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23.忘れていた謳い文句、解放
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「体力、多すぎですわ・・・」
「だから戦う必要なんかないって言ったじゃねぇか。」
アーニルケの街に戻ったアヤカの第一声に、俺も疲れているが一応突っ込んでおく。いや、突っ込まなきゃよかった、余計に疲れる。
「銃弾、殆ど残ってないよ。最近、こんな戦いばっかりだ・・・」
ご愁傷様としか言えないな。文句ならアヤカに言ってくれ。
それでも姫が居なかったらもっと時間が掛かっていただろうな。
とは言え、原石が揃ったので真っ先に俺らは鍛冶屋に向かう。
片手剣 【神剣ラーズアルティア】
太刀 【絶華一刀 繚乱姫媚】(ぜっかいっとう りょうらんきび)
二丁拳銃 【双幻月 朧】(そうげんげつ おぼろ)
完成。
残り1個だっただけあって全員、武器の強化が完了した。オルデラ用に作った武器は、それぞれ必要な原石が違うので、暫くは嵐皇龍の武器でクエストを進める事になるだろう。
どっかの誰かが我儘を言いださない限りはな。
武器を作成すると、システムデバイスに更新表示、確認するとシステムに何か変更があったようだ。タップすると音声が頭の中に直接流れ込んでくる。
『上級武器作成により、響力プレイが解放されました。』
ん?
「うわ、なんだこれ。」
タッキーちょっとうっさい。
「戦が可能になったのか?」
ちげぇよ。どこをどう聞いたら戦の話しになるんだよ、アホか。
『実際の操作についてはチュートリアルをご確認ください。』
なんだか分からんが、後で見てみるか。
『組み合わせの数は沢山あります、仲間との響力プレイで色々見つけてみてください。』
ま、なんか仲間と出来るんだろ、だったら。
「なぁ姫。」
「はい。」
既に上級武器を作成済みの姫に聞いた方が早い。
「響力プレイってなんだ?」
「このゲームのタイトルにもなっているシンフォニア、パーティプレイで仲間同士の攻撃が相乗効果を発揮するシステムです。」
あぁ、ああ、あったよそんなの。宣伝でそんなような事を言ってたな。
「なるほど、発売前後で謳ってたあれか。」
「はい。」
「って事は僕ら、武器が強くなったうえに、さらに追加攻撃?的なものも増える感じかな。」
聞いた感じからすればそうなんだろう。
「試してみないと分からないが、これがあったら狼も楽だったんじゃないか?」
「そうだよね!」
無駄に苦労して倒したわけか。逆にその苦労があったから、違いが実感出来るんじゃないか?そう考えれば、無駄でもなかったかもしれない。
「闘いとは常に己とするものですわ、己に打ち勝ってこそ真の勝利、戦闘において他人と手を取り合って斬り合うなど、武士としてありえませんわ。」
何時から武士になってるかわからんが。
「じゃ、一人で頑張れ。」
「冗談ですわ。」
嘘つけ!!
