【完結】もう我慢できないので婚約破棄してください!!逃げ出した先の伯爵家に愛されすぎてます

なか

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14話ー私がー

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「いやぁぁ!!!お願い!!お願い!!起きてよ!」

オリビア様の泣き声が聞こえる
悲鳴のように、いつも強くて綺麗で…本当のお母さんのような

そんなオリビア様が
髪を乱して泣いていた




「なんとか!助からないのですか!?」

「申し訳ありません……手は尽くしましたが…」

いつも冷静で、焦った姿を見たことないハウル様も
涙を浮かべて必死に聞いている




「………………ア…アリサ?」

状況が分からないのか、カイエン様は私の手を握った
私は……
私は……


ー私が絶対になんとかしてみせますー


あぁ、私が…なんとか







かつて、あの屋敷で
あの貴族、ルクスリアにいたぶられていた時の言葉が浮ぶ

ーお前はなにもできないー


ーお前みたいなクズは社会に必要ないー

違う


ー役立たずなんだよお前はー

違う!!



頭に浮ぶ言葉、罵倒にあらがうように前に進む

私は、この家族に拾っていただいた
だから悲しむ姿なんて見たくない

役立たずなんかじゃない…






前に進む私をエブリン様が呼び止める


「ど、どうしたんだい?アリサ……」

「………………」

その言葉に返事することはなかった
ただ、前に進む

いや勝手に進んでいたのだ

私の意識はすでになくなっていたのだから









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お、お待ちよ!アリサ!」

止めようとしたエブリンをルルが静止した

「ルル、なにを…」

「私にも分かりません!!だけど、アリサはなにかをしようとしています」

「な、なにかを………………」

ルルはアリサを見つめる
すでに意識はないのだろう、フラフラとオリビアの元に向かっている

(けど、信じられない量の魔力が今のアリサに集まってる…さっきまでは魔力が尽きていたのに……有り得ない、何が起こっているの?)

今現在も増え続ける魔力は次々とアリサに蓄積されていく
あふれんばかりの魔力が
アリサの無意識下でなにかを発動させようとしている


「そうか…」

ルルは何かに気づいたように窓から外を見た

「やっぱり……」

外では植物や動物、小さな虫に至るまで
かなりの範囲で生物が光輝き、その身に宿る微小な魔力をアリサにささげていたのだ

聞いたことがある
かつて聖女と呼ばれていた者を
生物に愛され、愛する女性
奇跡と呼ばれる力を使い
人々を導く存在
そして、その奇跡の中には……


「皆さん!!アリサを止めないで!!オリビア様の元へ!!」


ルルの声に、制止しようとしていたハウル様やエブリン様
そしてカイエン様が振り返る


「アリサは!!諦めてない!!救おうとしてるの!私達を!家族を!!」

その言葉に、アリサを止める者はいなくなった
産婆も行く手を空け
アリサはオリビアの前に進んだ




「ア、アリサ………………ちゃん…」

涙を浮かべるオリビアに
無意識のアリサは笑顔を浮かべた

「大丈夫で……す…私が……絶対に……」

そうつぶやきながら
オリビアの抱いていた赤子に触れる




瞬間、あふれんばかりの光がきらめいた
昼間だと勘違いしてしまう、優しい光

真っ白に部屋中が包まれた





すごい……



魔法を学んでいたルルはそう思った

その魔法の構築は見ていても気が遠くなるほど複雑だ
だが、それらは規則正しく構築されていく

さらに、無数の魔力が注がれていく
周囲の全ての生物がアリサの想いを願いを叶えるために魔力を分けている

涙が、流れた………………

こんな美しい魔法をルルは見たことがなかった
優しくて綺麗な魔法


「アリサ!」

ルルがそう叫ぶと魔力がアリサに流れていく
助けたいという気持ちに答えるように

それを見た全員がアリサの名前を呼んだ
全員が願いを叶えるために、彼女のために



アリサが無意識に構築した魔法
かつて聖女が行い、再現が不可能な究極の魔法

天使の音アンジェラス


膨大な魔力によって魂を呼び起こす奇跡の魔法

実現不可能と言われた
それを彼女の願いを叶えるために
皆が一つになったことにより実現させたのだった








光が消えていく
部屋に、いつもの光が戻る

だけど先程と違う事があった

泣き声だ

それは赤子の
命の狼煙を上げた泣き声が部屋に響いた


「ありがとう……ありがとう……アリサちゃん…」


意識を失って倒れるアリサと泣き声をあげる赤子を抱きしめ
オリビアは、先ほどまでと違う……嬉しさに溢れた涙を流した



















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「起きたみたいだよ」

エブリンの言葉にみんなが集まる
ベッドから起き上がったアリサは辺りを見渡した

「アリサ、あんたは本当に…感謝しても足りないよ」

「君には無限の感謝を、ベルモンド家を代表して…オリビアも今は眠っているが心から感謝しているよ」


エブリン、ハウルの言葉をアリサは黙って見ていた


「あんた!!本当にすごいよ!!アリサ!」


抱きつき喜ぶルルに、アリサは黙ってされるがままだ


「さすがは癒しの担い手…いや……アリサ…ありがとう!!」

カイエンの言葉に振り向き
目を合わせる
そしてアリサは口を開けた


「あの…あなたたちは……いや……」





















「私は誰なんですか?」





































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