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第四十七話
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来てくれた。
アマリーの涙を堪えた大きな潤んだ瞳から、一筋の涙が溢れ落ちた。
ルルドが、剣を構え、そこには立っていた。
トゥルキはベッドから蹴落とされ、床で腹を押されながら呻き声をあげている。
背中にはおっていたマントを脱ぐと、起き上がったアマリーの震える体をマントが包み込んだ。
「遅くなった。」
その顔は怒りに燃えており、アマリーの涙をそっと拭うと、剣を引き抜き、トゥルキへと向けた。
起き上がったトゥルキはルルドが現れたことに目を丸くして驚いたが、ルルドが問答無用で剣で襲いかかってきて慌てて逃げた。
「ま、待て、落ち着け、俺は丸腰だぞ?」
「黙れ。」
ルルドはそう言うと、容赦なく剣を振るう。
トゥルキは慌てて近くにおいてあった剣を取るとルルドと剣を交えるが、意図も容易く剣を弾き飛ばされてしまう。
明らかにルルドはトゥルキを切るつもりで剣を振るっており、トゥルキは必死に逃げ惑った。
そして、最後には部屋の隅へと追いやられ、尻餅をつき、両手を上げた。
「ま、待て。俺は王弟だぞ?」
「弱肉強食なのだろう?」
「そ、それは。」
「死んで詫びろ。」
「やめろ!!!、、ぅ、、、」
トゥルキはその場に倒れたが、どうやらルルドは剣の柄で殴ったらしく、気を失っているようであった。
ルルドは、剣を鞘に戻すと、アマリーの方へと戻ると、そっと、アマリーの頬に触れた。
「遅くなった。怖かっただろう?」
きっと襲われ、恐怖したアマリーに気遣ってだろう。最低限しか触れてこない、その優しさにアマリーの心は震えた。
そして、堪えていた涙が溢れ出す。
来てくれた。
目の前には、愛しい人がいる。
「す、すまない。本当に遅くなった。」
いつもは鋭い瞳が、自分を見るときだけ優しく変わる。
武骨な手だが、触れる時は丁寧にそっと伸ばし、宝物のように触れてくれる。
ぱっと手を離したルルドに、アマリーは両手を広げて伸ばすと、すがるように抱きついた。
「る、、、ルルド様。こわ、、、怖かった。」
まだ力の入らない体ではあるが、必死にルルドに抱きつくと、その時になってやっと薬を使われているという事にルルドも気が付いた。
アマリーの震える体をルルドは抱きしめた。
「薬か、、アマリー辛くはないか?大丈夫か?」
低い声が心地よくアマリーの心を満たす。
「抱きしめて。本当に、怖かったの。お願い、きつく抱きしめて。」
必死にしがみついてくるアマリーの体をルルドは抱きしめた。
「もう。大丈夫だ。」
「はい。」
温かなルルドの体温と、心臓の音。
先程の不快な感覚から、まるで解き放たれるように幸せが心を満たす。
自分が触れてほしいのは、唯一、ルルドだけなのだ。
「ルルド様。」
大好きな人。
愛しい人。
唯一の人。
震えは収まり、アマリーはにこりと笑みを浮かべた。
「助けてくれて、ありがとうございます。」
ルルドはそんなアマリーにそっとキスをした。
アマリーは顔を真っ赤に染めながらも、もう一度してほしくて瞳を閉じた。
ルルドはもう一度キスをしてから、アマリーの肩に顔を埋めた。
「そんなに可愛いから、狙われるのだ。」
「え?」
「何でもない。」
ルルドはそう言うとまたアマリーをきつく抱きしめた。
アマリーの涙を堪えた大きな潤んだ瞳から、一筋の涙が溢れ落ちた。
ルルドが、剣を構え、そこには立っていた。
トゥルキはベッドから蹴落とされ、床で腹を押されながら呻き声をあげている。
背中にはおっていたマントを脱ぐと、起き上がったアマリーの震える体をマントが包み込んだ。
「遅くなった。」
その顔は怒りに燃えており、アマリーの涙をそっと拭うと、剣を引き抜き、トゥルキへと向けた。
起き上がったトゥルキはルルドが現れたことに目を丸くして驚いたが、ルルドが問答無用で剣で襲いかかってきて慌てて逃げた。
「ま、待て、落ち着け、俺は丸腰だぞ?」
「黙れ。」
ルルドはそう言うと、容赦なく剣を振るう。
トゥルキは慌てて近くにおいてあった剣を取るとルルドと剣を交えるが、意図も容易く剣を弾き飛ばされてしまう。
明らかにルルドはトゥルキを切るつもりで剣を振るっており、トゥルキは必死に逃げ惑った。
そして、最後には部屋の隅へと追いやられ、尻餅をつき、両手を上げた。
「ま、待て。俺は王弟だぞ?」
「弱肉強食なのだろう?」
「そ、それは。」
「死んで詫びろ。」
「やめろ!!!、、ぅ、、、」
トゥルキはその場に倒れたが、どうやらルルドは剣の柄で殴ったらしく、気を失っているようであった。
ルルドは、剣を鞘に戻すと、アマリーの方へと戻ると、そっと、アマリーの頬に触れた。
「遅くなった。怖かっただろう?」
きっと襲われ、恐怖したアマリーに気遣ってだろう。最低限しか触れてこない、その優しさにアマリーの心は震えた。
そして、堪えていた涙が溢れ出す。
来てくれた。
目の前には、愛しい人がいる。
「す、すまない。本当に遅くなった。」
いつもは鋭い瞳が、自分を見るときだけ優しく変わる。
武骨な手だが、触れる時は丁寧にそっと伸ばし、宝物のように触れてくれる。
ぱっと手を離したルルドに、アマリーは両手を広げて伸ばすと、すがるように抱きついた。
「る、、、ルルド様。こわ、、、怖かった。」
まだ力の入らない体ではあるが、必死にルルドに抱きつくと、その時になってやっと薬を使われているという事にルルドも気が付いた。
アマリーの震える体をルルドは抱きしめた。
「薬か、、アマリー辛くはないか?大丈夫か?」
低い声が心地よくアマリーの心を満たす。
「抱きしめて。本当に、怖かったの。お願い、きつく抱きしめて。」
必死にしがみついてくるアマリーの体をルルドは抱きしめた。
「もう。大丈夫だ。」
「はい。」
温かなルルドの体温と、心臓の音。
先程の不快な感覚から、まるで解き放たれるように幸せが心を満たす。
自分が触れてほしいのは、唯一、ルルドだけなのだ。
「ルルド様。」
大好きな人。
愛しい人。
唯一の人。
震えは収まり、アマリーはにこりと笑みを浮かべた。
「助けてくれて、ありがとうございます。」
ルルドはそんなアマリーにそっとキスをした。
アマリーは顔を真っ赤に染めながらも、もう一度してほしくて瞳を閉じた。
ルルドはもう一度キスをしてから、アマリーの肩に顔を埋めた。
「そんなに可愛いから、狙われるのだ。」
「え?」
「何でもない。」
ルルドはそう言うとまたアマリーをきつく抱きしめた。
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