切り替え早すぎだろ、信念を口にしたんじゃないのか。
だけど、こいつちょっと面白いなと思ってしまった。
「まぁまぁ、折角なので今度試してみましょう。」
「そうだな。」
「ねぇ姫、二丁拳銃と弓の攻撃ってある?」
こいつはまた、露骨だな。そういうのは二人の時にやれよ。
「おそらく、組み合わせのない武器はないです。」
「ある方がおかしいよな、それを売りとしたんだから。」
「あ、言われてみればそうか。」
俺の突っ込みでタッキーは、苦笑いしながら頭を掻いた。
「それについては明日にして、今日はこの辺で止めておきますわ。」
「僕も、2戦しかしてないのに酷く疲れたよ・・・」
鍛冶屋を出てすぐに、アヤカとタッキーが疲労を隠さずに言った。まぁ、本当に疲れる戦いだったからな。オルデラに関してはいいとして、漆黒の巨狼に関しては完全にアヤカに付き合っただけだからな。
戦う事に乗った手前、言ってもしょうがないけど。
「じゃぁ、解散だな。」
俺の言葉を合図に、アヤカとタッキーのキャラは消えて言った。いつも見ている光景に、そういや俺がいつも最後だなってふと思う。
「ありがな、姫。」
「いえいえ。お役に立てたのなら良かったです。しかし、面白い人たちですね。」
姫はそう言うと微笑んでみせる。
「面白いか?」
「はい。」
俺には分からんが、姫にとってはそうなんだろう。でも考えようによっては、独特なアヤカなんかは面白いのかもしれない。俺にとってはアヤカじゃなくアホカって感じだが・・・言ったらリアルの俺が危険に晒されそうだ。
まぁいいか。
「んじゃ俺も寝るわ。また手伝ってくれると、助かる。」
「もちろんです、お休みなさい。」
「ああ、おやすみ。」
と言いつつも、気になるので少し時間をおいてから再度ログイン。システムデバイスを開いて、響力プレイの説明を確認する。
通称SSS
Symphony Sublimation Skill と、括弧書きで記載してある。
へ、へぇ・・・意味が分からん。まあそれはいいとして。
頭文字を取ってSSSなんだろうが、おそらく通称以外、ゲームをしていても俺が覚える事は無いな。
(とりあえずチュートリアルやってみるか。)
システムデバイスからSSSのチュートリアルを起動。自動的に周囲の景色が変化し、練兵場へと移動する。移動しているわけじゃなく、書き変わっただけだろうが。
練兵場は、武器の操作確認やキャラの動作、アイテムの効果などを試すことが出来る。それに、練習用の魔獣を選んで戦えたりもする。
今回は丸太に藁を巻いて作った古典的な人形のようなもので、教えてくれるらしい。
まずは武器選択から、なんだが選択肢なんか無い。持っている武器以外は選べないようだ。
次に相手の武器、これは好きに選べるようだが、上級の中でも一番下のランクだろうな、今作成可能な範囲なのだろう。
(やっぱり太刀だよな。初めから組んでるわけだし。)
そう考えると、このゲーム始めた時からアヤカと一緒なんだなぁ。現実では接点すら出来そうにない相手なんだろうが、まさか今でも一緒にゲームする事になるとは思いもしなかったよな。
まったく、物好きなお嬢様だ。
アヤカの事はおいといて、絶華一刀 繚乱姫媚を選択するととなりに太刀を持った影が現れる。
三連突きまでの攻撃をする、という表示が出たので、通常の連続攻撃から、神剣ラーズアルティアの固有攻撃である三連突きまで繋げる。隣にいる黒い影も攻撃を始め、三連突きまで到達すると同時に太刀の連撃も突きに移行した。
その直後、片手剣と太刀の刀身が光に包まれ、三連突きと太刀の突きが光の軌跡を描く。終わったと同時に片手剣の剣先に光が収束し始め、隣の影は太刀を振り上げる。
収束した光は光線となって木偶を貫通した後、続けて振り下ろされた太刀の剣閃が、眩い白光を散らしながら木偶を縦に駆け抜けていった。
(お、おぉ、すげーな。エフェクトが派手でいい。)
確かに、武器ごと、武器種などいろいろ組み合わせたら、凄い数になりそうだ。しかも、明らかにプラスアルファでダメージを稼げそうだし。
つまり、今後はこれを使えないと戦闘が厳しいのかもしれないな。だが、これは決まったら気分がよさそうだ。
