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BL学園に転生した件
攻略対象のコンプリート
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食堂へ着くと複数の視線が突き刺さった。
今朝の教室でもそうだった、おそらくもう噂が広がってるのだろう。
もしかしたらツーショットの写真でも出回っているのかも知れない。
じゃなきゃなんの特徴もない平凡な俺の顔をこんな大勢の人間に認知される訳がない。
しかし、やはり古鬼田くん効果は絶大なのかコソコソと話し合う声は聞こえるものの絡んでくる人間はいなかった。
そんな古鬼田くんは何処吹く風、俺もつられて肩の力が抜けて自販機へと向かう。
「何食う?」
「朝はオムレツだったからなぁ…。」
「ラーメンとかどうだ?」
「古鬼田くん何味派?」
「断然味噌だな。」
「え!一緒!じゃあ味噌ラーメンにしよ!」
「そうすんべ。」
喋ってみると古鬼田くんは意外と話しやすくて親しみやすい。
無口かと思ったけど、そうでもないらしい。
本人曰く「話しかける相手がいなかっただけ」らしい、俺はこれから古鬼田くんといっぱい話そうと心に決めた。
受け付けに半券を渡し適当な席に着けば、ふと疑問に思ったことを口にする。
「ねぇ古鬼田くん。」
「ん?」
「今更だけど俺達の…メイさんとの関係気持ち悪くないの?」
「別に?本人達が幸せならいんじゃね?」
あっけらかんと答えた古鬼田くんにポカンとしてしまった。
「まぁ入学初日に、ってのはビビったけどな。」
「あ…それなんだけど、入学する前に実は会ってて...」
古鬼田くんに事のあらましを全部説明していると番号が呼ばれたので二人で席を離れた。
野菜がたっぷり乗った味噌ラーメンを持って席へ戻る。
「あのチャラい会計が一目惚れねぇ。」
「しかも俺なんかにだよ?不思議だよねぇ。」
「その俺なんかってのやめろ、自信持てって言ったべ。」
「あ、癖で...徐々に直していくから勘弁して!」
パンッと手を合わせて謝る。
「まぁ...身に染みついたもんはそう簡単に直んねぇか...ゆっくり慣れてけ。」
「うん、ありがとう。」
「さて、伸びちまうから食うぞ。」
「うん!いただきます!」
「いただきます。」
二人で手を合わせて食べ始めた。
味噌ラーメンは野菜も甘くて二人揃ってご満悦だった。
食べ終わった後も二人でたわいもない会話を繰り広げていた所に食堂内がざわめいた。
「生徒会の皆様よ!」
「皆様見目麗しい...!」
どうやら生徒会の面々が食堂に来たようだ、チラリとそちらに目をやる。
その中にはメイさんはいなかった、代わりに花咲ナズナがいた。
「ここが学園の食堂なんだな!」
「あぁ、システムは寮と一緒だ。」
「ナズナくんは無邪気ですね。」
「ナズナくんは可愛いねぇ~。」
「ナズナって呼べって言ってるだろ!悠司郎にスズナ!」
「すみません、ナズナ。」
「ごめんね?ナズナ~。」
花咲ナズナは生徒会の面々と仲がいいらしい。
...メイさんも仲いいのかな。
いや、考えるな考えるだけドツボだ。
不意に頭に温かい何かが触れた。
「へ?」
古鬼田くんが俺の頭に手を置いていた。
「どうしたの?」
「...何でもねーよ。」
くしゃくしゃと撫でられた。
「わっ!」
「そろそろ教室戻るか?」
「え、あ、うん。」
二人で揃って立ち上がる、多分古鬼田くん花咲ナズナに気付かれたくないんだろう。
トレーを返却口に戻してる時だった。
「あ!平子ー!」
あぁ~...気付かれてしまった。
しかし、古鬼田くんは無視を貫くみたいで踵を返して行ってしまった。
ハートが強い。
生徒会メンバーからの視線が刺さるが、俺も気配を薄くして古鬼田くんを追う。
「...花咲ナズナ、まるでハーレムみたいになってたね。」
「何がいいんだか...反吐が出る。」
古鬼田くんは余程花咲ナズナの事が嫌いみたいだ。
「あーいうのは裏で何やってんのかわかんねぇ、気味が悪ぃんだよ...。んな奴よりお前と居た方が気が楽だ。」
「ありがとう。俺も古鬼田くんは気が置けなくていいよ。」
そう笑うと古鬼田くんが目を見開いて此方を見た。
俺は首を傾げる、何か変な事言ったかな?
