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くすぐりサークル
番外編第1話Δ-1【サユとの日常】
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…気がつけば眠っていた。
ぼんやりとした記憶だが、やることがないからいっそ寝てしまおう、となった気がする。
まあたまにはこういう日もあっていいだろう。
普段寝ない時間に寝るというのは、案外気持ちがいい。
それに、普段大学で授業がある日なのに、こうやって寝れているという背徳感も感じられてなお良い。
「…で、何で君がいるの?」
「あれ?言ったことなかったっけ?合鍵持ってるんだよ。」
「…いつの間に…。」
目を開けると、体を起こすより先に、視界にサユの顔が上下左右反転した状態で写った。
合鍵を持っていたサユは、勝手に俺の部屋に上がり込んで、ご丁寧に膝枕をしていたようだ。
当の本人は当然のことかのように真顔を貫いているが、合鍵を持っていることも、部屋の勝手に上がることも、膝枕もすべて当然というには程遠い行動だ。
「…要件は?」
「遊びに来た。」
「…いつ頃来た?」
「ん…30分前ぐらい。」
ちらっと時計を見ると、おそらく寝始めたであろう時刻から、約1時間半ほど経過していた。
ちょうど深い眠りについている頃であるため、サユが入ってきても起きられなかったのだろう。
「…まあいいか…何して遊ぶ?」
「ゲーム」
「おっけー。」
いつもサユとやっているゲームを起動させる。
サユも、わざわざ画面付きのコントローラーまで持ってきていた。
今流行りのMintendo Swatch、俺とサユはレースゲームをしている。
俺もサユも一応はエンジョイ勢なのだが、暇があればやっているような人なので、それなりに実力がある。
「あ、くそ…雷のタイミング悪い…。」
「ふふ~ん。これを狙ってたんだよね。」
「嘘つけ。」
普通にやるのも楽しいが、俺らは基本ルールを変えて行うため、1レースに1回は運要素がある。
サユは狙ってやってるらしいが、これが狙えるならプロを目指せばいいと思う。
ちなみに。サユはいつも通り、俺の膝の上にちょこんと乗り、その上でゲームをしている。
これならテレビをつけた方がいいのでは?と思ってしまうが、サユはテレビでやることを異常に嫌うため、仕方なくこうしている。
「お腹すいた。ご飯食べれる?」
「そうだな、時間的にちょうどいいし頂こうかな。今日は何だ?」
「これ」
小さなカバンの中から、弁当を取り出した。
サユは、俺の家に来る時は、2回に1回弁当を持ってくる。
なぜ2回に1回かというと、もう1回の方では俺がサユの分もまとめて昼ごはんを作るからだ。
この弁当には、俺の分も含まれており、サユが弁当を持ってきた時は、それを食べさせてもらう。
その代わりに、次に来る時は俺がサユの分のご飯まで作る、といったサイクルだ。
…字面だけ見れば、付き合っているみたいだが、決してそんなことはない。
これは、同じ飲食店に働く身として、料理の腕を落とさないためにやっていることであり、提案したのはサユの方である。
日常とまではいかないが、一定の頻度で手の込んだ料理をお互い作り合っている。
今日のメニューは、ご飯、サラダ、味噌汁に加えて、多種の揚げ物という、栄養バランスが調節されたコンビニ弁当のようなメニューになっていた。
コンビニ弁当と言ってしまうと聞こえが悪くなってしまうが、飲食店に働いているだけあって、味はそこらへんのコンビニ弁当より美味い。
何なら、同じ飲食店で働く俺が作る料理よりも美味い。
サユは、飲食店内にある料理であれば、安い調味料であっても高級店レベルのものが提供できるくらいに、メニューを追求し極めている。
これに関しては、俺と比べても圧倒的な差があると言っても過言ではない。
その代わり、それ以外の料理は練習をほとんどしていないため、一般的に美味いといわれるぐらいになる。
