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僕とお兄ちゃんとお兄ちゃんの親友の適切な関係

僕とこーちゃんとあーちゃん

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 頭の中がぽやぽやしてる。
 ふわんふわんで、くらくらで、とろとろで。

「流石にこれはやばい…。速攻回収してコインランドリーな。綾人、頼んだ」
「おっけ。……てか、晃司、後で一発殴らせろ」
「顔以外で」
「………お前、腹筋で防げるとか思ってんだろ」
「あ、バレた?」
「………かお、なぐる」
「それは駄目。……母さんが心配する。いいから、綾人、急げって。ほんと、まじやばいから」

 こーちゃんと、あーちゃんが、ばたばた部屋の片付けしてる。
 ベッドのシーツ外してまとめたり、部屋の窓開けて換気したり、ゴミ箱の中身をどうにかしたり。
 僕は、そんな二人を机の椅子に座って、ただぼーっと見てた。
 バスタオルでくるまれてるけど、その下は裸で。

「じゃ、行ってくる。一時間くらいかな。タクのこと頼んだからね」
「わかってる」

 あーちゃんが荷物持って云っちゃった。
 そしたら、こーちゃんに、抱き上げられた。……こーちゃん、力持ち?

「こーちゃん」
「風呂…っていうか、シャワーな。中洗ってやるから」
「ん……」
「お腹すいた?結構な時間だから…、おやつの時間だから、綾人が持ってきたスイーツ食べる?」
「ん……」
「タク、寝たらだめだよ」
「ん……や……、ねむい」

 甘えたい。けど、ねむい。スイーツも食べたい。けど、ねむい。

「こーちゃん」
「ん?」
「……わかんない」
「ぷ。なんだそれ」
「うん……、なんか、えっと……、こーちゃんと、あーちゃんと、もっと、いっしょに、いたい……」

 とんとん、って、階段を降りてたこーちゃんが、とまった。
 それから、ふーって息をついて、また降り始める。

「……落ちるかと思った」
「?」
「不意打ち、駄目だから…タク」

 ちゅ…って、額にキスされた。
 こーちゃん、僕を抱っこして、階段降りてるのに、凄いね。器用だね。

 その後、お風呂場に連れられて…、シャワーできれいにされた。ちょっとそのやり方に、立っていられなくなって……、こーちゃんに抱きついた。
 洗うのが終わって、新しいバスタオルで拭かれた。くるくるーってくるまれて、居間のソファの上に降ろされる。
 こーちゃんは僕の着替えを取りに部屋に戻って……、一式全部持ってきてくれた。

 あーちゃんが戻ってきたのは、そろそろ夕方になる4時頃。
 ぎゅーって抱きついたら、目を白黒させてた。

「……あのね、こーちゃん、あーちゃん」
「「ん?」」
「あのね……、僕、二人のこと、好きだよ」

 二人から手が伸びてきて、僕の頬をさすってくれる。

「俺も好きだよ」
「オレも好き」

 きゅって、胸が苦しくなる。嬉しくて。

「じゃ……、こい、びと?」
「うん」
「そうだね」
「……3人、いっしょ?」

 おずおずと聞いたら、二人が笑ってキスしてくれた。

「一緒だね」
「一緒だね。まあ、オレより、晃司との時間のほうが長いと思うけど」
「そりゃ……まあ。兄弟だし」
「いいなぁ。ひとつ屋根の下。来年から、どっかに部屋借りよう、晃司」
「だな。…そしたら、いつでも3人一緒だ、拓斗」

 来年。
 こーちゃんとあーちゃんは進学予定だから、大学生だ。
 部屋を借りて、そこに僕も入ってるんだ。

「へへ…、嬉しい」

 僕から二人にぎゅーって、抱きついた。


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