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71.どういう風の吹き回しだ、名前
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「一通り装備も揃ったな。」
「だねぇ。もうLV15も結構慣れて来たね。」
鍛冶屋前で一通り作り終わった装備を確認しながら言うと、タッキーも出来たのか頷いた。
言う通り、LV15の戦闘は開始当初きつくはあったが、今ではそこそこ慣れてそんなに苦労もしなくなった。はっきり言って、LV14までの装備に比べると、新しい装備はかなり強かった。
むしろ、それがないとLV15は厳しいのだが。最初の方はLV14の装備でもなんとかなる程度ではあったが、中程まで来ると厳しい。その辺は作る方もバランスを考えているんじゃないだろうか。
「そろそろあれかな。」
「だよね。」
俺は冷めた目をアヤカに向ける。となりで同様の行為をしてタッキーも頷いた。その注目されたアヤカ自身は、こちらの冷ややかな視線に気付くこともなく、システムデバイスを見て不敵な笑みを浮かべている。
「僕、ちょっと部屋に行って銃弾や回復アイテムを出来るだけ持ってくる。」
「そうだな。俺もアイテム限界まで持ってくるか。」
俺が言い終わると、タッキーが自分の部屋がある建物へ移動を始める。俺も、移動をしようとしたら、目の前にマリアが割り込んで来て、俺の顔を見る。
「どうかしたか?」
「独りで抱え込むのは良くないよ?」
俺の問いに、マリアは微笑むとそう言った。相変わらずお見通し・・・まてよ、あの時マリアは察していた筈だ。
「覗き見か?」
今回の件に関してはおそらく、アリシアとの会話を見られていた可能性がある。監視しているとも言っていたし、その管理者ともマリアは繋がっている。俺とアリシアの会話を管理者と見ていても不思議じゃない。
「違うよ・・・」
他意があったわけじゃない。それでも、俺の言葉にマリアは哀しそうで、苦しそうな顔をした。
「悪ぃ、そんなつもりじゃないんだ。」
「分かってる。」
「でも、今ここで話す事じゃないな、悪かった。」
「ううん。」
マリアが正面からどいたので、俺は改めて部屋へ向かおうとする。が、肩を掴まれ止められる。
「何処に逃げますの?」
逃げるってなんだよ。
「そう言えば、ヘタレの姿が見えませんわ、既に逃げましたのね。」
ヘタレとか言ってやるな。そういうのは内心だけで言っておけ。
「アイテムを取りに行くだけだっての。」
「あら、そうですの?」
「タッキーも準備しに行ったんだ。行くんだろ?オルデラに。」
俺がそう言うと、アヤカは俺を不思議なものでも見るような顔をした。てっきり喜び勇むもんだと思ったんだが。
「どういう風の吹き回しかしら、熱でもありますの?」
ひでぇ言い種だな。
「あのなぁ・・・」
「でも、ユアキスの頭の調子はどうでもいいですわ。もちろん、行くつもりでしたから。」
本当にこいつはブレないよなぁ。
「武器を見て気付いただろ?」
「えぇ。」
やはり、そこはちゃんと見てやがるな。
「だったら、一度行ってみるしかないだろ。それだけだ。」
事あるごとに神石とか言われても鬱陶しいというのもあるが。システムデバイスを見ていたアヤカの顔を見れば、そう思わざるを得ない。
「良く分かってますわね。」
アヤカは頷くと不敵な笑みを浮かべた。
そもそも、神石を使う武器はLV15の武器よりも強い。アヤカ云々ではなく、このゲームをしている奴なら欲しがって当たり前だろう。
当然、俺だって強い武器が欲しいんだ。LV15の武器が作れた事で、挑戦したくもなるだろう。駄目だったら、また先に進んで装備を強くすればいいわけだし。
「精々、私のために準備してきなさい。」
お前のためじゃねぇよ・・・
「それじゃ、行ってくるわ。」
一応、オルデラに行くことはメンバーにチャットで伝えた。特に反対も無かったのでこの後はオルデラ戦で決まりだ。
それよりも、部屋に向かう時に見たマリアの顔の方が気になった。アヤカとくだらない会話をした後でも、俺が見ると微笑んでくれたが、哀しそうな表情のままだった。
マリアはきっと、俺の事を気にかけてくれただけだったんじゃないのかと思うと、自分の浅はかさに苛立ってくる。
何にも成長してねぇな、俺・・・
その後、それぞれが準備を整えてオルデラ戦へと向かった。俺とタッキー、それにアヤカは再戦という形になるが。いや、様子見で行っただけだから、再戦ってほどでもないか。
