魔法少女チナツ

魔法少女1-1

　魔法少女に変身したその日から二週間ほど仕事を全て休みにした。
　インフルエンザと言ったら
「治るまで絶対に来るな」
　と言われた。
　なので、毎日俺は変身している。

　変身した初日
　俺が最初にしたことは鏡を背にして前屈みになる事だった。
　特にロリコンでは無かったと思うが、どうしてもやりたくなったのだ。
　男なら仕方がない！そうだろう？
　きっと分かってくれるはずだ！と、心の中で思いながら誰とは無しに呟く。

　そして、ゆっくり後ろの鏡を見ながら前屈みになっていく。
　ゆっくりゆっくり焦らすように……
　あと少しで見える！
　俺の息はハァハァとした息遣いに変わり、心臓はもうはち切れんばかりに鳴っていた。

　だが、そこには白い靄が覆っていた。
　どんな格好をしても、全く見えないのだ。
　M字開脚もY字バランスもしてみたが、一向に見えなかった。

　ガッカリ……いや、安心した。
　どんな体制になってもチラリは無いと確信した。


　その後取った行動はお風呂に入ることだった。

　ドタドタと急いで脱衣所へと走り、素早く服を脱いだ。

　焦らすようにはしなかった。
　何となく白い靄が掛かる気がしたからだ。

　何度も言うが俺はロリコンではない。

　もう一度いうがロリコンじゃない！

　誰とは無しに叫ぶと、脱衣所の鏡を見た。

　其処にはピンク色のロリ服を左手に握りながら、右手にハートのステッキを握りしめた腹の出たおっさんが立っていた。

　顔はだらしなく歪み
　頬は少し赤かった
　誰が見ても間違わない程の変態がそこに居たのだ。

　つい思わず

　「変態か！」

　と、叫んだが
　間違いなく自分の口から出た言葉だった。