「...んなこと言われたの初めてだわ...ありがとな。」
古鬼田くんの耳が少し赤くなってるのを俺は見逃さなかった、やっぱり古鬼田くんは可愛い!
どういたしまして、と返したら教室に着いていた。
離れ難いなぁと思っていたら、俺の席までついてきて不在だった俺の前の席に後ろ向きに座って会話を続けてくれるみたいだった。
それからチャイムが鳴るまで二人で色々話した。
「じゃあまた後でな。」
そう言って古鬼田くんは座っていた席の生徒に頭を下げ自分の席に戻っていった。
頭を下げられたクラスメイトは焦っていたけど、古鬼田くんは律儀だなぁとニコニコしてしまった。
終礼後、古鬼田くんはまたもや花咲ナズナの猛攻に合っていたが俺を手招き何とか振り切って教室を出た。
俺も古鬼田くんも部活には入っていない、【青薔薇学園】の部活は任意なのだ。
廊下を歩いていると何かがコツリと足に当たった、拾い上げるとバスケットボールだった。
「ごめん!ごめん!それ僕の!」
焦ったような声と共に周りがざわめく。
振り返るとそこには食堂で見た紫の髪と瞳の少年が立っていた。
「...真澄スズナ?」
「え?あはは!スズナは兄貴、僕は弟のスズシロ!」
「すっすみません!」
そうだった【青薔薇学園物語】には生徒会書記の真澄スズナと爽やかスポーツ少年の真澄スズシロの双子がいたんだった。
「いや、いいよ!よく間違えられるし!それより拾ってくれてサンキュな!」
そう言うと真澄スズシロは小走りで廊下をかけて行った。
入学二日目にして攻略対象をコンプリートしてしまった...生徒会の面々には出来れば覚えてて欲しくないけど。
「おい、行くぞ。」
「うん!」
そうして靴を履き替え、門を出ようとした時である。
「御形くん!」
聞き馴染みのある声に名前を呼ばれ、立ち止まり振り返るとそこには息を切らしながら両膝に手を置き肩を上下させるメイさんがいた。
走って来たのだろう、首筋に少し汗が滲んでいた。
「メイさん、そんなに急いでどうしたの?」
「はぁ...御形くんと一緒に帰りたくて...。」
まだ整わぬ息の中そう言われドクンと胸が鳴った気がした。
俺の為に必死で追いかけて来てくれたのか...。
「...先に帰る。」
「えっ!?」
振り返ると古鬼田くんは歩き始めていた。
「ちょっと待って君!」
それを止めたのは意外にもメイさんだった、古鬼田くんの歩みが止まる。
「何か?」
「御形くんの友達でしょ?一緒に帰ろォ~。」
古鬼田くんが驚いた顔で振り返る、メイさんはそれに人好きする笑顔で返す。
古鬼田くんが俺とメイさんの顔を交互に見る。
「...俺がいたら邪魔だろ。」
「まさか!純粋にお喋りしたいんだよォ~。」
「俺と?」
「御形くんとどんな話したりするのか聞かせてよ。」
「...古鬼田くんがよければ一緒に帰ろ?」
「...嶋崎が言うなら。」
「よーし!じゃあ三人仲良く帰ろっかァ~!」
メイさんが俺と古鬼田くんの肩へ腕を回し歩き始めた。
その後は古鬼田くんと同行することになった経緯、焼きプリンが美味しかったこと、食堂で生徒会メンバーを見たこと、花咲ナズナがその中央にいたことを話した。
花咲ナズナの名前が出た瞬間、メイさんがビクリと反応した。
「...メイさん?」
「ん~?なんでもないよん~!」
はぐらかされたが、確かに反応した。
...メイさんは花咲ナズナを知っている?
