くすぐり小説【想像したことを書き綴るだけ】

ホロン

文字の大きさ
73 / 81
くすぐりサークル

番外編第1話Δ-1【サユとの日常】

しおりを挟む
…気がつけば眠っていた。

ぼんやりとした記憶だが、やることがないからいっそ寝てしまおう、となった気がする。

まあたまにはこういう日もあっていいだろう。
普段寝ない時間に寝るというのは、案外気持ちがいい。
それに、普段大学で授業がある日なのに、こうやって寝れているという背徳感も感じられてなお良い。

「…で、何で君がいるの?」
「あれ?言ったことなかったっけ?合鍵持ってるんだよ。」
「…いつの間に…。」

目を開けると、体を起こすより先に、視界にサユの顔が上下左右反転した状態で写った。

合鍵を持っていたサユは、勝手に俺の部屋に上がり込んで、ご丁寧に膝枕をしていたようだ。
当の本人は当然のことかのように真顔を貫いているが、合鍵を持っていることも、部屋の勝手に上がることも、膝枕もすべて当然というには程遠い行動だ。

「…要件は?」
「遊びに来た。」
「…いつ頃来た?」
「ん…30分前ぐらい。」

ちらっと時計を見ると、おそらく寝始めたであろう時刻から、約1時間半ほど経過していた。
ちょうど深い眠りについている頃であるため、サユが入ってきても起きられなかったのだろう。

「…まあいいか…何して遊ぶ?」
「ゲーム」
「おっけー。」

いつもサユとやっているゲームを起動させる。
サユも、わざわざ画面付きのコントローラーまで持ってきていた。

今流行りのMintendo Swatch、俺とサユはレースゲームをしている。
俺もサユも一応はエンジョイ勢なのだが、暇があればやっているような人なので、それなりに実力がある。

「あ、くそ…雷のタイミング悪い…。」
「ふふ~ん。これを狙ってたんだよね。」
「嘘つけ。」

普通にやるのも楽しいが、俺らは基本ルールを変えて行うため、1レースに1回は運要素がある。
サユは狙ってやってるらしいが、これが狙えるならプロを目指せばいいと思う。

ちなみに。サユはいつも通り、俺の膝の上にちょこんと乗り、その上でゲームをしている。
これならテレビをつけた方がいいのでは?と思ってしまうが、サユはテレビでやることを異常に嫌うため、仕方なくこうしている。


「お腹すいた。ご飯食べれる?」
「そうだな、時間的にちょうどいいし頂こうかな。今日は何だ?」
「これ」

小さなカバンの中から、弁当を取り出した。

サユは、俺の家に来る時は、2回に1回弁当を持ってくる。
なぜ2回に1回かというと、もう1回の方では俺がサユの分もまとめて昼ごはんを作るからだ。
この弁当には、俺の分も含まれており、サユが弁当を持ってきた時は、それを食べさせてもらう。
その代わりに、次に来る時は俺がサユの分のご飯まで作る、といったサイクルだ。

…字面だけ見れば、付き合っているみたいだが、決してそんなことはない。
これは、同じ飲食店に働く身として、料理の腕を落とさないためにやっていることであり、提案したのはサユの方である。
日常とまではいかないが、一定の頻度で手の込んだ料理をお互い作り合っている。

今日のメニューは、ご飯、サラダ、味噌汁に加えて、多種の揚げ物という、栄養バランスが調節されたコンビニ弁当のようなメニューになっていた。
コンビニ弁当と言ってしまうと聞こえが悪くなってしまうが、飲食店に働いているだけあって、味はそこらへんのコンビニ弁当より美味い。
何なら、同じ飲食店で働く俺が作る料理よりも美味い。

サユは、飲食店内にある料理であれば、安い調味料であっても高級店レベルのものが提供できるくらいに、メニューを追求し極めている。
これに関しては、俺と比べても圧倒的な差があると言っても過言ではない。

その代わり、それ以外の料理は練習をほとんどしていないため、一般的に美味いといわれるぐらいになる。
なので、こちらであれば俺の料理の方が美味い。

「うん、美味しい。ほんと美味しすぎるなこれ。」
「ありがと。いつも作ってる料理だから、さすがにね。」
「そうだな。その調子で、他の料理も上手くなるといいな。」
「む…。飲食店のメニュー作れるならそれで十分でしょ。」
「確かにそうだな。」

俺たちが働いている飲食店は、ファミレスであるため、種類は豊富だ。
なので、飲食店のみと言っても、サユが作れる料理の数はかなり多いし、多少のアレンジくらいはできるため、相対的に見れば、俺の方が料理の腕は下かもしれない。

「食べ終わった。」
「…お前ほんと食うの早いな…。」

ちなみにいうと、サユは噛むスピードが異常に早いため、食べ終わるスピードがめっちゃ早い。



「最近さ。」
「ん?」
「灯篭の周り、女の子だらけだね。」
「サークル活動中だけな。」
「なんか羨ましい…。」
「えぇ…。」

急にサユから、嫉妬のような言葉を投げられた。

確かに、沙月さん、神楽さん、遥香さんというくすぐりサークルメンバーに入っているので、間違いではないが…。

「くすぐろサークルだったね。そのサークル、私入っちゃダメなの?」
「ん~どうだろ…。」

前々から考えてはいるが、そもそもこのサークルは、内容が内容であるため一般公開されていない。
世間的に広く知られるのはまずいことであると理解した上で、部員が外部の人を勧誘して良いものだろうかと、普通のサークルではないであろう思考がよぎっている。

「…入りたいのか?」
「うん。気になる。情報ほとんどないし。」
「まあ、非公開だしね。」
「灯篭に前くすぐられて、ちょっとクセになっちゃったし。」
「うぐ…。」

ちょっと根に持っているような言い方をしてきたので、少し心に来る。

「今度聞いておくよ。」
「ありがとう。」
「さて…ご馳走様。今日も美味しかったよ。」
「お粗末さま。次は灯篭が作るばんね。」
「分かってるって。」

そんな他愛のない日がたまに来るのも、俺の人生の幸せなのかもしれない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...