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素っ裸になった後、腰にタオルを巻き付け、ベッドの上に座った。
…何かコレって、オレが風俗嬢になったみたいだ。
自分で思って、凄く後悔した。
けれど由香里さんをいつまでも待たせるワケにはいかないので、声をかける。
「由香里さん、脱ぎましたよ」
「はーい」
明るい声と共に、由香里さんは部屋に入って来た。
そして壁際に置かれた一つのイスを引っ張って、オレの目の前に座った。
「ではまずお話を聞くところからはじめるわね」
「はい」
「若様、アレルギーとかない?」
「ないです」
「最近疲れているところなぁい? 体の部分で、不調なところ」
「それなら肩や腰の辺り…ですね。デスクワークが多いので凝っています」
「なら眼もお疲れじゃない?」
「そうですね。一応裸眼なんですけど、目薬差すことが増えました」
「ふむふむ。ちょっと腕を伸ばしてくれる?」
「あっ、はい」
由香里さんは真剣な表情で、オレの腕に触れる。
「筋肉が固まっているわねぇ。お風呂で揉み解したりした方が良いわよ」
「でも自分じゃあんまり効かないみたいで…。あまりにヒドイ時は整体に行っています」
「けれど通えないでしょう?」
「…ですね。月に二度ぐらいしか行けていません」
「秘書のお仕事って、半端ないって聞くもの。梢ちゃんももうちょっと若様を気遣ってくれれば良いのに…」
眉をひそめながら心配してくれている様子は、まるで本当の医者のように見える。
まあマッサージも大事な医療行為だしな。
「梢さんの方がきっと、オレなんかより疲れていますよ。秘書と指導役の二役をこなしているんですから」
「まあそうでしょうけど…」
…そんなにオレの体はヒドイんだろうか?
今度親父にマッサージチェアを購入するよう、相談してみるか。
「ところで由香里さん、さっき言っていたアレルギーですけど、今からマッサージに使う薬品のことですか?」
「ええ、そうよ。後は気持ちをほぐす為に、お香を焚いたりするからそっちでもね」
「お香でもアレルギーってあるんですか?」
「ごくまれに、だけどねぇ。煙アレルギーって言うのかしら? 肌に合わない人はいるからね」
いろんなアレルギーがあるんだなっと思っていると、由香里さんが立ち上がった。
「んっ、若様の状態はとりあえず分かったわ。じゃあ今度は体をほぐすから、寝てくれる?」
「はい」
オレはベッドに横になった。
「それじゃあまず、お香を焚きますね。気分が悪くなったりしたら、遠慮なく言ってね?」
「分かりました」
由香里さんは棚に向かい、お香の準備をはじめた。
マッサージと言うより、エステに近いな。
しかも女性エステ。
でも悪い体験ではない。一度ぐらい、してみたいと思っていた。
やがて部屋の中に、薄い煙と淡い匂いが漂ってきた。
由香里さんはお香を入れた容器を、棚の隣にあるテーブルに置いた。
薄紫色の煙から匂うのは、少し甘いけれどすっきりした花の匂い。
「どう? ウチの会社特製のお香の匂いは?」
「良い匂いですね。何か体の中がすっきりしそうです」
「気に入ってもらえて良かったわ。お香の選び方はお客様の状態によって変わるの。もちろんマッサージ師の好みも入るけどね」
「じゃあこのお香はオレに合っているんですね」
「そうだと嬉しいわ」
花のように微笑み、由香里さんはイスを持って移動した。
オレの頭の上の方で座る。
「じゃあまずは眼の疲れから取りましょう」
「よろしくお願いします」
「はい、お任せください」
オレは眼を閉じ、由香里さんに身を預けることにした。
…何かコレって、オレが風俗嬢になったみたいだ。
自分で思って、凄く後悔した。
けれど由香里さんをいつまでも待たせるワケにはいかないので、声をかける。
「由香里さん、脱ぎましたよ」
「はーい」
明るい声と共に、由香里さんは部屋に入って来た。
そして壁際に置かれた一つのイスを引っ張って、オレの目の前に座った。
「ではまずお話を聞くところからはじめるわね」
「はい」
「若様、アレルギーとかない?」
「ないです」
「最近疲れているところなぁい? 体の部分で、不調なところ」
「それなら肩や腰の辺り…ですね。デスクワークが多いので凝っています」
「なら眼もお疲れじゃない?」
「そうですね。一応裸眼なんですけど、目薬差すことが増えました」
「ふむふむ。ちょっと腕を伸ばしてくれる?」
「あっ、はい」
由香里さんは真剣な表情で、オレの腕に触れる。
「筋肉が固まっているわねぇ。お風呂で揉み解したりした方が良いわよ」
「でも自分じゃあんまり効かないみたいで…。あまりにヒドイ時は整体に行っています」
「けれど通えないでしょう?」
「…ですね。月に二度ぐらいしか行けていません」
「秘書のお仕事って、半端ないって聞くもの。梢ちゃんももうちょっと若様を気遣ってくれれば良いのに…」
眉をひそめながら心配してくれている様子は、まるで本当の医者のように見える。
まあマッサージも大事な医療行為だしな。
「梢さんの方がきっと、オレなんかより疲れていますよ。秘書と指導役の二役をこなしているんですから」
「まあそうでしょうけど…」
…そんなにオレの体はヒドイんだろうか?
今度親父にマッサージチェアを購入するよう、相談してみるか。
「ところで由香里さん、さっき言っていたアレルギーですけど、今からマッサージに使う薬品のことですか?」
「ええ、そうよ。後は気持ちをほぐす為に、お香を焚いたりするからそっちでもね」
「お香でもアレルギーってあるんですか?」
「ごくまれに、だけどねぇ。煙アレルギーって言うのかしら? 肌に合わない人はいるからね」
いろんなアレルギーがあるんだなっと思っていると、由香里さんが立ち上がった。
「んっ、若様の状態はとりあえず分かったわ。じゃあ今度は体をほぐすから、寝てくれる?」
「はい」
オレはベッドに横になった。
「それじゃあまず、お香を焚きますね。気分が悪くなったりしたら、遠慮なく言ってね?」
「分かりました」
由香里さんは棚に向かい、お香の準備をはじめた。
マッサージと言うより、エステに近いな。
しかも女性エステ。
でも悪い体験ではない。一度ぐらい、してみたいと思っていた。
やがて部屋の中に、薄い煙と淡い匂いが漂ってきた。
由香里さんはお香を入れた容器を、棚の隣にあるテーブルに置いた。
薄紫色の煙から匂うのは、少し甘いけれどすっきりした花の匂い。
「どう? ウチの会社特製のお香の匂いは?」
「良い匂いですね。何か体の中がすっきりしそうです」
「気に入ってもらえて良かったわ。お香の選び方はお客様の状態によって変わるの。もちろんマッサージ師の好みも入るけどね」
「じゃあこのお香はオレに合っているんですね」
「そうだと嬉しいわ」
花のように微笑み、由香里さんはイスを持って移動した。
オレの頭の上の方で座る。
「じゃあまずは眼の疲れから取りましょう」
「よろしくお願いします」
「はい、お任せください」
オレは眼を閉じ、由香里さんに身を預けることにした。
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