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プロローグ
第5話 ダンジョンの中で蟹工船
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『スライム島』は南北5km・東西6kmの自然豊かな島だ。
元々は島の真ん中に100人くらい住んでいたらしい。
だけど、グラン王国が侵攻して来たせいで島民は島の隅に追いやられてしまった。
グラン王の独裁は大陸だけでなく近隣の島にまで及んでいたんだ。
今、僕はそこで生活している。
一年前、僕は魔王討伐の旅に出ていた。
その頃の僕は、今の僕がここで強制労働させられている何て想像もしなかっただろう。
人生は分からない。
本当に分からない。
まだ暗い朝5時に、親衛隊の隊員がやってくる。
「起床!」
木材で作られたボロボロの宿(雨漏りもするし、ダニがウヨウヨいる)で雑魚寝している労働者を鞭で叩きながら起こす。
僕は鞭で叩かれたくないから起床時間の10分前には目が覚めるようになっちゃったよ。
何だか自分でも情けなくなる。
「早く食え!」
わずかな米の飯と干し魚だけの朝食を1分で済ませると、縦一列に並ばされ作業場所へ連れて行かれる。
島の中央に掘られた大きな穴がある。
その中はダンジョンになっていて、地下5階まである。
ここが僕の作業場所だ。
「おりゃあっ!」
僕は棍棒を振り回している。
スライムを狩るために。
タイマツの明りだけが頼りの薄暗いダンジョンの中では、スライムに中々当たらない。
しかも中は蒸し暑く、気持ちの悪い汗がじっとりと体から出てくる。
空気も悪く激しい運動をすると咳が出る。
僕以外の他の労働者も悪戦苦闘している。
スライムは壁や天井を這いまわって逃げ回るから人間の手に負えない。
それでも、一人一日最低5匹狩ることがノルマだった。
ノルマを達成出来なかったら、晩飯抜きだ。
ここでは食べることだけが唯一の希望なので、このペナルティは辛い。
僕の様に大陸で何らかの罪(僕の場合はでっち上げだけど)を犯した人達はここに集められ、この強制労働をさせられている。
「おい、ケンタ!」
浅黒い肌のオッサンが話し掛けてくる。
「はい」
「お前、もう8匹も狩ってるじゃねぇか。ちょっと俺に分けてくれねぇか?」
「あ、はぁ……」
僕は『スライムの欠片』を彼に渡した。
このオッサンは僕がここに来たばかりの頃、色々教えてくれた。
親衛隊への接し方や、トイレの場所、適度なサボり方など。
だから、お礼に僕の分をあげている。
そしたら毎日欲しがるようになったのだ。
『スライムの欠片』は価値があった。
スライムは命を失うと、緑色の小さな塊になる。
それは『ポーション』という傷薬の素材になったり、他にも色んなものの素材として使われるらしい。
『スライム島』はその名の通りスライムが地下深くに大量に住んでいる。
グラン王はそこに目を付けた。
この島は領有権が曖昧だった。
グラン王は我先にとばかりに、兵隊を送り込んで自分の物にした。
そして、人工的にダンジョンを作り、その中に労働者を送り込んで『スライムの欠片』を集めだしたんだ。
これを他国に高値で売ろうと考えているのか、自国で何かを大量生産しようとしているかは分からない。
そんなことよりも、僕は、憎きグラン王のために働かされている今の自分が腹立たしくて情けない。
「おい、俺にもくれよ」
「えっ!? でも……もう」
「ケンタ、初日に俺に世話になったこと忘れたのかよ?」
僕より屈強な男達が『スライムの欠片』を欲しがる。
僕は他人に甘すぎたことを悔いた。
ここにいる人たちには人間らしい余裕というものが無かった。
「やめんか! お前たち!」
背後からしわがれた声が聞こえる。
どこか聞き覚えがあるなあ。
僕は振り返った。
