【R18】だれがフィクションだと言った 〜圧倒的モブ田中A子のセフレ生活〜

サバ無欲

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1.モブの心得

その5、モブたるもの悪目立ちすな②

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……うわぁ、イイ声。

高すぎず低すぎず、ゆったりと伸びやかで。ハキハキしてるわけじゃないのに聞き取りやすくて、耳にじんわり浸透するような。

これ、と海老カツプチバーガーを指さす手もきれい。大きくって血管が浮いた少し薄い手。爪は四角で男性らしくて、正直ちょっと好みかも。腕時計は……ブランドに疎いからよく分かんないけど、いいやつそう。

顔をあげてまた驚いた。げっ、イケメンだ。顔が小さくて、目が切れ長二重で、鼻筋輪郭整ってる! さらっさらの黒髪で、スタイルよくて、おまけに背が高い! 私の脳内がエマージェンシーコールを鳴らす。12番のひと、これは観賞用です!!


「アッハイ、オイシカッタデスヨ」


我ながらなんと面白みのない返事。いや、これでいいのだ。モブがこんな観賞用イケメンとお近づきになれるなんて期待してはいけない。近づけば最後、見た目や性格やその他もろもろの不一致で爆散するだけ。まだ遺骨は拾われたくない。ここは逃げの一手。

一瞬だけ合った視線をそらして、そそくさと壁へ戻る。ああ落ち着くなあ。すみっこ万歳。食べ損ねたミニパフェはまたあとで取りに行けばいい。

気持ちを整えてから顔をあげれば、12番の君はこの短い間に女性5人……6人に囲まれていた。ハーレムって本当にあるんだ。初めて見た。

いやしかし、参加者が女豹になるのは分からんでもない。やっぱりすごく顔がイイ。スタイルもいい。女でもないのにくびれのある腰に、何メートルですかってくらい長い足。お顔は小さくてさわやか王子風。そりゃ女豹さまも自主的にハーレム作りだすって納得の出で立ち。

なんでこんな所に来てるんだろうと思ってプロフィールを見ると、目に飛び込んできた『年収:1000万円~』……アッコレ触っちゃ駄目なやつ。攻撃力がカンストしてる。

こんなの、遊び目的か変態ド畜生か結婚詐欺師でしかあり得ない。やっぱり女豹様たちに任せてよかったと胸を撫で下ろして、ワインコーナーへ……あれ? 電気消えた?


「待って、エンボちゃん」


ちがう。これ、人の影だ。


「え、えんぼ?」
「あれ、覚えてない……か。会ったことあるんだけどな、俺たち」


田中A子、26歳、独身。
どうやら閻魔さまに送られたのは、針のムシロ地獄のようです。


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