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第1章 異世界へ、そしてダンジョンへ
5.魔法は
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「よし!今日は金を稼ぎに行くぞ」
「森で魔法の練習じゃ無かった?」
「剣があるだろ?それに魔法を纏わせるだけで|魔法付与魔法付与では無くて魔法強化魔法強化だからな。とは言っても難しいぞ」
「ちょっとよくが分からないけど、取り敢えずダンジョンでやるってこと?」
「そういうことだ」
あまり伝わっていないようだったが、これ以上説明してもあまり意味がなさそうなのでそのままダンジョンに向かう。
◇
ダンジョンに着くと、昨日と同じようにダンジョンの前にあるボタンを押して入ろうとする。
「ちょっと!それランダムに階層が繋がるボタンじゃないの!!もしかして昨日も押したの?!」
「押したが?」
「それ、押して帰って来た人居ないって言われてるから殆ど誰も押さないボタンだよ……」
「じゃあ、何故ここにこんなのがあるんだ?」
「それは、セシリアちゃんみたいに何気なく押すのではなくチャレンジして戻ってきた初めての人になりたいとか思う人が押しているもの」
そんなに危険なボタンなら置くなよ!
「運が良かったんだな、今後気を付けよう」
「……セシリアちゃんは実力があったからだと思うよ」
「嗚呼、ありがとう。それでダンジョンには、ボタンを押さないで入ればいいんだな?」
「そう!忘れないでね」
俺はカリスの言葉をしかと受け止め、以後気を付けようと頭に入れておいた。
◇
ダンジョンの中は人も多いし雑魚の魔物だらけだ。
「ダンジョンってこんなもんなのか?」
果たしてこれが普通なのだろうか疑問に感じた俺はカリスに尋ねる。
「そう。セシリアちゃんが倒したような魔物がそこら辺に一杯いたらダンジョンに殆どの人が入れなくなるよ」
カリスに苦笑されてしまった。
「そうだ、剣に魔法強化で剣で魔物を倒してみないか?」
「セシリアちゃんはさっきから使ってた?」
「まだ使ってない。そこまで魔物がまだ強くないからな」
強さで言うとゲーム時代の最下位クラスに少し毛が生えた程度だ。そんなレベルの魔物は正直言うと俺の相手は務まらない。
これも同様だ。
「そんなことないよ?だってダンジョンに入る人はそもそも結構強い人のみだから」
確かに。戦うのが得意でも無いのに命を賭ける必要はないからな。
「まずは、そこの魔物を倒そう」
近くにいた魔物を指差しカリスが倒すことを提案してみる。
さて、カリスは如何程の技量をお持ちでしょうか?
「うん」
カリスは剣を構え魔物の様子を窺う。
魔物の方もカリスに気づき、のそのそと歩きながら警戒をしている。
双方が暫く睨み合っている最中、ダンジョンの壁の一部が欠落ち、静寂と緊張に包まれた空間に静かにボロっとした音が響く。
それを合図にしてカリスが攻撃を仕掛けに魔物に向かって勢いよく駆け出す。
若干遅れながらも、魔物も攻撃を仕掛けに動き出す。
そして、カリスが魔物に向かい剣を振り下ろす。
しかし急所を狙ったであろう剣筋は魔物が間一髪で急所に当たるのを回避したものの完全に避け切ることはできなかった。
◇
そんな攻撃の繰り返しで当たっても急所ではないため倒すのに5分程度かかっていた。
「大変。それでどうするの?」
「少し待て」
そう言うと俺はカリスと感覚を共有する。
そして、テキトーに魔物を剣に魔法強化をかけて倒す。
「どうだ?こんな感覚だ」
「まるで私が魔物を倒したみたい……でも、どんな感じかはわかったよ!」
「まずはそこの魔物を倒してみて」
近くにいた魔物にカリスは剣を向ける。
魔物の方は攻撃は出来ないほど追い詰められていたが、急所は避けるようにしていた。
しかし、先程よりも攻撃の1つ1つのダメージが大きいため、数分もしないうちに倒されてしまった。
するとカリスは剣に僅かだが剣に魔法強化を纏わせることに成功した。
「いつもより、すっと倒せた気がする!」
「剣に魔法強化かけるの成功していたぞ!初めてでこれはなかなかできることじゃないだ。素晴らしいな」
本当に凄い。いくら感覚を共有したとしてもできる人は少ない、もしかしたら才能があるのかもしれない。
カリスのことなのに俺の方が興奮してしまってる。冷静に冷静に。
「そういえばさっきから倒した魔物はどこにいったの?倒したのが見当たらないけど」
「空間収納にしまってるな」
