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【薔薇のパル】になった件
再びの強襲
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カーテンを開け朝の支度をしながら、昨日貰ったネックレスのペンダントトップを触る。
小ぶりだが朝日を浴びてキラキラと光るそれに気分が上がる。
見せびらかしたい欲を抑え、制服の中にしまう。
支度を終え部屋を出ると廊下でメイさんと古鬼田くんが壁に凭れ談笑していた、朝からイケメン二人が並んでいるのは慣れても眩しい。
「おはよう、メイさん古鬼田くん。」
「おはよう、御形くん。」
「おっす、嶋崎。」
もう最近はこの三人セットが自然になっている。
食堂へ行き朝食を食べ、学園へ向かう。
教室に着くと程なくしてホームルームが始まる、花咲ナズナの姿がないのに気付く。
体調不良だろうか?まぁ大人しくしてくれるならそれが一番だ。
今日一日平和でありますように、そう願った。
順調に一日の課程が終わり、古鬼田くんと二人で生徒会室へ向かう。
「今日一日、花咲ナズナいなかったね。」
「平和でいいべ。」
そんな軽口を叩いていれば、生徒会室前に着いた。
トントントンとノックを三回、直ぐに「どうぞ~。」と返事が来たので扉を開き入室する。
「御形くん古鬼田くん、今日もよろしくねェ~。」
「うん。」
「うっす。」
生徒会室へ初めて来た時より書類は少しずつだがでも確かに減っている、補佐に立候補して本当に良かったと心から思う。
俺達も各々の席につき書類に手をつけ始めた、静かな部屋の中をカリカリとペンが走る音だけが支配する。
暫くその状況が続いていたのだが、それを破る様にバタンッと大きな音を立てて扉が開かれた。
またか……と頭を抱えたくなった。
メイさんがはぁーっと深い溜息を吐いた。
「……次は何しに来たの蘭。」
函辺蘭に続き生徒会のメンツが入って来、最後に今日一日見かけなかった花咲ナズナが入って来る。
「今日はお前に一言、言いに来た。」
「何…こっちは忙しいんだから、手短に済ませてくれる?」
「メイ!そんな言い草はないだろ!」
「…花咲ナズナくん、俺ら友達でもないし呼び捨てやめてくれる?」
言外に黙れと言い含めメイさんは漸くペンを置き、函辺蘭達に視線をやった。
花咲ナズナは何やら喚いていて、メイさんの視線は胡乱気だ。
「俺達はお前をリコールすることにした。」
「私達、皆で協議した結果です。」
「そう言う事だから先輩お疲れ様~。」
俺と古鬼田くんは席から立ち上がり面々を睨みつけ、メイさんは机に肘をつき額を組んだ手に預けまた深い溜息を吐いた。
「アンタら…遊び呆けておいて何言ってんだ…。」
「貴方達が遊んでる間、メイさんにどれだけの負担があったかわかって言ってるんですか?」
俺らがそう言い返していると、メイさんがまた一つ溜息を吐き制する様に口を開いた。
「御形くん古鬼田くん、ありがとう。でもいいよ、最終決定は生徒達と学園側が決める。ここで噛み付いても時間の無駄だから……って事で用が済んだなら帰ってくれる?」
「ふんっ!生意気言えるのも今の内だ!精々吠え面かいてろ!行くぞお前ら!」
函辺蘭がそう怒鳴ると面々が踵を返しゾロゾロと出て行き、再びバタンッと音を鳴らし扉を閉じて行った。
暫く俺と古鬼田くんは揃って扉を睨みつけてから、席に座り直してメイさんへ視線をやる。
メイさんはダラりと両手を垂らし椅子へ凭れかかり、天井を見上げていた。
「……折角休日でやる気充電したのになァ~。」
「…メイさん。」
「アイツら巫山戯た事ぬかしやがって…。」
少しの間天井を仰ぎ見ていたメイさんはゆっくりと姿勢を戻し、にへらと力無く微笑む。
「…まぁ、なるようになるさ。今日の分はまだまだ残ってる、続きしよっか。」
言いたい事は山ほどあったが、俺達は渋々頷きペンを取る。
