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2章:神の種と迷宮都市
49:二つ名
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俺はご飯を食べ終わった後、ギルドに向かっていた。ティナとフロンも一緒に来ている。
いろいろ確かめた後は迷宮に潜るつもりだからだ。
俺がギルドの中に入ると真っ先にフェルが反応した。
「あっ! ユウさん! 無事だったんですね、もう四日も来ないので、心配で心配で」
そしてフェリが俺に話しかけるのを見て、周りのざわめきが大きくなる。
「おい、赤目に黒髪って」
「黒いマフラーに、黒いコートだ」
「しかも女を二人連れてて、フェルちゃんに心配されてるってことは?」
「「「あれが黒妖鬼?」」」
は? 明らかにあいつらが言っている人物は俺のことだが、黒妖鬼ってなんだよ。
「フェル、あいつらが言ってるのってまさか……」
「はい、ユウさんの二つ名です!」
それを少しどや顔で言い張るフェル。
俺の嫌な予想はどうやら当たってしまったようだ。フェル曰く、角を生やして、黒くて禍々しい魔力を放出してたのが原因らしい。
(つまり全部ヨリヒメのせいか)
“なんでボク!?”
(だって、纏ってたのヨリヒメだし?)
少し不満そうなヨリヒメの声が聞こえるが無視だ。 まぁ、今はそれはいい。それよりも聞きたいことがあるのだ。
「ティンケルたちは何者だ?」
「周りには言わないでください。一応、秘密事項なので」
そう言って、フェルは俺の顔の横まで口を持ってくると、俺の知っている名前を口にした。
その行動を見て、周りからの怒号が飛んでくるが、これも無視だ。
そして俺がフェルから聞いた名前は、聖神教だった。
フェルがつかんだ情報によると、もうすでに聖神教はこの迷宮都市にはいないそうだ。
俺の目的が一つ減った。だが、俺は聖神教を要注意グループとして見ることに決めた。
「じゃあ、俺はこのまま、迷宮に潜るから、また精算と解体を頼むってテクルに伝えといてくれ」
「わかりました。くれぐれも気を付けて、無事に帰ってきてくださいね」
そんなことを言うフェルに俺はこう返した。
「お前は俺の恋人かよ」と
俺がそういうと、フェルは顔を赤くして俯いた。そしてフェルはこう対応する。
「あ、あくまであなたの受付担当としての言葉です」
その言葉に俺は「そうか」と短く返して、少し不機嫌な、ティナとフロンと共にダンジョンへと向かった。
《これを天然でやってるんだから本当にすごいですよね、私のますたーは》
そんな俺の頭の中にエルのため息交じりの声が響いていた。
俺たちは今ダンジョンの6階層に来ていた。ノワールはしっかりと付いてきていて,いつの間にか俺の頭の上に乗っていた。
役割はこの前と変わらない。俺が天星ノ瞳で、敵及びマップの散策、ノワールが敵を引き寄せ、ティナとフロンが敵をたたく。実にシンプルな作戦だ。
この前のティンクル戦から4日、俺の戦いを見て感化されたのか、ティナもフロンも戦い方の練習をいつも以上にこなしたようだ。ティナはレイピアの速度も精度も上がっているし、フロンは2本の短剣をうまく使いこなして、壁や天井を利用した動きも早くなっている。
俺は、はっきり言ってひまだ。罠解除もフロンがそつなくこなしてしまうし、魔物相手でもこの二人が後れを取ることもなかった。大量に出てきたときは、ノワールのブレスによって、最低限除去される。
これ、俺いなくてもいいんじゃね?
そんなこんなで、今は10階層。俺を見るたび「黒妖鬼だ」と言ってくる冒険者にイライラしながら進んだ。
確か、10階層ごとにボスがいるって言ってたよな。
俺はさっさとボス部屋を見つけそこへと向かった。
目的の場所につくとそこには大きめの門があった。
その扉を開けると、中にはミノタウロス(大きめ)がいた。はっきし言ってがっかりだ。
視影ノ瞳で、覗いてもティナとフロン、下手したらフロンだけでも勝てる相手だ。
俺はそっと、ミノタウロスの持っていた斧術だけをこっそり解析してもらった。
そんなミノタウロスが俺を見つけた瞬間、「ぶもぉぉぉぉ」と声をあげながらこちらに向かって突進してくる。
「あれは俺がもらうぞ?」
俺の問いに二人は頷き返す。全く心配はしていない。
俺はムラクモの柄に手をかけ、腰を落とす。そして、向かってくるミノタウロスに対して、居合を放った。
『炎刀:飛炎』
間合いに入り切っていなかったミノタウロスに対して、炎の斬撃が飛んでいく。
ミノタウロスはそれをかろうじて斧で受け止めた。斧の刃には切れ目が入っていた。
そして、その衝撃に足を止めたミノタウロスの隙を俺は逃さない。
『縮地』
ティンケルの持っていたスキル:縮地は相手との距離を詰めるための技と言ってもいい。短距離を一瞬で詰めることができる。
俺はそのままミノタウロスの懐に入ると、ムラクモを横に薙いだ。
ミノタウロスの胴体は足から抵抗もなく離れた。
俺はミノタウロスの死体を棺に回収した。宝箱の出現はなかったが。これで10層攻略だ。
いいところまで来たし、そろそろ、日が暮れる時間だ。
俺はそのまま、転移門を抜けて地上へと向かった。
いろいろ確かめた後は迷宮に潜るつもりだからだ。
俺がギルドの中に入ると真っ先にフェルが反応した。
「あっ! ユウさん! 無事だったんですね、もう四日も来ないので、心配で心配で」
そしてフェリが俺に話しかけるのを見て、周りのざわめきが大きくなる。
「おい、赤目に黒髪って」
「黒いマフラーに、黒いコートだ」
「しかも女を二人連れてて、フェルちゃんに心配されてるってことは?」
「「「あれが黒妖鬼?」」」
は? 明らかにあいつらが言っている人物は俺のことだが、黒妖鬼ってなんだよ。
「フェル、あいつらが言ってるのってまさか……」
「はい、ユウさんの二つ名です!」
それを少しどや顔で言い張るフェル。
俺の嫌な予想はどうやら当たってしまったようだ。フェル曰く、角を生やして、黒くて禍々しい魔力を放出してたのが原因らしい。
(つまり全部ヨリヒメのせいか)
“なんでボク!?”
