転生したらBL学園ゲームのモブでチャラい会計に愛されることになった件

陌屋

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【薔薇のパル】になった件

二人でデート

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アラームで目を覚ます、朝の八時だ。
今日は御形くんとのデートだ、完璧にオシャレしないと。
ベッドから出て、先ずは洗面所で顔を洗い歯を磨く。
洗面所から出れば、クローゼットを開く。
今日はシックに大人っぽく行こう、ブラウザのテーラードジャケットにベージュのシャツ、ブラックのスキニーを取り出し着替える。
再び洗面所へ戻り髪を櫛で梳かす。
鏡の前で身体を捻ったり、色んな角度で確認する。
頬に貼られたガーゼが邪魔だが、完璧だ。
ベッドへ戻りスマホを手に取る、八時半を示していた。
メッセージアプリを開き御形くんに送る。
『おはよう。御形くん朝ご飯食べた?』
直ぐに既読がつき返信が来る。
『おはよう、メイさん。朝ご飯はまだ。』
『じゃあ、適当な喫茶店でモーニングでもしよっか。』
既読がつき猫のキャラクターの可愛いOKのスタンプが返って来て微笑む。
「今日の御形くん、どんな格好なんだろ。」
可愛い恋人のデートファッションに思いを馳せながら、時間潰しにゲームアプリを開いた。


九時十分前になったのでゲームアプリを閉じスマホと財布をポケットにねじ込む。
部屋を出、廊下を進みエレベーターを待つ。
到着したエレベーターに乗り込み、二階のボタンを押す。
二階に着くと古鬼田くんがこちらへ歩いて来るところだった。
「おはよう、古鬼田くん。今からご飯?」
「うっす、おはようございます。そうっす、メイさんは…。」
古鬼田くんが俺の頭の先から爪先まで見て言った。
「…デートっすか。」
「お!正解~!」
「楽しんで来て下さい、じゃ。」
「ありがとう~。」
古鬼田くんはペコッと頭を下げて歩いて行った。
聡いな古鬼田くん、と思いながら御形くんの部屋の前に立つ。
三つノックをするとドアが開いた。
「おはよう、御形くん。」
「おはよう、メイさん。」
言いながら御形くんを頭の先から爪先まで見る。
珍しく上げられた前髪は丸い額が見えて可愛い。
ベージュのハイネックセーターにブラウンでチェックのチェスターコート、ブラックのチノパンにブラックのサコッシュ。
図らずしもお揃いの色合いだ。
俺はコートを捲って見せる。
「御形くん、今日のファッション色がお揃いだねェ~。」
「え?あ、ホントだ。」
御形くんが俺と自分の服を見比べ目を丸くする。
前髪を上げているおかげで表情もいつもよりよく見える。
「御形くん髪型も服もとっても似合ってる、可愛いね。」
「メイさんには負けるよ、モデルさんみたい。…それはいつもか。」
「へへっありがと。御形くんとのデートだから気合い入れちゃった。」
御形くんがじぃーっと胸元を見つめているので、緩く首を傾げる。
「…そのネックレス、いつも付けてるよな。大事なものなの?」
「ん?あぁ、これ?これは自分への誕プレに買ったやつ。一応お気に入り。」
「なるほど、メイさんの瞳と同じ色で綺麗だよな。」
御形くんはまだネックレスをじっと見つめている。
そんな御形くんの手を取り急かす。
「そんな事より早く行こ!」
「っと、そうだな。」
御形くんが鍵をかけるのを待ち、俺達は街へ繰り出した。