なので、こちらであれば俺の料理の方が美味い。
「うん、美味しい。ほんと美味しすぎるなこれ。」
「ありがと。いつも作ってる料理だから、さすがにね。」
「そうだな。その調子で、他の料理も上手くなるといいな。」
「む…。飲食店のメニュー作れるならそれで十分でしょ。」
「確かにそうだな。」
俺たちが働いている飲食店は、ファミレスであるため、種類は豊富だ。
なので、飲食店のみと言っても、サユが作れる料理の数はかなり多いし、多少のアレンジくらいはできるため、相対的に見れば、俺の方が料理の腕は下かもしれない。
「食べ終わった。」
「…お前ほんと食うの早いな…。」
ちなみにいうと、サユは噛むスピードが異常に早いため、食べ終わるスピードがめっちゃ早い。
「最近さ。」
「ん?」
「灯篭の周り、女の子だらけだね。」
「サークル活動中だけな。」
「なんか羨ましい…。」
「えぇ…。」
急にサユから、嫉妬のような言葉を投げられた。
確かに、沙月さん、神楽さん、遥香さんというくすぐりサークルメンバーに入っているので、間違いではないが…。
「くすぐろサークルだったね。そのサークル、私入っちゃダメなの?」
「ん~どうだろ…。」
前々から考えてはいるが、そもそもこのサークルは、内容が内容であるため一般公開されていない。
世間的に広く知られるのはまずいことであると理解した上で、部員が外部の人を勧誘して良いものだろうかと、普通のサークルではないであろう思考がよぎっている。
「…入りたいのか?」
「うん。気になる。情報ほとんどないし。」
「まあ、非公開だしね。」
「灯篭に前くすぐられて、ちょっとクセになっちゃったし。」
「うぐ…。」
ちょっと根に持っているような言い方をしてきたので、少し心に来る。
「今度聞いておくよ。」
「ありがとう。」
「さて…ご馳走様。今日も美味しかったよ。」
「お粗末さま。次は灯篭が作るばんね。」
「分かってるって。」
そんな他愛のない日がたまに来るのも、俺の人生の幸せなのかもしれない。
ぼんやりとした記憶だが、やることがないからいっそ寝てしまおう、となった気がする。
まあたまにはこういう日もあっていいだろう。
普段寝ない時間に寝るというのは、案外気持ちがいい。
それに、普段大学で授業がある日なのに、こうやって寝れているという背徳感も感じられてなお良い。
「…で、何で君がいるの?」
「あれ?言ったことなかったっけ?合鍵持ってるんだよ。」
「…いつの間に…。」
目を開けると、体を起こすより先に、視界にサユの顔が上下左右反転した状態で写った。
合鍵を持っていたサユは、勝手に俺の部屋に上がり込んで、ご丁寧に膝枕をしていたようだ。
当の本人は当然のことかのように真顔を貫いているが、合鍵を持っていることも、部屋の勝手に上がることも、膝枕もすべて当然というには程遠い行動だ。
「…要件は?」
「遊びに来た。」
「…いつ頃来た?」
「ん…30分前ぐらい。」
ちらっと時計を見ると、おそらく寝始めたであろう時刻から、約1時間半ほど経過していた。
ちょうど深い眠りについている頃であるため、サユが入ってきても起きられなかったのだろう。
「…まあいいか…何して遊ぶ?」
「ゲーム」
「おっけー。」
いつもサユとやっているゲームを起動させる。
サユも、わざわざ画面付きのコントローラーまで持ってきていた。
今流行りのMintendo Swatch、俺とサユはレースゲームをしている。
俺もサユも一応はエンジョイ勢なのだが、暇があればやっているような人なので、それなりに実力がある。
「あ、くそ…雷のタイミング悪い…。」
「ふふ~ん。これを狙ってたんだよね。」
「嘘つけ。」
普通にやるのも楽しいが、俺らは基本ルールを変えて行うため、1レースに1回は運要素がある。
サユは狙ってやってるらしいが、これが狙えるならプロを目指せばいいと思う。