「それってつまり、魔物を手でわざわざ持ち運ぶ必要が無くなるよね、魔法便利過ぎ」
今日はダンジョンを出る前に出して昨日作った荷駄に乗せていった方が良さそうだ。
「そろそろ帰ろうか」
「そうね、私も感覚を掴めて強くなれたと思うし、今日はもうダンジョンは、いいよ」
◇
今日は20万メタルだったので、10万メタルずつだ。
まだ、日も落ちていないがカリスも初めての魔法で疲れたと思うし、ゆっくり休むため帰ることにする。
魔法で戻ってもいいが、街並みを見ながら帰るのも嫌いというわけではないので、今日は魔法を使わずに帰る。
しかもあれ結構魔力の消費が激しいから大変なんだよね。
今日、早めに帰って来たのは理由はもう1つある。
何かというと、剣を改造したかったからだ。
剣に毎回使う魔法の量を減らすために魔法強化ではなく魔法付与をする。
この剣に魔法付与できるのは無限ではない。魔素を留められる限界やそれによる反動にどれだけ耐えられるかで決まる。この剣は普通のレベルの付与を3つくらいできる質だ。
早速付与していく。
まずは、重量操作で剣の重さを0にする。これは本人にしか効果はないため相手には普通の重さの攻撃と同じになるので攻撃の威力に関しては問題はない。それどころか威力は上がるだろう。
この大剣は重さだけでも15キロ以上はあるので落とすだけでも脅威だな。
次に、材質操作で、ミスリルに近い素材にする。
これによって強度が上がる。どのくらいかというと、コンクリートとダイヤモンドくらいの差だから、する前とした後では比べ物にならないくらいの差がついてしまう。
さらに、魔法による追加の強化のしやすさも何倍かに跳ね上がる。
最後は、自動修復で剣の破損を自動で修復できるようにする。これで切れ味が悪くなったり、剣が完全に消滅しない限り、折れても再び使えるようになった。ただしダメージの具合で修復する時間は変わってしまうが折れるようなことがない限りそこまで気にしなくてよい。
そもそも、この剣が欠けるようなことすらは先ず、ないだろうが念のために一応かけておく。
こんな感じだろうか。
剣を弄るのもこの辺りにして、カリスの待つ昨日と同じ宿の食堂へと足を運ぶ。
食堂にはカリスが俺の席を取って待っていてくれた。
しかも、先に料理を食べずに待っていてくれたようだ。前世の常識が通じるとすればカリスは意外と常識人のようだ。
◇
何と無く雑談でもして少し盛り上がってくる。
「はい、ビーフステーキは誰が注文をしたのかな?」
「あ、ボクです」
数分すると料理が届いた。
「そうそう。突然なんだけどさー、明日はどうする?」
ふと、思い出したようにカリスが尋ねてきた。
「そうだな、またダンジョンでも行くか?そもそも、ダンジョンってどのくらいあるんだ?」
「それは、まだはっきりとは分かってない。一応今までの到達出来た最深部は36階層目みたい」
「俺たちは日帰りだし深く迄行って無かったな」
「じゃあダンジョンに泊まり込みで行くための準備を明日しよう。でも荷物も魔法で収納できるからどこまでも行けそう」
「魔物の強さが手に負えなくなったらそこでストップだかな」
そんな感じで、ダンジョンに本格的に潜ることになった。
ご飯も食べ終わり、部屋に戻り風呂に入って横になる。もちろん、風呂は別々である。ただ、寝る部屋は一緒であるが。
明日の予定はダンジョンに籠るための準備をする日となった。
忙しくなるかも知れないから、これ以上剣とか弄ってないですぐに寝るとしよう。
「森で魔法の練習じゃ無かった?」
「剣があるだろ?それに魔法を纏わせるだけで|魔法付与魔法付与では無くて魔法強化魔法強化だからな。とは言っても難しいぞ」
「ちょっとよくが分からないけど、取り敢えずダンジョンでやるってこと?」
「そういうことだ」
あまり伝わっていないようだったが、これ以上説明してもあまり意味がなさそうなのでそのままダンジョンに向かう。
◇
ダンジョンに着くと、昨日と同じようにダンジョンの前にあるボタンを押して入ろうとする。
「ちょっと!それランダムに階層が繋がるボタンじゃないの!!もしかして昨日も押したの?!」
「押したが?」
「それ、押して帰って来た人居ないって言われてるから殆ど誰も押さないボタンだよ……」
「じゃあ、何故ここにこんなのがあるんだ?」
「それは、セシリアちゃんみたいに何気なく押すのではなくチャレンジして戻ってきた初めての人になりたいとか思う人が押しているもの」
そんなに危険なボタンなら置くなよ!
