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5話ー条件がありますー
しおりを挟む「あの…カイエン様…弟子にしてくださいとは一体何を?」
「魔法!さっきの回復魔法だよ!師匠でもそんな魔法は使えなかったんだ!それを教えてほしい!」
先ほどまでの口調を忘れたように子供のようにお願いするカイエン様
オリビア様も、エブリン様も驚いていた
「ねぇ、カイエン…その師匠って何なの?」
「母さん。師匠は街に住んでいる魔法使いだよ!学校をサボってそこで魔法を教えてもらってたんだ、魔法を使えるのはここでは師匠だけだから、けどアリサさんがいるならもう大丈夫!」
「そういうことだったのね…いじめとかじゃなくて良かった…」
オリビア様はカイエン様の学校に行っていない理由を聞いてすこし安心していた
だが
「カイエン、それは学校をサボっていい理由にはならないわ!」
「それは違うよ母さん!魔法は世界を変える学問なんだ!」
「うっ…エブリン!あなたからも何か言ってよ」
オリビア様はこの場で最も年長であるエブリン様に助けを求めたが
「すいません奥様…私は少しカイエン様に賛成です」
「エブリン!!」
嬉しそうにカイエン様がエブリン様に抱きつく
「どうして…エブリン、理由を聞かせて」
「奥様、私は本日アリサの魔法の凄さを見ているのです、確かに魔法は凄い…アリサの教えなら本当にカイエン様は高名な魔法使いになれるかもしれません」
「いえ!それは違うわ!何かを成し遂げるためにはまずは学問を学ぶべきだわ!」
バチバチと火花が散るが、やがて視線が私に向く
私の意見を待っているのだろう…
どうしようか…いや答えは決まっている、私はどちらも大事に思えるから
学問はもちろん、魔法は私を救ってくれた
だから
「カイエン様、一つ条件があります」
「!!…なんですか?」
「学校には行ってください、私は学校に行った日のみカイエン様に魔法をお教えします」
「で、でも…今は魔法の方が…」
「カイエン様、奥様の言う通り学問も、魔法もどちらも大変大事な事です、だからこそどちらも学んでください…それはいずれあなたの将来の選択肢になるんです」
「う…わ、分かった…約束するよ!」
「はい、ありがとうございますカイエン様」
納得してくれたようだ
瞬間、オリビア様が私を抱きしめる
「ありがとう!!アリサちゃん~」
「お、奥様…」
「あんた、本当にいい子だね」
「エブリン様まで…」
二人に褒められ、思わず顔が赤くなる
嬉しくて思わず笑顔になってしまう
「それじゃあ明日から!!」
カイエン様はワクワクした様子で部屋を出る
「そういえばあの子…口調はもういいのかしら」
「アッ…奥様…」
エブリン様が止めたがオリビア様の言葉はしっかりカイエン様に届いたのだろう
思い出したように部屋に再度戻ってきて
意味深なポーズを取った
「ふっ…明日から常夜の修練を頼むぞ癒しの担い手よ…」
「は…はい…」
カイエン様は満足したように部屋を出ていく
こうして私のベルモンド家での初日はドタバタと終わった
だが、これが始まりでもあったのだ
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