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番外編【年齢について考える】8あと一日頑張ったら……
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「やっぱり痛いなあ」
次の日の朝、目覚ましの音で起床した私は、ベッドの上で大きく伸びをする。昨日、整体に行っては見たが、先生の言う通り、左肩の傷みがなくなることはなかった。腕を動かすときも首を後ろに動かすときもまだかなり痛い。
とはいえ、今日は金曜日なのであと一日仕事を頑張らなくてはならない。仕方なくベッドから下り、部屋着に着替えて朝食を取るために部屋を出た。
「昨日、ジムに通おうかなって話をしましたよね?その件なのですが」
「言っていましたね。ジムと並行して家での運動も再開しますか?誘ってくれたら僕も一緒に運動しますよ」
「それはその……。あの専用アプリはずいぶん前に解約してしまいまして。家では長く続けられなさそうなので」
「そうですか。ジムの見学とかはいつするんですか?」
「早速ですが、明日10時に無料体験の予約を入れました」
朝食中に、大鷹さんに明日の予定を話しておく。家での運動の事を言われたが、それも再開したほうが良いだろう。ただし、今度は無料動画で探して大鷹さんと一緒にやろう。ジムの補完として行うのでお金をかけないことにしよう。
「それにしても、紗々さんがジムに通うイメージがあまり湧きませんね」
「私も自分がジムに通うなんて考えたこともありませんでした。ですが、何事も挑戦あるのみ、でしょう?」
「そうですね」
「昨日も言いましたけど、母親が通っている女性専用ジムですので、ジムで男に誘惑される、とかないからそこは心配しなくても大丈夫です」
改めて女性専用ジムだと大鷹さんに伝えておく。要らぬ心配をするかもしれないからだ。自分で発した言葉なのに、なんだか急に恥ずかしくなる。誘惑する側だって好みがある。私みたいな女性を誘惑するなどほぼないに等しいだろう。ちらりと大鷹さんの様子をうかがうと、なぜか頭を抱えていた。
「あの、大鷹さん?」
「いえ、行動的な紗々さんは素敵です。昨日は頑張る紗々さんが素敵だなと思うだけでしたが、ジムに通って紗々さんの魅力が世間にこれ以上広まってしまうのが急にしんぱ」
「その心配はまったく必要ありません。ああ、急がないと仕事に間に合いませんね。ごちそうさまでした」
大鷹さんは私の発言を当たり前だと思っているようだ。そしてさらには戯言を言う始末。朝からバカップル過ぎていたたまれなくなったので、朝食の食パンを急いで口に詰め込み、牛乳で無理やり流し込んで席を立つ。
新しい経験をするときはワクワクするものだ。明日が楽しみである。
「おはようございます」
会社に着くと、いつも通りに更衣室に向かう。更衣室にはすでに先客がいて、平野さんと安藤さんが楽しそうに談笑していた。
「おはよう、倉敷さん。昨日、左肩を気にしていたみたいだけど、大丈夫だった?」
私が二人に挨拶すると、安藤さんが挨拶を返すと同時に私の心配をしてきた。自分の行動を過剰に気にする必要はないが、他人は案外、自分の行動を見ているらしい。自分ではそこまで左肩を気にしていたつもりはなかったが、今回の寝違えはかなり重症のようだ。
「ただの寝違えですから、大丈夫です。数日で治ると思います」
「それならいいけど。年を取ってくると、身体のいろいろなところが悪くなってくるから、倉敷さんも健康には気をつけたほうが良いわよ」
「それ、私にも言っていますよね?私はまだまだ若いですよお」
「アハハハハ」
安藤さんは40代で、平野さんは私より2歳上で年が近い。私は笑ってごまかして、さっさと着替えて更衣室を出た。
左肩は相変わらず痛いが、仕事はなんとかこなして定時となった。とりあえず今日は直帰しようと更衣室を出て着替えをしていたところで、カバンに入れていたスマホが振動する。慌ててカバンからスマホを取り出し、着信相手を確認する。知らない番号からだったが、市外局番から相手が誰か推測する。
「もしもし」
「倉敷様の携帯でよろしかったでしょうか?」
「ハイ」
「この度は当ジムの無料体験にお申し込みいただきありがとうございます。その件についていくつかお話ししたいことがあるのですが、この後、5分ほどお時間いただけますか?」
着信相手は女性専用ジムの担当者だった。折り返し電話があるとは聞いていたが、今は会社内で、電話を続けるのは難しい。
「すみません。今、会社にいるので、30分後くらいにこちらから折り返しお電話してもよろしいでしょうか?」
「かしこまりました。では、こちらから30分後に再度ご連絡いたします」
「よろしくお願いします」
これは急いで帰宅しないといけない。電話を切ってスマホをカバンにしまうと、後ろに視線を感じた。振り返って確認すると、河合さんと梨々花さんがじいと私を見つめていた。
「誰からの電話だったんですか?話しぶりから察するに、おおたかっちじゃないですよね?」
「エエト……」
なんともタイミング悪い時に電話がかかってきたものだ。ジムに通おうと思っていることを河合さんと梨々花さんにはまだ話していない。正式に入会したら話そうと思っていた。ここで電話の相手がジムスタッフだと正直に話してもいいものだろうか。
「倉敷先輩、詐欺には注意したほうがいいですよ。先輩みたいなトロい人はすぐに騙されて無一文になるまで貪られますから」
「それはさすがに言い過ぎじゃない。梨々花ちゃん」
「お、折り返しの電話があるので、いったん、家に帰ります。電話の件はまた来週、お話しします。お疲れさまでした」