「あっ! ディオ王様!」
ビックリした。
こんなところで、先代の王様に出会えるなんて。
つづく
元々は島の真ん中に100人くらい住んでいたらしい。
だけど、グラン王国が侵攻して来たせいで島民は島の隅に追いやられてしまった。
グラン王の独裁は大陸だけでなく近隣の島にまで及んでいたんだ。
今、僕はそこで生活している。
一年前、僕は魔王討伐の旅に出ていた。
その頃の僕は、今の僕がここで強制労働させられている何て想像もしなかっただろう。
人生は分からない。
本当に分からない。
まだ暗い朝5時に、親衛隊の隊員がやってくる。
「起床!」
木材で作られたボロボロの宿(雨漏りもするし、ダニがウヨウヨいる)で雑魚寝している労働者を鞭で叩きながら起こす。
僕は鞭で叩かれたくないから起床時間の10分前には目が覚めるようになっちゃったよ。
何だか自分でも情けなくなる。
「早く食え!」
わずかな米の飯と干し魚だけの朝食を1分で済ませると、縦一列に並ばされ作業場所へ連れて行かれる。
島の中央に掘られた大きな穴がある。
その中はダンジョンになっていて、地下5階まである。
ここが僕の作業場所だ。
「おりゃあっ!」
僕は棍棒を振り回している。
スライムを狩るために。
タイマツの明りだけが頼りの薄暗いダンジョンの中では、スライムに中々当たらない。
しかも中は蒸し暑く、気持ちの悪い汗がじっとりと体から出てくる。
空気も悪く激しい運動をすると咳が出る。
僕以外の他の労働者も悪戦苦闘している。
スライムは壁や天井を這いまわって逃げ回るから人間の手に負えない。
それでも、一人一日最低5匹狩ることがノルマだった。
ノルマを達成出来なかったら、晩飯抜きだ。
ここでは食べることだけが唯一の希望なので、このペナルティは辛い。
僕の様に大陸で何らかの罪(僕の場合はでっち上げだけど)を犯した人達はここに集められ、この強制労働をさせられている。
「おい、ケンタ!」
浅黒い肌のオッサンが話し掛けてくる。
「はい」
「お前、もう8匹も狩ってるじゃねぇか。ちょっと俺に分けてくれねぇか?」
「あ、はぁ……」
僕は『スライムの欠片』を彼に渡した。
このオッサンは僕がここに来たばかりの頃、色々教えてくれた。
親衛隊への接し方や、トイレの場所、適度なサボり方など。
だから、お礼に僕の分をあげている。
そしたら毎日欲しがるようになったのだ。
『スライムの欠片』は価値があった。
スライムは命を失うと、緑色の小さな塊になる。
それは『ポーション』という傷薬の素材になったり、他にも色んなものの素材として使われるらしい。
『スライム島』はその名の通りスライムが地下深くに大量に住んでいる。
グラン王はそこに目を付けた。
この島は領有権が曖昧だった。
グラン王は我先にとばかりに、兵隊を送り込んで自分の物にした。
そして、人工的にダンジョンを作り、その中に労働者を送り込んで『スライムの欠片』を集めだしたんだ。
これを他国に高値で売ろうと考えているのか、自国で何かを大量生産しようとしているかは分からない。
そんなことよりも、僕は、憎きグラン王のために働かされている今の自分が腹立たしくて情けない。
「おい、俺にもくれよ」
「えっ!? でも……もう」
「ケンタ、初日に俺に世話になったこと忘れたのかよ?」
僕より屈強な男達が『スライムの欠片』を欲しがる。
僕は他人に甘すぎたことを悔いた。
ここにいる人たちには人間らしい余裕というものが無かった。
「やめんか! お前たち!」
背後からしわがれた声が聞こえる。
どこか聞き覚えがあるなあ。
僕は振り返った。
「あっ! ディオ王様!」
ビックリした。
こんなところで、先代の王様に出会えるなんて。
つづく
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