メイさんが休憩を告げるまで、また再びカリカリとペンが走る音だけになった。
今日の紅茶はアッサムのミルクティーだった、甘みがあり疲れた脳に沁みる。
「リコールってどうなるんすか。」
カチャリとティーカップを置き古鬼田くんがメイさんに問いかける、俺も気になっていたのでこくこくと頷き隣のメイさんへ視線をやる。
メイさんもティーカップを置けば、口を開く。
「リコールって言うのは先ず生徒会役員で協議し、過半数から同意を得られれば宣言出来る。これは蘭達の口振りでわかるよね?」
俺達二人は同時に頷いた。
「そこから学園側にリコールの書類を提出して査定が入る、ここからが重要でその後生徒全員にアンケートを取る。そのアンケートで賛成に過半数が入ると晴れてリコール成立って訳。」
「そんなん成立する訳がないっす。」
「うん、他の生徒会メンバーが花咲ナズナと遊び呆けてるのは周知の事実だし。」
「…う~ん、どうかなァ。俺も遊んでると思われてるかもだし。」
「何でそんなに弱気なの?メイさんが生徒会室に籠り切りなの知ってる生徒だって沢山いる筈だろ。」
俺はソファーに置かれたメイさんの手をぎゅっと握った、温かい紅茶を飲んでる筈なのにその手は冷たい。
温もりを分ける様に両手で包み込んだ。
「そうっす。先ず学園側の査定時点で書類にメイさんの名前しか無いのでどっちが働いてないか明白でしょ。」
「御形くん…古鬼田くん…」
「なるようになる、でしょ?俺らも出来る限りの手を尽くすから。」
「メイさんをリコールなんてさせないっす。」
「…二人共ありがとう。紅茶飲んだら仕事再開しよっか。」
「うん。」
「うっす。」
暫く紅茶を楽しみ、今日の分の書類を終わらせにかかった。
何とか仕事を間に合わせ、メイさんが書類を提出しに行っている間に明日〆切の書類を仕分けながら古鬼田くんと話していた。
「メイさんのリコールを阻止する為に、具体的には何をしたらいいんだろ。」
「そうさな…メイさんが今ほぼ一人で生徒会の仕事を賄ってるってぇのを知らしめられたら楽なんだが…待てよ、いい機会がある。」
「え?何?」
「もうすぐ【青薔薇祭】があるそこでな…。」
仕分けを済ませた古鬼田くんは俺の側まで寄って来て耳打ちした。
「…なるほど、ありかも。古鬼田くんありがとう。」
「あんな横暴許せねぇからな。メイさんもお前も大事なダチだ。」
「うん、ありがとう!」
「「メイさんをリコールさせない。」」
俺達は手を取り合い固く握手した。
メイさんが戻って来たから三人で下校した、今日も遅くなったのでこのまま食堂へ直行だ。
「今日何食べる?」
「俺はハヤシライスっすかね。」
「いいねェ~御形くんは?」
「俺は親子丼にしようかな。そんなメイさんは?」
「ガッツリいきたいからカツ丼!」
そんなたわいもない会話をしながら食堂へ向かう、この平和を乱させたりしない。
心の中でそう強く誓った。
晩ご飯を済ませた後、いつも通りメイさんの送りで部屋まで向かう。
古鬼田くんは先に部屋へ戻ったので、俺はメイさんを部屋へ招き入れた。
部屋へ入れば直ぐに二人共カバンを放り出し、口付け合った。
カツ丼と親子丼の味がしても、メイさんとの口付けは甘美だ。
俺はメイさんの首へ、メイさんは俺の腰へ腕を回す。
角度を何度も変え、暫く互いの唇を貪り合う。
五分か十分か、時を忘れ唇が痺れるくらい口付けを続けた。
先に唇を離したのはメイさんだった、互いの唇を繋げる銀糸を舌で舐め取り優しく抱きすくめられる。
「…これ以上は勃っちゃうからお預けね。」
「ん。」
俺はメイさんの首筋に顔を埋め、深く息を吸い込む。
やはりメイさんの香りは安心する。
「はぁー…御形くんの匂い安心する…。」
メイさんは俺の旋毛に鼻先を埋め、すんすんと鼻を鳴らす。
互いに同じ事を考えていたみたいだ。
それからメイさんが帰るまで、抱き締め合い互いを堪能し合った。
一一一一一一
更新が遅れ申し訳ありません。
また毎日投稿頑張ります。