チュートリアルの説明として、特定の攻撃が合わさった時に自動的に発動するらしい。つまり、プレイヤー同士が狙って合わせる必要があるという事だ。それはそれで、慣れが必要だろうな。
今回の場合付加効果として、片手剣の三連突きの攻撃力が増し、追加で光属性の光線。あの太刀は属性は無いが、片手剣の光属性が剣閃に付与され、さらに威力が5割増しになるそうだ。
このSSSに関しては、狙っていく方が良いだろうな。一回の連撃で与えるダメージが、お互い格段に増える。
ちなみに、発現させた効果についてはシステムデバイスに記録され、効果も確認出来るようになるらいし。見つけていないSSSに関しては、表示されないので、頑張って探せって事なんだろう。それも楽しみ方の一つかもしれない。
何にしろ、これからまた楽しみが増えたのは良い事だ。
(げっ、もうこんな時間かよ。)
ひと段落ついたところで、時間を確認すると既に深夜の3時。
(早く寝よ・・・)
そう思うと俺は、急いでログアウトした。
-CAZH社 自社データセンター 隔離サーバールーム管理室-
「プログラムされていない動作と、異常パラメータだね。」
「だろー。実行ログは残っているが、エラーと判断されていないため、エラーログは排出されていない。つまりだ、アプリケーション側でのエラーという認識は無いわけだなぁ。」
禍月の言葉に、美馬津は頷き八鍬は唸る。
動画を確認したあと、再開したサービスでの監視をして、今のところ問題は起きずに安定して提供できている。そこで、動画についての話しを改めて三人はしていた。
「意味がわからんな。本来であれば存在しない事象となる。」
「あたしらも同様の事を引き起こしてるけどなー。」
揚げ足を取るような禍月の態度に、八鍬は渋い顔をした。
「アプリだけじゃない。ファイアウォールの侵入検知や、ネットワークのトラフィックにも変なログは無く、通常のログしかなかった。」
禍月の話しは流して、美馬津が調べた結果を口にする。
「そうなると、アハトサーバー外から、何かしらの影響を受けたというのは考えにくいな。ネットワーク上を通過した形跡を残さず抜けるのは不可能だ。」
「そうなりますね。」
続けた八鍬に、美馬津も頷き険しい顔をする。
「だから言ってるだろー。」
険しい顔の二人に、禍月は指で摘まんだプレッツェルを向ける。
「こいつはアハトサーバーの中でだけ起きている現象だ。他のサーバーとの差異は言うまでもない、であればそっちから探った方が近道なんじゃないかぁ?」
「そこに辿り着くための地盤固めだろう。何も無かった、それを確認結果とするためのな。」
「急がば回れってやつかぁ、堅実なことだなぁ。」
八鍬に言い返されると、禍月はプレッツェルを齧りながら遠い眼をする。
「まぁ、僕らの仕事はそれが基本だからね。」
「わぁかってるって。」
美馬津の言葉を鬱陶しそうに禍月は、そう言ってプレッツェルを取り出す。そこで何か思いついたように、プレッツェルで美馬津を指す。
「そうだアッキー!あ・・・」
そのプレッツェルを美馬津が掴んで取り上げると、禍月は呆気に取られ、言葉に詰まる。
「これ、美味しくないだろ。何だよ、ハチミツ明太豆腐味って・・・。」
齧りながら眉間に皺を寄せて美馬津が言う。
「失礼だぞアッキー。今回はたまたま外しただけだ、あたしも美味しいとは思っていない。」
「普通に食べてるから美味しいのかと思った。」
「仕方ないだろぉ、いつものねぎ味噌納豆味が売り切れだったんだから。」
こんなものが売り切れるのか、と美馬津は思ったが、売れると思わないからお店での仕入れ数が少なく、買い占めたのは禍月だろうなと思った。他に買う人の想像が出来なかったからだ。
「ちなみに次点はキュウリキムチ納豆味だ。」
「いや聞いてない。」
得意気に言う禍月の言葉を、美馬津は冷たくあしらう。このプレッツェル、早々に消えていくんだろうなと思いながら。
「おのれアッキー・・・」
「菓子の話しをしている場合ではないだろう・・・」
黙って聞いていた八鍬が、額に青筋が見えそうな形相で静かに言った。
「すいません主任。」
「アッキーが余計な事をするか・・・」
謝った美馬津に追い打ちを掛けようとする禍月だったが、八鍬に睨まれて止める。
