婚約破棄で捨てられ聖女の私の虐げられ実態が知らないところで新聞投稿されてたんだけど~聖女投稿~

真義あさひ

文字の大きさ
226 / 306
第四章 出現! 難易度SSSの新ダンジョン

さいあい、とも、ねえや

しおりを挟む
 その後は、新たに獲ってきた他の魚を塩で焼き魚や骨煎餅などにして、談笑しながら軽食にした。

「この辺の近海で獲れるアジは美味いんだ。次に来たときはクーラーボックスに氷持参で、帰ったらオヤジさんにアジフライにしてもらおう。蕩けるようにサクふわだぞ」
「アジのなめろうや寿司も良いですね、ルシウス様!」

 飯ウマ持ちのルシウスとカズンがはしゃいでいる。近いうちに料理人のゲンジも交えて美味しいシーフード系ごはんが食べられそうだ。

 そんな一同を尻目に、サラマンダーピアディは作業台の上に置かれたままだった魚切り包丁(聖剣)に近づいた。

「ぷぅ(こんな代物が打たれるぐらい平和な時代もあったのですな)」

 またぷぅ、とひと鳴きして、小さな前脚でちょんちょん、と包丁の刃の側面に触れた。

 とそこへ、アイシャがピアディを探しにやってきた。

「あっ、ピアディちゃん、こんなところに。もうお魚はお腹いっぱい?」
「ぷぅ!」
「ふふ。そうそう。ねえ、カズンが〝とも〟なら、私はなあに?」
「ぷぅ?」

 微笑みと一緒に聞かれて、ピアディはちょっとだけ考え込んだ。
 じーっと、黒髪のオカッパヘアーと飴のような茶の瞳の若き聖女を見上げる。

(このおねえたまはずいぶん、ふくざつな魔力の持ち主なのだ。ふしぎなのだ)

「ぷぅ!(あのねあのね。ピアディのねえやになってくれる?)」
「あら、喜んで。可愛い弟ができたわね」

 ニコッと笑って、アイシャはそっと優しくピアディの小さな半透明の身体を持ち上げた。
 お魚さんをお腹いっぱい食べさせてもらって、ちょっとだけ身体が重くなっていたので自分で動かず済み、ちょうど良かった。



 焼き魚も粗方食べ終わったようだ。今度こそ王都に戻ることにした。

「ぷぅ!(われはここに残るー!)」
「ピアディ。いくらなんでも、お前一人をここには残せないよ」

 短い四肢で必死に抵抗したが、カーナ姫に却下された。

「この海上神殿と王都の私の屋敷を転移装置で繋ぐから、しばらく待っていなさい」
「ぷぅ……(おとうたん……はやめにお願いしますぞ)」

 何十万年と海中に沈んでいたポセイドニア神殿は、建物も設備も魚人族の国が栄華を誇った時代のままだった。
 けれど、さすがに古の時代のままのものばかり。神殿を稼働させるには大掛かりな点検が必要だ。

「ぷぅ~(さいあい~とも~ねえや~。みなもわれとポセイドニアでいっしょがよいのだ)」
「この面子を囲おうとするとは。ピアディ、恐ろしい子よな……」

 しみじみ呟いて感心しているルシウスの傍らでは、相手にもされていないトオンとユーグレンがマジ顔でピアディだけを睨んでいる。

「俺の彼女が今まさに奪われかけてるんですが。どうしたらいいですかね、ユーグレンさん」
「私の大切な二人も今まさに目の前で。おのれ、カズンもヨシュアもなぜあのように呑気に笑っていられるのか! 私も混ぜて欲しい!」

 申し訳なさそうにカーナ姫が苦笑している。

「済まないね、幼体こどもの戯言だから勘弁してやっておくれ」
「本当に戯言なんですか? 本当に?」
「多分。……おかしいなあ、あの子の父も兄たちもハーレム願望はなかったはずなのだけど」

 さあ今度こそ撤収だと、魚を捌いた作業台を片付け、焚き火の始末をした。

「あ、包丁は海水で洗うと錆びてしまうな」
「聖剣を名乗るほどの包丁だ、錆びには強いはず。いや待て、確かこの神殿に泉があったはず」

 今、皆がいるのはポセイドニア神殿の入口側の庭園になる。
 カーナ姫が建物内部に泉があると教えてくれたので、カズンは調理で汚れた魚切り包丁の洗浄用に水を汲みに行くことにした。

「あ、カズン、バケツバケツ」

 包丁だけ持って建物の中に向かったカズンを、バケツを持ってトオンはすぐに追いかけた。










※トオン君はともかく、ユーグレン何かとハブられ問題……(自らぐいぐい行くしかない!)
しおりを挟む
感想 1,049

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。