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第1章
第22話【ダンジョン攻略-3-2】
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山頂にたどり着いたジェシーたちは、俺とマザースライムに気付き驚いた顔をした。
まさか、自分たちより先にこのダンジョンのボスと戦っている奴がいるなんて思ってもみなかったんだろう。
「おいおい。これはなんの冗談だ? どう見てもあいつ一人だよな?」
「うわっ。しかもあいつ獣人アバターじゃないか。正規版からのプレイヤーかなっ?」
まずい。つい、向こうに意識を向けてしまった。
ほんの数秒だが、攻撃の手を止めてしまった。
俺はジェシーたちを無視してマザースライムに集中する。
「複利計算」の効果は短い。少しでも当てなくては。
後ろでなにやら話しているが、また手を止めてもまずいので、俺は気にしないことにした。
ここで倒し損ねてあいつらに漁夫の利を渡すなんてのはごめんだからな。
俺は効果が切れるギリギリまで「銭投げ」を使い続けた。
最後に使う予定だった「ヘルフレイム」は残念ながらお預けだ。
「ヘルフレイム」の効果は自分を中心とした10m。
どう頑張ってもジェシーたちを巻き込んでしまう。
さすがの俺も何もされていないのに、無差別にPKするなんてことはしない。
いくら相手は内心ムカついているやつでも、直接何かされたわけなじゃないしな。
元々倒しきれる予定ではなかった上に、数秒間とはいえ攻撃を休んでしまったため、マザースライムのHPはまだ数百万も残っている。
しょうがないが、残りはちまちま削っていくしかないな。
そう思って俺は、装飾品を変更しようとした。
「複利計算」中は「ロックハートペンダント」がなくてもそれなりに防御があるが、切れた今は無ければまさに紙装甲だ。
そんな俺の耳に信じられない言葉が聞こえてきた。
何故か妙にはっきりとその言葉が耳に届く。
「ああ。まずはあの邪魔な子スライムを蹴散らせ。もちろんあいつもだ」
「了解。『メテオストーム』!!」
ジェシーの言葉に、サンドラとか言うやつが「魔導師」の現状使える最大火力の高範囲魔法を使った。
確か任意の点を中心に放射状に広がる魔法で、中心に近いほどダメージがでかいはずだ。
放たれた魔法に従い、燃え盛る隕石が上方から落ちてくる。
場所は俺の真上だ。
隕石が着弾し、爆発しながら地面を吹き飛ばすエフェクトが表示される。
俺のHPは一瞬で0になり、その場で倒れた。
聞こえてきた声に気を取られ、装備変更が間に合わなかったのだ。
倒れている俺に笑いとともにあいつらの声が聞こえてきた。
「一撃ってマジかよ。いくらサンドラの魔攻が高いからって、一撃はねぇだろ」
「このボスの攻撃でたまたま瀕死だったのかもしれないよ。『リザレクション』待ってるなら意味無いいよ。使えるけど、君には使わないからね」
「ねぇ。攻撃して分かったけど、こいつが例のショーニンみたいよ。今は倒れてるから確認できないけど、攻撃当てた瞬間タゲ認定されて見えたもの」
「マジかよ。そりゃ、好都合じゃん。またチートプレイヤーによるくそプレイを止めたってことだろ? うわっ、俺って救世主じゃん?」
てめぇら。俺が聞こえてることを知りながら好き勝手言いたい放題かよ。
しかも、あの攻撃は紛れもなくわざとで、俺を狙ってた。
俺の相手をするよりもまずは目の前のマザースライムを倒すことに専念することにしたようで、ジェシーたちは各々のポジションに展開し攻撃を始めた。
マザースライムのHPは俺が与えたダメージをそのまま残している。
さすがに他のダンジョンを攻略しただけあって、レベルだけじゃない高い戦闘、それは俺にも分かる。
だからなおのこと俺はムカついた。
あいつらの話だと、俺がショーニンだと分かったのは攻撃してからだ。
俺をチートプレイヤーと決めつけ、それが理由で攻撃してきたわけじゃない。
あいつらは俺が誰だったとしても、自分たちがボスモンスターと戦う権利を得るために攻撃したんだ。
前に会った狩場荒らしと一緒じゃねぇか!