結果としては負けたんだが、次の段階の装備で勝てそうではあった。それは、LV16に行った時、今の武器を強化なのか、新しい武器なのかは不明だが。どちらにしろ、LV16に進めばなんとかなりそうな気はした。
それが分かっただけでも良かったとして、疲れたのでオルデラ戦後は解散した。
「なぁ雪待。」
朝の気怠い時間、いつものように中島が話しかけて来る。それはいいが、最近授業に集中できない。いや、眠っているわけじゃなく、単にいろいろ考えてしまうだけなんだが。
「どうした?」
「DEWSで意識不明者が出たんだってさ。」
「またその手の話しか。」
それが本当かどうかは不明だ。身近で起きなければ、実感が伴わないから胡散臭い話しだとしか思えない。
「ネヴィルってプレイヤー知ってる?」
「いや。そもそも他のプレイヤーの事なんて殆ど知らねぇよ。」
「あはは、そうだよね。」
幸いな事に、DEWSでのメンバーは知り合いしか居ない。どんな奴かも分からない相手と、関わるのは面倒だ。
「結構有名なソロプレイヤーらしいよ。動画とか攻略とか、かなり上げているみたいだし。」
「へぇ。そりゃすげぇな。で、そいつがどうしたんだよ。」
下手をすれば、俺もソロでやっていた可能性もある。ただ、俺の場合上手くはないから、そんなに進めない気はするが。
そういう場合に参考にするんだろうな、ただ参考にしたからといって出来るかどうかは不明だ。どうしても、プレイヤースキルに左右される部分があるゲームだから。
俺がアリシアの事で調べていた時、ネヴィルとかいう奴の動画も、検索結果に表示されていた可能性は高い。
そんな事を考えながら、俺が聞いた事に対し中島が神妙な面持ちになった。
「DEWSからログアウト後、連絡が取れなくなったらしいんだ。おかしいと思ったリアルの知人が、家に行ったらHMDを付けたまま意識が無いその人を見つけ、救急搬送。それから意識が戻っていないんだってさ。」
「なんとも言えないが、多少不安は出て来るな。」
原因に関してはなんとも言えない。本人の身体的な問題なのか、本当にDEWSやHMD原因なのか。後者であれば自分たちに火の粉が降りかからないとも限らなくなる事を思えば。
ただ、DEWSにしろHMDにしろ、その事実があれば騒ぎになっている筈だ。今のところそれが無いという事は、事実は不明なのかも知れない。
「だよねぇ。僕もちょっと不安はあるかなぁ。」
「でも、DEWSやHMDに原因があった場合、もしかすると城之内もって可能性が出て来るかもな。」
「そう、それ!僕も考えたんだよねぇ。」
中島は目を開いて同意の声を大きくした。まぁ、俺が考え付くくらいだから、中島も考えるわな。特に城之内は、中島の友達なわけだし。
「問題は、原因がそれだったとして、解決できるかってところだろ。」
「結局、そこに行き着くんだよねぇ。僕らじゃどうしようもないところに。」
「まぁな。」
高校生に何が出来るでもない。そういうのは専門家の仕事だろう。
ただ、身近な人間に起きても、同じことを言えるだろうか。
他人事の様に、遠くから見ているなんて、出来るだろうか。
その考えの先に至れるほど、俺は人生を生きてない。だから、疑問だけ浮かんでその先は想像出来なかった。
「だけど、昨日のオルデラは惜しかったね。」
「そうか?」
惜しい、というレベルなら、もう少し頑張れば行けるんじゃないか。辺りじゃないのか?だったら、昨日の戦闘は惜しいまで行ってないと思うんだが。
「あぁ、まぁね。今の装備では無理っぽいけど。」
「ただ、もう一段階ってのは、感じるよなぁ。」
「うん。昨日それが分かったら、どうしても神石を使った武器が欲しくなってしょうがないんだ。」
確かに、欲は出るよなぁ。オプション含め、かなり良い装備なんだよなぁ。それに手が届きそうとなると、欲しいと言う中島の気持ちも分かる。
「そりゃ俺だって、作れるものなら作りたいけどな。」
「だよねぇ。」
そこで本鈴が鳴り先生が入って来たので、会話は終わった。
放課後、いつも通り鳳隆院が近付いて来る。よくある日常になってしまったのだろう、クラスの連中は誰も気にしなくなった。
当初は珍しいものを見るように、鳳隆院がこっちに来るだけで注目されていたのに。
俺としてはありがたい事なんだが。
まぁ、珍しいもの見たさなんて最初だけだよな。毎日見ていれば、日常の一部と化してしまう。鳳隆院が動いた事なんて、空気のようになってしまうんだろう。
「さっさと進めますわよ。」
「分かってるよ、俺だって神石を使った武器が欲しいからな。」
大体いつもこんな感じだ。一言だけ言って教室から出ていく。そこに会話なんて成立していないように。だったら、声なんて掛けなくてもいいじゃないか?