「そんな事より、御形くんをいじめた奴...許せないな。」
「え?」
「俺から言っておくよ、金輪際御形くんには近付くなって。」
「そ、そこまでしなくても...」
「俺も同意見だ。」
「古鬼田くんまで!?」
「過半数で可決!」
「ちょっと!」
何か大事にならなければいいんだけど...俺の予感が当たりませんように...そう願った。
今朝の教室でもそうだった、おそらくもう噂が広がってるのだろう。
もしかしたらツーショットの写真でも出回っているのかも知れない。
じゃなきゃなんの特徴もない平凡な俺の顔をこんな大勢の人間に認知される訳がない。
しかし、やはり古鬼田くん効果は絶大なのかコソコソと話し合う声は聞こえるものの絡んでくる人間はいなかった。
そんな古鬼田くんは何処吹く風、俺もつられて肩の力が抜けて自販機へと向かう。
「何食う?」
「朝はオムレツだったからなぁ…。」
「ラーメンとかどうだ?」
「古鬼田くん何味派?」
「断然味噌だな。」
「え!一緒!じゃあ味噌ラーメンにしよ!」
「そうすんべ。」
喋ってみると古鬼田くんは意外と話しやすくて親しみやすい。
無口かと思ったけど、そうでもないらしい。
本人曰く「話しかける相手がいなかっただけ」らしい、俺はこれから古鬼田くんといっぱい話そうと心に決めた。
受け付けに半券を渡し適当な席に着けば、ふと疑問に思ったことを口にする。
「ねぇ古鬼田くん。」
「ん?」
「今更だけど俺達の…メイさんとの関係気持ち悪くないの?」
「別に?本人達が幸せならいんじゃね?」
あっけらかんと答えた古鬼田くんにポカンとしてしまった。
「まぁ入学初日に、ってのはビビったけどな。」
「あ…それなんだけど、入学する前に実は会ってて...」
古鬼田くんに事のあらましを全部説明していると番号が呼ばれたので二人で席を離れた。
野菜がたっぷり乗った味噌ラーメンを持って席へ戻る。
「あのチャラい会計が一目惚れねぇ。」
「しかも俺なんかにだよ?不思議だよねぇ。」
「その俺なんかってのやめろ、自信持てって言ったべ。」
「あ、癖で...徐々に直していくから勘弁して!」
パンッと手を合わせて謝る。
「まぁ...身に染みついたもんはそう簡単に直んねぇか...ゆっくり慣れてけ。」
「うん、ありがとう。」
「さて、伸びちまうから食うぞ。」
「うん!いただきます!」
「いただきます。」
二人で手を合わせて食べ始めた。
味噌ラーメンは野菜も甘くて二人揃ってご満悦だった。
食べ終わった後も二人でたわいもない会話を繰り広げていた所に食堂内がざわめいた。
「生徒会の皆様よ!」
「皆様見目麗しい...!」
どうやら生徒会の面々が食堂に来たようだ、チラリとそちらに目をやる。
その中にはメイさんはいなかった、代わりに花咲ナズナがいた。
「ここが学園の食堂なんだな!」
「あぁ、システムは寮と一緒だ。」
「ナズナくんは無邪気ですね。」
「ナズナくんは可愛いねぇ~。」
「ナズナって呼べって言ってるだろ!悠司郎にスズナ!」
「すみません、ナズナ。」
「ごめんね?ナズナ~。」
花咲ナズナは生徒会の面々と仲がいいらしい。
...メイさんも仲いいのかな。
いや、考えるな考えるだけドツボだ。
不意に頭に温かい何かが触れた。
「へ?」
古鬼田くんが俺の頭に手を置いていた。
「どうしたの?」
「...何でもねーよ。」
くしゃくしゃと撫でられた。
「わっ!」
「そろそろ教室戻るか?」
「え、あ、うん。」
二人で揃って立ち上がる、多分古鬼田くん花咲ナズナに気付かれたくないんだろう。
トレーを返却口に戻してる時だった。
「あ!平子ー!」
あぁ~...気付かれてしまった。
しかし、古鬼田くんは無視を貫くみたいで踵を返して行ってしまった。
ハートが強い。
生徒会メンバーからの視線が刺さるが、俺も気配を薄くして古鬼田くんを追う。
「...花咲ナズナ、まるでハーレムみたいになってたね。」
「何がいいんだか...反吐が出る。」
古鬼田くんは余程花咲ナズナの事が嫌いみたいだ。
「あーいうのは裏で何やってんのかわかんねぇ、気味が悪ぃんだよ...。んな奴よりお前と居た方が気が楽だ。」
「ありがとう。俺も古鬼田くんは気が置けなくていいよ。」
そう笑うと古鬼田くんが目を見開いて此方を見た。
俺は首を傾げる、何か変な事言ったかな?
