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23章 ようやく少し観光を
王都で暮らす場所
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馬車での色々な話し合いも終わり。オユキもどうやら少し持ち直した、トモエがそう判断できる程度にはなっている。これで、何処か自棄になって、そうした行動を今後そこまで取りはしないだろうと。
詰まることろ、今回オユキが意固地になってやったことというのは、トモエをオユキから取り上げたら一体どうなるかを多くの相手に示したかったと、正直な所は、根っこの部分はそれだけ。過去の約束があったのも確か、トモエに傷がついたことを怒っているのも確か。それよりも、トモエという存在を忘れるなと。要はそうした怒りが根底に。
「トモエさんを軽んじる事を許しはしないと、そう何度も示したはずなのですが。」
「皆、忘れっぽいという訳では無いのでしょう。」
確かに、オユキは幾度もそれを示してきてはいる。ただし、それが分かりやすいものでは無いというのがまた難しい所なのだろう。トモエの方は、はっきりと圧をかける。近づくなと、この世界が、この世界で暮らす者達がただただ己の伴侶を貪る心算なら、容赦はしない。正直な所、それを簡単に行う手立てもある。それをトモエは隠しもしない。
「トモエさんには、配慮をして頂けているようではありますが。」
「そうですね。私に対しては、まぁ、色々分からない部分が多いという事もあって配慮と言えばいいのか、輪に入れないようにしていると言えばいいのか。」
馬車からは王都に入る時に一度トモエが顔を出したきり。今は公爵が王都に用意したという屋敷に向けて、のんびりと移動をしている。こちらの方は、いよいよシェリアとそれよりも先に王都に戻っていたナザレアが整えているという話ではあるのだが、内装の話などは一切オユキが聞かされてい無い辺り信頼感というものが透けて見えて来る。
「そうなる様にと、私が考えての事ではあるのです。」
「分かっていますとも。ですが、過剰だと感じる部分もやはりありますから。」
閉じ込めてしまいたい。大切に、己の手の内に。そう考えているのは果たしてオユキかトモエか。結論としては、どちらも。
「まぁ、その辺りはオユキさんももう少し考えると言えばいいのか、明言するのがいいでしょう。」
「あまり、こう。」
「祝言を上げる時にと、そう考えての事なのでしょうが。」
オユキとしては、大事な事は大事な時に。それも、己の伴侶としているのだから、それに対して如何なるものも許さぬと声を上げるならと、そんな事を考えているのだろうが。
「何も、特別な時ばかりでなくとも嬉しいものですよ。」
「その、気恥ずかしいと言いますか。」
「ええ。それも分かっていますから。」
そんな事を話していれば、いよいよ馬車も速度を落とし始める。
呼ばわれる声に、足を外に向けてみれば屋敷としては始まりの町とも、領都に用意されている物とも外観自体は変わらない屋敷がある。外から見ても3階ほどはあるのだろう、それぐらいの大きさを誇る屋敷であり周囲を軽く見ても他の物は少し遠い。周囲は変わらずしっかりとした壁に囲まれており、それを超えて入ろうと思えばかなりの労力が求められる事だろう。確かに安心が出来そうなものではあるのだが、今度はこの屋敷を警備する人員がどの程度求められるのか、そうした懸念もオユキに生まれるというものだ。
「始まりの町に、合わせて頂けているようですね。」
「はい。私たちが好むと言いますか、トモエさんが整えた形を参考にという事なのでしょうね。」
「いえ、あちらにオユキさんの用意した四阿に似た庭園も。」
「おや。」
生憎と視線の高さが違う為、オユキには生垣と言えばいいのだろうか。庭の一角を覆う、遠目にも鮮やかに見える花が顔を覗かせる壁と思っていたのだが、そちらにしっかりとオユキが日中を好んで過ごすための場が用意されているらしい。それこそ用意をした人間の思惑としては、そちらを使って茶会に客人を招けとそう言いたいのだろう。随分と屋敷にも近く用意の為に運び出しやすいと見て取れる。