最近、そう思うようになった。
面倒だから言わないが。
「あ、ちょっと待ってくれ鳳隆院。」
うっかり目的を忘れるところだった。今日は別件で用事があった事を思い出し、教室から出ようとする鳳隆院を引き留める。
「用は済みましたわ。」
「俺があるんだっての!」
相変わらず自分勝手な。
しかし、ゲーム内の鳳隆院は猪突猛進のアホだが、現実は我道を突き進む感じで他を寄せ付けない感がある。
・・・どっちも変わらないか。本質は一緒って事だな。
「なんですの?」
俺は持ってきていた紙袋を、鳳隆院に差し出す。
「これ、高野さんにこの前のお礼って渡してくれないか。」
「セバスチャンにお礼?」
胡散臭いものでも見るような目で紙袋を見ながら鳳隆院は言った。あれか、お嬢様にはこの手のやり取りは分からないのか?
「いや、ケーキをご馳走になったから。」
「なるほど。殊勝な心掛けですわね。」
うるせぇよ。
「それで、これはなんですの?」
「ただの、焼き菓子だよ。普通の高校生が用意出来るものなんて、たかが知れているだろ。」
と言っても、普通の生活をしてなさそうなお嬢様には通じないか。
近所の洋菓子店で買った、小さい焼き菓子の詰め合わせだ。あの店の飲み物やケーキに比べれば、そりゃ安物だけど、俺にはそれが限度だ。
「分かりましたわ。」
鳳隆院は紙袋を受け取ると、また教室の出入り口に向かっていく。
って、ちょっと待て・・・
「おいアヤカっ!」
その言葉に反応した鳳隆院は凄い勢いで振り向くと、睨みつけてきた。うっかり、名前で呼んでしまった所為なんだが。
そんな事よりもだ、あろう事か出入り口に向かいがてら紙袋を漁り、包装紙を外して食いやがったんだ。
「いや、悪ぃ、鳳隆院。ただな、何で鳳隆院が食べるんだよ。」
鳳隆院はもぐもぐと口を動かしながら睨むのを止め、何かを考えるように視線を上の方に向けた。
もぐもぐは止めていないが。
「名前でいいですわ。」
もぐもぐが終わり飲み込むと、鳳隆院は言った。そんな事は聞いてねぇ!何でお前が食ってんだよって聞いてんだ、アホカめ。
ん?
何だって?
「は?」
言われた事の意味が分からずに、間抜けな声を出す。
「私の事は名前で呼んでいいと言ったのです。」
昨日の話しじゃないが、それこそどういう風の吹き回しだよ。
「突然なんだよ・・・」
鳳隆院は笑みを浮かべると、焼き菓子を取り出してまた食べた。
「だからそれは高野さんに買って来たんだよ!」
「慣れというのは恐ろしいですわね。」
聞いちゃいねぇ。
どうやったらこんな人間に出来上がるんだよ。
「ゲーム内だけと言いましたが、ゲーム内で呼ばれる事の方が圧倒的に多いのですわ。」
そりゃそうだろうな。現実じゃほとんど会話なんて無いからな。
「時の流れの中で常用というのは停滞を生むと思いましたが、変化も与えるのですね。」
もう何を言っているのか、言いたいのか、さっぱり分からねぇ。これが一般人との感覚の違いってやつか?