「...んなこと言われたの初めてだわ...ありがとな。」
古鬼田くんの耳が少し赤くなってるのを俺は見逃さなかった、やっぱり古鬼田くんは可愛い!
どういたしまして、と返したら教室に着いていた。
離れ難いなぁと思っていたら、俺の席までついてきて不在だった俺の前の席に後ろ向きに座って会話を続けてくれるみたいだった。
それからチャイムが鳴るまで二人で色々話した。
「じゃあまた後でな。」
そう言って古鬼田くんは座っていた席の生徒に頭を下げ自分の席に戻っていった。
頭を下げられたクラスメイトは焦っていたけど、古鬼田くんは律儀だなぁとニコニコしてしまった。
終礼後、古鬼田くんはまたもや花咲ナズナの猛攻に合っていたが俺を手招き何とか振り切って教室を出た。
俺も古鬼田くんも部活には入っていない、【青薔薇学園】の部活は任意なのだ。
廊下を歩いていると何かがコツリと足に当たった、拾い上げるとバスケットボールだった。
「ごめん!ごめん!それ僕の!」
焦ったような声と共に周りがざわめく。
振り返るとそこには食堂で見た紫の髪と瞳の少年が立っていた。
「...真澄スズナ?」
「え?あはは!スズナは兄貴、僕は弟のスズシロ!」
「すっすみません!」
そうだった【青薔薇学園物語】には生徒会書記の真澄スズナと爽やかスポーツ少年の真澄スズシロの双子がいたんだった。
「いや、いいよ!よく間違えられるし!それより拾ってくれてサンキュな!」
そう言うと真澄スズシロは小走りで廊下をかけて行った。
入学二日目にして攻略対象をコンプリートしてしまった...生徒会の面々には出来れば覚えてて欲しくないけど。
「おい、行くぞ。」
「うん!」
そうして靴を履き替え、門を出ようとした時である。
「御形くん!」
聞き馴染みのある声に名前を呼ばれ、立ち止まり振り返るとそこには息を切らしながら両膝に手を置き肩を上下させるメイさんがいた。
走って来たのだろう、首筋に少し汗が滲んでいた。
「メイさん、そんなに急いでどうしたの?」
「はぁ...御形くんと一緒に帰りたくて...。」
まだ整わぬ息の中そう言われドクンと胸が鳴った気がした。
俺の為に必死で追いかけて来てくれたのか...。
「...先に帰る。」
「えっ!?」
振り返ると古鬼田くんは歩き始めていた。
「ちょっと待って君!」
それを止めたのは意外にもメイさんだった、古鬼田くんの歩みが止まる。
「何か?」
「御形くんの友達でしょ?一緒に帰ろォ~。」
古鬼田くんが驚いた顔で振り返る、メイさんはそれに人好きする笑顔で返す。
古鬼田くんが俺とメイさんの顔を交互に見る。
「...俺がいたら邪魔だろ。」
「まさか!純粋にお喋りしたいんだよォ~。」
「俺と?」
「御形くんとどんな話したりするのか聞かせてよ。」
「...古鬼田くんがよければ一緒に帰ろ?」
「...嶋崎が言うなら。」
「よーし!じゃあ三人仲良く帰ろっかァ~!」
メイさんが俺と古鬼田くんの肩へ腕を回し歩き始めた。
その後は古鬼田くんと同行することになった経緯、焼きプリンが美味しかったこと、食堂で生徒会メンバーを見たこと、花咲ナズナがその中央にいたことを話した。
花咲ナズナの名前が出た瞬間、メイさんがビクリと反応した。
「...メイさん?」
「ん~?なんでもないよん~!」
はぐらかされたが、確かに反応した。
...メイさんは花咲ナズナを知っている?
「そんな事より、御形くんをいじめた奴...許せないな。」
「え?」
「俺から言っておくよ、金輪際御形くんには近付くなって。」
「そ、そこまでしなくても...」
「俺も同意見だ。」
「古鬼田くんまで!?」
「過半数で可決!」
「ちょっと!」
何か大事にならなければいいんだけど...俺の予感が当たりませんように...そう願った。
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