俺はこんなやつらが俺が削ったマザースライムを倒し、ダンジョン攻略の初制覇者として通知されるのだけは許せなかった。
決心をして、俺は目の前にさっきからずっと現れている選択肢を選んだ。
『HPが0になり、倒れてしまいました』
・街に戻る
・「秘薬アムリタ」の効果を使う←
戦闘不能後10分経過すると自動で街に戻ります
事前に飲んだ薬のおかげで俺は一度だけ戦闘不能から復活する。
マザースライムと戦闘中のやつらはその事にまだ気付いていない。
俺は自分のステータスを確認する。
全て満たんに回復していた。
死ぬ前には使用不可を示す暗くなっていたスキル、今は明るく変わったスキルを使う。
使った瞬間、俺はためらうことなく「ヘルフレイム」を放った。
俺を中心に地獄の業火が燃え盛った。
山頂にいる俺以外の全ての動くものがその炎に包まれる。
炎が消えた後には、崩れ去りただの雪の塊となったマザースライムスライムと地面に倒れ伏す六人の姿。
俺はその姿に侮蔑の視線を向け、現れた宝箱まで歩を進める。
すると突然倒れていたはずの一人が起き出した。
文彦ってやつだ。こいつは「神官」だったな。
万が一の時のために、味方を復活させることの出来るこいつだけが同じように「秘薬アムリタ」を飲んでたってことか。
そこまで用意出来るパーティってことは、本当に俺より先にたどり着いていたら攻略してそうだったな。
「な、なんなんだ! お前は!! いくらなんでもこんな広範囲にこんなダメはおかしいだろ!! サンドラや俺は魔防特化なんだぞ!!」
何か知らないがほざいてるな。
めんどくさいが、後でまたチートだなんだと言われるのも面倒だから説明してやるか。
「それがおかしくないんだ。残念だったな。お前の魔防より俺の火力の方が圧倒的に上だったってことだ」
「ふ、ふざけるな! それに! ジェシーさんのHPを一瞬で削れる攻撃なんてある訳、あっていいわけないだろ!? ちゃんとHP管理は僕がしてたんだ。あの時は満たんだった! 間違いない!!」
「だから。ジェシーとかいうやつのHPを一瞬で削れる攻撃を俺が使えたってことだけだろ? 言っておくがな。俺は一切チートなんてしてない。そもそもオンラインゲームはこのゲームが初めてなんだ。そんな知識あるかよ」
俺の親切な説明に納得がいかないのか、まだ文彦は何かを喚いているが、埒が明かないので無視することにした。
既に「複利計算」の効果は切れているが、「ロックハートペンダント」は装備し直している。
たとえあいつが他のやつらを復活させて襲ってきても今度は耐えれるだろう。
案の定文彦は慌てた様子で「レザレクション」を味方にかけていた。
死に戻りだとペナルティがあるらしいからな。
生き返せるなら生き返すのが正解か。
気にせず俺は雪の山の上に現れた宝箱を開ける。
中にはアイテムが入っていた。
【マザーコア】
マザースライムの核。身につけるとマザーの強靭な体力を身につけることが出来る。
効果:体力100上昇、HP100%上昇。
これは……もしかしたらすごい拾い物かもしれない。
早速帰ったらヒミコに確認しないと。
俺は急いで戻りの魔法陣に乗った。
振り向くと生き返ったジェシーたちが何か叫んでいるのが見えた。
その声が届くより先に、俺はダンジョンの入口へと飛ばされる。
そして今度も通知が流れたのを確認すると、俺はヒミコに会うため街へ向かった。
『【アーカディア霊峰】攻略を【ショーニン】が初めに成し遂げました!!』
まさか、自分たちより先にこのダンジョンのボスと戦っている奴がいるなんて思ってもみなかったんだろう。
「おいおい。これはなんの冗談だ? どう見てもあいつ一人だよな?」
「うわっ。しかもあいつ獣人アバターじゃないか。正規版からのプレイヤーかなっ?」
まずい。つい、向こうに意識を向けてしまった。
ほんの数秒だが、攻撃の手を止めてしまった。
俺はジェシーたちを無視してマザースライムに集中する。
「複利計算」の効果は短い。少しでも当てなくては。
後ろでなにやら話しているが、また手を止めてもまずいので、俺は気にしないことにした。
ここで倒し損ねてあいつらに漁夫の利を渡すなんてのはごめんだからな。
俺は効果が切れるギリギリまで「銭投げ」を使い続けた。
最後に使う予定だった「ヘルフレイム」は残念ながらお預けだ。
「ヘルフレイム」の効果は自分を中心とした10m。
どう頑張ってもジェシーたちを巻き込んでしまう。
さすがの俺も何もされていないのに、無差別にPKするなんてことはしない。
いくら相手は内心ムカついているやつでも、直接何かされたわけなじゃないしな。
元々倒しきれる予定ではなかった上に、数秒間とはいえ攻撃を休んでしまったため、マザースライムのHPはまだ数百万も残っている。
しょうがないが、残りはちまちま削っていくしかないな。
そう思って俺は、装飾品を変更しようとした。
「複利計算」中は「ロックハートペンダント」がなくてもそれなりに防御があるが、切れた今は無ければまさに紙装甲だ。
そんな俺の耳に信じられない言葉が聞こえてきた。
何故か妙にはっきりとその言葉が耳に届く。
「ああ。まずはあの邪魔な子スライムを蹴散らせ。もちろんあいつもだ」
「了解。『メテオストーム』!!」
ジェシーの言葉に、サンドラとか言うやつが「魔導師」の現状使える最大火力の高範囲魔法を使った。