「咄嗟に反応してしまったけど、名前の後に鳳隆院と言われると、そちらの方に違和感を感じてしまったのです。だから、名前でいいですわ。」
ああ、つまりあれか。アヤカって呼ばれ慣れたからそっちでいいって事だな。面倒臭ぇ言い回ししやがって。
そう思いながら鳳隆院を見ると、優しい顔で微笑んでいた。
ってか、お嬢様が微笑んでいるところなんて初めて見たよ。だいたい笑う時は、戦闘の時に見かける不敵な笑みだからな。
だが、そんな一瞬の思いも、3つ目の焼き菓子を取り出した事で台無しになった。
「だからそれは高野さんに買って来たんだって。」
「セバスチャンの給料は財閥が支払っておりますわ。つまり、財閥へのお礼という事で、私の物でもありますわ。」
やっぱアホだろこいつ。
「財閥の金は親のであって、ほう・・・綺迦のじゃないだろ。高野さんだって無償で尽くしてるわけでもないだろうし。」
綺迦は少し考えると、納得したように頷いた。
「そうですわね。」
そう言って、手に持った焼き菓子は袋の中に戻した。
「セバスチャンに渡してから貰う事にしましょう。」
・・・
もう突っ込む気力も失せたわ。
綺迦は言いながら、教室を出ると姿が見えなくなった。
「雪待ずるいよ・・・」
あぁ、そう言えばまだアホが残っていたな。何が狡いのかさっぱり分からんが。
「自分だけ良い恰好して、またご馳走を狙ってるんでしょ。」
俺の回りはこんなのばっかりか。
「世話になったらお礼するのが普通だと思うんだが・・・」
「それは知ってるよ。」
・・・
もう、どうしたらいいんだ。
「僕が言っているのは、それを理由に次の足場を自分だけ固めようとしている事。」
「するかぁ!」
思わず叫んでしまった。
数人残っていたクラスメートが何事かと見てくるが、興味もないのだろう、直ぐに自分の、若しくは自分たちのしていた事に戻っていく。
「え?」
「え?じゃねぇよ・・・そこまで考えて行動してねぇよ。」
「あ、言われてみれば、雪待は策を練って動くタイプじゃないよね。」
そうなんだが。
そうなんだが!・・・どうも馬鹿にされてるようにしか聞こえないし、中島に言われたくもない。
とりあえず、へらへら笑っている顔をひっぱたきたい気分にはなった。
「だけど、さっきの顔を見た?」
「ん、綺迦のか?」
「うん、僕、あんな笑顔初めて見たよ。いつも目がきついからね。」
「そりゃ俺だって初めて見たっての。」
初めて見たってだけの話しだ。そりゃ人間なんだから、笑ったり怒ったり泣いたりするだろうよ。家ではしている顔かも知れないし、外で必要が無ければする必要もないわけだ。
「今まで寡黙で、目がきつかったから気付かなかったけど。綺迦ってかなり可愛いね。」
・・・
結局お前はそこなんだな。
「マリアもいいけど、ここに来て綺迦も捨てがたい。」
その前に拾われないだろ。
「はっ、まさか雪待は綺迦を狙ってる?」
「狙ってねぇよ!」
誰もがお前と同じだと思うなよ。
俺自身、別に女子に興味が無いってわけじゃない。綺迦は美人だろうし、麻璃亜は綺麗だと思っている。ただ、それ以上にゲームにはまっているっていうのと、今はそんな事を考えている余裕が無いってだけだ。
「そっかぁ。言われてみれば、あんまり雪待からその手の話しは聞かないよね。」
中島ほど煩悩丸出しじゃないんでな。
「そんなに言うものでもないだろ。」
「えぇ、もっと女子の話しで盛り上がろうよー。」
面倒くせぇ。
「城之内とはしてたのかよ?」
ふと思い立って聞いてみたが、中島は何故か突然浮かない表情になった。
「え、あぁ・・・そういうタイプじゃないんだよね。」
俺もそういうタイプじゃねぇよ。
「まぁいい。俺には期待せずに他の誰かとしてくれ。それより、早く帰ってやろうぜ。」
「それなんだよね。」
どれだ?
