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プロローグ
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「私と結婚をしないか?」
悲劇の始まりはその一言
当時10歳の平民の私に
突然婚約を申し込んできたフェルト国の貴族
ルクスリア・アンブラー公爵の言葉
当時、両親はその言葉に大いに喜んだルクスリア公爵は民からも人気がある美形で
必ず私を幸せにしてくれると
そして私も両親が喜んでくれるならと引き受けた
これが大きな間違いだ
フェルト国では結婚できるのは16歳から、ルクスリア公爵は20歳
私は10歳、なので6年間の間は公爵家で嫁入り前の勉強として連れて行かれた
公爵家に着いて早々に私は家の掃除をしろと言われる
寒い冬の中、水に手を入れ…震えながら掃除をしていく
広い家を掃除するのにたくさんの時間がかかった
「掃除は済んだのか?」
「はい!ルクスリア様!」
寒い中、頑張った私の手は震えている
けど褒めてもらえるかもしれない、だってこの人は婚約者だから
そう思っていたが
バシン!!
飛んできたのは平手だった
叩かれたほほが熱く、鋭い痛みが走った
「時間がかかりすぎだ、もう少し使えると思ったがな…」
「ル…ルクスリア…様?」
「はぁ…使えないな…本当に」
今ならわかる
ルクスリア様は婚約者が欲しかったのではない
都合のいい奴隷が欲しかったんだ、ストレス発散できる奴隷が
それから、こじつけのような理由と共に暴力を振るわれる日々が始まった
「窓が少し汚れている…お前は何もできないな」
「掃除の際に物の位置を少しもずらすな、そんな事もできないのか」
「おい、服にしわが少しあるな…数日飯は抜きだ」
日に日にエスカレートしていく暴力
私の顔や体には常に青あざができ、血もよく流した
それでも私は公爵家に軟禁されていたためにルクスリア様の行為を知る者はいない
私はルクスリア様に認めてもらおうと、努力した
言われた事を守り、忠実に従った…この時から感情を無くしていった
ある時、ふと机の上に本が置かれていた
「魔法教本・初級」と書かれていた
私は隠れてその本を読み、魔法を学ぶことにした
夜な夜な、起きてはその本を読んだ
この生活を少しでも良くするためにだ
水を温めるために火の魔法を
埃をはくために風の魔法を
生け花を枯らさぬように水の魔法を
そして物を自在に動かすような魔法まで
徐々に魔法が使える事に自分でも喜んだ
そしてこう思った
(今の私ならルクスリア様も褒めてくれる)
私はルクスリア様に初めて魔法を見せた
だが、反応は違っていた
「それは、魔法が使えなかった俺への当てつけか?」
「ち、違いま…」
鈍い音と共に、顔を殴られた
そしてそのまま腹に蹴りを
「俺が魔法をできないから見せつけたんだよな!?本当にクズだお前は!!使えない!!お前は一人じゃ何もできないのだから大人しく家事だけをしておけ!!」
「ご…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい」
私は逃げ出したくて、でもできなくて謝るしか出来なかった
その日から暴力は更にひどくなった
けど、望みがなかった訳じゃない
私には両親がいる、きっと迎えに来てくれる…優しい母や父が
きっと顔を出さない私を心配してくれているはずだ
1年…
2年……
3年………
両親は会いに来なかった
「お前の両親は使えないクズを処分できて良かったとさ、お前は使えないからな」
ある日、ルクスリア様はそう言った
私の心は完全に壊れた
「ごめんなさい…ごめんなさい」
そう言い続けて暴力の日々を過ごした
それでも、魔法を勉強するのはやめなかった
教本は取られたが独学でずっと魔法は使っていた、きっとなにか役に立つはずだ
婚約してから6年
私は16歳になった
明日、ルクスリア様と正式に結婚する事となる
だが、形だけだ
この日、私は決心した
確かめるためだ、両親の気持ちを
手紙がきていたのは知っていた
私に隠していることも、ルクスリア様が絶対に空けるなと言っていた引き出しを魔法で強引に空ける
そこには多くの手紙があった
全て私の両親から
ーーーーー
○月△5日
ルクスリア様へ
娘はどうでしょうか?
