122 / 234
番外編【突然の出来事】2原因は○○だと思われる
しおりを挟む
謎の発疹は夜にはすっかりなくなった。かゆみも同時に治まり、いったい夕方の発疹とかゆみは何だったのだろうと首をかしげることになった。
「原因として考えられるのは、ヤッパリ昼に食べた寿司、ですかね?」
夕食は私を考慮して、冷やしうどんとなった。二人でうどんを食べていると、大鷹さんが私の発疹の原因を考えていた。確かに大鷹さんの言う通り、原因はそれしか考えられない。珍しく寿司を食べて、身体が拒否反応でも示したのだろうか。
「いずれにせよ、週明けに皮膚科に行って見てもらったほうがいいかもしれませんね」
「そうですね」
面倒くさいが、行くしかない。寿司を食べたことが原因だとわかっても、どのネタがダメだったのかはわからない。
「ネットで調べてみると、紗々さんの症状からして、これだとは思うんですが……」
大鷹さんはさっそく、私の症状を原因となる寿司(魚)と関連させてスマホで調べている。私たちは夕食時にスマホの使用は禁止していない。机の上にスマホを置いていることも多い。食事中は会話を楽しむので使うことはめったにないが、今は非常事態だ。私もスマホで調べようとしたが、大鷹さんがスマホの画面を私に見せてくれたので、それを見ることにした。
「魚アレルギー?」
「いえ、たぶんアレルギーではない気がします。こっちの方が紗々さんの症状と似ていると思いませんか?」
大鷹さんが見せてくれたスマホの画面には、魚アレルギーの記事が載っていたが、その下に聞きなれない言葉の説明があった。
「仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
どちらも初めて聞く言葉だが、記事を読んでいくうちに私の症状と似ていると言った、大鷹さんの言葉の意味を理解する。
魚アレルギー、ではないらしい。そもそも、魚アレルギーだとしたら、特定の魚を食べてすぐに症状が出るようだ。私の場合、蕁麻疹のような謎の発疹は食べてから数時間後に現れた。そのため、大鷹さんはアレルギーではないと判断したようだ。
仮性アレルギーとは、アレルギーに似た症状は出るが、アレルギーではないという、ややこしい症状のことらしい。読み進めていくうちに原因が徐々に明らかになる。
「要は、魚の鮮度が悪かったということですね。でも、なんで大鷹さんには症状が出なかったんでしょう?」
「紗々さんの体調が悪かったのかもしれないです。やっぱり、健康的な生活には運動、つまり適度な外出が大事だということです」
勝手に大鷹さんがうんうんと納得している。最近、すぐに健康や運動、外出に関する話題に結びつけようとするので、いい加減、やめて欲しい。とはいえ、私としても今の生活が良いとは思っていないので、なかなか言い返せないところもある。言い返したい気持ちをぐっと我慢する。
ちなみに魚の中に含まれる「ヒスタミン」という物質が鮮度の低い青魚には多く含まれていて、それに反応してアレルギーに似た症状を起こす。これを「ヒスタミン中毒」というらしいが、これが今回の私の症状によく似ていた。
とはいえ、勝手に素人判断してしまうのは良くない。仕方ないのでしっかりと今日のことを検証するため、明日、仕事帰りに皮膚科を受診することにした。
本当に症状は一時的なことで、食欲には問題はない。夕食の冷やうどんはしっかり完食した。風呂場で全身を確認したが、身体の発疹はきれいになくなっていた。身体に異常は見られない。人間の身体とは不思議なものだ。休日は病院が休みなので、土日中、かゆいという最悪な事態はなくなった。
夕食後、自室に戻った私は、パソコンを開いて小説を執筆しようと椅子に座る。この前、AIに書かせた【監禁もの】について、私が自分でも書くと宣言したが、どうにもやる気が出ない。さて、どうしたらいいものか。
「魚アレルギーとか、仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
やる気が出ないのに、パソコンの前に座っているのはつらい。とりあえず、現実逃避もかねて、大鷹さんが夕食時に調べてくれた情報を頼りに、自分でも再度、謎の発疹の正体について調べてみる。
「なるほど、抗ヒスタミン剤の服用がいいのか。あとは、血液検査をすると、魚アレルギーかそうでないかがわかるのか……」
今まで、アレルギーに対して無縁の生活を送ってきた。ここにきて、嫌いな食べ物以外で食べられないものが出てくるとは難儀なことだ。いや、アレルギーではなかったら、禁止する必要はない、のかもしれない。
きっと、久しぶりの寿司で浮かれて食べ過ぎたのが原因だ。大鷹さんに言われた通りに、少し控えておけばよかった。そう思いながらも、それを実行できたかというと、無理な気がした。意思が弱い人間なのだ。私は。
そこで私は思いつく。今度のネタはこれでいこう。自分の経験がもとになっているし、現実味もあるし、他の人もあえてネタにはしないだろう。
「アレルギーの男と無知な男」
病気を扱うときは最新の注意を払う必要がある。間違った情報を与えないことも大切だ。週明けに私は皮膚科に行くので、その辺は問題ないだろう。
急にやる気が出てきた。検索画面は閉じて、さっそく小説の執筆画面を開いた私はプロットを書きだすことにした。