「雪待とDEWSばっかりじゃん。他の仲のいい友達があまり居ない。中学からの友達はにしても、別のコミュニティ築いてるし。」
言われてみればそうだな。
「確かになぁ。」
「でも、DEWS内のパーティは女子が多くて楽しいけどね。」
そこに行く着くのは変わらないのな。
中学の友達もたまに連絡するくらいで、関係が希薄になっていると言えばそんな気もする。じゃぁ、高校で出来た友達は、大学に行ったら同じになるんだろうか。
それは経験していないから俺には分からないが、大学に行ったら大学で出来た友達とつるむ事を考えれば、可能性は低くない。
って、こんな事を考えてもしょうがないな。先の事で悩んでも、結局分からないし。
「楽しめてんならいいじゃね?」
「そうだね。まぁ、僕の目標はマリアだね。」
「おぅ、ガンバレ。」
「うわぁ、なにそのやる気の無い頑張れは。応援しようという気がないじゃん。」
「だってねぇもん。」
鞄を持った俺と中島は、そんなくだらない事を言いながら教室を出た。
「だねぇ。もうLV15も結構慣れて来たね。」
鍛冶屋前で一通り作り終わった装備を確認しながら言うと、タッキーも出来たのか頷いた。
言う通り、LV15の戦闘は開始当初きつくはあったが、今ではそこそこ慣れてそんなに苦労もしなくなった。はっきり言って、LV14までの装備に比べると、新しい装備はかなり強かった。
むしろ、それがないとLV15は厳しいのだが。最初の方はLV14の装備でもなんとかなる程度ではあったが、中程まで来ると厳しい。その辺は作る方もバランスを考えているんじゃないだろうか。
「そろそろあれかな。」
「だよね。」
俺は冷めた目をアヤカに向ける。となりで同様の行為をしてタッキーも頷いた。その注目されたアヤカ自身は、こちらの冷ややかな視線に気付くこともなく、システムデバイスを見て不敵な笑みを浮かべている。
「僕、ちょっと部屋に行って銃弾や回復アイテムを出来るだけ持ってくる。」
「そうだな。俺もアイテム限界まで持ってくるか。」
俺が言い終わると、タッキーが自分の部屋がある建物へ移動を始める。俺も、移動をしようとしたら、目の前にマリアが割り込んで来て、俺の顔を見る。
「どうかしたか?」
「独りで抱え込むのは良くないよ?」
俺の問いに、マリアは微笑むとそう言った。相変わらずお見通し・・・まてよ、あの時マリアは察していた筈だ。
「覗き見か?」
今回の件に関してはおそらく、アリシアとの会話を見られていた可能性がある。監視しているとも言っていたし、その管理者ともマリアは繋がっている。俺とアリシアの会話を管理者と見ていても不思議じゃない。
「違うよ・・・」
他意があったわけじゃない。それでも、俺の言葉にマリアは哀しそうで、苦しそうな顔をした。
「悪ぃ、そんなつもりじゃないんだ。」
「分かってる。」
「でも、今ここで話す事じゃないな、悪かった。」
「ううん。」
マリアが正面からどいたので、俺は改めて部屋へ向かおうとする。が、肩を掴まれ止められる。
「何処に逃げますの?」
逃げるってなんだよ。
「そう言えば、ヘタレの姿が見えませんわ、既に逃げましたのね。」
ヘタレとか言ってやるな。そういうのは内心だけで言っておけ。
「アイテムを取りに行くだけだっての。」
「あら、そうですの?」
「タッキーも準備しに行ったんだ。行くんだろ?オルデラに。」
俺がそう言うと、アヤカは俺を不思議なものでも見るような顔をした。てっきり喜び勇むもんだと思ったんだが。
「どういう風の吹き回しかしら、熱でもありますの?」
ひでぇ言い種だな。
「あのなぁ・・・」
「でも、ユアキスの頭の調子はどうでもいいですわ。もちろん、行くつもりでしたから。」
本当にこいつはブレないよなぁ。
「武器を見て気付いただろ?」
「えぇ。」
やはり、そこはちゃんと見てやがるな。
「だったら、一度行ってみるしかないだろ。それだけだ。」
事あるごとに神石とか言われても鬱陶しいというのもあるが。システムデバイスを見ていたアヤカの顔を見れば、そう思わざるを得ない。
「良く分かってますわね。」
アヤカは頷くと不敵な笑みを浮かべた。
そもそも、神石を使う武器はLV15の武器よりも強い。アヤカ云々ではなく、このゲームをしている奴なら欲しがって当たり前だろう。
当然、俺だって強い武器が欲しいんだ。LV15の武器が作れた事で、挑戦したくもなるだろう。駄目だったら、また先に進んで装備を強くすればいいわけだし。
「精々、私のために準備してきなさい。」
お前のためじゃねぇよ・・・
「それじゃ、行ってくるわ。」
一応、オルデラに行くことはメンバーにチャットで伝えた。特に反対も無かったのでこの後はオルデラ戦で決まりだ。
それよりも、部屋に向かう時に見たマリアの顔の方が気になった。アヤカとくだらない会話をした後でも、俺が見ると微笑んでくれたが、哀しそうな表情のままだった。
マリアはきっと、俺の事を気にかけてくれただけだったんじゃないのかと思うと、自分の浅はかさに苛立ってくる。