感想など頂けると励みになりますので、お気軽にお送り頂けますと幸いです。
これからも宜しくお願い致します。
陌屋。
小ぶりだが朝日を浴びてキラキラと光るそれに気分が上がる。
見せびらかしたい欲を抑え、制服の中にしまう。
支度を終え部屋を出ると廊下でメイさんと古鬼田くんが壁に凭れ談笑していた、朝からイケメン二人が並んでいるのは慣れても眩しい。
「おはよう、メイさん古鬼田くん。」
「おはよう、御形くん。」
「おっす、嶋崎。」
もう最近はこの三人セットが自然になっている。
食堂へ行き朝食を食べ、学園へ向かう。
教室に着くと程なくしてホームルームが始まる、花咲ナズナの姿がないのに気付く。
体調不良だろうか?まぁ大人しくしてくれるならそれが一番だ。
今日一日平和でありますように、そう願った。
順調に一日の課程が終わり、古鬼田くんと二人で生徒会室へ向かう。
「今日一日、花咲ナズナいなかったね。」
「平和でいいべ。」
そんな軽口を叩いていれば、生徒会室前に着いた。
トントントンとノックを三回、直ぐに「どうぞ~。」と返事が来たので扉を開き入室する。
「御形くん古鬼田くん、今日もよろしくねェ~。」
「うん。」
「うっす。」
生徒会室へ初めて来た時より書類は少しずつだがでも確かに減っている、補佐に立候補して本当に良かったと心から思う。
俺達も各々の席につき書類に手をつけ始めた、静かな部屋の中をカリカリとペンが走る音だけが支配する。
暫くその状況が続いていたのだが、それを破る様にバタンッと大きな音を立てて扉が開かれた。
またか……と頭を抱えたくなった。
メイさんがはぁーっと深い溜息を吐いた。
「……次は何しに来たの蘭。」
函辺蘭に続き生徒会のメンツが入って来、最後に今日一日見かけなかった花咲ナズナが入って来る。
「今日はお前に一言、言いに来た。」
「何…こっちは忙しいんだから、手短に済ませてくれる?」
「メイ!そんな言い草はないだろ!」
「…花咲ナズナくん、俺ら友達でもないし呼び捨てやめてくれる?」
言外に黙れと言い含めメイさんは漸くペンを置き、函辺蘭達に視線をやった。
花咲ナズナは何やら喚いていて、メイさんの視線は胡乱気だ。
「俺達はお前をリコールすることにした。」
「私達、皆で協議した結果です。」
「そう言う事だから先輩お疲れ様~。」
俺と古鬼田くんは席から立ち上がり面々を睨みつけ、メイさんは机に肘をつき額を組んだ手に預けまた深い溜息を吐いた。
「アンタら…遊び呆けておいて何言ってんだ…。」
「貴方達が遊んでる間、メイさんにどれだけの負担があったかわかって言ってるんですか?」
俺らがそう言い返していると、メイさんがまた一つ溜息を吐き制する様に口を開いた。
「御形くん古鬼田くん、ありがとう。でもいいよ、最終決定は生徒達と学園側が決める。ここで噛み付いても時間の無駄だから……って事で用が済んだなら帰ってくれる?」
「ふんっ!生意気言えるのも今の内だ!精々吠え面かいてろ!行くぞお前ら!」
函辺蘭がそう怒鳴ると面々が踵を返しゾロゾロと出て行き、再びバタンッと音を鳴らし扉を閉じて行った。
暫く俺と古鬼田くんは揃って扉を睨みつけてから、席に座り直してメイさんへ視線をやる。
メイさんはダラりと両手を垂らし椅子へ凭れかかり、天井を見上げていた。
「……折角休日でやる気充電したのになァ~。」
「…メイさん。」
「アイツら巫山戯た事ぬかしやがって…。」
少しの間天井を仰ぎ見ていたメイさんはゆっくりと姿勢を戻し、にへらと力無く微笑む。
「…まぁ、なるようになるさ。今日の分はまだまだ残ってる、続きしよっか。」
言いたい事は山ほどあったが、俺達は渋々頷きペンを取る。
メイさんが休憩を告げるまで、また再びカリカリとペンが走る音だけになった。
今日の紅茶はアッサムのミルクティーだった、甘みがあり疲れた脳に沁みる。
「リコールってどうなるんすか。」
カチャリとティーカップを置き古鬼田くんがメイさんに問いかける、俺も気になっていたのでこくこくと頷き隣のメイさんへ視線をやる。
