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偉そうなうさぎ

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 「きゃあ!」

 「わっ!な、なんだ、お前たちは!」



 何がどうなったのかわかりませんでしたが、私達がいたのはさっきの木の根元からは一転し、恐ろしく広い倉庫のような場所になっていました。
しかも、壁という壁、見渡す限りに所狭しと懐中時計がぶら下がっていまして、うるさい程の時計の音が響いていたのです。
 見たこともないような膨大な数の時計に私達が驚くのと同様に、うさぎも私達のことを見てとても驚いていました。



 「なるほど。ここがチクタクの音の元だったのね。
ね、どうしてこんなにたくさんの時計があるの?」

シュゼットは、率直な疑問をうさぎにぶつけました。



 「お前達、どっから入って来た!」

 「私はなんでこんなに時計があるのかって訊いてるのよ!」



うさぎは不機嫌そうにシュゼットを見上げ……でも、シュゼットには適わないと思ったのか、渋々と質問に答えてくれました。



 「ここはチクタクの倉庫だからだ。
この国中の人間のチクタクがここにあるんだ。
 俺様は、チクタクの倉庫番だ。
チクタクがちゃんと動いてるかを毎日確認し、停まった時計を捨てに行く。」

そう言って、うさぎはに意味ありげににやっと笑いました。



 「はぁ??全然意味がわからないわ。
 良いこと?話はもっとわかりやすくお話しなさい!
 国中って言ったけど、それじゃあ、ここには私達の時計もあるの?」

 「そ、そりゃあ、あるさ。」

 「じゃあ、それを見せなさい!」

シュゼットはそう言って、うさぎに詰め寄りました。
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