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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中
飯マズの抜け道発見と、鮭の人の不穏な閃き
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結論からいえば、トオンのバッドステータス『飯マズ付与』はそのままだ。
それから皆で実験をしまくった。このためにわざわざ、トオンの古書店の食堂に集まってもらっていたのだ。
わかったのは、料理するときに聖なる武具や魔導具類を持つと、飲食物に飯マズ付与がされないこと。
ただし、素材となる材料の品質が高かった場合でも、一律『普通』クオリティまでランクが下がってしまうおまけが付いてしまった。
食堂の上には、カズンの魚切り包丁を始めとして、旧カーナ王国時代の宝物庫から持ってきたものや、神人ジューアやカーナ姫から借りてきた魔導具などが積み重なっている。
「ぷぅ(ねえやの彼氏、おりょうりなんてやめちまえなのだー)」
神人ピアディの突っ込みに、それな、と皆の気持ちが一つになった。
「転移用の魔導具もあるんだしさ、ご飯はルシウス君のおうちまで食べにおいでよ。レストラン・サルモーネに来てくれてもいいし」
料理人のゲンジの好意からの言葉に、だがトオンは言葉を詰まらせた。
「そ、それはありがたいですし、ぜひお願いしたいんですが……普段はアイシャもカズンも作ってくれてますし、その……」
言い淀むトオンの頬が少し赤い。
「あー、なるほど。コーヒーぐらい格好よく淹れてアイシャ様にドヤりたい感じ?」
「違いますよ! 二人きりでゆっくりしてるときぐらい、俺がやりたいなって! ……あ」
ユキレラの指摘に、言ってしまった、と思わずトオンは口を手で塞いだ。周りの目が何だか少し生温かい。
「だ、だから、料理はもう最初から諦めてるけど、コーヒーぐらいは何とか飲めるものにしたいなあって……コーヒーぐらいは」
必死に言い訳するトオンの語尾が尻すぼみに小さくなる。
「これはこれは」
「応援したいですねえ」
ニヤニヤ笑いながらカズンと鮭の人が頷いた。
よろしい、実験は続行だ。
昼食の時間まで実験し続けたところ。
聖なる武具や魔導具の他に、アイシャやルシウスといった聖女聖者が聖なる魔力を込めた物品を持つことでも、トオンの飯マズ付与は解除された。
例えば、アイシャがトオンの革ベルトの腕時計に聖なる魔力を込めて装着させると、魔力が抜けるまでは飯マズにならなくなる。
「トオン本人に聖なる魔力の祝福……しても駄目か。難しいな」
「飯マズ料理を祝福しても飯マズのままだし」「環を出しながら調理しても変わらない……ということは飯マズ持ち自体は必然……辛いな」
そして、意外な抜け穴を発見するに至る。
「聖なる魔力を込めた食器や調理器具で調理すると、飯マズにならない。これは盲点だったな」
普通にアイシャやルシウスが物品に聖なる魔力を込める=祝福すると、二週間から一ヶ月ほど持続する。
「月初と中旬にアイシャがコーヒーやお茶用のポットやカップを祝福すればいい。ひとまずこれで解決だな!」
「ぷぅ!(われも、われも祝福してやるのだー!)」
「根本的なことは何も解決してないぞ?」
カズンとユーグレンは実験結果をノートにまとめて整理中だ。神人ピアディも顔を突っ込んでいる。
だがユーグレンの言うように、トオンが飯マズ持ちであることは何一つ解決していない。
「やはり、トオン専用の聖なるアイテムが必要だ。お母上の遺品に使える物があったなら良かったのだが……」
「飯マズの元凶だからね……はは……」
トオンの母親、マルタこと初代聖女エイリーは魔導具師でもあり、自宅や工房にしていた旧王城庭園内の小屋にたくさんの魔導具を残していた。
すべてに聖なる魔力が込められていたが、トオンに持たせてコーヒーを淹れさせても飯マズ解除される物は一つもなかった。
「何をどう加工しても飯マズのままの飲食物って貴重ですよ。ある種の薬物、いや劇物といってもいいくらいです」
皆が解除しきれない飯マズにげんなりする中で、鮭の人ヨシュアだけが意欲的だった。
ルシウス最愛の甥っ子にしてカズンの幼馴染みの彼が、良く言えば個性的、悪く言えばトリッキーな人物だとこの頃にはアイシャたちも理解するようになった。