後はいよいよ内装の確認をと、そんな事を考えていれば屋敷からパラパラと人が出て来る。ここまでの道中を任せていた騎士達が、恐らく屋敷の裏手にあるだろう厩舎にカミトキとセンヨウを連れていくのだろう。トモエと話しながらも、馬車から降りてまずは二頭を労っている所にナザレアが代表して。
「お待ちしておりました。」
「先に王都での手配を頼みましたが、良くしてくれているようですね。」
「ええ。侍従として当然の事です。どうぞ、そのまま中へ。本日は一先ず寛いで頂くようにと。」
「さて、その枕が気になるのですが、王妃様ですか。」
今この国には隣国の王妃とているのだ。そちらがさてトモエとオユキにどんなちょっかいをかけてくるのか、はたまたどんな無理難題が今度は用意されているのだろうか。
「オユキさん。」
「流石に、そちらを断るのもなかなか難しいのですが。」
「おや、可能だと、そのような口ぶりですね。」
ナザレアが、間違いなく忠誠がトモエとオユキではなく王家に向いている人員として、目を細めるのだがその背後には慣れた相手が。
「ナザレア。侍従としてというのならば、今は優先すべきは仕える主の望みでしょう。」
「シェリア。」
「案内も熟せない、随分と問題があると見えますね。」
さて、同じ位を持つ者同士良からぬ牽制などを始めているため、流石に。
「お二人とも、今はそこまでで。」
わざわざ軒先でやることもあるまいと。オユキがトモエにわかりやすくと言えばいいのか、どうにかしてほしいだろう、警戒すべき相手と実にわかりやすく口にするようにしているのだ。馬車の中で話した事を、オユキとしても改めて考えてくれた証左でもある。ならば、オユキが対応しきれぬというのならば、トモエがまずは。
「今日は寛ぐとの事です。まずは、そのように。」
オユキの方では、風翼の門をくぐった時に派手に焼かれていたこともある。体力も相応に消耗している。
「それと明日以降の予定ですが、全てを認める気はありません。ナザレアも、当然事前に相談するように。」
「畏まりました。」
「オユキ様が、それで宜しいのであれば。」
シェリアは早々に納得が行ったと、そのような様子ではあるのだがナザレアは、暫くトモエとオユキについていたはずだというのに、この場でもオユキに裁可を求めている。確かに、オユキが家督を持っている以上はその振る舞いこそが正しい。その程度にはトモエも理解する。譲歩をしても良いと、そう考えているのだが。
「先に、シェリア様に来て頂いて良かったですね。」
「その、ナザレア様。生憎と私は未だに体調が回復したわけでもありません。トモエさんが認めぬというので有れば、私が積極的に何かを行う事はありませんから。」
トモエとしては、己の考えが正しかったようだとそれを口に出す。
やはり借り受けている人員、その中の大部分は信頼が出来る相手という訳では無いのだ。ゲラルドにしても、オユキは自然とメイの下にいる機会が増えたと考えているようなのだが、実のところは彼に対してトモエが一切警戒を緩めなかった事、その結果気の利く者達が恐らくその方がいいだろうと事を運んだから。そういった者達にしても、今はオユキが大事と考えているものを運ぶためにと、すっかりと離れている。
当初は少年たちの護衛にしても、まだ何でもないトモエとオユキであったころに護衛をしてくれたルイスに頼もうという話であったのだが、そちらはアベルからの妨害が入った。結果として、流石に乳飲み子という訳でもなくなった、極短い期間でやたらと成長した子供を置いてローレンツが出向くことになった。どうにも、花精の子育てというのはトモエにしても全く未知の物であり、タルヤも陸に構っている様子が無い。