「それで禍月、何か思いついたんじゃなかったのか?」
八鍬は話しの続きを促そうと、先程禍月が何かを言いかけた事を指摘する。
「そうだった。アッキーさぁ。」
「何だよ、僕は別に何もしていないぞ。」
「いーやしてるね、アハトサーバーに物資の転送してるのアッキーだろぉ、なーんか変なもの召喚したんじゃないのか?」
美馬津に思い当たる節は無かったが、念のため再確認をしてみる。が、やはりそんなものは思い当たらない。
「無いな。」
「目に写るものがすべてではない。」
美馬津の発言に対し、八鍬が直ぐ態度に対する是正の意を込めて言う。果たして言い切れるものなのかと。
「うむ。データと物質、相容れないそこに何かがあるかもしれない。あたしもそこ、目の付け所なんじゃないかなって思うんだよねぇ。」
二人の言葉で、美馬津は顎に右手を添えると再度思考する。
「私も美馬津も、寝る間もろくになくこの場所に缶詰めだ。言い訳と取られても構わないが、状況が目を曇らせるという可能性もある。」
「人間の嫌なところですね、本当にそれが正しかったのかと問われれば、果たして本当にそうだったろうかという疑念に囚われてしまう。」
人間は完璧ではないという程度のつもりで八鍬は言ったのだが、美馬津には不安を与えてしまったかと思わされた。だが当の本人は苦笑しているので、問題はないかと懸念を払う。
「次から、気を付けて確認してみます。」
「あたしもするぞ!やる時は言え。」
「分かったよ。」
「一先ず、今はそれしか無いか。異常も出ていないしな。」
「えぇ。」
「だから戦う必要なんかないって言ったじゃねぇか。」
アーニルケの街に戻ったアヤカの第一声に、俺も疲れているが一応突っ込んでおく。いや、突っ込まなきゃよかった、余計に疲れる。
「銃弾、殆ど残ってないよ。最近、こんな戦いばっかりだ・・・」
ご愁傷様としか言えないな。文句ならアヤカに言ってくれ。
それでも姫が居なかったらもっと時間が掛かっていただろうな。
とは言え、原石が揃ったので真っ先に俺らは鍛冶屋に向かう。
片手剣 【神剣ラーズアルティア】
太刀 【絶華一刀 繚乱姫媚】(ぜっかいっとう りょうらんきび)
二丁拳銃 【双幻月 朧】(そうげんげつ おぼろ)
完成。
残り1個だっただけあって全員、武器の強化が完了した。オルデラ用に作った武器は、それぞれ必要な原石が違うので、暫くは嵐皇龍の武器でクエストを進める事になるだろう。
どっかの誰かが我儘を言いださない限りはな。
武器を作成すると、システムデバイスに更新表示、確認するとシステムに何か変更があったようだ。タップすると音声が頭の中に直接流れ込んでくる。
『上級武器作成により、響力プレイが解放されました。』
ん?
「うわ、なんだこれ。」
タッキーちょっとうっさい。
「戦が可能になったのか?」
ちげぇよ。どこをどう聞いたら戦の話しになるんだよ、アホか。
『実際の操作についてはチュートリアルをご確認ください。』
なんだか分からんが、後で見てみるか。
『組み合わせの数は沢山あります、仲間との響力プレイで色々見つけてみてください。』
ま、なんか仲間と出来るんだろ、だったら。
「なぁ姫。」
「はい。」
既に上級武器を作成済みの姫に聞いた方が早い。
「響力プレイってなんだ?」
「このゲームのタイトルにもなっているシンフォニア、パーティプレイで仲間同士の攻撃が相乗効果を発揮するシステムです。」
あぁ、ああ、あったよそんなの。宣伝でそんなような事を言ってたな。
「なるほど、発売前後で謳ってたあれか。」
「はい。」
「って事は僕ら、武器が強くなったうえに、さらに追加攻撃?的なものも増える感じかな。」
聞いた感じからすればそうなんだろう。
「試してみないと分からないが、これがあったら狼も楽だったんじゃないか?」
「そうだよね!」
無駄に苦労して倒したわけか。逆にその苦労があったから、違いが実感出来るんじゃないか?そう考えれば、無駄でもなかったかもしれない。
「闘いとは常に己とするものですわ、己に打ち勝ってこそ真の勝利、戦闘において他人と手を取り合って斬り合うなど、武士としてありえませんわ。」
何時から武士になってるかわからんが。
「じゃ、一人で頑張れ。」
「冗談ですわ。」
嘘つけ!!
