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第二十六話 ルウドの選択
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しおりを挟む書庫で歴史書を捜して借りて、自室で本を読みふけった。
この国の歴史で気になるのはやはり魔術師ロヴェリナ。騎士クラディウス。
彼らに関連する歴史を見ると彼らの事が知れて嬉しい。
魔術師ロヴェリナは確かにこの国に現存していた。この国に生まれ、沢山の国を旅して、愛する人を見つけ結婚した。彼女はこの国では賢者と呼ばれていた。
騎士クラディウスは幾つも功績のあった立派な騎士だった。その彼が自害した経緯は書かれてはいない。
「・・・・・・?」
ルウドはふと思いつく。
この国は最強の魔女の生まれた国。国ごと魔女の加護があってもおかしくはない。
夕刻になってからルウドは騎士達がたむろする食堂に赴く。
食堂には既にハリスが居て、部下相手に愚痴っていた。
「くそう、何でなんだ?最近全く女性に人気がない。姫様達には邪険にあしらわれるし、たまに必要と言われればルウド情報をくれとか言われるし。
誰も私を見てくれない!どう言う事だ?私の時代は終わったということか?
そしてなぜあの朴念仁がモテモテなのだ?分からない!どうなっているんだ?」
「……」
食堂で酒は余り出さないが、彼はすでに少ない酒で出来上がっていた。
夕食を持ったルウドはハリスの前の席に座る。
「ハリス、そろそろ酒はやめておけ。頭を冷やさないと表に出られないぞ?」
「ああルウド。モテモテでいいな。なんだよ皆してルウドばかり!
いい年して好きな女性に告れない不憫で悲しい男のどこがいいんだ?さっぱり分からないぞ!」
「……ハリス、飲み過ぎだ。大体お前、そんなに女性が好きなら真面目に一人の女性と付き合えばいいだろう?広く浅くではすぐに飽きられるに決まってる」
「それが俺の信条なんだ!生き方なんだ!ほっておいてくれよ!何故お前に真面目に一人に絞れとか言われねばいかんのだ!心外だ!」
「……こちらこそ心外だ。私に当たるな。別に幅広くもてなくてもいいだろう。好きな女性が一人いれば十分人生楽しめる」
「お前の話は実直すぎて面白くない!もっと大きく視界を広げれば楽しい事が沢山あるはずだ!世界が狭いんだよお前は!」
「ほっておいてくれ」
「ほっておけるか、やはりここはひとつ街へ繰り出すべきだ!絶対そうすべきだ」
「今日はいかんと言っているだろう?ハリスも今日はやめておけ。疲れているなら部屋に戻って休め」
「いやだ!このままでは今日は終われないぞ!こんな気分で今日を終えたら明日も優鬱なままだ!外で気分転換する!」
「……ハリス」
「ルウドも来るんだ!でなきゃお前の秘密をティア様に垂れ流しするぞ?」
「秘密って…いまさら何が?」
何を秘密にしたとて部下にティア姫の間諜がいる以上すべて姫には筒抜けである。
ティア姫や部下達が知り得ない秘密がハリスにばれる筈もない。
「お前は朝早くから街へ出かけて、女性に会いに行ったのだろう?間違いない!」
「…思い込みだ。旅の男だぞ、会ったのは」
「お前は朝早くから男に会いに街に繰り出すのか?そんな事だからおかしな噂が流布するんだぞ!」
「如何わしい言い方をするな。世話になった旅人にあって何が悪いんだ」
「くうううっ、詰らんな。ではこれはどうだ?毎朝日課の騎士訓練で最近ある女性達と親しげだろう?いい感じだろう?」
「それは成り行きで……、いいだろう別に何でも」
「ティア姫にばれたらどうなるだろうかな?ふふふっ」
「……何か矛盾している気がする。その件に関してハリスは誰の味方なんだ?ばれたらまずいのはお前も同じだろう?」
「うううっ、痛い所を…」
【ルウド守り隊】は暗躍し、前進し続けている。
その暗躍には必ずハリスの協力があり、彼の仲介で彼女達はルウドに近づけていた。
しかしその件がティア姫にばれればハリスの命が危ぶまれた。
ハリスの仲介にも彼女達にも好意的なルウドもどうなるか分からない。
大変危ないつり橋を渡っている気分だ。
「……訓練後のタオルや飲み物くらい受け取って何が悪いんだ?私は貰えるものは遠慮なく貰うぞ」
「どうしても貰えないものもあるしね…」
「……」
なんだかしんみりしてしまった。
ハリスは食器を片づけるべく立ち上がる。
「外で飲み直すか。ルウドも行くだろう?」
「やっぱり行くんだ?」
「もう誘拐なんかされない様にしっかり付いててやるから一緒に来てくれ」
「……すこしだけだぞ?」
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