なんにせよ、トモエの言葉にナザレアの表情が少し険しくなり、シェリアが何処か自身に満ちた顔つきになったというのならばそれで良かったのだろう。オユキとしては、是非とも己の下で働く期間くらいは表面的にでも仲良くしてほしいものではあるし、ナザレアからの報告が間違いなく何処かに行くことを考えれば、そちらからの問題と言えばいいのか、そうした何かはあるだろうと考えてしまうのがオユキ。
「とにもかくにも、屋敷に入りましょうか。ああ、それとシェリア。ローレンツ卿から奥方への手紙を預かっています。」
「叔母様にですか。畏まりました、その、面会を間違いなく望まれるでしょうが。」
「お受けします。こればかりは、公爵様に諮ることも無いでしょう。ただ、そうですね。お一人だけとは言いませんが。」
「畏まりました。」
オユキが少し考えた上で、相手が何を望むのかそこまでを考えたところで、思いつくものの一つを先に断ってくれとシェリアに頼んでおく。実際にどういった交渉が行われるのか分からないが、これで少なくとも以前のように王妃が割り込んできたりという事も起こらないだろうと。
「順序を、無視されますか。」
「そうですね、登城は公爵様にも言われていますので行います。ですが、王都に来て親しい相手をまずは優先して。ええ、そのような物でしょう。」
「そうですね。」
「これまで、お会いしたことも無いお相手かと。」
シェリアを先頭に、屋敷迄まずは歩く。その最中にも、ナザレアは然も不満がありますとその態度を崩すことが無い。オユキとしては仕方の無い事だと、こうしてナザレアがそうした態度を崩さないあたり、一体誰のひも付きかが実にわかりやすいものだと。過日は、それこそ大人しくしていたため判断がつかない事が多かった。ただ、こうしてくれれば実にわかりやすい。どうやら、ナザレアの方でも先の件もあって少し心変わりがあったのか、若しくはその程度の感謝を感じてくれているのか。トモエの方ではしっかりと警戒を強めて言っているのだが、ここまでわかりやすい振る舞いを取ってくれるからこそ、分かる物もあるのだ。オユキは、そちらを汲み取って。
「トモエさん。ナザレア様は、はっきりとではなく、言外で色々と。」
「オユキさんが言うなら、そうなのでしょうが。」
「ええ。これまでやってきたこと、それが無駄では無いのだと分かる部分はこのように。」
詰まることろ、今回オユキが意固地になってやったことというのは、トモエをオユキから取り上げたら一体どうなるかを多くの相手に示したかったと、正直な所は、根っこの部分はそれだけ。過去の約束があったのも確か、トモエに傷がついたことを怒っているのも確か。それよりも、トモエという存在を忘れるなと。要はそうした怒りが根底に。
「トモエさんを軽んじる事を許しはしないと、そう何度も示したはずなのですが。」
「皆、忘れっぽいという訳では無いのでしょう。」
確かに、オユキは幾度もそれを示してきてはいる。ただし、それが分かりやすいものでは無いというのがまた難しい所なのだろう。トモエの方は、はっきりと圧をかける。近づくなと、この世界が、この世界で暮らす者達がただただ己の伴侶を貪る心算なら、容赦はしない。正直な所、それを簡単に行う手立てもある。それをトモエは隠しもしない。
「トモエさんには、配慮をして頂けているようではありますが。」
「そうですね。私に対しては、まぁ、色々分からない部分が多いという事もあって配慮と言えばいいのか、輪に入れないようにしていると言えばいいのか。」
馬車からは王都に入る時に一度トモエが顔を出したきり。今は公爵が王都に用意したという屋敷に向けて、のんびりと移動をしている。こちらの方は、いよいよシェリアとそれよりも先に王都に戻っていたナザレアが整えているという話ではあるのだが、内装の話などは一切オユキが聞かされてい無い辺り信頼感というものが透けて見えて来る。
「そうなる様にと、私が考えての事ではあるのです。」
「分かっていますとも。ですが、過剰だと感じる部分もやはりありますから。」
閉じ込めてしまいたい。大切に、己の手の内に。そう考えているのは果たしてオユキかトモエか。結論としては、どちらも。