元気にやっているでしょうか、あの子はドジな所もありますがいい子です
どうかよろしくお願いします
○月△9日
ルクスリア様へ
娘は帰って来る日はいつになるでしょうか?
きっとあの子も寂しがると思うので会わせていただいてもいいですか?
ご都合が悪ければこちらから伺います
△月×2日
ルクスリア様へ
あの子が私達と会いたくないと言っている?
そんなはずはありません、絶対に会いに行きます
愛するあの子がそんな事いうわけがありません
△月×5日
娘に会わせてください!!
元気だというならせめて一目だけでも!!
△月×9日
お願いします…お願いします
娘を返してください
私は長くありません……せめて少しでも話をさせてください
×月×9日
本日、あの子の母が亡くなりました
病気です、私も同じく長くはありません…どうか最後に娘の無事だけでも
あの子に母の死に目にも会わせてやれないなんて
ーーーーーー
震える指で、一番新しい手紙を開いた
□月○○日
フェルト国役所より連絡です
本日、ルクスリア公爵家の婚約者アリサ様の父上であるオリエント様が病気によりお亡くなりになりました
葬儀の日にちについては……
最後の日にちは…
1年前だった
ーーーーーー
私は公爵家を飛び出した
鍵のついた扉は魔法で吹き飛ばした、止めようとして来た衛兵達も皆
公爵家には書きなぐるようにメモを残した
ー婚約破棄しますーと
あてもなく、泣きながら走った
裸足で、服もボロボロだった
街を走る私を心配や好奇の目が見つめる
全てを無視して、私は走った、逃げ出したくて、早く離れたくて
私はフェルト国を出て
そしてあの家にたどり着いた
今日、この日…この地獄の日々が終わりを告げた
悲劇の始まりはその一言
当時10歳の平民の私に
突然婚約を申し込んできたフェルト国の貴族
ルクスリア・アンブラー公爵の言葉
当時、両親はその言葉に大いに喜んだルクスリア公爵は民からも人気がある美形で
必ず私を幸せにしてくれると
そして私も両親が喜んでくれるならと引き受けた
これが大きな間違いだ
フェルト国では結婚できるのは16歳から、ルクスリア公爵は20歳
私は10歳、なので6年間の間は公爵家で嫁入り前の勉強として連れて行かれた
公爵家に着いて早々に私は家の掃除をしろと言われる
寒い冬の中、水に手を入れ…震えながら掃除をしていく
広い家を掃除するのにたくさんの時間がかかった
「掃除は済んだのか?」
「はい!ルクスリア様!」
寒い中、頑張った私の手は震えている
けど褒めてもらえるかもしれない、だってこの人は婚約者だから
そう思っていたが
バシン!!
