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「私はこのリサ・・・さんが午前の授業を出なかったと聞きました」
私の名前を言いづらそうに言うシャロン。よほど私のことが気に食わないのだろう。それよりも午前の授業を出なかったことは、ダン様に呼び出されたからなのだから仕方がない。決してサボったわけではないのだ。なにしろ魔獣が大量発生したのだ。でもあの大惨事、この人たちは知らないんだよね。公表するつもりがないのか、できないのかわからない。でも何も知らないくせに何だかな、と言う気持ちだ。
「温情により特別に入学を許された立場でありながら、授業に出ないとは。一度話しておかなくてはと思いまして」
そう言いながらシャロンは私を睨みつけている。憎悪がこもった視線が怖くてたまらない。そんなに怒ることなのか。平民のくせに生意気なとでも思われているのかもしれない。しかし私だって授業に出るつもりでいた。サボる気なんてなかったのだ。
「リサが授業に出なかったことはこちらで把握しています。あなたが注意することではありません」
先生はピシャリとそう言ってのけた。言われたシャロンはただ先生を見つめていた。一瞬だがシャロンと先生の間に火花が見えた気がする。
「そうですか、でも・・・」
シャロンの目がギラリと光った。怖い、まだ10代のはずなのにこの迫力。先生にも負けず劣らずって感じだ。女同士の戦いって怖いものがあるということを痛感した。私では太刀打ちできない。
「リサがダン様を突き飛ばしたという目撃情報があります」
シャロンは誇らしげに胸を反らしている。どうしても私を断罪したいのだろう。めんどくさいな。もう私に絡まないでほしい。他の女子生徒もシャロンに倣って私を見る目がトゲトゲしい。
「・・・どういうことですか?」
先生が冷静に聞いた。私にではなくシャロンにだ。
「目撃情報ということは誰かが見たということですね」
先生はそう言って教室中を見回す。目から何かの光線が出ていそうな雰囲気だ。
「誰が、見たと言うのですか。名乗り出なさい!」
先生はそう言いながら私のことを見ている。聞かれているのは誰が見たのかということ。私は関係ない。なので先生の喉に目を向けた。視線を合わせたくない時はこのようにズラせば良い。そしてこのまま私は何もせずに終わることを祈る。
シーンと静まり返る教室。居心地が悪いが仕方がない。だいたい、悪いのは私ではないのだ。結果的にそうなってしまっただけで、元はといえばダン様が悪い。しかしもっと言えば、ダン様としても不可抗力だったと思われる。あの時は急いでいたし。なので誰も悪くない、誰かを責めることはできないと思う。でも私の意見は関係ないのだろうな。
「ダン校長は、リサのような非力な女性に突き飛ばされて体勢を崩すくらいに脆弱だと言うのですか?」
誰も何も言わないので先生が静かに尋ねた。シャロンが息を飲むのが聞こえた気がした。クラス中がおかしな緊張感で満たされている。
「そんなことを言う者がいるのであれば、王室への侮辱と見なして私はその者を引き渡さなければなりません」
侮辱、という言葉で誰かの小さな悲鳴が聞こえた。
「どうですか、本当に、リサは成人した男性を突き飛ばし、突き飛ばされた相手は地面に伏したのですか。本当にそんなことがあったのですか」
先生の圧のある問いにシャロンはたじろいでいるように見えた。目が大きく見開いている。まるでつけまつげのCMみたいに、綺麗に伸びた長いまつ毛を私はバカみたいにジロジロと眺めてしまった。やっぱり少女マンガに出てくるだけあるよね。華やかで美しい。場違いにもそんなことを考えてしまう。
「・・・私の勘違いのようです」
やや小声ではあるが、それでもはっきりとした口調でシャロンが言った。悔しそうに眉間に皺を寄せている。そんな様子も絵になる。シャロンは決して間違えてはいない。誰かの代わりに矢面に立ち、誰かの代わりに謝罪しているのだ。
「ではみなさん、自分のお教室に戻ってください。今後このような騒ぎを起こさないように」
静かに教室を出ていく人たち。誰も何も話さない。その中でシャロンは毅然と前を向き優雅に歩いている。マンガではシャロンは女子生徒のリーダーのように描かれていた。王子の婚約者であり、高位貴族の令嬢。気高く常に自分の立場を弁えているその姿に、私は感動してしまったのだった。