ちなみに。サユはいつも通り、俺の膝の上にちょこんと乗り、その上でゲームをしている。
これならテレビをつけた方がいいのでは?と思ってしまうが、サユはテレビでやることを異常に嫌うため、仕方なくこうしている。
「お腹すいた。ご飯食べれる?」
「そうだな、時間的にちょうどいいし頂こうかな。今日は何だ?」
「これ」
小さなカバンの中から、弁当を取り出した。
サユは、俺の家に来る時は、2回に1回弁当を持ってくる。
なぜ2回に1回かというと、もう1回の方では俺がサユの分もまとめて昼ごはんを作るからだ。
この弁当には、俺の分も含まれており、サユが弁当を持ってきた時は、それを食べさせてもらう。
その代わりに、次に来る時は俺がサユの分のご飯まで作る、といったサイクルだ。
…字面だけ見れば、付き合っているみたいだが、決してそんなことはない。
これは、同じ飲食店に働く身として、料理の腕を落とさないためにやっていることであり、提案したのはサユの方である。
日常とまではいかないが、一定の頻度で手の込んだ料理をお互い作り合っている。
今日のメニューは、ご飯、サラダ、味噌汁に加えて、多種の揚げ物という、栄養バランスが調節されたコンビニ弁当のようなメニューになっていた。
コンビニ弁当と言ってしまうと聞こえが悪くなってしまうが、飲食店に働いているだけあって、味はそこらへんのコンビニ弁当より美味い。
何なら、同じ飲食店で働く俺が作る料理よりも美味い。
サユは、飲食店内にある料理であれば、安い調味料であっても高級店レベルのものが提供できるくらいに、メニューを追求し極めている。
これに関しては、俺と比べても圧倒的な差があると言っても過言ではない。
その代わり、それ以外の料理は練習をほとんどしていないため、一般的に美味いといわれるぐらいになる。
なので、こちらであれば俺の料理の方が美味い。
「うん、美味しい。ほんと美味しすぎるなこれ。」
「ありがと。いつも作ってる料理だから、さすがにね。」
「そうだな。その調子で、他の料理も上手くなるといいな。」
「む…。飲食店のメニュー作れるならそれで十分でしょ。」
「確かにそうだな。」
俺たちが働いている飲食店は、ファミレスであるため、種類は豊富だ。
なので、飲食店のみと言っても、サユが作れる料理の数はかなり多いし、多少のアレンジくらいはできるため、相対的に見れば、俺の方が料理の腕は下かもしれない。
「食べ終わった。」
「…お前ほんと食うの早いな…。」
ちなみにいうと、サユは噛むスピードが異常に早いため、食べ終わるスピードがめっちゃ早い。
「最近さ。」
「ん?」
「灯篭の周り、女の子だらけだね。」
「サークル活動中だけな。」
「なんか羨ましい…。」
「えぇ…。」
急にサユから、嫉妬のような言葉を投げられた。
確かに、沙月さん、神楽さん、遥香さんというくすぐりサークルメンバーに入っているので、間違いではないが…。
「くすぐろサークルだったね。そのサークル、私入っちゃダメなの?」
「ん~どうだろ…。」
前々から考えてはいるが、そもそもこのサークルは、内容が内容であるため一般公開されていない。
世間的に広く知られるのはまずいことであると理解した上で、部員が外部の人を勧誘して良いものだろうかと、普通のサークルではないであろう思考がよぎっている。
「…入りたいのか?」
「うん。気になる。情報ほとんどないし。」
「まあ、非公開だしね。」
「灯篭に前くすぐられて、ちょっとクセになっちゃったし。」
「うぐ…。」
ちょっと根に持っているような言い方をしてきたので、少し心に来る。
「今度聞いておくよ。」
「ありがとう。」
「さて…ご馳走様。今日も美味しかったよ。」
「お粗末さま。次は灯篭が作るばんね。」
「分かってるって。」
そんな他愛のない日がたまに来るのも、俺の人生の幸せなのかもしれない。
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