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大学を、東京で

21.秘め事(2) ※成人向け

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 下着を脱がせようとすると、初めて智は抵抗を見せた。
 だが、些細ささいなものだ。元ヤンなんだから、僕を殴るでも蹴るでもすればいいのに。

「やめろ、って! これ以上何がしたいんだよ! こんなの変だ……っ」
「そう? だって智は気持ち好いのが好きなんだろ」
「そんなこと言ってねえ……!」
「そうは聞こえなかったけど」

 達したばかりだからだろうか、力の入っていないしゃがみ込んだ智から下着を引き抜く。
 秘されたそこにあったのは、自ら吐き出した白でぐしょぐしょな、赤い性器。
 なんて、いやらしい。

「やだ、見るな……!」

 足を丸めて隠そうとする、愛らしさ。男同士なのだから堂々と開き直ればいいのに、そうせずに恥じらう姿は、僕の欲情を誘うことに気付かないのか。

「誘ってる?」
「何をだよ」
「分からない?」

 意味を込めて。欲の眼差しで智を見遣ると、性欲の対象とされた彼はようやく自分が獲物であることに気が付いたようだ。さあっと血の気が失せていく。

「や、だ。何考えてるんだ。おかしいよ、お前」
「智の所為だよ」
「何で俺が……!」
「智は知らないだけだ」

 どれだけ僕が我慢してきたか。
 智を他人に盗られても耐えて、耐えて。
 それが智のためだと思ったから。
 それなのに智は。
 僕の知らない間に、智は。

「誰でもいいなら僕でもいいだろ」

 足を無理矢理割り開いて、智の秘部を露出させる。
 桃色のすぼまり。きれいな色。智の肌は白いのに、そこだけ色付いて、まるで欲しがっているみたいに見える。

(幻想だ、それは)

 そんなの知っているのに。
 智の白濁を指にまぶして、まだ誰も踏み入っていない場所へと、滑らせる。

「……っあ!」

 背中をびくんと揺らせた智は可愛い。
 中は肌よりずっと熱くて、食いしばるみたいに僕を拒んでくる。
 怖いのだろう。顔を引きつらせて肩が震えている。
 早く殴れよ。僕を排除しろ。
 そうじゃないと僕は。

「智……っ!」

 口づけて、溺れていく。
 智の中は熱い。上も、下も。入り込んで溶けてしまいたくなる。
 舌をふれ合わせていたら、しずしずと応じてくれるから、このひとをめちゃくちゃに犯したくなる。

(きつい、し)

 少量の精液ではこれ以上進まない気がした。
 潤滑剤、と頭が回る。そんなもの家にあっただろうかと考えて、揚げ物のために出してあった油のボトルを思い付く。

「なに、してん、だ」

 恐怖の目で見る智には答えず、手のひらをびちゃびちゃに濡らして再び智へと突き入れた。
 滑りの良くなった場所は、奥へ進むほど柔らかい。感嘆してしまって、もっと先が知りたくなる。

(ここに、包まれたい)

 智の襞に絡められて、そうしてここで自分の遺伝子を吐き出して、みたい。
 どんどん欲が深くなる。
 いやいやと首を振って目の潤んでいる智は、余計に色っぽくて、興奮が増殖していく。

「早音、お願い、だから、やめ」
「止めると思う? 智も本当は続きして欲しいだろ」

 だって、ほら。
 萎えていたはずの智自身が、力を取り戻しつつある。

「ちが、う、身体が勝手に」
「勝手に?」

 こんな場所を踏み荒らされて欲情するのだと白状したことに気付いていない智は、続きを言えないまま俯いた。ああもう、可愛いな、苛々する。
 智が声を抑えられないくらいになるまで、指でもてあそんで。

(凄いな。前立腺いじると本当にこうなるんだ)

 息も苦しいというように、はくはくと呼吸をして、僕がそこを擦るたびに智の足が震える。
 甘い喘ぎがひっきりなしに漏れて、なんて愛らしくて猥らなんだろうと、怒りとも発情とも付かない感情が押し寄せてくる。
 指だけでこんなに乱れる智に、挿れたら、どうなるのだろう。

(あ、だめだ)

 僕の下で善がる智が見たい。
 僕の所為で、壊れてみて欲しい。
 他の誰かじゃなく、僕の、所為で。

「智」

 智の好きなキスをして。
 部屋着のスエットを脱ぎつつ、下着も下ろすと。

「何で……っ、もやしっ子の、くせに」

 智から悲鳴が上がる。
 怖がって、可哀想に。

(好きだよ、智)

 その愛情から僕は、唯一無二の親友を汚す。

 座った膝の上に智を抱え上げ、台所の棚に背中を押し付けて逃げようとするのを押さえ込み、そうして、侵入した。
 入り口に食いちぎられるんじゃないかと思った。
 智の目から涙が落ちる。
 あのとき以来、泣いたことのなかった瞳から。
 痛くしてごめんね。汚してごめんね。でも智が悪い。

「あ、あ、あ……っ! なん、でぇ、はいらない、そんなの」
「大丈夫」

 深く、深く、腰を進める。
 智がどんどん発熱していくのが分かる。

「あつい、やける……っ!」

 ああ、僕の熱が移っているのか。
 なんてぞくぞくする出来事だろう。
 抱きしめる腕が自然と強くなる。
 このままずっと閉じ込めておきたい。

「全部、入ったよ、智」
「うそ、だ」

 僕の欲が智の中をぎちぎちに埋めている。
 まだ誰も知らない、狭い内側が、僕の所為でうごめいている。

(ああ、駄目だ)

 気持ち好すぎてどうにかなりそうだ。
 智を揺すって、腰を突き上げる。

「あっ、ん、やぁ……! やめろ、さね……!」
「やめないって」

 智のきれいな顔がぼろぼろだ。
 何という優越感だろう。
 こんなぐちゃぐちゃの智を、僕だけが知っているのだ。

(可愛い。可愛い。もっと)

 嫌だ嫌だと言いながら甘く喘ぐ智の奥を荒らせば荒らすほど。
 智がきゅうきゅうと締め付けてくるから、耐えているのがどんどん辛くなる。
 同時に、智がもう、息もできないというように高く鳴いているのが分かって。

「気持ち好い? 智」

 思わずそう問いかけたのに、答えはない。だが、僕を拒んで僕の肩の辺りに爪を立てていた智が、そっと、首に腕を回してきた。

「さね」

 どうして僕を呼ぶの。
 抱きついて、腰に足を引っかけて、内側を絞り上げて。

「智」

 もう、理性が効かない。
 そんなもの、最初からなかったかもしれないけど。
 突き上げて、突き上げて。
 智の涙が僕の肩に落ちるまで。

「あぁ、ぁ……っ!」

 痙攣する内側に吐き出さなかった。
 最後の最後に、智が後で苦労するかもなんて、心配が過った。
 ふたりで互いの腹を汚し合って。
 意識が薄らぎそうなくらいの快楽を、分け合った。

 もう、僕は戻れないだろう。
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