メイさんもティーカップを置けば、口を開く。
「リコールって言うのは先ず生徒会役員で協議し、過半数から同意を得られれば宣言出来る。これは蘭達の口振りでわかるよね?」
俺達二人は同時に頷いた。
「そこから学園側にリコールの書類を提出して査定が入る、ここからが重要でその後生徒全員にアンケートを取る。そのアンケートで賛成に過半数が入ると晴れてリコール成立って訳。」
「そんなん成立する訳がないっす。」
「うん、他の生徒会メンバーが花咲ナズナと遊び呆けてるのは周知の事実だし。」
「…う~ん、どうかなァ。俺も遊んでると思われてるかもだし。」
「何でそんなに弱気なの?メイさんが生徒会室に籠り切りなの知ってる生徒だって沢山いる筈だろ。」
俺はソファーに置かれたメイさんの手をぎゅっと握った、温かい紅茶を飲んでる筈なのにその手は冷たい。
温もりを分ける様に両手で包み込んだ。
「そうっす。先ず学園側の査定時点で書類にメイさんの名前しか無いのでどっちが働いてないか明白でしょ。」
「御形くん…古鬼田くん…」
「なるようになる、でしょ?俺らも出来る限りの手を尽くすから。」
「メイさんをリコールなんてさせないっす。」
「…二人共ありがとう。紅茶飲んだら仕事再開しよっか。」
「うん。」
「うっす。」
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何とか仕事を間に合わせ、メイさんが書類を提出しに行っている間に明日〆切の書類を仕分けながら古鬼田くんと話していた。
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「そうさな…メイさんが今ほぼ一人で生徒会の仕事を賄ってるってぇのを知らしめられたら楽なんだが…待てよ、いい機会がある。」
「え?何?」
「もうすぐ【青薔薇祭】があるそこでな…。」
仕分けを済ませた古鬼田くんは俺の側まで寄って来て耳打ちした。
「…なるほど、ありかも。古鬼田くんありがとう。」
「あんな横暴許せねぇからな。メイさんもお前も大事なダチだ。」
「うん、ありがとう!」
「「メイさんをリコールさせない。」」
俺達は手を取り合い固く握手した。
メイさんが戻って来たから三人で下校した、今日も遅くなったのでこのまま食堂へ直行だ。
「今日何食べる?」
「俺はハヤシライスっすかね。」
「いいねェ~御形くんは?」
「俺は親子丼にしようかな。そんなメイさんは?」
「ガッツリいきたいからカツ丼!」
そんなたわいもない会話をしながら食堂へ向かう、この平和を乱させたりしない。
心の中でそう強く誓った。
晩ご飯を済ませた後、いつも通りメイさんの送りで部屋まで向かう。
古鬼田くんは先に部屋へ戻ったので、俺はメイさんを部屋へ招き入れた。
部屋へ入れば直ぐに二人共カバンを放り出し、口付け合った。
カツ丼と親子丼の味がしても、メイさんとの口付けは甘美だ。
俺はメイさんの首へ、メイさんは俺の腰へ腕を回す。
角度を何度も変え、暫く互いの唇を貪り合う。
五分か十分か、時を忘れ唇が痺れるくらい口付けを続けた。
先に唇を離したのはメイさんだった、互いの唇を繋げる銀糸を舌で舐め取り優しく抱きすくめられる。
「…これ以上は勃っちゃうからお預けね。」
「ん。」
俺はメイさんの首筋に顔を埋め、深く息を吸い込む。
やはりメイさんの香りは安心する。
「はぁー…御形くんの匂い安心する…。」
メイさんは俺の旋毛に鼻先を埋め、すんすんと鼻を鳴らす。
互いに同じ事を考えていたみたいだ。
それからメイさんが帰るまで、抱き締め合い互いを堪能し合った。
一一一一一一
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陌屋。
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