「私と結婚して王子と妹の仲を引き裂いてほしいんです」――どうやら悪役令嬢の本命は俺のようです。
「私と結婚して王子と妹の仲を引き裂いてほしいんです」
眩いばかりのいい笑顔で意味不明なことを宣うのは、国一番の王妃候補、リゼット公爵令嬢。
平民出身の騎士候補生である俺に突きつけられたのは、あまりに無茶な「破滅」への協力命令だった。
「断るなら、お望み通りの最前線へ送り出して差し上げます」
「まあ、兵士を相手にする方が、王子を相手にするよりはいいかもな」
「残念、貴方に拒否権はありませんよ」
彼女が自ら泥を被る道を選んだ理由も、なぜ俺が選ばれたのかも、俺は何一つ知らされていない。
ただの協力者として選ばれたはずが、共闘するうちに彼女の想いは、次第に逃げ場のない「愛情」へと変わっていき――。
「俺、ただの協力者ですよね?」
「いいえ。あなたは私の、たった一人の『本命』ですよ?」
これは、最愛の妹を守るため孤独に抗う令嬢と、理由も知らぬまま彼女に運命を狂わされた騎士候補生の、甘く不穏な物語。
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