そんな鮭の人がトオンの飯マズ飯に興味を示した。
この時点で誰かが止めておくべきだった。いや、せめて何を考えているのか確認だけはしておくべきだった。
それから皆で実験をしまくった。このためにわざわざ、トオンの古書店の食堂に集まってもらっていたのだ。
わかったのは、料理するときに聖なる武具や魔導具類を持つと、飲食物に飯マズ付与がされないこと。
ただし、素材となる材料の品質が高かった場合でも、一律『普通』クオリティまでランクが下がってしまうおまけが付いてしまった。
食堂の上には、カズンの魚切り包丁を始めとして、旧カーナ王国時代の宝物庫から持ってきたものや、神人ジューアやカーナ姫から借りてきた魔導具などが積み重なっている。
「ぷぅ(ねえやの彼氏、おりょうりなんてやめちまえなのだー)」
神人ピアディの突っ込みに、それな、と皆の気持ちが一つになった。
「転移用の魔導具もあるんだしさ、ご飯はルシウス君のおうちまで食べにおいでよ。レストラン・サルモーネに来てくれてもいいし」
料理人のゲンジの好意からの言葉に、だがトオンは言葉を詰まらせた。
「そ、それはありがたいですし、ぜひお願いしたいんですが……普段はアイシャもカズンも作ってくれてますし、その……」
言い淀むトオンの頬が少し赤い。
「あー、なるほど。コーヒーぐらい格好よく淹れてアイシャ様にドヤりたい感じ?」
「違いますよ! 二人きりでゆっくりしてるときぐらい、俺がやりたいなって! ……あ」
ユキレラの指摘に、言ってしまった、と思わずトオンは口を手で塞いだ。周りの目が何だか少し生温かい。
「だ、だから、料理はもう最初から諦めてるけど、コーヒーぐらいは何とか飲めるものにしたいなあって……コーヒーぐらいは」
必死に言い訳するトオンの語尾が尻すぼみに小さくなる。
「これはこれは」
「応援したいですねえ」
ニヤニヤ笑いながらカズンと鮭の人が頷いた。
よろしい、実験は続行だ。
昼食の時間まで実験し続けたところ。
聖なる武具や魔導具の他に、アイシャやルシウスといった聖女聖者が聖なる魔力を込めた物品を持つことでも、トオンの飯マズ付与は解除された。
例えば、アイシャがトオンの革ベルトの腕時計に聖なる魔力を込めて装着させると、魔力が抜けるまでは飯マズにならなくなる。
「トオン本人に聖なる魔力の祝福……しても駄目か。難しいな」
「飯マズ料理を祝福しても飯マズのままだし」「環を出しながら調理しても変わらない……ということは飯マズ持ち自体は必然……辛いな」
そして、意外な抜け穴を発見するに至る。
「聖なる魔力を込めた食器や調理器具で調理すると、飯マズにならない。これは盲点だったな」
普通にアイシャやルシウスが物品に聖なる魔力を込める=祝福すると、二週間から一ヶ月ほど持続する。
「月初と中旬にアイシャがコーヒーやお茶用のポットやカップを祝福すればいい。ひとまずこれで解決だな!」
「ぷぅ!(われも、われも祝福してやるのだー!)」
「根本的なことは何も解決してないぞ?」
カズンとユーグレンは実験結果をノートにまとめて整理中だ。神人ピアディも顔を突っ込んでいる。
だがユーグレンの言うように、トオンが飯マズ持ちであることは何一つ解決していない。
「やはり、トオン専用の聖なるアイテムが必要だ。お母上の遺品に使える物があったなら良かったのだが……」
「飯マズの元凶だからね……はは……」
トオンの母親、マルタこと初代聖女エイリーは魔導具師でもあり、自宅や工房にしていた旧王城庭園内の小屋にたくさんの魔導具を残していた。
すべてに聖なる魔力が込められていたが、トオンに持たせてコーヒーを淹れさせても飯マズ解除される物は一つもなかった。
「何をどう加工しても飯マズのままの飲食物って貴重ですよ。ある種の薬物、いや劇物といってもいいくらいです」
皆が解除しきれない飯マズにげんなりする中で、鮭の人ヨシュアだけが意欲的だった。
ルシウス最愛の甥っ子にしてカズンの幼馴染みの彼が、良く言えば個性的、悪く言えばトリッキーな人物だとこの頃にはアイシャたちも理解するようになった。
そんな鮭の人がトオンの飯マズ飯に興味を示した。
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