆け出しのできるような事じゃないからなぁ。」
「そうですね。ゲーム時代も難儀したものです、素材集めは。」
「成程、専門知識と、道具が求められると。
それは確かに、今考えることではなさそうですね。」
トモエも、オユキとトラノスケがめんどくさそうに話すのを聞き、採取を行う大変さを理解したようだ。
いや、採取が大変なのではなく、狩猟が単純、そうとも言える。
「まぁ、このあたりだと、森の中に果物や、調合に使える薬草の類があるし、分かり易いから、俺もたまに持ち帰る。ただ、薬草は似た毒草も多いしな。なんにせよ、少し慣れからのほうがいいだろう。
魔物の警戒をしながら、だからな。」
「そうですね、教えていただき、ありがとうございます。
それと、此処が入門向けだとすると、特別な場合は、どちらに?」
トモエがそう聞けば、トラノスケは、そこから見えるあるカウンターに手を向ける。
そこは、此処と違い、装備の整った一団がおり、その後ろに、狩猟者には見えない手合いも控えている。
「あそこだ。情報取り扱いのカウンターになってる。
冒険者だけではなく、商人や、採取者なんかも利用する。
そこそこ込み合うから、近隣の魔物に関しては、こうして分けられているといった感じだな。」
「成程、なかなか合理的ですね。」
「この形に落ち着くまでは、それなりに紆余曲折があったらしいが、まぁ、それはいいだろう。
それと、個別で話したい場合、あまり漏らしたくない話があれば、あっちだ。」
トラノスケは、また異なるカウンターを指す。
そこには、誰も座っていない。
「あそこに話を持ち込んで、必要だと判断されると、二階の個室に案内される。
まぁ、なんだ、無理に覚えなくても、それこそあそこの総合受付で確認すれば、案内してくれるさ。」
トラノスケが、入口からほど近くにあるカウンターを示す。
こちらが視線を送ったのに気が付いたのか、受付に座る女性が笑顔を浮かべてこちらに手を軽く振ってくる。
どうやら、非常に愛想のいいひとのようだ。
「だいたい、ベテランがあそこに座ってる。
まぁ、よくわからないことは、とりあえずあそこで聞くのが早い。」
「分かりました、ありがとうございます。それでは、早速ですが、少しここに在るものを確認してみても。」
トモエがトラノスケにそう声をかけるが、間の悪いことに、3人の番号が呼ばれる。
トラノスケの予想よりもだいぶ早いようだ。
査定が終わり次第、番号でお呼びさせていただきます。
また、順番に関してですが、持ち込んだ量、珍しさ、そういった要因で前後することがあります。
ご了承ください。また、そちらの用紙が引換券を兼ねています。
お呼びするまでお待ちできない場合は、時間を改めて総合受付に、そちらの用紙をもってお越しください。
そこで、ご案内させていただきますので。」
受付の女性は、トラノスケに対するものよりも、丁寧に、細かく補足を行いながら、オユキとトモエに告げる。
その内容に二人は頷き、用紙を受け取り、列から離れる。
そして、トラノスケが少し離れたところから見ていたため、そちらへと移動する。
「よし、ひとまず終わりだな。今持ち込んだものくらいなら、20分もあれば終わるだろうが。
どうする、ここで待つか?それとも、何か気になるものでもあるか?」
トラノスケの質問にトモエが応える。
「そうですね、お手数おかけしますが、何度かお話に出ていた、ギルドでの情報確認について教えていただけますか?」
「ああ、そうだったな。」
そういって、トラノスケがギルドの片隅に用意された一角へと向かう。
そこにはあまり人がおらず、いるのも見るからに駆け出し、トモエやオユキと大差ない、むしろ悪いものもいる、そういった装備で身を固めたものたちだ。
「ここが、まぁ、資料室のような役割を果たしている。
ここに在るものは、誰でも自由に閲覧できる。まぁ、あくまでこの町の周囲の情報だけだがな。」
「成程。持ち出しなどは?」
