くすぐり小説【想像したことを書き綴るだけ】

ホロン

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短編小説 - 家族・友達・仲間くすぐり

魔の手を持つ男

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「あははははははははは!やめてぇ!」
私は今、局部のみを隠した状態でくすぐられている。
それはなぜか、それが私の仕事だからだ。
一般的に仕事というのは、作業や技術などを使って労働し、それ相応の報酬をもらうことを総称したものだ。
配送業者であれば、物を運ぶことが労働になり、商業者であれば、物を売ることが労働となり、職業によって労働のしかたは大体決まっている。
だが中には、一般には知られていないものも存在する。
くすぐりは、その一つであり、お金を払う代わりにくすぐらせてもらう、くすぐってもらうと言ったような取引を行う。
一般に知られているもので例えるなら、マッサージ師に近い。
私は、このくすぐりという職に就いて約1年経つが、「くすぐらせてほしい」という依頼は意外にもたくさん来る。
それも老若男女関係なく、いろいろな人から依頼が来る。
その人たちのほとんどは、くすぐりフェチによる欲の発散を目的として依頼する。
ただ、この職に就く以上、私もくすぐりフェチなのかと思うかもしれないが、実は私はくすぐりフェチでもなんでもない。
私がこの職に就いている理由は、報酬がかなりいいからだ。
〇〇○コースといった感じで振り分けられているのだが、安くても3000円、高くて15000円以上もいくため、なかなかに高収入だ。
それに私は、人一倍くすぐりに強いかつ、笑う演技も得意なため、この職は私にとって好都合すぎるのだ。
さらに、客からのレビュー曰く、私はかなりの美少女らしく、人気もかなり高い。
そのため、タイトとまではいかないが、予約は思った以上にある。
おかげで、貯めたお金でわりといろいろなことができて助かっている。


ある日、私は1人の男性から依頼を受けていた。
年齢は30代前半、駅前のラブホで3時間ほどくすぐらせてほしいというものだった。
待ち合わせ時間は午後1時。
道具はいくつか使用し、関節部も拘束できるx字拘束台と、感度上昇効果のないローションと、アイマスクを使用する。
脱衣はありで、上半身のみ裸になってほしいとのことだ。
このような依頼はわりと来るため、もう慣れっこだ。
裸になっても、くすぐりのためであれば羞恥心はそこまで感じないし、気持ちよくさせられたとしても、それに関しては私自身も嫌とは思ってないため、そこまで問題ではない。
だけど、今回のくすぐりで、本当の「くすぐり」というのを知ることになるのを、この時の私はまだ知らなかった。

「こんにちは。沙良さらさんで合ってますか?」
「はい。ゆうさんですね。今日よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。」
今更だが、私の名前は雪野沙良ゆきのさらと言う。
そして、お相手さんの名前は近衛憂このえゆうと言う。
待ち合わせ時刻になり、私たちは合流したところだ。
(すごい…これほどのイケメンにあったの初めて…。)
憂さんは見た目はかなりのイケメンだ。
どれくらいイケメンかと言うと、近くを通った若い女性が目で追ってしまうほどだ。
背の高さも体格もベストすぎる。
くすぐりに興味があることがもったいないほどだ。
そんなことを思いながら、私たちはラブホに移動した。

「おお、なかなかに広い部屋だな。」
「たまたまいい部屋取れたんですよ。」
「そうか、ラッキーだな。」
「拘束台設置しますね。」
「折り畳み式…随分と本格的だなぁ…すごい…。」
「そこまで重くないので持ち運べるんですよ。」
「へー…ローションはそのカバンの中か?」
「はい。中にある瓶です。」
さらっと敬語が抜けたが、全く違和感がない。
むしろ話してて楽しいとさえ思った。
全く中身のないような話なのに。

いろいろセットし終わり、くすぐる前の雑談も終わり、上の服を脱いだあと、彼は私を拘束した。
「いつでもいい?」
「いいですよ。」
そう言うと、彼は少し間をあけてくすぐり出した。
くすぐったくないが、くすぐったいような演技をする。
「ん…くふ…んふ…ふふ…。」
彼は私の上半身を満遍なくくすぐる。
その途中で、くすぐり方を変えたりする。
そのたびに私は笑い方を変える。
これはわりと反射的に行えるようになった。
普通の人はこれはかなりくすぐったいのだろう。
そんな感じでしばらくの間くすぐられる。

