嫁いだ相手は暗殺対象、でも愛してくれるから殺せない!

coco

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嫁いだ相手は暗殺対象、でも愛してくれるから殺せない!<中>

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 どうしよう…。
 私、どうしたらいい?

 私が動揺どうようしているのは、どっちなんだろう。

 王子を、どんな方法で暗殺あんさつするか。
 王子を暗殺しない為に、どうすればいいか。

 今の私は、この両方の気持ちがぶつかり合っている。
 父に暗殺者あんさつしゃとして育てられた私と、王子を好きな1人の女の子としての私、両方が心の中で戦ってる…。

 その時、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「アイリス、ちょっといいかな?」

「は、はい、王子。」

「今夜、僕は君の部屋に行く。だから、寝ずに待っていてくれるかい?この意味、分かるよね…。」

 そう言って、王子は私の左手をすくい上げ、そっとキスを落とした。

 それってつまり、そういうことだよね…。

 せっかく、王子が私のこと求めてくれたのに。
 私は、王子の命を─。

※※※

「入るよ、アイリス。」

 ベットに腰掛こしかける私を、王子は優しく抱きしめた。
 そして、私のほほにそっと手をえると、目を閉じた。

 私の顔に、王子の顔が近づいてくる。

 あと少しで、くちびるれる─。

「ダ、ダメです!」

 私は、王子を突き放した。

「ダメです、私に触れてはダメ!」

「…どうして?君は、俺のことがきらいかい?」

「ち、違うんです。でも、私、ダメなの。私、あなたの妻失格つましっかくだから…!」

「…キスができないのは、君の唇にどくってあるからかい。」

「ど、どうしてそれを…。」

 私は、おどろいて王子の顔を見つめた。
 王子は私の唇を、シーツで優しくぬぐった。

「暗殺者として育てられた君はある人物に依頼いらいされ、僕を暗殺する為にここへとついできたこと…全て知ってるよ。そして知った上で、僕は君を妻にしたんだ。」

何故なぜ…私なんです?」

「それは、僕が君を愛しているからだよ。君は忘れてしまったかな…僕は君に命をすくわれたんだ。」

※※※

 あれは、僕がおさないころだ。

 門番もんばんの目をぬすんで、僕はこの屋敷やしきを抜け出した。
 そして、1人町を探索たんさくしていたんだ。

 そしたら、悪い奴らにからまれてしまってね。

 路地裏ろじうらに連れ込まれ、もう駄目だめだと思った時だった。

 突然とつぜん奴らが、バタバタとたおれたんだ。

『こ っちよ、付いてきて!』

 1人の女の子が、僕の手を引いて走り出した。

『ここまでくれば、もう大丈夫。町を歩くなら、この道を行くのが安全よ。じゃあ、私はこれで。』

『待って!あれ、君がやったの?女の子なのに、ずいぶん強いんだね。』

『…あんなのは、本当は良くないことよ。この強さは、人の命をうばうわ。』

『でも、僕を守ってくれたじゃない。』

『それは…。でも、次会ったら、その時は殺すかもしれない。』

『君は、人を殺したいの?』

『…そんなワケない!私だって、普通ふつうの女の子の様にらしたい。誰かを愛したいし、愛されたい。私の夢はおよめさんになること、…なんかになりたくない。あなたのようなそだちのいい男の子には、関係ない話だわ。さようなら─。』
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