この声が君に届くなら

折原さゆみ

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54結果発表

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「続いて、結果発表に移ります」

 あっという間に体育祭の全競技が終了し、閉会式が始まった。閉会式は滞りなく進んでいき、いよいよ団の優勝発表にさしかかった。光詩にとって団の優勝はあまり興味のないものだったが、それでも頑張って競技に挑んだのだから、良い順位のほうが嬉しい。

 閉会式を迎えた午後になっても、雲一つない快晴という天気は変わらない。一日を通してとても良い天気だった。生徒たちは校庭の中央に並んで、静かに結果発表を聞いていた。

(今年はどの団が優勝するのだろうか)

「最下位は……」

 下から順番に順位が発表されていく。体育祭の実行委員が手元にある紙を見ながら淡々と発表していく。生徒たちは声こそ出さないものの、目はギラギラと輝いていた。周りの熱気に浮かされて光詩も緊張してしまう。

「第3位は……」

 今のところ、光詩とアリスの団の名前は発表されていない。残りは後ふたつ。優勝か準優勝。自分の団とアリスの団が優勝争いしているかと思うと不思議な気分だ。じっと最後の発表に耳を傾ける。

「準優勝は……、黒団です!」

(ということは、今年の優勝は)


「今年の優勝は白団です!」

「わー―――――――」

 静まり返った校庭が一瞬で盛り上がりを見せる。校庭は生徒たちの歓声に包まれた。

(アリスの団が優勝か)

 生徒たちが優勝結果に盛り上がりを見せる中、光詩も生徒達と同様に気分が高揚していた。自分の団が優勝を逃したため、光詩の周りには落胆の声が聞こえる。

(アリスの団が優勝。そうか、アリスの頑張りが認められたんだ)

 しかし、光詩は周りの反応とは違い、自分の団が準優勝で優勝を逃したのにも関わらず、その表情は晴れやかだった。

アリスの団の優勝は、光詩にとってまるで自分の団が優勝したかのような達成感があった。

 結果発表が終わると、生徒たちの間にまた静けさが戻る。とはいえ、浮かれた気分は隠せず、どの生徒もどこかそわそわと落ち着きがなかった。


「これにて、第○○回、体育祭を終ります」

 その後も順調に閉会式は進み、無事に体育祭は幕を閉じた。


「ようやく終わったねえ」
『あ゛あ゛』

 光詩と夜奏楽は一緒に帰宅していた。今日は片づけがひと段落した生徒から帰宅となっていた。二人は一緒の係だったため、一緒の時間に帰ることができた。アリスは陸上部の生徒達と帰宅するといわれたので、二人だけだ。周りにはほかの帰宅生徒もいるが、二人はもう、自分たちの噂を気にすることはなかった。

「良かったねえ、お兄ちゃん。アリスとの仲がもどって……」
『ね゛たの゛か』

 電車の揺れが眠気を誘ったのか、隣に座っていた夜奏楽の言葉が途中で途切れた。隣をっ見ると、寝息を立てた妹の姿があった。

(アリスがいてくれるのなら、俺は)

 妹の寝ている姿を見ながら、光詩は今日の体育祭を振り返りつつ、今後のことを考えていた。

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