切り替え早すぎだろ、信念を口にしたんじゃないのか。
だけど、こいつちょっと面白いなと思ってしまった。
「まぁまぁ、折角なので今度試してみましょう。」
「そうだな。」
「ねぇ姫、二丁拳銃と弓の攻撃ってある?」
こいつはまた、露骨だな。そういうのは二人の時にやれよ。
「おそらく、組み合わせのない武器はないです。」
「ある方がおかしいよな、それを売りとしたんだから。」
「あ、言われてみればそうか。」
俺の突っ込みでタッキーは、苦笑いしながら頭を掻いた。
「それについては明日にして、今日はこの辺で止めておきますわ。」
「僕も、2戦しかしてないのに酷く疲れたよ・・・」
鍛冶屋を出てすぐに、アヤカとタッキーが疲労を隠さずに言った。まぁ、本当に疲れる戦いだったからな。オルデラに関してはいいとして、漆黒の巨狼に関しては完全にアヤカに付き合っただけだからな。
戦う事に乗った手前、言ってもしょうがないけど。
「じゃぁ、解散だな。」
俺の言葉を合図に、アヤカとタッキーのキャラは消えて言った。いつも見ている光景に、そういや俺がいつも最後だなってふと思う。
「ありがな、姫。」
「いえいえ。お役に立てたのなら良かったです。しかし、面白い人たちですね。」
姫はそう言うと微笑んでみせる。
「面白いか?」
「はい。」
俺には分からんが、姫にとってはそうなんだろう。でも考えようによっては、独特なアヤカなんかは面白いのかもしれない。俺にとってはアヤカじゃなくアホカって感じだが・・・言ったらリアルの俺が危険に晒されそうだ。
まぁいいか。
「んじゃ俺も寝るわ。また手伝ってくれると、助かる。」
「もちろんです、お休みなさい。」
「ああ、おやすみ。」
と言いつつも、気になるので少し時間をおいてから再度ログイン。システムデバイスを開いて、響力プレイの説明を確認する。
通称SSS
Symphony Sublimation Skill と、括弧書きで記載してある。
へ、へぇ・・・意味が分からん。まあそれはいいとして。
頭文字を取ってSSSなんだろうが、おそらく通称以外、ゲームをしていても俺が覚える事は無いな。
(とりあえずチュートリアルやってみるか。)
システムデバイスからSSSのチュートリアルを起動。自動的に周囲の景色が変化し、練兵場へと移動する。移動しているわけじゃなく、書き変わっただけだろうが。
練兵場は、武器の操作確認やキャラの動作、アイテムの効果などを試すことが出来る。それに、練習用の魔獣を選んで戦えたりもする。
今回は丸太に藁を巻いて作った古典的な人形のようなもので、教えてくれるらしい。
まずは武器選択から、なんだが選択肢なんか無い。持っている武器以外は選べないようだ。
次に相手の武器、これは好きに選べるようだが、上級の中でも一番下のランクだろうな、今作成可能な範囲なのだろう。
(やっぱり太刀だよな。初めから組んでるわけだし。)
そう考えると、このゲーム始めた時からアヤカと一緒なんだなぁ。現実では接点すら出来そうにない相手なんだろうが、まさか今でも一緒にゲームする事になるとは思いもしなかったよな。
まったく、物好きなお嬢様だ。
アヤカの事はおいといて、絶華一刀 繚乱姫媚を選択するととなりに太刀を持った影が現れる。
三連突きまでの攻撃をする、という表示が出たので、通常の連続攻撃から、神剣ラーズアルティアの固有攻撃である三連突きまで繋げる。隣にいる黒い影も攻撃を始め、三連突きまで到達すると同時に太刀の連撃も突きに移行した。
その直後、片手剣と太刀の刀身が光に包まれ、三連突きと太刀の突きが光の軌跡を描く。終わったと同時に片手剣の剣先に光が収束し始め、隣の影は太刀を振り上げる。
