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16今日はもう、休みましょう
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「それじゃあ、姉さんの了承を得ることも出来たし、作戦会議を始めよう」
「それは明日でもいいんじゃない?お姉さん、疲れているでしょう。今日はもう、休ませてあげないと」
弟はさっそくとばかりに私のために話し合おうとしてくれたが、さすがに今日はいろいろなことがあり過ぎた。すでに情報量が多すぎて頭がパンクしている。アリアさんの言葉にほっとする。
「そうだね。じゃあ、風呂の準備をしなくちゃ。姉さんは泊まりの用意、してきたよね?ルリも泊まるよね?」
「私は着替えとか持ってきたから大丈夫」
「俺もアリアに言われたから、泊まる用意はできているよ」
ルリさんも今日は弟の家に泊まるらしい。私とルリさんの2人も家に泊めることになってしまい、彼らに負担をかけていないだろうか。心配になって2人に視線を向ける。視線に気づいた2人ににっこりと微笑まれる。
「心配しなくても大丈夫。僕たちは2人を家に泊めても全然、負担じゃないから」
私の心を読んだかのような弟の言葉にドキッとするが、彼らの表情に嘘はなさそうだ。今更家に帰れと言われても無理なので安心した。
「それで、ええと……。彼に一応、連絡を入れてもいい、かな?」
勢いに任せて、弟の家にやってきたはいいが、ここに来て急に彼のことが気になった。彼は私に連絡をしないで勝手な行動をとっているが、私は必ず用事があるときは連絡を入れていた。
「そいつだって、姉さんに連絡も入れずに好き勝手やっているんでしょ。だったら、連絡なんて入れなくてもいいんじゃ」
「念のため、連絡は入れておいた方がいいかもですね。勝手に外泊したら、別れるときに相手にそのことで追及される可能性があります」
「確かにそれは一理ありますね。別れるときに不利な材料は少ないほうがいいと思います」
3人がそれぞれ自分の意見を述べる。最初の弟の発言には賛成だが、今回はアリアさんとルリさんの意見に賛成だ。私はスマホから【今日は、弟の家に泊まります】とだけメッセージを送った。
私はダイヤが準備してくれたお風呂に先に入らせてもらうことになった。家主より先にお風呂に入るのは申し訳なかったが、精神的にも身体的にも疲れている。温かい湯船に浸かってリラックスしたかったので、ありがたかった。
「お風呂、ありがとう」
湯船に浸かってゆっくりしていたら、思いのほか入浴に時間がかかってしまった。お風呂から上がり、スマホで時刻を確認すると、すでに22時を回っていた。
リビングに向かうと、弟とルリさんが私の彼との別れ話の計画を真剣に話し合っている最中だった。
「相手は真寿さんに今日の外泊について責め立てるだろう」
「弟と浮気とかありないけど、グチグチ文句言ってきそうだな」
「そもそも、今回の件だけど、ダイヤが恋人の振りをしたらダメだったの?真珠さんと似ているとはいえ、男女には変わりない」
「それだと、姉さんが相手になめられるだろ?相手は浮気しているのに、姉さんはただそれを哀しむだけとかさ。相手により敗北感をあじあわせるには、弟の僕では無理だ。だから僕以外の相手が必要ってわけ。それも、相手が認めざるを得ないくらい、ハイスペックの男がいい」
「確かにオレは世間的にはそこら辺の男よりは上だな」
話し合いの邪魔をしない方がいいだろうか。それとも、当事者として何か意見を言うべきか。
「どうしたの?あらあら、当事者のお姉さんを差し置いて、あいつら、真剣に話し合っているわね」
「ア、アリアさん!」
「湯冷めしちゃうから、リビングに入ったら?そこの2人、女性が廊下で見ているのに気付かないなんて、ずいぶんと使えない男たちね」
「ね、姉さん!ごめん。いたなら、遠慮せずに声をかけてくれたらよかったのに」
「すみません。話しに夢中で気づかなくて」
廊下でリビングに入るか悩んでいたら、アリアさんが後ろからやってきて、弟達の会話に参加する。アリアさんの声でようやく私たちの存在に気付いた彼らはすぐに謝ってきた。
「わ、私のために真剣に話してくれていたので、謝らなくて大丈夫、です」
「お姉さんがお風呂出たから、私も入ってくるね。お姉さんに失礼なこと言わないように。すぐに出るから、少しだけ待っていてください」
アリアさんはそう言って、すぐにリビングから出ていった。そして宣言通り、30分程で入浴を終えてリビングに戻ってきた。その後、ルリさん、ダイヤの順番で風呂に入っていく。
全員が入浴を終えるころには日付が変わろうとしていた。
「私は、お姉さんと一緒に寝るわね。ルリはダイヤと寝てね」
「よ、よろしくお願いします」
「ダイヤと一緒なんて久しぶりかもしれないな。前はよく泊まりの撮影の時に一緒だったこともあったけど」