何にも成長してねぇな、俺・・・
その後、それぞれが準備を整えてオルデラ戦へと向かった。俺とタッキー、それにアヤカは再戦という形になるが。いや、様子見で行っただけだから、再戦ってほどでもないか。
結果としては負けたんだが、次の段階の装備で勝てそうではあった。それは、LV16に行った時、今の武器を強化なのか、新しい武器なのかは不明だが。どちらにしろ、LV16に進めばなんとかなりそうな気はした。
それが分かっただけでも良かったとして、疲れたのでオルデラ戦後は解散した。
「なぁ雪待。」
朝の気怠い時間、いつものように中島が話しかけて来る。それはいいが、最近授業に集中できない。いや、眠っているわけじゃなく、単にいろいろ考えてしまうだけなんだが。
「どうした?」
「DEWSで意識不明者が出たんだってさ。」
「またその手の話しか。」
それが本当かどうかは不明だ。身近で起きなければ、実感が伴わないから胡散臭い話しだとしか思えない。
「ネヴィルってプレイヤー知ってる?」
「いや。そもそも他のプレイヤーの事なんて殆ど知らねぇよ。」
「あはは、そうだよね。」
幸いな事に、DEWSでのメンバーは知り合いしか居ない。どんな奴かも分からない相手と、関わるのは面倒だ。
「結構有名なソロプレイヤーらしいよ。動画とか攻略とか、かなり上げているみたいだし。」
「へぇ。そりゃすげぇな。で、そいつがどうしたんだよ。」
下手をすれば、俺もソロでやっていた可能性もある。ただ、俺の場合上手くはないから、そんなに進めない気はするが。
そういう場合に参考にするんだろうな、ただ参考にしたからといって出来るかどうかは不明だ。どうしても、プレイヤースキルに左右される部分があるゲームだから。
俺がアリシアの事で調べていた時、ネヴィルとかいう奴の動画も、検索結果に表示されていた可能性は高い。
そんな事を考えながら、俺が聞いた事に対し中島が神妙な面持ちになった。
「DEWSからログアウト後、連絡が取れなくなったらしいんだ。おかしいと思ったリアルの知人が、家に行ったらHMDを付けたまま意識が無いその人を見つけ、救急搬送。それから意識が戻っていないんだってさ。」
「なんとも言えないが、多少不安は出て来るな。」
原因に関してはなんとも言えない。本人の身体的な問題なのか、本当にDEWSやHMD原因なのか。後者であれば自分たちに火の粉が降りかからないとも限らなくなる事を思えば。
ただ、DEWSにしろHMDにしろ、その事実があれば騒ぎになっている筈だ。今のところそれが無いという事は、事実は不明なのかも知れない。
「だよねぇ。僕もちょっと不安はあるかなぁ。」
「でも、DEWSやHMDに原因があった場合、もしかすると城之内もって可能性が出て来るかもな。」
「そう、それ!僕も考えたんだよねぇ。」
中島は目を開いて同意の声を大きくした。まぁ、俺が考え付くくらいだから、中島も考えるわな。特に城之内は、中島の友達なわけだし。
「問題は、原因がそれだったとして、解決できるかってところだろ。」
「結局、そこに行き着くんだよねぇ。僕らじゃどうしようもないところに。」
「まぁな。」
高校生に何が出来るでもない。そういうのは専門家の仕事だろう。
ただ、身近な人間に起きても、同じことを言えるだろうか。
他人事の様に、遠くから見ているなんて、出来るだろうか。
その考えの先に至れるほど、俺は人生を生きてない。だから、疑問だけ浮かんでその先は想像出来なかった。
「だけど、昨日のオルデラは惜しかったね。」
「そうか?」
惜しい、というレベルなら、もう少し頑張れば行けるんじゃないか。辺りじゃないのか?だったら、昨日の戦闘は惜しいまで行ってないと思うんだが。
「あぁ、まぁね。今の装備では無理っぽいけど。」
「ただ、もう一段階ってのは、感じるよなぁ。」
「うん。昨日それが分かったら、どうしても神石を使った武器が欲しくなってしょうがないんだ。」
確かに、欲は出るよなぁ。オプション含め、かなり良い装備なんだよなぁ。それに手が届きそうとなると、欲しいと言う中島の気持ちも分かる。
「そりゃ俺だって、作れるものなら作りたいけどな。」
「だよねぇ。」
そこで本鈴が鳴り先生が入って来たので、会話は終わった。
放課後、いつも通り鳳隆院が近付いて来る。よくある日常になってしまったのだろう、クラスの連中は誰も気にしなくなった。
当初は珍しいものを見るように、鳳隆院がこっちに来るだけで注目されていたのに。
俺としてはありがたい事なんだが。
まぁ、珍しいもの見たさなんて最初だけだよな。毎日見ていれば、日常の一部と化してしまう。鳳隆院が動いた事なんて、空気のようになってしまうんだろう。
「さっさと進めますわよ。」
「分かってるよ、俺だって神石を使った武器が欲しいからな。」
大体いつもこんな感じだ。一言だけ言って教室から出ていく。そこに会話なんて成立していないように。だったら、声なんて掛けなくてもいいじゃないか?