「持ち出してまで、確認するような内容ではないからな。
それこそ、採取者ギルドなんかであれば、図鑑が販売されたりもするらしいが、俺たちは魔物を狩って出てくるものを拾って持ち帰れば、それで終わりだ。」
トラノスケの言葉に、トモエが質問を重ねる。
「つまり、採取活動は、私達は行えないと?」
オユキは、ゲームの知識しかないため、現実となったこの世界での扱いはわからない。
オユキも言われて気になったため、トラノスケへと視線を向ける。
「いや、問題は無い。取りすぎれば問題にはなるが、一つ二つ、もしくは森の奥とか、人里から離れた場所であれば、とがめられることもない。」
そこまで言って、だがなと、トラノスケは続ける。
「狩猟者ギルドが受け付けるのは、あくまで魔物からの取得物だ。
採取品を納品するなら、採取ギルドに登録して、そちらに持ち込む必要がある。
加えて自然物が多いから、持ち運びも正直面倒でなぁ。」
その言葉に、オユキも頷く。
「そうですね。ゲームによってはインベントリなんかもありますが、ゲーム時代もありませんでしたからね。」
「そうなんだよな。自然物だから、丁寧に扱わなきゃいけない物もあるし、物によっては魔力を持つものもある。
そういったのは専用の容器がいるし、で、そういった知識をもって、見つけた物を正しく判別、必要な処置を現地で行う。
正直、駆け出しのできるような事じゃないからなぁ。」
「そうですね。ゲーム時代も難儀したものです、素材集めは。」
「成程、専門知識と、道具が求められると。
それは確かに、今考えることではなさそうですね。」
トモエも、オユキとトラノスケがめんどくさそうに話すのを聞き、採取を行う大変さを理解したようだ。
いや、採取が大変なのではなく、狩猟が単純、そうとも言える。
「まぁ、このあたりだと、森の中に果物や、調合に使える薬草の類があるし、分かり易いから、俺もたまに持ち帰る。ただ、薬草は似た毒草も多いしな。なんにせよ、少し慣れからのほうがいいだろう。
魔物の警戒をしながら、だからな。」
「そうですね、教えていただき、ありがとうございます。
それと、此処が入門向けだとすると、特別な場合は、どちらに?」
トモエがそう聞けば、トラノスケは、そこから見えるあるカウンターに手を向ける。
そこは、此処と違い、装備の整った一団がおり、その後ろに、狩猟者には見えない手合いも控えている。
「あそこだ。情報取り扱いのカウンターになってる。
冒険者だけではなく、商人や、採取者なんかも利用する。
そこそこ込み合うから、近隣の魔物に関しては、こうして分けられているといった感じだな。」
「成程、なかなか合理的ですね。」
「この形に落ち着くまでは、それなりに紆余曲折があったらしいが、まぁ、それはいいだろう。
それと、個別で話したい場合、あまり漏らしたくない話があれば、あっちだ。」
トラノスケは、また異なるカウンターを指す。
そこには、誰も座っていない。
「あそこに話を持ち込んで、必要だと判断されると、二階の個室に案内される。
まぁ、なんだ、無理に覚えなくても、それこそあそこの総合受付で確認すれば、案内してくれるさ。」
トラノスケが、入口からほど近くにあるカウンターを示す。
こちらが視線を送ったのに気が付いたのか、受付に座る女性が笑顔を浮かべてこちらに手を軽く振ってくる。
どうやら、非常に愛想のいいひとのようだ。
「だいたい、ベテランがあそこに座ってる。
まぁ、よくわからないことは、とりあえずあそこで聞くのが早い。」
「分かりました、ありがとうございます。それでは、早速ですが、少しここに在るものを確認してみても。」
トモエがトラノスケにそう声をかけるが、間の悪いことに、3人の番号が呼ばれる。
トラノスケの予想よりもだいぶ早いようだ。
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