しばらくするとくすぐりが止まり、彼は私の様子を見るために覗き込んだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
私は息切れを演技する。
これも定番っちゃ定番だ。
だが、ここで彼は驚きの発言をする。
「…やっぱり…。」
「…?何がですか?」
「沙良さん、くすぐり効かないよね?」
「!?」
嘘!?なんでわかるの!?演技が下手だった!?
「あはは。そんなに驚かなくてもいいじゃん。でも、そういう反応するってことは、本当ってことだね。」
私は戸惑うあまり、こんな返答をしてしまった。
「…もしそうならどうするんですか?」
「ん?あ~…そうだなぁ…。」
そして、彼はまた驚きの発言をする。
「くすぐり、効くようにしてあげる。」
「………え?」
くすぐりが効くようにする…?
てことはくすぐったさが…?
そんなことできるの?
そういうと、彼は私の上半身に触れ始めた。
ただし、くすぐりではない。
どちらかというと撫でてるだけ。
何をしている?
その後も、黙ったままわけのわからない行動を繰り返していく。

5分ぐらい経つと、彼はアイマスクをつけさせた。
そして今度は、片手で上半身をさわさわとし始めた。
そしてもう片方の手では、何かしているようだったが、アイマスクをつけられていて何をしているかはわからない。
「前のめりになって。」
急な彼の指示、わけもわからず、私は前のめりになる。
その瞬間、私の体に異変が起きた。
「ひゃああああああ!?」
背中の真ん中の一本線をローション付きの指で撫でられ、変な声を上げてしまった。
それと同時に一気に力が抜けた。
そしてまもなく、彼は手の運動を激しくした。
「ひ!あひゃあああああはははははははははは!なにこれ!にゃにごれぇぇぇぇええ!あははははははははははは!」
私の体は悲鳴をあげるように反射運動を起こした。
くすぐったさを感じて、勝手に動いたのだ。
(これが…くすぐったい感覚…なの…?)
彼はすぐにくすぐりをやめた。
「はあ…はあ…はあ…。」
演技でもない本気の笑いを見せた私は、本気で息切れをする。
「どうだい、くすぐったいという感覚は。」
「な…何を…。」
「何って…沙良さんの神経を覚醒させただけさ。」
「どうやって…。」
「それは教えれない。俺だけがもってる技だから。」
そういうと彼はまた私をくすぐりだした。
「にゃあああはははあはははははははは!やめて!やめてぇ!あははははははははは!」
「やめてあーげない。このままずっとくすぐってあげるよ。」
「あははははははははは!そんなの!いらないからあ!あはははははははははは!お願いしますぅ!やめてくださいぃ!」
「こっちはお金払ってんだぜ?せめて『ご主人様』とでも言ってみなよ。」
「あははははははははは!ご主人様ぁ!やめてくださいぃ!あはははははははははは!」
「え~どうしよっかなぁ~。」
止める気のない返事をしながら、彼はくすぐり続ける。
くすぐりって…こんなに苦しいんだ…。
でもなんか…苦しいのは苦しいけど…。
私にとってこれは…気持ちいい苦しさなのかもしれない。
私は、くすぐったさから逃げられない苦しさを感じながらも、どこかくすぐりに自身の体が漬け込んでいっている感じもした。
「あははははははははははははははは!」

あの後、失禁させられ、そのついでかのようにイかされ、そしてまたくすぐられ、体中がキュンキュンした状態になった。
「いやあ、楽しかった。」
「…くすぐりって…奥が深いんですね…。」
「急になんだよ。まあ、くすぐったさが味わえてよかったじゃないか。」
「…うん。」
言わされた感じがしたが、私もう何もする気力がないほどに疲れていた。
「その体で、くすぐりバイトできるのか?」
ふとそんなことを問われた。
「…できるとは思いますが…以前より活発には無理だと…思います。」
「やっぱりか。」
憂さんのせいにしているわけではないが、私は少し心配になっていた。
「背中だしな。」
「?」
彼の謎な指示に私はとりあえず従う。
ツーーーーー…。
「ひゃぁ…!」
くすぐったさが来始めたときと同じ感覚だ。
だけど、今度は逆に、違和感が抜けたような感覚になった。
「万歳してみな。」
私が万歳すると、彼はくすぐり始めた。
くすぐったさがくる………のかと思いきや、今回は全然来なかった。
そして私は、それをすぐに理解した。
「あなたは…何者なんですか…。」
「ただの通りすがりの人さ。」
それから、彼からの依頼はそれ以降こなくなり、私はその後もくすぐりバイトを続けた。
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