最近、そう思うようになった。
面倒だから言わないが。
「あ、ちょっと待ってくれ鳳隆院。」
うっかり目的を忘れるところだった。今日は別件で用事があった事を思い出し、教室から出ようとする鳳隆院を引き留める。
「用は済みましたわ。」
「俺があるんだっての!」
相変わらず自分勝手な。
しかし、ゲーム内の鳳隆院は猪突猛進のアホだが、現実は我道を突き進む感じで他を寄せ付けない感がある。
・・・どっちも変わらないか。本質は一緒って事だな。
「なんですの?」
俺は持ってきていた紙袋を、鳳隆院に差し出す。
「これ、高野さんにこの前のお礼って渡してくれないか。」
「セバスチャンにお礼?」
胡散臭いものでも見るような目で紙袋を見ながら鳳隆院は言った。あれか、お嬢様にはこの手のやり取りは分からないのか?
「いや、ケーキをご馳走になったから。」
「なるほど。殊勝な心掛けですわね。」
うるせぇよ。
「それで、これはなんですの?」
「ただの、焼き菓子だよ。普通の高校生が用意出来るものなんて、たかが知れているだろ。」
と言っても、普通の生活をしてなさそうなお嬢様には通じないか。
近所の洋菓子店で買った、小さい焼き菓子の詰め合わせだ。あの店の飲み物やケーキに比べれば、そりゃ安物だけど、俺にはそれが限度だ。
「分かりましたわ。」
鳳隆院は紙袋を受け取ると、また教室の出入り口に向かっていく。
って、ちょっと待て・・・
「おいアヤカっ!」
その言葉に反応した鳳隆院は凄い勢いで振り向くと、睨みつけてきた。うっかり、名前で呼んでしまった所為なんだが。
そんな事よりもだ、あろう事か出入り口に向かいがてら紙袋を漁り、包装紙を外して食いやがったんだ。
「いや、悪ぃ、鳳隆院。ただな、何で鳳隆院が食べるんだよ。」
鳳隆院はもぐもぐと口を動かしながら睨むのを止め、何かを考えるように視線を上の方に向けた。
もぐもぐは止めていないが。
「名前でいいですわ。」
もぐもぐが終わり飲み込むと、鳳隆院は言った。そんな事は聞いてねぇ!何でお前が食ってんだよって聞いてんだ、アホカめ。
ん?
何だって?
「は?」
言われた事の意味が分からずに、間抜けな声を出す。
「私の事は名前で呼んでいいと言ったのです。」
昨日の話しじゃないが、それこそどういう風の吹き回しだよ。
「突然なんだよ・・・」
鳳隆院は笑みを浮かべると、焼き菓子を取り出してまた食べた。
「だからそれは高野さんに買って来たんだよ!」
「慣れというのは恐ろしいですわね。」
聞いちゃいねぇ。
どうやったらこんな人間に出来上がるんだよ。
「ゲーム内だけと言いましたが、ゲーム内で呼ばれる事の方が圧倒的に多いのですわ。」
そりゃそうだろうな。現実じゃほとんど会話なんて無いからな。
「時の流れの中で常用というのは停滞を生むと思いましたが、変化も与えるのですね。」
もう何を言っているのか、言いたいのか、さっぱり分からねぇ。これが一般人との感覚の違いってやつか?
