もういらないと言われたので隣国で聖女やります。

ゆーぞー

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「陛下がお待ちではないのでしょうか」
 私はメイドさんたちが言っていたので気になって仕方がありません。お忙しい陛下をお待たせするなんて不敬罪ではないでしょうか。

「大丈夫でございます」
 皇后陛下のメイドさんはにっこり微笑んで下さいました。

「エドワード様がご報告をされいる最中でございます。聖女様は落ち着いてお支度をして構いません」

 ではあのメイドさんたちが何か勘違いをされたのかもしれません。インディアルにいた頃も国王陛下は時間がなくて、儀式の間に話をするということがよくありました。儀式はとにかく時間がかかるものだったので、レートレースで同じような儀式をするのならお話をする時間は取れないかもしれません。

「それではまいりましょうか」

 皇后陛下のメイドさんに連れられ、私は部屋を出ました。そこで私は驚きました。廊下にはたくさんの人が両脇に並んでいて、みんな頭を下げています。その真ん中を私は歩いていくのです。誰も何も言いませんが、私は説明を聞きたい気持ちでいっぱいでした。でもその雰囲気に負けて何も言えず、ただメイドさんの後を着いて行くしかありませんでした。

 やがて、大きなドアの前でメイドさんは止まりました。ドアの前には騎士さんが2人います。

「聖女様のお越しにございます」

 騎士の方が大きな声で言いました。そして大きなドアを2人でゆっくり開けます。部屋の中には玉座が見え、先程の皇后陛下とその隣に男の人が座っているのが見えました。おそらく皇帝陛下でしょう。皇帝陛下はいかにも威厳のある感じがします。皇后陛下の隣にはエディ様が立たれています。すると皇帝陛下の隣に立たれているのは、第1皇子様でしょう。

 私は静々と陛下の前まで進みました。そして丁寧に膝をつき頭を下げます。
「楽にしなさい」
 ドアが閉まった音がして、皇帝陛下に声をかけられました。私はゆっくり姿勢を直します。エディ様がニコニコと笑っているのを見て安心しました。

「エディに聞いたが、インディアルの聖女だったとか?」
「はい」
「そうか、大変だっただろう」

 陛下は優しく声をかけてくださるのですが、大変の意味がよくわからず曖昧に微笑んでしまいました。

「父上、とりあえず休ませてあげてください」

 エディ様がおっしゃってくださいました。特に疲れていないので休まなくてもいいのですが、着慣れないドレスなので早く脱ぎたいです。楽なワンピースなどはないのでしょうか。

「そんなことより自己紹介をさせてくれ」
 陛下の横の第1皇子様がおっしゃいました。エディ様によく似ているように思います。エディ様が穏やかなイメージなら第1皇子様はやや雄々しいイメージです。

「エディの兄のアンドリューだ。アンディと呼んでくれて構わない」
 アンディ様もやはりにっこりと微笑んでいます。

「エディとは馬車でずっと一緒だったのだろう。これから私は朝食なので、一緒に食べようか。エディとの道中、なかなか大変だったと聞く」

 皇子様とお食事なんていいのでしょうか。聖女としてのお仕事はないのでしょうか。

「待ってください、兄上。私もこれから朝食です。それにアリスには、祈りのための部屋を用意すると約束しています。まずはそこに案内を」
「あら、待って。それなら住むお部屋に案内して、お洋服のこととか考えてあげないと。エディ、ちゃんとしたメイドを付けないとダメよ。あのメイドたちときたら」
「おやおや、アリスは忙しいみたいだね。でも皇帝の私とまずは仕事内容について決めないと」
「父上、仕事の話は後にして。まずは朝食でしょう」

 全員が交互に話し出しました。皇帝ご一家という偉い立場の人なのに、どこか一般人と変わらない感じがします。普段からこんな感じならとてもいい雰囲気のご家族だなぁと思いました。私は孤児だったのでこんな家族に憧れていたのです。

 全員が一斉に話し出してどう解決するのだろうと思いだしたところ、
「コホン」
という咳払いに全員が黙りました。声の主はドアの前に立っている男性でした。


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