「僕たちも人気が出て、個室を与えられるようになったからな」
結局、私を含めての作戦会議は明日に持ち越しになった。こうして、私は久しぶりに同じ部屋で誰かと一緒に夜を明かすのだった。
「それは明日でもいいんじゃない?お姉さん、疲れているでしょう。今日はもう、休ませてあげないと」
弟はさっそくとばかりに私のために話し合おうとしてくれたが、さすがに今日はいろいろなことがあり過ぎた。すでに情報量が多すぎて頭がパンクしている。アリアさんの言葉にほっとする。
「そうだね。じゃあ、風呂の準備をしなくちゃ。姉さんは泊まりの用意、してきたよね?ルリも泊まるよね?」
「私は着替えとか持ってきたから大丈夫」
「俺もアリアに言われたから、泊まる用意はできているよ」
ルリさんも今日は弟の家に泊まるらしい。私とルリさんの2人も家に泊めることになってしまい、彼らに負担をかけていないだろうか。心配になって2人に視線を向ける。視線に気づいた2人ににっこりと微笑まれる。
「心配しなくても大丈夫。僕たちは2人を家に泊めても全然、負担じゃないから」
私の心を読んだかのような弟の言葉にドキッとするが、彼らの表情に嘘はなさそうだ。今更家に帰れと言われても無理なので安心した。
「それで、ええと……。彼に一応、連絡を入れてもいい、かな?」
勢いに任せて、弟の家にやってきたはいいが、ここに来て急に彼のことが気になった。彼は私に連絡をしないで勝手な行動をとっているが、私は必ず用事があるときは連絡を入れていた。
「そいつだって、姉さんに連絡も入れずに好き勝手やっているんでしょ。だったら、連絡なんて入れなくてもいいんじゃ」
「念のため、連絡は入れておいた方がいいかもですね。勝手に外泊したら、別れるときに相手にそのことで追及される可能性があります」
「確かにそれは一理ありますね。別れるときに不利な材料は少ないほうがいいと思います」
3人がそれぞれ自分の意見を述べる。最初の弟の発言には賛成だが、今回はアリアさんとルリさんの意見に賛成だ。私はスマホから【今日は、弟の家に泊まります】とだけメッセージを送った。
私はダイヤが準備してくれたお風呂に先に入らせてもらうことになった。家主より先にお風呂に入るのは申し訳なかったが、精神的にも身体的にも疲れている。温かい湯船に浸かってリラックスしたかったので、ありがたかった。
「お風呂、ありがとう」
湯船に浸かってゆっくりしていたら、思いのほか入浴に時間がかかってしまった。お風呂から上がり、スマホで時刻を確認すると、すでに22時を回っていた。
リビングに向かうと、弟とルリさんが私の彼との別れ話の計画を真剣に話し合っている最中だった。
「相手は真寿さんに今日の外泊について責め立てるだろう」
「弟と浮気とかありないけど、グチグチ文句言ってきそうだな」
「そもそも、今回の件だけど、ダイヤが恋人の振りをしたらダメだったの?真珠さんと似ているとはいえ、男女には変わりない」
「それだと、姉さんが相手になめられるだろ?相手は浮気しているのに、姉さんはただそれを哀しむだけとかさ。相手により敗北感をあじあわせるには、弟の僕では無理だ。だから僕以外の相手が必要ってわけ。それも、相手が認めざるを得ないくらい、ハイスペックの男がいい」
「確かにオレは世間的にはそこら辺の男よりは上だな」
話し合いの邪魔をしない方がいいだろうか。それとも、当事者として何か意見を言うべきか。
「どうしたの?あらあら、当事者のお姉さんを差し置いて、あいつら、真剣に話し合っているわね」
「ア、アリアさん!」
「湯冷めしちゃうから、リビングに入ったら?そこの2人、女性が廊下で見ているのに気付かないなんて、ずいぶんと使えない男たちね」
「ね、姉さん!ごめん。いたなら、遠慮せずに声をかけてくれたらよかったのに」
「すみません。話しに夢中で気づかなくて」
廊下でリビングに入るか悩んでいたら、アリアさんが後ろからやってきて、弟達の会話に参加する。アリアさんの声でようやく私たちの存在に気付いた彼らはすぐに謝ってきた。
「わ、私のために真剣に話してくれていたので、謝らなくて大丈夫、です」
「お姉さんがお風呂出たから、私も入ってくるね。お姉さんに失礼なこと言わないように。すぐに出るから、少しだけ待っていてください」
アリアさんはそう言って、すぐにリビングから出ていった。そして宣言通り、30分程で入浴を終えてリビングに戻ってきた。その後、ルリさん、ダイヤの順番で風呂に入っていく。
全員が入浴を終えるころには日付が変わろうとしていた。
「私は、お姉さんと一緒に寝るわね。ルリはダイヤと寝てね」
「よ、よろしくお願いします」
「ダイヤと一緒なんて久しぶりかもしれないな。前はよく泊まりの撮影の時に一緒だったこともあったけど」
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