「咄嗟に反応してしまったけど、名前の後に鳳隆院と言われると、そちらの方に違和感を感じてしまったのです。だから、名前でいいですわ。」
ああ、つまりあれか。アヤカって呼ばれ慣れたからそっちでいいって事だな。面倒臭ぇ言い回ししやがって。
そう思いながら鳳隆院を見ると、優しい顔で微笑んでいた。
ってか、お嬢様が微笑んでいるところなんて初めて見たよ。だいたい笑う時は、戦闘の時に見かける不敵な笑みだからな。
だが、そんな一瞬の思いも、3つ目の焼き菓子を取り出した事で台無しになった。
「だからそれは高野さんに買って来たんだって。」
「セバスチャンの給料は財閥が支払っておりますわ。つまり、財閥へのお礼という事で、私の物でもありますわ。」
やっぱアホだろこいつ。
「財閥の金は親のであって、ほう・・・綺迦のじゃないだろ。高野さんだって無償で尽くしてるわけでもないだろうし。」
綺迦は少し考えると、納得したように頷いた。
「そうですわね。」
そう言って、手に持った焼き菓子は袋の中に戻した。
「セバスチャンに渡してから貰う事にしましょう。」
・・・
もう突っ込む気力も失せたわ。
綺迦は言いながら、教室を出ると姿が見えなくなった。
「雪待ずるいよ・・・」
あぁ、そう言えばまだアホが残っていたな。何が狡いのかさっぱり分からんが。
「自分だけ良い恰好して、またご馳走を狙ってるんでしょ。」
俺の回りはこんなのばっかりか。
「世話になったらお礼するのが普通だと思うんだが・・・」
「それは知ってるよ。」
・・・
もう、どうしたらいいんだ。
「僕が言っているのは、それを理由に次の足場を自分だけ固めようとしている事。」
「するかぁ!」
思わず叫んでしまった。
数人残っていたクラスメートが何事かと見てくるが、興味もないのだろう、直ぐに自分の、若しくは自分たちのしていた事に戻っていく。
「え?」
「え?じゃねぇよ・・・そこまで考えて行動してねぇよ。」
「あ、言われてみれば、雪待は策を練って動くタイプじゃないよね。」
そうなんだが。
そうなんだが!・・・どうも馬鹿にされてるようにしか聞こえないし、中島に言われたくもない。
とりあえず、へらへら笑っている顔をひっぱたきたい気分にはなった。
「だけど、さっきの顔を見た?」
「ん、綺迦のか?」
「うん、僕、あんな笑顔初めて見たよ。いつも目がきついからね。」
「そりゃ俺だって初めて見たっての。」
初めて見たってだけの話しだ。そりゃ人間なんだから、笑ったり怒ったり泣いたりするだろうよ。家ではしている顔かも知れないし、外で必要が無ければする必要もないわけだ。
「今まで寡黙で、目がきつかったから気付かなかったけど。綺迦ってかなり可愛いね。」
・・・
結局お前はそこなんだな。
「マリアもいいけど、ここに来て綺迦も捨てがたい。」
その前に拾われないだろ。
「はっ、まさか雪待は綺迦を狙ってる?」
「狙ってねぇよ!」
誰もがお前と同じだと思うなよ。
俺自身、別に女子に興味が無いってわけじゃない。綺迦は美人だろうし、麻璃亜は綺麗だと思っている。ただ、それ以上にゲームにはまっているっていうのと、今はそんな事を考えている余裕が無いってだけだ。
「そっかぁ。言われてみれば、あんまり雪待からその手の話しは聞かないよね。」
中島ほど煩悩丸出しじゃないんでな。
「そんなに言うものでもないだろ。」
「えぇ、もっと女子の話しで盛り上がろうよー。」
面倒くせぇ。
「城之内とはしてたのかよ?」
ふと思い立って聞いてみたが、中島は何故か突然浮かない表情になった。
「え、あぁ・・・そういうタイプじゃないんだよね。」
俺もそういうタイプじゃねぇよ。
「まぁいい。俺には期待せずに他の誰かとしてくれ。それより、早く帰ってやろうぜ。」
「それなんだよね。」
どれだ?
「雪待とDEWSばっかりじゃん。他の仲のいい友達があまり居ない。中学からの友達はにしても、別のコミュニティ築いてるし。」
言われてみればそうだな。
「確かになぁ。」
「でも、DEWS内のパーティは女子が多くて楽しいけどね。」
そこに行く着くのは変わらないのな。
中学の友達もたまに連絡するくらいで、関係が希薄になっていると言えばそんな気もする。じゃぁ、高校で出来た友達は、大学に行ったら同じになるんだろうか。
それは経験していないから俺には分からないが、大学に行ったら大学で出来た友達とつるむ事を考えれば、可能性は低くない。
って、こんな事を考えてもしょうがないな。先の事で悩んでも、結局分からないし。
「楽しめてんならいいじゃね?」
「そうだね。まぁ、僕の目標はマリアだね。」
「おぅ、ガンバレ。」
「うわぁ、なにそのやる気の無い頑張れは。応援しようという気がないじゃん。」
「だってねぇもん。」
鞄を持った俺と中島は、そんなくだらない事を言いながら教室を出た。
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