「運が良かったんだな、今後気を付けよう」
「……セシリアちゃんは実力があったからだと思うよ」
「嗚呼、ありがとう。それでダンジョンには、ボタンを押さないで入ればいいんだな?」
「そう!忘れないでね」
俺はカリスの言葉をしかと受け止め、以後気を付けようと頭に入れておいた。
◇
ダンジョンの中は人も多いし雑魚の魔物だらけだ。
「ダンジョンってこんなもんなのか?」
果たしてこれが普通なのだろうか疑問に感じた俺はカリスに尋ねる。
「そう。セシリアちゃんが倒したような魔物がそこら辺に一杯いたらダンジョンに殆どの人が入れなくなるよ」
カリスに苦笑されてしまった。
「そうだ、剣に魔法強化で剣で魔物を倒してみないか?」
「セシリアちゃんはさっきから使ってた?」
「まだ使ってない。そこまで魔物がまだ強くないからな」
強さで言うとゲーム時代の最下位クラスに少し毛が生えた程度だ。そんなレベルの魔物は正直言うと俺の相手は務まらない。
これも同様だ。
「そんなことないよ?だってダンジョンに入る人はそもそも結構強い人のみだから」
確かに。戦うのが得意でも無いのに命を賭ける必要はないからな。
「まずは、そこの魔物を倒そう」
近くにいた魔物を指差しカリスが倒すことを提案してみる。
さて、カリスは如何程の技量をお持ちでしょうか?
「うん」
カリスは剣を構え魔物の様子を窺う。
魔物の方もカリスに気づき、のそのそと歩きながら警戒をしている。
双方が暫く睨み合っている最中、ダンジョンの壁の一部が欠落ち、静寂と緊張に包まれた空間に静かにボロっとした音が響く。
それを合図にしてカリスが攻撃を仕掛けに魔物に向かって勢いよく駆け出す。
若干遅れながらも、魔物も攻撃を仕掛けに動き出す。
そして、カリスが魔物に向かい剣を振り下ろす。
しかし急所を狙ったであろう剣筋は魔物が間一髪で急所に当たるのを回避したものの完全に避け切ることはできなかった。
◇
そんな攻撃の繰り返しで当たっても急所ではないため倒すのに5分程度かかっていた。
「大変。それでどうするの?」
「少し待て」
そう言うと俺はカリスと感覚を共有する。
そして、テキトーに魔物を剣に魔法強化をかけて倒す。
「どうだ?こんな感覚だ」
「まるで私が魔物を倒したみたい……でも、どんな感じかはわかったよ!」
「まずはそこの魔物を倒してみて」
近くにいた魔物にカリスは剣を向ける。
魔物の方は攻撃は出来ないほど追い詰められていたが、急所は避けるようにしていた。
しかし、先程よりも攻撃の1つ1つのダメージが大きいため、数分もしないうちに倒されてしまった。
するとカリスは剣に僅かだが剣に魔法強化を纏わせることに成功した。
「いつもより、すっと倒せた気がする!」
「剣に魔法強化かけるの成功していたぞ!初めてでこれはなかなかできることじゃないだ。素晴らしいな」
本当に凄い。いくら感覚を共有したとしてもできる人は少ない、もしかしたら才能があるのかもしれない。
カリスのことなのに俺の方が興奮してしまってる。冷静に冷静に。
「そういえばさっきから倒した魔物はどこにいったの?倒したのが見当たらないけど」
「空間収納にしまってるな」
「それってつまり、魔物を手でわざわざ持ち運ぶ必要が無くなるよね、魔法便利過ぎ」
今日はダンジョンを出る前に出して昨日作った荷駄に乗せていった方が良さそうだ。
「そろそろ帰ろうか」