収束した光は光線となって木偶を貫通した後、続けて振り下ろされた太刀の剣閃が、眩い白光を散らしながら木偶を縦に駆け抜けていった。
(お、おぉ、すげーな。エフェクトが派手でいい。)
確かに、武器ごと、武器種などいろいろ組み合わせたら、凄い数になりそうだ。しかも、明らかにプラスアルファでダメージを稼げそうだし。
つまり、今後はこれを使えないと戦闘が厳しいのかもしれないな。だが、これは決まったら気分がよさそうだ。
チュートリアルの説明として、特定の攻撃が合わさった時に自動的に発動するらしい。つまり、プレイヤー同士が狙って合わせる必要があるという事だ。それはそれで、慣れが必要だろうな。
今回の場合付加効果として、片手剣の三連突きの攻撃力が増し、追加で光属性の光線。あの太刀は属性は無いが、片手剣の光属性が剣閃に付与され、さらに威力が5割増しになるそうだ。
このSSSに関しては、狙っていく方が良いだろうな。一回の連撃で与えるダメージが、お互い格段に増える。
ちなみに、発現させた効果についてはシステムデバイスに記録され、効果も確認出来るようになるらいし。見つけていないSSSに関しては、表示されないので、頑張って探せって事なんだろう。それも楽しみ方の一つかもしれない。
何にしろ、これからまた楽しみが増えたのは良い事だ。
(げっ、もうこんな時間かよ。)
ひと段落ついたところで、時間を確認すると既に深夜の3時。
(早く寝よ・・・)
そう思うと俺は、急いでログアウトした。
-CAZH社 自社データセンター 隔離サーバールーム管理室-
「プログラムされていない動作と、異常パラメータだね。」
「だろー。実行ログは残っているが、エラーと判断されていないため、エラーログは排出されていない。つまりだ、アプリケーション側でのエラーという認識は無いわけだなぁ。」
禍月の言葉に、美馬津は頷き八鍬は唸る。
動画を確認したあと、再開したサービスでの監視をして、今のところ問題は起きずに安定して提供できている。そこで、動画についての話しを改めて三人はしていた。
「意味がわからんな。本来であれば存在しない事象となる。」
「あたしらも同様の事を引き起こしてるけどなー。」
揚げ足を取るような禍月の態度に、八鍬は渋い顔をした。
「アプリだけじゃない。ファイアウォールの侵入検知や、ネットワークのトラフィックにも変なログは無く、通常のログしかなかった。」
禍月の話しは流して、美馬津が調べた結果を口にする。
「そうなると、アハトサーバー外から、何かしらの影響を受けたというのは考えにくいな。ネットワーク上を通過した形跡を残さず抜けるのは不可能だ。」
「そうなりますね。」
続けた八鍬に、美馬津も頷き険しい顔をする。
「だから言ってるだろー。」
険しい顔の二人に、禍月は指で摘まんだプレッツェルを向ける。
「こいつはアハトサーバーの中でだけ起きている現象だ。他のサーバーとの差異は言うまでもない、であればそっちから探った方が近道なんじゃないかぁ?」
「そこに辿り着くための地盤固めだろう。何も無かった、それを確認結果とするためのな。」
「急がば回れってやつかぁ、堅実なことだなぁ。」
八鍬に言い返されると、禍月はプレッツェルを齧りながら遠い眼をする。
「まぁ、僕らの仕事はそれが基本だからね。」
「わぁかってるって。」
美馬津の言葉を鬱陶しそうに禍月は、そう言ってプレッツェルを取り出す。そこで何か思いついたように、プレッツェルで美馬津を指す。
「そうだアッキー!あ・・・」