学園前からバスへ乗り十分、飲食街を歩いていた。
「朝食には遅いから何か軽食でもとろっか。何がいい?」
「んー…そうだな、サンドイッチとか?」
「いいね!それならいいパン屋さんがあるよ!」
メイさんは俺の手を取り走り出す、俺は足をもつれさせながらもついて行く。
いきいきとしてるメイさんに自然と顔が綻ぶ、俺も全て忘れて一日楽しもうと決めた。
程なくしてメイさんが一軒の店の前で足を止めた。
そこはこじんまりとした店だった、看板には『bakeryのどか』と書かれ、出されたウェルカムボードには可愛らしい装飾で本日のおすすめが描かれている。
メイさんが扉を開くとチリリンと控えめなドアベルが鳴った、ふわりと香ばしい香りが漂ってくる。
俺もメイさんが開けてくれている扉を潜る。
内装は如何にも街のパン屋さんといった感じで、色々な種類のパンが並んでいる。
イートインスペースも小さいながらあり、小ぶりのテーブルが二つあった。
カウンターには臙脂色のエプロンをつけた恰幅のいいおじさんがおり、振り向いた。
「いらっしゃい。」
「おじさん久しぶりィ~。」
「メイくんじゃないか!久しぶりだねぇ!」
「今日サンドイッチある?」
「おー!あるぞ!いくついる?」
「んー四つかな。イートインで。」
「はいよ!ちょっと待ってな!」
そう応えるとおじさんは暖簾の裏へ消えて行った。
「ここのサンドイッチ、裏メニューで少ししか作ってないからラッキーだよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「さ、席座ろ。」
頷きカウンター近くの席につく、すると直ぐにおじさんがトレーを一つ持って帰って来た。
テーブルへトレーが置かれる、その上にはミックスサンドが四つとオレンジジュースが二つ並んでいた。
「オレンジジュースはおまけな!ごゆっくり!」
「マジ?ありがとう~。」
「ありがとうございます。」
おじさんはサムズアップして見せると、カウンターの中へ戻って行った。
トレーにあったウェットティッシュで手を拭き、二人で手を合わせる。
「「いただきます。」」
サンドイッチを手に取り齧り付く、トマトとレタス、ツナにチーズ、ふわふわのパンに舌鼓を打つ。
二人共、あっという間にサンドイッチを平らげてしまった。
残ったオレンジジュースを飲みほし、また二人で手を合わせる。
メイさんがトレーを片手にカウンターへ向かう、後を追いサコッシュに手をかけるとメイさんに制された。
「今日は全部奢らせて?」
「え…でも…。」
「いいから、いいから。」
結局メイさんが全て払ってしまった。
「今日も美味しかったよん。また来るね!」
「美味しかったです、ご馳走様でした。」
「おーおー!まいどあり!」
おじさんは自身の腹を叩き、満足気に見送ってくれた。
『bakeryのどか』を後にし飲食街を抜ける、すると見覚えのある場所に出た。
「あれ…ここって…。」
隅っこに自販機があり、中央に噴水がありそれを眺められる位置に配置されたベンチ、何の変哲もない公園だが…。
「そ!あの日俺達が来た公園!」
「やっぱり。」
「御形くん、ちょっと用事があるからここで待っててくれる?」
メイさんは俺の手を引き、あの日座ったベンチに腰掛けさせる。
「え?いいけど…?」
「なるべく早く帰るから!」
そう言いながらメイさんは走り去ってしまった。
俺は手持ち無沙汰になり、サコッシュからスマホを取り出す。
丁度よくスマホが通知音を鳴らし取り落としそうになる、ギリギリ持ち直しスマホのパスコードを解除する。
母さんからの電話だった、直ぐに着信をとる。
「もしもし、久しぶり。どうしたの母さん?」
『久しぶりね御形。遅くなってごめんなさいね、昨日夏服と写真を送ったから直ぐにでも届くと思うわ。』
「ありがとう、今日写真立てを買うよ。」
『家にも飾ってあるのよ。ところで学園はどう?お友達は出来た?』
「勉強は順調、古鬼田くんって言うとても優しい友達が出来たよ。」
『あら、いいことね。声が聞けてよかったわ、また連絡しますね。』
「うん。あ…それと…。」
俺は少し言い淀むも深呼吸して伝えた。
「…俺、【薔薇のパル】が出来たよ。」
『まぁ!もう出来たのね!素敵…今度私達にも紹介してくれる?』
「うん、勿論。」
『楽しみにしているわ。それじゃあ元気でね。』
「うん、ありがとう。またね。」
電話が切れると俺はベンチに凭れかかり、空を仰いだ。
母さん達は男が恋人だと伝えたら、どう反応するかな…そんな事を考えながらメイさんを待った。
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