「まぁ、その辺りはオユキさんももう少し考えると言えばいいのか、明言するのがいいでしょう。」
「あまり、こう。」
「祝言を上げる時にと、そう考えての事なのでしょうが。」
オユキとしては、大事な事は大事な時に。それも、己の伴侶としているのだから、それに対して如何なるものも許さぬと声を上げるならと、そんな事を考えているのだろうが。
「何も、特別な時ばかりでなくとも嬉しいものですよ。」
「その、気恥ずかしいと言いますか。」
「ええ。それも分かっていますから。」
そんな事を話していれば、いよいよ馬車も速度を落とし始める。
呼ばわれる声に、足を外に向けてみれば屋敷としては始まりの町とも、領都に用意されている物とも外観自体は変わらない屋敷がある。外から見ても3階ほどはあるのだろう、それぐらいの大きさを誇る屋敷であり周囲を軽く見ても他の物は少し遠い。周囲は変わらずしっかりとした壁に囲まれており、それを超えて入ろうと思えばかなりの労力が求められる事だろう。確かに安心が出来そうなものではあるのだが、今度はこの屋敷を警備する人員がどの程度求められるのか、そうした懸念もオユキに生まれるというものだ。
「始まりの町に、合わせて頂けているようですね。」
「はい。私たちが好むと言いますか、トモエさんが整えた形を参考にという事なのでしょうね。」
「いえ、あちらにオユキさんの用意した四阿に似た庭園も。」
「おや。」
生憎と視線の高さが違う為、オユキには生垣と言えばいいのだろうか。庭の一角を覆う、遠目にも鮮やかに見える花が顔を覗かせる壁と思っていたのだが、そちらにしっかりとオユキが日中を好んで過ごすための場が用意されているらしい。それこそ用意をした人間の思惑としては、そちらを使って茶会に客人を招けとそう言いたいのだろう。随分と屋敷にも近く用意の為に運び出しやすいと見て取れる。
後はいよいよ内装の確認をと、そんな事を考えていれば屋敷からパラパラと人が出て来る。ここまでの道中を任せていた騎士達が、恐らく屋敷の裏手にあるだろう厩舎にカミトキとセンヨウを連れていくのだろう。トモエと話しながらも、馬車から降りてまずは二頭を労っている所にナザレアが代表して。
「お待ちしておりました。」
「先に王都での手配を頼みましたが、良くしてくれているようですね。」
「ええ。侍従として当然の事です。どうぞ、そのまま中へ。本日は一先ず寛いで頂くようにと。」
「さて、その枕が気になるのですが、王妃様ですか。」
今この国には隣国の王妃とているのだ。そちらがさてトモエとオユキにどんなちょっかいをかけてくるのか、はたまたどんな無理難題が今度は用意されているのだろうか。
「オユキさん。」
「流石に、そちらを断るのもなかなか難しいのですが。」
「おや、可能だと、そのような口ぶりですね。」
ナザレアが、間違いなく忠誠がトモエとオユキではなく王家に向いている人員として、目を細めるのだがその背後には慣れた相手が。
「ナザレア。侍従としてというのならば、今は優先すべきは仕える主の望みでしょう。」
「シェリア。」
「案内も熟せない、随分と問題があると見えますね。」
さて、同じ位を持つ者同士良からぬ牽制などを始めているため、流石に。
「お二人とも、今はそこまでで。」
わざわざ軒先でやることもあるまいと。オユキがトモエにわかりやすくと言えばいいのか、どうにかしてほしいだろう、警戒すべき相手と実にわかりやすく口にするようにしているのだ。馬車の中で話した事を、オユキとしても改めて考えてくれた証左でもある。ならば、オユキが対応しきれぬというのならば、トモエがまずは。
「今日は寛ぐとの事です。まずは、そのように。」
オユキの方では、風翼の門をくぐった時に派手に焼かれていたこともある。体力も相応に消耗している。
「それと明日以降の予定ですが、全てを認める気はありません。ナザレアも、当然事前に相談するように。」
「畏まりました。」
「オユキ様が、それで宜しいのであれば。」
