顔色を窺って生きてきたら、顔色が見えるようになった私は、化粧品売り場で悩み相談員として過ごしてます

黄舞

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第4話【青は悲しみ】

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「とりあえず。もうしょうがないから、聞くけど。さっきの話。部長は私の異動の話をしてた時、顔色が突然青に変わったけど、悲しみを抱いていたってこと?」
「うむ。まぁ、おおよそあの男の心の中も読めるが、それを直接お主に教えてはならぬ規則でな。自分で察しろ」

「察しろって。うーん。話が終わった途端に顔色は元に戻ったから、つまり、私の異動が悲しかったってことよね? なんで部長がそんな風に思うのかしら」
「お主は全く。人の顔色を窺って生きてきたじゃと? ワシから言わせれば、自分の思い込みの世界で生きてきただけにしか見えんがな」

 そんなこと言いながら、神様はその小さくなった体で、器用にため息をつく仕草をした。
 声は聞こえないという話だったけれど、動きはどうなのだろうか。

「大丈夫じゃ。そこも抜かりはない。普通の者にはワシはただの『すとらっぷ』とかいう物にしか見えんよ。安心せい」
「そうなの。じゃあ、良かった……って! 勝手に考え読まないでよね! 分かった?」

「お主の心の声はでかいからのう。まぁ、一応気を付けてみるが、その駄々洩れの心を抑えるのも、お主には必要だと思うぞ?」
「余計なお世話よ!」

 とにかく、何故か居矢名部長は、私の異動を話した時悲しみの感情を抱いていたらしい。
 それと、神様に人前で構っていると、変人扱いされるということも理解できた。

 私はトイレから出ると、何気ない振りで自分の席に戻り、今日の仕事の準備を始めた。

「そういえば、木塚先輩。聞きました?」

 ラボに移動してからしばらくすると、いつも私に話しかけてくる後輩が、近寄ってくる。
 何の話かと思ったら、私の異動についての話だった。

「なんか、今回の異動ってうちの部門の人員削除が理由だったらしいですよ」

 その話を聞いて、結局私はお荷物だったのだと、再認識させられてしまう。
 そんな話をわざわざ私に教えたかったのだろうか。

「それで、部長、かなり戦ってくれたみたいです。木塚先輩はまだ成果出せてないけど、仕事態度も真面目だし、そのうちきっといい商品を作ってくれるって」
「え!?」

「これ、課長に聞いたんですけどね。昨日課長と飲んだんです。その時に内緒話だって教えてくれて。部長には絶対言うなよって。あの人、情に厚すぎることを気にしてて、普段は無理して部下に威厳を保つような態度取ってるからって」
「なにそれ。あはは。うん。教えてくれてありがとう」

 私は販売部門に異動になることは何も変わらないのに、心がすーっと軽くなるような気持ちになった。
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