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if番外編:お返しは糖度高めにお願いします

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 翌日。春の一の月の十四の日。
 アキがいた世界ではホワイトデーと呼ばれていた日。
 久しぶりの一日休み。
 朝、目が覚めたときからベッドの中でアキを可愛がった。
 俺に背を向けて眠っているアキを抱き寄せ、昨夜の名残を残したままの柔らかく溶けた蕾に、朝から痛いほどに怒張した俺のものを潜り込ませていく。

「ぁ………、ん………、ん………」

 眠りながらも上げる嬌声が可愛らしい。
 コツンとあたるところまで挿入し、動きを止めた。
 ビクビクと締め付けてくる内腔に、動かさなくても酷く気持ちがいい。
 少し奥の窄まりを突いてやれば、内腔が収縮する。
 アキの枕になってる左手で頭をなでて顎の下を擽る。熱い吐息をつく口元に親指を這わせ、そのまま少し侵入させると、アキは指に吸い付いてきた。
 右手で脚をなで上げ勃ち上がったペニスに触れた。

「ぁん……っ、ん、んむ……」
「……っ」

 きゅっと締まった内腔に息をついた。
 登りつめそうな快楽をやり過ごし、溢れてくる先走りを指に絡め取る。
 それを陰嚢にもペニスにも塗りたくり、その間も締め付けてくる内腔になんとか射精は堪え、更に溢れたものを手に纏わせ胸元を這わせた。
 乳首はすでに硬く勃っている。
 胸全体を柔らかく手で包みながら、乳首の先端まで揉み込む。

「ぁ、ぁん………っ、ん、んぅ、んんぅ、んぅぅ」

 肩越しに見える乳首が赤く熟れて美味そうだ。食べたい。
 甘い声を上げているのにアキはまだ目覚めない。昨夜かなり疲れさせたのだから無理もないとは思うが、いい加減違う声も聞きたい。
 指に吸い付いてくる唇にも口付けたい。
 俺の欲が高まる。もう待てない。
 腰をくゆらせ窄まりを叩く。そこが口を開いたのを感じ、限界まで張り詰めたペニスを突き挿れた。それと同時に指元で遊んでいた乳首を強くつまみ上げる。

「ひぃ………!?あ、あ、なに、や、ああ…!!!」

 上がるのは短い悲鳴と嬌声。

「おはよう、アキ」
「あ、あっ、だめ、あ、イった……ぁっ、イったからぁ…っ、や、とまって、とま……っ、あ、イぁ……!!!」

 逃げようとする体を左手で拘束する。
 ビクンビクンと震える体と同じように、内腔も締め付けてくる。
 頭の芯が溶けそうだ。
 窄まりの奥に何度も抽挿を繰り返し、搾り取るように締め付けられたとき、抗わずに射精した。

「ひ………ぁ、ぁ…、ぁ……」

 弛緩していく体。
 挿れたままアキの体を抱きしめる。

「も………くりすのばかぁ………」
「ただ寝てるのはつまらないだろ?」

 休日の朝は大概同じだ。
 前夜は朝方近くまでアキを愛して、深く眠って翌朝にも抱く。

「もぉ………」

 無茶をする俺を、アキはあっさりと許し、受け入れてくれる。……これも、いつものこと。

「……くりす、きす」
「ん」

 僅かにだけ体を離し、体をひねって口付けをねだるアキ。
 それに応えながら、腰を緩やかに動かし始めた。




 アキに着せるのは薄い寝間着だけ。透けるようなことはないから、アキは抵抗なくそれをいつも着ている。
 俺の膝の上で温めた蜂蜜入りの果実水を飲むアキ。
 側で給仕をしているセシリアは、「色気たっぷりで気怠げなアキラさん……萌えです眼福です」と、小声で喚きながらメリダに叱られている。セシリアを叱りつけたあとは、俺にも冷たい目で「坊っちゃん」と言ってくる。
 アキは余韻が抜けていないからひたすらぼぅっとしているだけ。
 両手に持ったカップを時々取り落としそうになるから、俺が支えてやる。
 果実水を飲む合間にサンドイッチを口にいれてやる。それを繰り返してると、ふと、アキの視線が俺に向いた。

「………くっきー?」

 昨日作った菓子はどこだと言いたいんだろう。

「茶の時間にな」
「……おちゃ」

 アキは果実水が入っていたカップを俺に押し付けると、テーブルの上で用意されているポットに手を伸ばした。

「こうちゃ、ください」
「はい。――どうぞ」

 舌っ足らずなまま。
 メリダは苦笑しながらアキが好きな柑橘系の香りがする茶をカップに注ぎ、アキに手渡した。
 アキはその香りを吸い込み微笑むと、また俺を見上げてくる。

「くりす、こうちゃ」
「…………っ」

 カップを持って嬉しそうに笑うアキ。
 つまりなんだ?
 茶を持っているから菓子が欲しい、そういうことなのか。
 あまりの可愛さに息を呑んでしまう。

「茶を持っても駄目。今は食事の時間だろ?」

 そう伝えると、アキは手元を見て、テーブルの上の料理を見て、また手元を見て、……最後に俺を見上げてきた瞳は涙で潤み始めていた。

「……っ」
「……くりすの、くっきー、たべたい」

 昨夜から無理をさせてる自覚はあるから、食事はしっかり摂らせなければと思っていたが、アキのこんな瞳に勝てるわけもなく。

「……セシリア」
「はい。今ご用意いたします」

 ニコニコ笑いだしたアキに怒る気にもなれず、セシリアが戻るまで果物やサンドイッチを口元に運んだ。
 それほど時間を開けず戻ってきたセシリアの手の中の籠を見て、アキの表情が変わった。

「昨日も食べただろう」
「昨日のは味見!」

 目を輝かせたアキの口調もだいぶ戻ってきた。
 その様子にくすくす笑いだしたメリダは、新しい紅茶を淹れてくれる。

「アキ」

 籠の中から一枚取り出し、アキの口元に運んだ。

「俺からのお返しだ。受け取ってくれるか?」
「うん。もちろん!!ありがと、クリス!」

 満面の笑顔で口を開けて、俺の手から菓子を食べ始める。
 幸せそうな笑顔。
 作ってよかったと思う瞬間だった。

 予定より早まった茶の時間。
 俺は膝の上で嬉しそうに食べるアキを抱きしめながら、幸福な時を過ごしていた。



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