シェリアは早々に納得が行ったと、そのような様子ではあるのだがナザレアは、暫くトモエとオユキについていたはずだというのに、この場でもオユキに裁可を求めている。確かに、オユキが家督を持っている以上はその振る舞いこそが正しい。その程度にはトモエも理解する。譲歩をしても良いと、そう考えているのだが。
「先に、シェリア様に来て頂いて良かったですね。」
「その、ナザレア様。生憎と私は未だに体調が回復したわけでもありません。トモエさんが認めぬというので有れば、私が積極的に何かを行う事はありませんから。」
トモエとしては、己の考えが正しかったようだとそれを口に出す。
やはり借り受けている人員、その中の大部分は信頼が出来る相手という訳では無いのだ。ゲラルドにしても、オユキは自然とメイの下にいる機会が増えたと考えているようなのだが、実のところは彼に対してトモエが一切警戒を緩めなかった事、その結果気の利く者達が恐らくその方がいいだろうと事を運んだから。そういった者達にしても、今はオユキが大事と考えているものを運ぶためにと、すっかりと離れている。
当初は少年たちの護衛にしても、まだ何でもないトモエとオユキであったころに護衛をしてくれたルイスに頼もうという話であったのだが、そちらはアベルからの妨害が入った。結果として、流石に乳飲み子という訳でもなくなった、極短い期間でやたらと成長した子供を置いてローレンツが出向くことになった。どうにも、花精の子育てというのはトモエにしても全く未知の物であり、タルヤも陸に構っている様子が無い。
なんにせよ、トモエの言葉にナザレアの表情が少し険しくなり、シェリアが何処か自身に満ちた顔つきになったというのならばそれで良かったのだろう。オユキとしては、是非とも己の下で働く期間くらいは表面的にでも仲良くしてほしいものではあるし、ナザレアからの報告が間違いなく何処かに行くことを考えれば、そちらからの問題と言えばいいのか、そうした何かはあるだろうと考えてしまうのがオユキ。
「とにもかくにも、屋敷に入りましょうか。ああ、それとシェリア。ローレンツ卿から奥方への手紙を預かっています。」
「叔母様にですか。畏まりました、その、面会を間違いなく望まれるでしょうが。」
「お受けします。こればかりは、公爵様に諮ることも無いでしょう。ただ、そうですね。お一人だけとは言いませんが。」
「畏まりました。」
オユキが少し考えた上で、相手が何を望むのかそこまでを考えたところで、思いつくものの一つを先に断ってくれとシェリアに頼んでおく。実際にどういった交渉が行われるのか分からないが、これで少なくとも以前のように王妃が割り込んできたりという事も起こらないだろうと。
「順序を、無視されますか。」
「そうですね、登城は公爵様にも言われていますので行います。ですが、王都に来て親しい相手をまずは優先して。ええ、そのような物でしょう。」
「そうですね。」
「これまで、お会いしたことも無いお相手かと。」
シェリアを先頭に、屋敷迄まずは歩く。その最中にも、ナザレアは然も不満がありますとその態度を崩すことが無い。オユキとしては仕方の無い事だと、こうしてナザレアがそうした態度を崩さないあたり、一体誰のひも付きかが実にわかりやすいものだと。過日は、それこそ大人しくしていたため判断がつかない事が多かった。ただ、こうしてくれれば実にわかりやすい。どうやら、ナザレアの方でも先の件もあって少し心変わりがあったのか、若しくはその程度の感謝を感じてくれているのか。トモエの方ではしっかりと警戒を強めて言っているのだが、ここまでわかりやすい振る舞いを取ってくれるからこそ、分かる物もあるのだ。オユキは、そちらを汲み取って。
「トモエさん。ナザレア様は、はっきりとではなく、言外で色々と。」
「オユキさんが言うなら、そうなのでしょうが。」
「ええ。これまでやってきたこと、それが無駄では無いのだと分かる部分はこのように。」
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