「そうね、私も感覚を掴めて強くなれたと思うし、今日はもうダンジョンは、いいよ」
◇
今日は20万メタルだったので、10万メタルずつだ。
まだ、日も落ちていないがカリスも初めての魔法で疲れたと思うし、ゆっくり休むため帰ることにする。
魔法で戻ってもいいが、街並みを見ながら帰るのも嫌いというわけではないので、今日は魔法を使わずに帰る。
しかもあれ結構魔力の消費が激しいから大変なんだよね。
今日、早めに帰って来たのは理由はもう1つある。
何かというと、剣を改造したかったからだ。
剣に毎回使う魔法の量を減らすために魔法強化ではなく魔法付与をする。
この剣に魔法付与できるのは無限ではない。魔素を留められる限界やそれによる反動にどれだけ耐えられるかで決まる。この剣は普通のレベルの付与を3つくらいできる質だ。
早速付与していく。
まずは、重量操作で剣の重さを0にする。これは本人にしか効果はないため相手には普通の重さの攻撃と同じになるので攻撃の威力に関しては問題はない。それどころか威力は上がるだろう。
この大剣は重さだけでも15キロ以上はあるので落とすだけでも脅威だな。
次に、材質操作で、ミスリルに近い素材にする。
これによって強度が上がる。どのくらいかというと、コンクリートとダイヤモンドくらいの差だから、する前とした後では比べ物にならないくらいの差がついてしまう。
さらに、魔法による追加の強化のしやすさも何倍かに跳ね上がる。
最後は、自動修復で剣の破損を自動で修復できるようにする。これで切れ味が悪くなったり、剣が完全に消滅しない限り、折れても再び使えるようになった。ただしダメージの具合で修復する時間は変わってしまうが折れるようなことがない限りそこまで気にしなくてよい。
そもそも、この剣が欠けるようなことすらは先ず、ないだろうが念のために一応かけておく。
こんな感じだろうか。
剣を弄るのもこの辺りにして、カリスの待つ昨日と同じ宿の食堂へと足を運ぶ。
食堂にはカリスが俺の席を取って待っていてくれた。
しかも、先に料理を食べずに待っていてくれたようだ。前世の常識が通じるとすればカリスは意外と常識人のようだ。
◇
何と無く雑談でもして少し盛り上がってくる。
「はい、ビーフステーキは誰が注文をしたのかな?」
「あ、ボクです」
数分すると料理が届いた。
「そうそう。突然なんだけどさー、明日はどうする?」
ふと、思い出したようにカリスが尋ねてきた。
「そうだな、またダンジョンでも行くか?そもそも、ダンジョンってどのくらいあるんだ?」
「それは、まだはっきりとは分かってない。一応今までの到達出来た最深部は36階層目みたい」
「俺たちは日帰りだし深く迄行って無かったな」
「じゃあダンジョンに泊まり込みで行くための準備を明日しよう。でも荷物も魔法で収納できるからどこまでも行けそう」
「魔物の強さが手に負えなくなったらそこでストップだかな」
そんな感じで、ダンジョンに本格的に潜ることになった。
ご飯も食べ終わり、部屋に戻り風呂に入って横になる。もちろん、風呂は別々である。ただ、寝る部屋は一緒であるが。
明日の予定はダンジョンに籠るための準備をする日となった。
忙しくなるかも知れないから、これ以上剣とか弄ってないですぐに寝るとしよう。
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