結局、話したら長くなりそうなので、彼女達の熱い視線を無視して、私は急いで着替えを終えて帰宅することにした。説明など来週いくらでもしよう。
次の日の朝、目覚ましの音で起床した私は、ベッドの上で大きく伸びをする。昨日、整体に行っては見たが、先生の言う通り、左肩の傷みがなくなることはなかった。腕を動かすときも首を後ろに動かすときもまだかなり痛い。
とはいえ、今日は金曜日なのであと一日仕事を頑張らなくてはならない。仕方なくベッドから下り、部屋着に着替えて朝食を取るために部屋を出た。
「昨日、ジムに通おうかなって話をしましたよね?その件なのですが」
「言っていましたね。ジムと並行して家での運動も再開しますか?誘ってくれたら僕も一緒に運動しますよ」
「それはその……。あの専用アプリはずいぶん前に解約してしまいまして。家では長く続けられなさそうなので」
「そうですか。ジムの見学とかはいつするんですか?」
「早速ですが、明日10時に無料体験の予約を入れました」
朝食中に、大鷹さんに明日の予定を話しておく。家での運動の事を言われたが、それも再開したほうが良いだろう。ただし、今度は無料動画で探して大鷹さんと一緒にやろう。ジムの補完として行うのでお金をかけないことにしよう。
「それにしても、紗々さんがジムに通うイメージがあまり湧きませんね」
「私も自分がジムに通うなんて考えたこともありませんでした。ですが、何事も挑戦あるのみ、でしょう?」
「そうですね」
「昨日も言いましたけど、母親が通っている女性専用ジムですので、ジムで男に誘惑される、とかないからそこは心配しなくても大丈夫です」
改めて女性専用ジムだと大鷹さんに伝えておく。要らぬ心配をするかもしれないからだ。自分で発した言葉なのに、なんだか急に恥ずかしくなる。誘惑する側だって好みがある。私みたいな女性を誘惑するなどほぼないに等しいだろう。ちらりと大鷹さんの様子をうかがうと、なぜか頭を抱えていた。
「あの、大鷹さん?」
「いえ、行動的な紗々さんは素敵です。昨日は頑張る紗々さんが素敵だなと思うだけでしたが、ジムに通って紗々さんの魅力が世間にこれ以上広まってしまうのが急にしんぱ」
「その心配はまったく必要ありません。ああ、急がないと仕事に間に合いませんね。ごちそうさまでした」
大鷹さんは私の発言を当たり前だと思っているようだ。そしてさらには戯言を言う始末。朝からバカップル過ぎていたたまれなくなったので、朝食の食パンを急いで口に詰め込み、牛乳で無理やり流し込んで席を立つ。
新しい経験をするときはワクワクするものだ。明日が楽しみである。
「おはようございます」
会社に着くと、いつも通りに更衣室に向かう。更衣室にはすでに先客がいて、平野さんと安藤さんが楽しそうに談笑していた。
「おはよう、倉敷さん。昨日、左肩を気にしていたみたいだけど、大丈夫だった?」
私が二人に挨拶すると、安藤さんが挨拶を返すと同時に私の心配をしてきた。自分の行動を過剰に気にする必要はないが、他人は案外、自分の行動を見ているらしい。自分ではそこまで左肩を気にしていたつもりはなかったが、今回の寝違えはかなり重症のようだ。
「ただの寝違えですから、大丈夫です。数日で治ると思います」
「それならいいけど。年を取ってくると、身体のいろいろなところが悪くなってくるから、倉敷さんも健康には気をつけたほうが良いわよ」
「それ、私にも言っていますよね?私はまだまだ若いですよお」
「アハハハハ」
安藤さんは40代で、平野さんは私より2歳上で年が近い。私は笑ってごまかして、さっさと着替えて更衣室を出た。
左肩は相変わらず痛いが、仕事はなんとかこなして定時となった。とりあえず今日は直帰しようと更衣室を出て着替えをしていたところで、カバンに入れていたスマホが振動する。慌ててカバンからスマホを取り出し、着信相手を確認する。知らない番号からだったが、市外局番から相手が誰か推測する。
「もしもし」
「倉敷様の携帯でよろしかったでしょうか?」
「ハイ」
「この度は当ジムの無料体験にお申し込みいただきありがとうございます。その件についていくつかお話ししたいことがあるのですが、この後、5分ほどお時間いただけますか?」
着信相手は女性専用ジムの担当者だった。折り返し電話があるとは聞いていたが、今は会社内で、電話を続けるのは難しい。
「すみません。今、会社にいるので、30分後くらいにこちらから折り返しお電話してもよろしいでしょうか?」
「かしこまりました。では、こちらから30分後に再度ご連絡いたします」
「よろしくお願いします」
これは急いで帰宅しないといけない。電話を切ってスマホをカバンにしまうと、後ろに視線を感じた。振り返って確認すると、河合さんと梨々花さんがじいと私を見つめていた。
「誰からの電話だったんですか?話しぶりから察するに、おおたかっちじゃないですよね?」
「エエト……」
なんともタイミング悪い時に電話がかかってきたものだ。ジムに通おうと思っていることを河合さんと梨々花さんにはまだ話していない。正式に入会したら話そうと思っていた。ここで電話の相手がジムスタッフだと正直に話してもいいものだろうか。
「倉敷先輩、詐欺には注意したほうがいいですよ。先輩みたいなトロい人はすぐに騙されて無一文になるまで貪られますから」
「それはさすがに言い過ぎじゃない。梨々花ちゃん」
「お、折り返しの電話があるので、いったん、家に帰ります。電話の件はまた来週、お話しします。お疲れさまでした」
結局、話したら長くなりそうなので、彼女達の熱い視線を無視して、私は急いで着替えを終えて帰宅することにした。説明など来週いくらでもしよう。
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