(だって、纏ってたのヨリヒメだし?)
少し不満そうなヨリヒメの声が聞こえるが無視だ。 まぁ、今はそれはいい。それよりも聞きたいことがあるのだ。
「ティンケルたちは何者だ?」
「周りには言わないでください。一応、秘密事項なので」
そう言って、フェルは俺の顔の横まで口を持ってくると、俺の知っている名前を口にした。
その行動を見て、周りからの怒号が飛んでくるが、これも無視だ。
そして俺がフェルから聞いた名前は、聖神教だった。
フェルがつかんだ情報によると、もうすでに聖神教はこの迷宮都市にはいないそうだ。
俺の目的が一つ減った。だが、俺は聖神教を要注意グループとして見ることに決めた。
「じゃあ、俺はこのまま、迷宮に潜るから、また精算と解体を頼むってテクルに伝えといてくれ」
「わかりました。くれぐれも気を付けて、無事に帰ってきてくださいね」
そんなことを言うフェルに俺はこう返した。
「お前は俺の恋人かよ」と
俺がそういうと、フェルは顔を赤くして俯いた。そしてフェルはこう対応する。
「あ、あくまであなたの受付担当としての言葉です」
その言葉に俺は「そうか」と短く返して、少し不機嫌な、ティナとフロンと共にダンジョンへと向かった。
《これを天然でやってるんだから本当にすごいですよね、私のますたーは》
そんな俺の頭の中にエルのため息交じりの声が響いていた。
俺たちは今ダンジョンの6階層に来ていた。ノワールはしっかりと付いてきていて,いつの間にか俺の頭の上に乗っていた。
役割はこの前と変わらない。俺が天星ノ瞳で、敵及びマップの散策、ノワールが敵を引き寄せ、ティナとフロンが敵をたたく。実にシンプルな作戦だ。
この前のティンクル戦から4日、俺の戦いを見て感化されたのか、ティナもフロンも戦い方の練習をいつも以上にこなしたようだ。ティナはレイピアの速度も精度も上がっているし、フロンは2本の短剣をうまく使いこなして、壁や天井を利用した動きも早くなっている。
俺は、はっきり言ってひまだ。罠解除もフロンがそつなくこなしてしまうし、魔物相手でもこの二人が後れを取ることもなかった。大量に出てきたときは、ノワールのブレスによって、最低限除去される。
これ、俺いなくてもいいんじゃね?
そんなこんなで、今は10階層。俺を見るたび「黒妖鬼だ」と言ってくる冒険者にイライラしながら進んだ。
確か、10階層ごとにボスがいるって言ってたよな。
俺はさっさとボス部屋を見つけそこへと向かった。
目的の場所につくとそこには大きめの門があった。
その扉を開けると、中にはミノタウロス(大きめ)がいた。はっきし言ってがっかりだ。
視影ノ瞳で、覗いてもティナとフロン、下手したらフロンだけでも勝てる相手だ。
俺はそっと、ミノタウロスの持っていた斧術だけをこっそり解析してもらった。
そんなミノタウロスが俺を見つけた瞬間、「ぶもぉぉぉぉ」と声をあげながらこちらに向かって突進してくる。
「あれは俺がもらうぞ?」
俺の問いに二人は頷き返す。全く心配はしていない。
俺はムラクモの柄に手をかけ、腰を落とす。そして、向かってくるミノタウロスに対して、居合を放った。
『炎刀:飛炎』
間合いに入り切っていなかったミノタウロスに対して、炎の斬撃が飛んでいく。
ミノタウロスはそれをかろうじて斧で受け止めた。斧の刃には切れ目が入っていた。
そして、その衝撃に足を止めたミノタウロスの隙を俺は逃さない。
『縮地』
ティンケルの持っていたスキル:縮地は相手との距離を詰めるための技と言ってもいい。短距離を一瞬で詰めることができる。
俺はそのままミノタウロスの懐に入ると、ムラクモを横に薙いだ。
ミノタウロスの胴体は足から抵抗もなく離れた。
俺はミノタウロスの死体を棺に回収した。宝箱の出現はなかったが。これで10層攻略だ。
いいところまで来たし、そろそろ、日が暮れる時間だ。
俺はそのまま、転移門を抜けて地上へと向かった。
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