極上御曹司は仮面の怪盗令嬢の素顔を暴きたい

ささゆき細雪

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chapter,4

03. 執着と恋情と純潔と




 自ら甘い雰囲気を打ち消すかのように、九条は乱暴に更紗の身体を貪っていく。ベッドのうえでスーツを脱がされ一糸まとわぬ姿になった彼女の両腕を持ち上げたかと思えば、己のネクタイで両手首を縛りつけ、抵抗できない状態にする。驚く更紗をよそに、九条はそのまま己の唇で更紗の肌をなぞっていく。

「あぁ――黎、さ」
「ごめんね。俺は縛られた女しか抱けないんだ」
「そんな」
「この奇妙な性癖のせいで、女性関係は損してばっかりさ。だけどこの方が美しいじゃないか」
「!?」

 慎重な性格のせいか、相手が動けない状態にならないと屹立しないのだという己の分身を指さして、九条は嗤う。自分が欲情していることを誇示しているにもかかわらず、下品に見えないのはなんだか癪に障る。更紗以外の女性とも、こういう風に身体を重ねたことがあるのかもしれない。

「だから言っただろう? 逃がさない――逃げられないって」
「あんっ」

 更紗に覆いかぶさるように身体を寄せて、肌をれろれろと舐める九条の姿はどこか倒錯的ですらある。彼の手は小ぶりな更紗の乳房をゆっくりと揉んでおり、ときおり爪先で乳首を弾く。じわじわと責め立て、彼女の身体を熱くしていく。恥じらう彼女の潤んだ瞳を満足そうに見下ろして、九条は更紗の耳元で甘く囁く。

「初な見た目なのに、これだけで感じるんだな……森鍵剣人に抱かれたのか?」
「……ノーコメント」

 更紗がそう言って口を結ぶと、九条はつまらなそうに彼女の下肢へ指を動かしていく。繊細な場所を探りながら、彼は更紗の反応を観察する。なかが濡れておらず、きつすぎることに気づいたのだろう。怯えている更紗を見て慌てて指を外に出す。

「更紗は――処女なんだね」
「……そう、です」

 処女は面倒くさいし重たいだろうと黙っていた更紗だったが、なぜか九条は笑っている。すました顔で開きなおった方がよかっただろうか。

「悪かった。てっきり経験があるのだと」
「そんなわけないじゃないですか」

 学生時代に同級生とそういった雰囲気になったことはある。けれど最後の一線を越えることが更紗はどうしてもできなかった。恐怖なのか体質なのか、森鍵剣人という大伯父が勝手に指名した許嫁がストッパーになっていたからなのか、その理由はいまもよくわからない。
 ただ、大学在学中に更紗といい雰囲気になった男は過去に何人かいたものの、更紗が濡れずに終わって消化不良のまま自然消滅するのが常であった。二十五歳にもなってこの様子じゃ九条に呆れられてしまうかもしれない。けれど、社会人になってからは良くも悪くも恋愛どころではなくなっていたので仕方がない。更紗の表情を読み取ったのか、九条は優しく彼女の髪を撫でながら、ぽつりと呟く。

「……俺が、怖い?」
「こわく、ない……」

 おどおどしつつも首を振る更紗に、九条がうん、と嬉しそうに頷く。縛られた手首はそのままだけど、更紗の裸体を抱き寄せて、何も言わずにキスをする。

「――あぁ」
「繊細な美術品は大切に扱わないと壊れてしまう――更紗は美術品みたいだな」
「そんな」

 そんなことない、と言おうとする更紗の唇に蓋をして、九条は愛撫を再開する。丁寧に指の腹をつかって彼女の敏感な部分を擦りたて、乳首や秘芽をゆっくりと刺激していく。もどかしい熱量が更紗を襲う。いままで感じたことのない痺れるような感覚に、息遣いが荒くなる。

「あぁっ、……ぁん」
「濡れてきたね。気持ちいいんだ?」
「ん」

 こくりと頷く更紗に、九条が満足そうに指を動かす。すでに莢を剥かれたクリトリスは鮮やかな赤い色へと変化しており、ふれられる都度、もっととねだるように膨らんでいた。何度も繰り返された愛撫によって慣らされたのか、濡れにくかった蜜口も潤ってきている……更紗はその現象を目の当たりにして自分が粗相をしてしまったかのように紅潮して、九条の手から逃れようと足をジタバタさせる。

「逃げないで」
「ッ――きゃっ!」
「まずは俺の手と口でイくこと……やさしくイかせてあげる。だから俺の前で美しく乱れるんだ」
「あぁぁっ――」

 九条のあたまが更紗の下腹部を覆い、彼の口が濡れそぼる蜜口とキスをする。そこまでされるとは思わなかった更紗は彼から与えられる初めての刺激から逃れられず、甲高い声をあげる。愛蜜を啜りあげる下品な音が耳元に届く。彼のざらりとした舌先に犯されて、奥からどぷりと愛液が分泌される。

「ひっ……ゃあ」
「怖がらないで。かわいいよ」
「うそ」
「うそじゃない。いやらしくて、かわいい」

 甘い言葉と深まる淫らな行為が更紗を困惑させる。九条が何を考えているのかまったくわからない。取引だと言って身体を差し出させようとした冷徹な彼からは想像することができない事態に、更紗はされるがままだ。隠していた仮面の裏側を暴くかのように、九条は更紗を容易く快楽の淵へ誘っていく。
 九条の舌が敏感な場所を擦りたて、更紗を追い詰める。彼の手は屹立している彼女の乳首をぎゅっと抓って弄んでいた。スーツ姿の彼が更紗の裸体に溺れている。そのこともまた更紗の感度を高める要因になっていた。

「――ああぁあっ!」
「上手にイけたね。もっとぐちゃぐちゃになっていいからね」
「~~~っ」

 九条の舌が花芽を扱く。そのままかぷりと噛みつかれ、更紗はふたたび絶頂する。
 あたまのなかが真っ白になる。ここまで強烈な快感を与えられると、逆に怖くなってしまう。いくら怖がらないでと囁かれても。

「だめっ」
「更紗?」
「わ、たし……おかしくなる」
「うん」
「もう、お嫁にいけない」
「ん?」

 更紗が泣きそうな声音でぽつりと零すと、九条が慌てて顔をあげる。すでに涙でぐちゃぐちゃになっていた更紗は思わず口走ってしまう。


「わたし――剣人さんと婚約してた、の」
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