そのプレッツェルを美馬津が掴んで取り上げると、禍月は呆気に取られ、言葉に詰まる。
「これ、美味しくないだろ。何だよ、ハチミツ明太豆腐味って・・・。」
齧りながら眉間に皺を寄せて美馬津が言う。
「失礼だぞアッキー。今回はたまたま外しただけだ、あたしも美味しいとは思っていない。」
「普通に食べてるから美味しいのかと思った。」
「仕方ないだろぉ、いつものねぎ味噌納豆味が売り切れだったんだから。」
こんなものが売り切れるのか、と美馬津は思ったが、売れると思わないからお店での仕入れ数が少なく、買い占めたのは禍月だろうなと思った。他に買う人の想像が出来なかったからだ。
「ちなみに次点はキュウリキムチ納豆味だ。」
「いや聞いてない。」
得意気に言う禍月の言葉を、美馬津は冷たくあしらう。このプレッツェル、早々に消えていくんだろうなと思いながら。
「おのれアッキー・・・」
「菓子の話しをしている場合ではないだろう・・・」
黙って聞いていた八鍬が、額に青筋が見えそうな形相で静かに言った。
「すいません主任。」
「アッキーが余計な事をするか・・・」
謝った美馬津に追い打ちを掛けようとする禍月だったが、八鍬に睨まれて止める。
「それで禍月、何か思いついたんじゃなかったのか?」
八鍬は話しの続きを促そうと、先程禍月が何かを言いかけた事を指摘する。
「そうだった。アッキーさぁ。」
「何だよ、僕は別に何もしていないぞ。」
「いーやしてるね、アハトサーバーに物資の転送してるのアッキーだろぉ、なーんか変なもの召喚したんじゃないのか?」
美馬津に思い当たる節は無かったが、念のため再確認をしてみる。が、やはりそんなものは思い当たらない。
「無いな。」
「目に写るものがすべてではない。」
美馬津の発言に対し、八鍬が直ぐ態度に対する是正の意を込めて言う。果たして言い切れるものなのかと。
「うむ。データと物質、相容れないそこに何かがあるかもしれない。あたしもそこ、目の付け所なんじゃないかなって思うんだよねぇ。」
二人の言葉で、美馬津は顎に右手を添えると再度思考する。
「私も美馬津も、寝る間もろくになくこの場所に缶詰めだ。言い訳と取られても構わないが、状況が目を曇らせるという可能性もある。」
「人間の嫌なところですね、本当にそれが正しかったのかと問われれば、果たして本当にそうだったろうかという疑念に囚われてしまう。」
人間は完璧ではないという程度のつもりで八鍬は言ったのだが、美馬津には不安を与えてしまったかと思わされた。だが当の本人は苦笑しているので、問題はないかと懸念を払う。
「次から、気を付けて確認してみます。」
「あたしもするぞ!やる時は言え。」
「分かったよ。」
「一先ず、今はそれしか無いか。異常も出ていないしな。」
「えぇ。」
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居候先はアドルファス・レインズフォードの邸宅。
左顔面に大きな傷跡を持ち、片脚を少し引きずっている。
かつて優秀な騎士だった彼は魔獣討伐の折にその傷を負ったということだった。
今は現役を退き王立学園の教授を勤めているという。
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怪我のせいで今は女性から嫌厭されているが、元は女性との付き合いも派手な伊達男だったらしいアドルファスから恋人にならないかと迫られて
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