飛んできたのは平手だった
叩かれたほほが熱く、鋭い痛みが走った
「時間がかかりすぎだ、もう少し使えると思ったがな…」
「ル…ルクスリア…様?」
「はぁ…使えないな…本当に」
今ならわかる
ルクスリア様は婚約者が欲しかったのではない
都合のいい奴隷が欲しかったんだ、ストレス発散できる奴隷が
それから、こじつけのような理由と共に暴力を振るわれる日々が始まった
「窓が少し汚れている…お前は何もできないな」
「掃除の際に物の位置を少しもずらすな、そんな事もできないのか」
「おい、服にしわが少しあるな…数日飯は抜きだ」
日に日にエスカレートしていく暴力
私の顔や体には常に青あざができ、血もよく流した
それでも私は公爵家に軟禁されていたためにルクスリア様の行為を知る者はいない
私はルクスリア様に認めてもらおうと、努力した
言われた事を守り、忠実に従った…この時から感情を無くしていった
ある時、ふと机の上に本が置かれていた
「魔法教本・初級」と書かれていた
私は隠れてその本を読み、魔法を学ぶことにした
夜な夜な、起きてはその本を読んだ
この生活を少しでも良くするためにだ
水を温めるために火の魔法を
埃をはくために風の魔法を
生け花を枯らさぬように水の魔法を
そして物を自在に動かすような魔法まで
徐々に魔法が使える事に自分でも喜んだ
そしてこう思った
(今の私ならルクスリア様も褒めてくれる)
私はルクスリア様に初めて魔法を見せた
だが、反応は違っていた
「それは、魔法が使えなかった俺への当てつけか?」
「ち、違いま…」
鈍い音と共に、顔を殴られた
そしてそのまま腹に蹴りを
「俺が魔法をできないから見せつけたんだよな!?本当にクズだお前は!!使えない!!お前は一人じゃ何もできないのだから大人しく家事だけをしておけ!!」
「ご…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい」
私は逃げ出したくて、でもできなくて謝るしか出来なかった
その日から暴力は更にひどくなった
けど、望みがなかった訳じゃない
私には両親がいる、きっと迎えに来てくれる…優しい母や父が
きっと顔を出さない私を心配してくれているはずだ
1年…
2年……
3年………
両親は会いに来なかった
「お前の両親は使えないクズを処分できて良かったとさ、お前は使えないからな」
ある日、ルクスリア様はそう言った
私の心は完全に壊れた
「ごめんなさい…ごめんなさい」
そう言い続けて暴力の日々を過ごした
それでも、魔法を勉強するのはやめなかった
教本は取られたが独学でずっと魔法は使っていた、きっとなにか役に立つはずだ
婚約してから6年
私は16歳になった
明日、ルクスリア様と正式に結婚する事となる
だが、形だけだ
この日、私は決心した
確かめるためだ、両親の気持ちを
手紙がきていたのは知っていた
私に隠していることも、ルクスリア様が絶対に空けるなと言っていた引き出しを魔法で強引に空ける
そこには多くの手紙があった
全て私の両親から
ーーーーー
○月△5日
ルクスリア様へ
娘はどうでしょうか?
元気にやっているでしょうか、あの子はドジな所もありますがいい子です
どうかよろしくお願いします
○月△9日
ルクスリア様へ
娘は帰って来る日はいつになるでしょうか?
きっとあの子も寂しがると思うので会わせていただいてもいいですか?
ご都合が悪ければこちらから伺います
△月×2日
ルクスリア様へ
あの子が私達と会いたくないと言っている?
そんなはずはありません、絶対に会いに行きます
愛するあの子がそんな事いうわけがありません
△月×5日
娘に会わせてください!!
元気だというならせめて一目だけでも!!
△月×9日
お願いします…お願いします
娘を返してください
私は長くありません……せめて少しでも話をさせてください
×月×9日
本日、あの子の母が亡くなりました
病気です、私も同じく長くはありません…どうか最後に娘の無事だけでも
あの子に母の死に目にも会わせてやれないなんて
ーーーーーー
震える指で、一番新しい手紙を開いた
□月○○日
フェルト国役所より連絡です
本日、ルクスリア公爵家の婚約者アリサ様の父上であるオリエント様が病気によりお亡くなりになりました
葬儀の日にちについては……
最後の日にちは…
1年前だった
ーーーーーー
私は公爵家を飛び出した
鍵のついた扉は魔法で吹き飛ばした、止めようとして来た衛兵達も皆
公爵家には書きなぐるようにメモを残した
ー婚約破棄しますーと
あてもなく、泣きながら走った
裸足で、服もボロボロだった
街を走る私を心配や好奇の目が見つめる
全てを無視して、私は走った、逃げ出したくて、早く離れたくて
私はフェルト国を出て
そしてあの家にたどり着いた
今日、この日…この地獄の日々が終わりを告げた
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