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恋堕ちデート調教
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「…………」
宮路は居心地悪く肩を揺らす。ニコの同伴者としてどういう目で見られるかは先程想像していたが、実際のそれは妙に生々しい。
落ち着かない。
そわそわとそちらに背中を向けようとした寸前、男が一歩踏み出した。咄嗟に逃げる判断ができない。ニコはどこだろう。宮路は迷子の子供のように人混みに目を向けるけれど、唯一の頼りが見つかる前に、大音量でも届く距離から声をかけられた。
「ニコの知り合いだよね。俺もあいつと友達なんだ。ちょっと話さない?」
「いや、あの、ごめんなさい。今相手を待っていて…」
「ニコが戻ってくるまでさ」
「あの…」
「ミヤくん」
唐突な声は馴染みのない名を使ったのに、それでも宮路は安堵する。取られた手首の先を見るまでもなく、宮路は彼だと確信していた。
「ニコさん」
「あれ、久しぶりだよね。ごめんね、俺の連れなんだ」
安堵に緩んだ声には答えず、ニコは短くその人物に笑いかけた。相手の反応を待たずにニコは宮路を振り返る。
「ミヤくん。そういえばいつものあれ持ってきた? お気に入りのアナルビーズ」
「っえ!? あ、あの、あの…っ!」
「鞄の中? 開けて見せて」
「や、や、やめてくださいっ!」
宮路は慌ててボディバッグを抱えるが、それよりニコの手が早かった。彼は小型の鞄を取り当然といった顔で開く。
先日から、ニコにはそれを持ち歩くよう言いつけられていた。その際隠すような梱包をするなとも。今日も持ってくるように言われていたので、宮路は命令通り、透明度の高い袋に包み鞄へ忍ばせていた。
ニコが鞄を開けば、ショッキングピンクのそれが当たり前に現れる。大きな玉が連なった、シリコンの玩具。
宮路は蒼白になった後真っ赤になって俯いた。それが何か、わからない人はこの店にはいないだろう。
「…………」
「お気に入りだからいつも持ち歩いてるんだよね。それじゃあトイレに行こうか。じゃあごめんね、ちょっと用事があるから」
「っな、なんで、なんで…」
何も言わなくなった知人を置いて、ニコは宮路の肩を抱いてトイレへ向かう。宮路は途中にある無人の廊下に入るなり声を荒げた。
「なっ、なんですか、さっきの! 一体どういう…っ」
「ナンパだよ」
「え?」
「さっきのあれはナンパ。宮路くんにハメたかったんだ。一応は知り合いだからね。撮影好きなのか淫語好きなのか、俺の趣味が楽しめるなら自分ともどうだって誘いたかったんだろう。…ゲイ受けする格好はさせてないつもりなんだけどな。メス臭かったかな」
独り言といった雰囲気の声はどこか冷たい。
「っに、ニコさん…?」
強く手を引かれるまま廊下を進む。
意外と清潔なトイレに人はいなかった。一番奥の個室へ押し込まれ、ニコも宮路の背中を押すように入ってくる。その手がいつもより乱暴な気がして宮路は慌てた。
「っに、ニコさん! ごめ、っ、ごめんなさい…っ」
「何が?」
「お、怒ってるから…」
「そう? だとしたら俺は何に怒ってると思う?」
「…………」
わからない。
前は自分がニコのメスだと認めていないと怒らせてしまった。けれど今はもう、積極的に認めているかはともかく否定しているつもりはない。その点で怒らせたとは思えない。
戸惑っているうちにニコは宮路を背中から抱きしめた。腰に回した手でベルトを外すと、そのままジーンズごと下着を膝まで下ろしてしまう。
宮路は居心地悪く肩を揺らす。ニコの同伴者としてどういう目で見られるかは先程想像していたが、実際のそれは妙に生々しい。
落ち着かない。
そわそわとそちらに背中を向けようとした寸前、男が一歩踏み出した。咄嗟に逃げる判断ができない。ニコはどこだろう。宮路は迷子の子供のように人混みに目を向けるけれど、唯一の頼りが見つかる前に、大音量でも届く距離から声をかけられた。
「ニコの知り合いだよね。俺もあいつと友達なんだ。ちょっと話さない?」
「いや、あの、ごめんなさい。今相手を待っていて…」
「ニコが戻ってくるまでさ」
「あの…」
「ミヤくん」
唐突な声は馴染みのない名を使ったのに、それでも宮路は安堵する。取られた手首の先を見るまでもなく、宮路は彼だと確信していた。
「ニコさん」
「あれ、久しぶりだよね。ごめんね、俺の連れなんだ」
安堵に緩んだ声には答えず、ニコは短くその人物に笑いかけた。相手の反応を待たずにニコは宮路を振り返る。
「ミヤくん。そういえばいつものあれ持ってきた? お気に入りのアナルビーズ」
「っえ!? あ、あの、あの…っ!」
「鞄の中? 開けて見せて」
「や、や、やめてくださいっ!」
宮路は慌ててボディバッグを抱えるが、それよりニコの手が早かった。彼は小型の鞄を取り当然といった顔で開く。
先日から、ニコにはそれを持ち歩くよう言いつけられていた。その際隠すような梱包をするなとも。今日も持ってくるように言われていたので、宮路は命令通り、透明度の高い袋に包み鞄へ忍ばせていた。
ニコが鞄を開けば、ショッキングピンクのそれが当たり前に現れる。大きな玉が連なった、シリコンの玩具。
宮路は蒼白になった後真っ赤になって俯いた。それが何か、わからない人はこの店にはいないだろう。
「…………」
「お気に入りだからいつも持ち歩いてるんだよね。それじゃあトイレに行こうか。じゃあごめんね、ちょっと用事があるから」
「っな、なんで、なんで…」
何も言わなくなった知人を置いて、ニコは宮路の肩を抱いてトイレへ向かう。宮路は途中にある無人の廊下に入るなり声を荒げた。
「なっ、なんですか、さっきの! 一体どういう…っ」
「ナンパだよ」
「え?」
「さっきのあれはナンパ。宮路くんにハメたかったんだ。一応は知り合いだからね。撮影好きなのか淫語好きなのか、俺の趣味が楽しめるなら自分ともどうだって誘いたかったんだろう。…ゲイ受けする格好はさせてないつもりなんだけどな。メス臭かったかな」
独り言といった雰囲気の声はどこか冷たい。
「っに、ニコさん…?」
強く手を引かれるまま廊下を進む。
意外と清潔なトイレに人はいなかった。一番奥の個室へ押し込まれ、ニコも宮路の背中を押すように入ってくる。その手がいつもより乱暴な気がして宮路は慌てた。
「っに、ニコさん! ごめ、っ、ごめんなさい…っ」
「何が?」
「お、怒ってるから…」
「そう? だとしたら俺は何に怒ってると思う?」
「…………」
わからない。
前は自分がニコのメスだと認めていないと怒らせてしまった。けれど今はもう、積極的に認めているかはともかく否定しているつもりはない。その点で怒らせたとは思えない。
戸惑っているうちにニコは宮路を背中から抱きしめた。腰に回した手でベルトを外すと、そのままジーンズごと下着を膝まで下ろしてしまう。
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