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第二章
第十二話
しおりを挟むその日の夜、フィリアはゆっくりと風呂に入っていると自分の腕の紋様が広がってきていることに気がついた。
なんだろうかと思いながら、指でなぞると、続々とした何かが背中を這い回るような感覚を覚えた。
これは明らかに呪いである。
きっと自分が過去に飛ばされたことと繋がっているとは思うのだが、こんな呪い見たことがなく、しばらくの間、フィリアは呪いの紋様を調べていた。
そしてふとどこかで見たことがある気がしてきて眉間にシワがよった。
どこかで見ている。
しかも、ごく最近である。
首かしげたとき、フィリアははっとすると、慌てて風呂場からでるとタオルで体を巻き付けて外に飛び出した。
それに驚いたのは、獣人を念のためにと部屋で変な仕掛けをされていないか調べていたグリードであった。
グリードはフィリアの格好を見た瞬間に顔を真っ赤に染めて両手で慌てて顔をおおった。
獣人の令嬢は驚きのあまり毛が逆立っている。
だがフィリアはそんなことはお構いなしに獣人の令嬢の首にかかる宝珠を見てそして指先でそれを調べながら頷いた。
「やっぱり、これだわ。」
フィリアの声に、グリードは言った。
「よくわからないけど、とにかく服を来てくれ!」
その時であった。
部屋をノックしたのちにニフエルが部屋に入ってきて、グリードは思わずニフエルに飛びかかってその目を塞いだ。
ニフエルは現状が把握できなかったが、一瞬フィリアの様子が見えたのであろう。
大きくため息をついて声をあげた。
「服を着てください。聖なる乙女がなんとハレンチな。」
フィリアは自分が服を着ていなかった事を思い出すと頷き慌ててワンピースを着た。
「はい。着たわよ。」
グリードはその言葉にニフエルから手を離すと、フィリアに詰め寄った。
「女の子があんな、裸同然の姿で風呂場から出てくるものじゃない!」
「ごめんなさい。つい気になって。ねぇ、見て?この腕の紋様と、宝珠の紋様が似ていない?」
フィリアのその言葉に三人は食い入るようにフィリアの腕と宝珠を見比べた。
そしてしばらく考え込んだ後に、ニフエルが言った。
「似てはいますが、、、これは、、同じではないですね。」
「そうなの?これも関係していると思うのだけれどなぁ。」
「あぁ。確かに、、、なんだか、宝珠と対のように見えるな。」
グリードの言葉にニフエルがなるほどと頷いた。
確かに、宝珠に合わせると対のように見える。
「これは、調べる必要がありそうですね。」
ニフエルは少し楽しそうに笑みを浮かべるのであった。
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