私の名前を言いづらそうに言うシャロン。よほど私のことが気に食わないのだろう。それよりも午前の授業を出なかったことは、ダン様に呼び出されたからなのだから仕方がない。決してサボったわけではないのだ。なにしろ魔獣が大量発生したのだ。でもあの大惨事、この人たちは知らないんだよね。公表するつもりがないのか、できないのかわからない。でも何も知らないくせに何だかな、と言う気持ちだ。
「温情により特別に入学を許された立場でありながら、授業に出ないとは。一度話しておかなくてはと思いまして」
そう言いながらシャロンは私を睨みつけている。憎悪がこもった視線が怖くてたまらない。そんなに怒ることなのか。平民のくせに生意気なとでも思われているのかもしれない。しかし私だって授業に出るつもりでいた。サボる気なんてなかったのだ。
「リサが授業に出なかったことはこちらで把握しています。あなたが注意することではありません」
先生はピシャリとそう言ってのけた。言われたシャロンはただ先生を見つめていた。一瞬だがシャロンと先生の間に火花が見えた気がする。
「そうですか、でも・・・」
シャロンの目がギラリと光った。怖い、まだ10代のはずなのにこの迫力。先生にも負けず劣らずって感じだ。女同士の戦いって怖いものがあるということを痛感した。私では太刀打ちできない。
「リサがダン様を突き飛ばしたという目撃情報があります」
シャロンは誇らしげに胸を反らしている。どうしても私を断罪したいのだろう。めんどくさいな。もう私に絡まないでほしい。他の女子生徒もシャロンに倣って私を見る目がトゲトゲしい。
「・・・どういうことですか?」
先生が冷静に聞いた。私にではなくシャロンにだ。
「目撃情報ということは誰かが見たということですね」
先生はそう言って教室中を見回す。目から何かの光線が出ていそうな雰囲気だ。
「誰が、見たと言うのですか。名乗り出なさい!」
先生はそう言いながら私のことを見ている。聞かれているのは誰が見たのかということ。私は関係ない。なので先生の喉に目を向けた。視線を合わせたくない時はこのようにズラせば良い。そしてこのまま私は何もせずに終わることを祈る。
シーンと静まり返る教室。居心地が悪いが仕方がない。だいたい、悪いのは私ではないのだ。結果的にそうなってしまっただけで、元はといえばダン様が悪い。しかしもっと言えば、ダン様としても不可抗力だったと思われる。あの時は急いでいたし。なので誰も悪くない、誰かを責めることはできないと思う。でも私の意見は関係ないのだろうな。
「ダン校長は、リサのような非力な女性に突き飛ばされて体勢を崩すくらいに脆弱だと言うのですか?」
誰も何も言わないので先生が静かに尋ねた。シャロンが息を飲むのが聞こえた気がした。クラス中がおかしな緊張感で満たされている。
「そんなことを言う者がいるのであれば、王室への侮辱と見なして私はその者を引き渡さなければなりません」
侮辱、という言葉で誰かの小さな悲鳴が聞こえた。
「どうですか、本当に、リサは成人した男性を突き飛ばし、突き飛ばされた相手は地面に伏したのですか。本当にそんなことがあったのですか」
先生の圧のある問いにシャロンはたじろいでいるように見えた。目が大きく見開いている。まるでつけまつげのCMみたいに、綺麗に伸びた長いまつ毛を私はバカみたいにジロジロと眺めてしまった。やっぱり少女マンガに出てくるだけあるよね。華やかで美しい。場違いにもそんなことを考えてしまう。
「・・・私の勘違いのようです」
やや小声ではあるが、それでもはっきりとした口調でシャロンが言った。悔しそうに眉間に皺を寄せている。そんな様子も絵になる。シャロンは決して間違えてはいない。誰かの代わりに矢面に立ち、誰かの代わりに謝罪しているのだ。
「ではみなさん、自分のお教室に戻ってください。今後このような騒ぎを起こさないように」
静かに教室を出ていく人たち。誰も何も話さない。その中でシャロンは毅然と前を向き優雅に歩いている。マンガではシャロンは女子生徒のリーダーのように描かれていた。王子の婚約者であり、高位貴族の令嬢。気高く常に自分の立場を弁えているその姿に、私は感動してしまったのだった。
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