確か任意の点を中心に放射状に広がる魔法で、中心に近いほどダメージがでかいはずだ。
放たれた魔法に従い、燃え盛る隕石が上方から落ちてくる。
場所は俺の真上だ。
隕石が着弾し、爆発しながら地面を吹き飛ばすエフェクトが表示される。
俺のHPは一瞬で0になり、その場で倒れた。
聞こえてきた声に気を取られ、装備変更が間に合わなかったのだ。
倒れている俺に笑いとともにあいつらの声が聞こえてきた。
「一撃ってマジかよ。いくらサンドラの魔攻が高いからって、一撃はねぇだろ」
「このボスの攻撃でたまたま瀕死だったのかもしれないよ。『リザレクション』待ってるなら意味無いいよ。使えるけど、君には使わないからね」
「ねぇ。攻撃して分かったけど、こいつが例のショーニンみたいよ。今は倒れてるから確認できないけど、攻撃当てた瞬間タゲ認定されて見えたもの」
「マジかよ。そりゃ、好都合じゃん。またチートプレイヤーによるくそプレイを止めたってことだろ? うわっ、俺って救世主じゃん?」
てめぇら。俺が聞こえてることを知りながら好き勝手言いたい放題かよ。
しかも、あの攻撃は紛れもなくわざとで、俺を狙ってた。
俺の相手をするよりもまずは目の前のマザースライムを倒すことに専念することにしたようで、ジェシーたちは各々のポジションに展開し攻撃を始めた。
マザースライムのHPは俺が与えたダメージをそのまま残している。
さすがに他のダンジョンを攻略しただけあって、レベルだけじゃない高い戦闘、それは俺にも分かる。
だからなおのこと俺はムカついた。
あいつらの話だと、俺がショーニンだと分かったのは攻撃してからだ。
俺をチートプレイヤーと決めつけ、それが理由で攻撃してきたわけじゃない。
あいつらは俺が誰だったとしても、自分たちがボスモンスターと戦う権利を得るために攻撃したんだ。
前に会った狩場荒らしと一緒じゃねぇか!
俺はこんなやつらが俺が削ったマザースライムを倒し、ダンジョン攻略の初制覇者として通知されるのだけは許せなかった。
決心をして、俺は目の前にさっきからずっと現れている選択肢を選んだ。
『HPが0になり、倒れてしまいました』
・街に戻る
・「秘薬アムリタ」の効果を使う←
戦闘不能後10分経過すると自動で街に戻ります
事前に飲んだ薬のおかげで俺は一度だけ戦闘不能から復活する。
マザースライムと戦闘中のやつらはその事にまだ気付いていない。
俺は自分のステータスを確認する。
全て満たんに回復していた。
死ぬ前には使用不可を示す暗くなっていたスキル、今は明るく変わったスキルを使う。
使った瞬間、俺はためらうことなく「ヘルフレイム」を放った。
俺を中心に地獄の業火が燃え盛った。
山頂にいる俺以外の全ての動くものがその炎に包まれる。
炎が消えた後には、崩れ去りただの雪の塊となったマザースライムスライムと地面に倒れ伏す六人の姿。
俺はその姿に侮蔑の視線を向け、現れた宝箱まで歩を進める。
すると突然倒れていたはずの一人が起き出した。
文彦ってやつだ。こいつは「神官」だったな。
万が一の時のために、味方を復活させることの出来るこいつだけが同じように「秘薬アムリタ」を飲んでたってことか。
そこまで用意出来るパーティってことは、本当に俺より先にたどり着いていたら攻略してそうだったな。
「な、なんなんだ! お前は!! いくらなんでもこんな広範囲にこんなダメはおかしいだろ!! サンドラや俺は魔防特化なんだぞ!!」
何か知らないがほざいてるな。
めんどくさいが、後でまたチートだなんだと言われるのも面倒だから説明してやるか。
「それがおかしくないんだ。残念だったな。お前の魔防より俺の火力の方が圧倒的に上だったってことだ」
「ふ、ふざけるな! それに! ジェシーさんのHPを一瞬で削れる攻撃なんてある訳、あっていいわけないだろ!? ちゃんとHP管理は僕がしてたんだ。あの時は満たんだった! 間違いない!!」
「だから。ジェシーとかいうやつのHPを一瞬で削れる攻撃を俺が使えたってことだけだろ? 言っておくがな。俺は一切チートなんてしてない。そもそもオンラインゲームはこのゲームが初めてなんだ。そんな知識あるかよ」
俺の親切な説明に納得がいかないのか、まだ文彦は何かを喚いているが、埒が明かないので無視することにした。
既に「複利計算」の効果は切れているが、「ロックハートペンダント」は装備し直している。
たとえあいつが他のやつらを復活させて襲ってきても今度は耐えれるだろう。
案の定文彦は慌てた様子で「レザレクション」を味方にかけていた。
死に戻りだとペナルティがあるらしいからな。
生き返せるなら生き返すのが正解か。
気にせず俺は雪の山の上に現れた宝箱を開ける。
中にはアイテムが入っていた。
【マザーコア】
マザースライムの核。身につけるとマザーの強靭な体力を身につけることが出来る。
効果:体力100上昇、HP100%上昇。
これは……もしかしたらすごい拾い物かもしれない。
早速帰ったらヒミコに確認しないと。
俺は急いで戻りの魔法陣に乗った。
振り向くと生き返ったジェシーたちが何か叫んでいるのが見えた。
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