「原因として考えられるのは、ヤッパリ昼に食べた寿司、ですかね?」
夕食は私を考慮して、冷やしうどんとなった。二人でうどんを食べていると、大鷹さんが私の発疹の原因を考えていた。確かに大鷹さんの言う通り、原因はそれしか考えられない。珍しく寿司を食べて、身体が拒否反応でも示したのだろうか。
「いずれにせよ、週明けに皮膚科に行って見てもらったほうがいいかもしれませんね」
「そうですね」
面倒くさいが、行くしかない。寿司を食べたことが原因だとわかっても、どのネタがダメだったのかはわからない。
「ネットで調べてみると、紗々さんの症状からして、これだとは思うんですが……」
大鷹さんはさっそく、私の症状を原因となる寿司(魚)と関連させてスマホで調べている。私たちは夕食時にスマホの使用は禁止していない。机の上にスマホを置いていることも多い。食事中は会話を楽しむので使うことはめったにないが、今は非常事態だ。私もスマホで調べようとしたが、大鷹さんがスマホの画面を私に見せてくれたので、それを見ることにした。
「魚アレルギー?」
「いえ、たぶんアレルギーではない気がします。こっちの方が紗々さんの症状と似ていると思いませんか?」
大鷹さんが見せてくれたスマホの画面には、魚アレルギーの記事が載っていたが、その下に聞きなれない言葉の説明があった。
「仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
どちらも初めて聞く言葉だが、記事を読んでいくうちに私の症状と似ていると言った、大鷹さんの言葉の意味を理解する。
魚アレルギー、ではないらしい。そもそも、魚アレルギーだとしたら、特定の魚を食べてすぐに症状が出るようだ。私の場合、蕁麻疹のような謎の発疹は食べてから数時間後に現れた。そのため、大鷹さんはアレルギーではないと判断したようだ。
仮性アレルギーとは、アレルギーに似た症状は出るが、アレルギーではないという、ややこしい症状のことらしい。読み進めていくうちに原因が徐々に明らかになる。
「要は、魚の鮮度が悪かったということですね。でも、なんで大鷹さんには症状が出なかったんでしょう?」
「紗々さんの体調が悪かったのかもしれないです。やっぱり、健康的な生活には運動、つまり適度な外出が大事だということです」
勝手に大鷹さんがうんうんと納得している。最近、すぐに健康や運動、外出に関する話題に結びつけようとするので、いい加減、やめて欲しい。とはいえ、私としても今の生活が良いとは思っていないので、なかなか言い返せないところもある。言い返したい気持ちをぐっと我慢する。
ちなみに魚の中に含まれる「ヒスタミン」という物質が鮮度の低い青魚には多く含まれていて、それに反応してアレルギーに似た症状を起こす。これを「ヒスタミン中毒」というらしいが、これが今回の私の症状によく似ていた。
とはいえ、勝手に素人判断してしまうのは良くない。仕方ないのでしっかりと今日のことを検証するため、明日、仕事帰りに皮膚科を受診することにした。
本当に症状は一時的なことで、食欲には問題はない。夕食の冷やうどんはしっかり完食した。風呂場で全身を確認したが、身体の発疹はきれいになくなっていた。身体に異常は見られない。人間の身体とは不思議なものだ。休日は病院が休みなので、土日中、かゆいという最悪な事態はなくなった。
夕食後、自室に戻った私は、パソコンを開いて小説を執筆しようと椅子に座る。この前、AIに書かせた【監禁もの】について、私が自分でも書くと宣言したが、どうにもやる気が出ない。さて、どうしたらいいものか。
「魚アレルギーとか、仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
やる気が出ないのに、パソコンの前に座っているのはつらい。とりあえず、現実逃避もかねて、大鷹さんが夕食時に調べてくれた情報を頼りに、自分でも再度、謎の発疹の正体について調べてみる。
「なるほど、抗ヒスタミン剤の服用がいいのか。あとは、血液検査をすると、魚アレルギーかそうでないかがわかるのか……」
今まで、アレルギーに対して無縁の生活を送ってきた。ここにきて、嫌いな食べ物以外で食べられないものが出てくるとは難儀なことだ。いや、アレルギーではなかったら、禁止する必要はない、のかもしれない。
きっと、久しぶりの寿司で浮かれて食べ過ぎたのが原因だ。大鷹さんに言われた通りに、少し控えておけばよかった。そう思いながらも、それを実行できたかというと、無理な気がした。意思が弱い人間なのだ。私は。
そこで私は思いつく。今度のネタはこれでいこう。自分の経験がもとになっているし、現実味もあるし、他の人もあえてネタにはしないだろう。
「アレルギーの男と無知な男」
病気を扱うときは最新の注意を払う必要がある。間違った情報を与えないことも大切だ。週明けに私は皮膚科に行くので、その辺は問題ないだろう。
急にやる気が出てきた。検索画面は閉じて、さっそく小説の執筆画面を開いた私はプロットを書きだすことにした。
0
あなたにおすすめの小説
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる