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番外編

運命はすぐ傍に②

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 手を握ったままの兄上を促して、父上たちの寝室を出た。父上と母上は、意識をなくした母様をまだ抱くようだ。
 俯いた兄上だけど、素直に私についてくる。
 父上たちの自室から然程遠くはない場所にある私達の部屋。もちろん一人部屋だが、私は自室に兄上をまねきいれた。

「兄上」

 少し近づいて耳もとで声をかけると、ビクリと反応をして、恐る恐る私を見上げてきた。
 視線はすぐにうろうろと迷子になってしまったけれど。
 兄上の手を引いてベッドに座らせた。
 もじもじと足をこすり合わせるようすに、また私の股間が熱くなる。

「兄上、私がしますよ」
「え」

 華奢な体を私の膝の上に上げると、視線が大体同じになった。
 真っ赤になった兄上の顔。
 トラウザーズの前をさっさと寛げ、下着をずらすと、ぽろんと固くなった兄上の陰茎が飛び出た。

「っ、イサーク…っ」
「抜くだけです」

 私の物も窮屈になった下着から取り出した。
 すっかり勃起した私のそれは、兄上の陰茎より一回り以上大きい。

「あ……」
「兄上、私にしがみついて」
「あ、あ」

 二人分の陰茎を手の中に収めて、緩やかに扱き始めた。
 兄上は抵抗もなく、すぐに私に両手で抱きついてくる。

「兄上……、気持ちいいですか?」
「ん……っ、いいっ、きもちいい……っ」
「私もです」

 二人の先走りでもうぬるぬるだ。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音が兄上の喘ぎ声と重なって、酷く婬猥に部屋の中に響く。

「あ、あっ、いさーく、いさーく…っ」
「イきそうですか?」
「ん、んぅっ、いく、いくっ」
「はい。では一緒に」
「きゃあっ」

 手の動きを早めると、兄上は可愛い悲鳴を上げて背筋をピンと反らせ、私の手の中で達した。
 瞬間遅れて私も手の中に吐精する。
 ぴくんぴくんと私の膝の上で体を震わせたままの兄上。兄上が出した精液はほんの僅かだったのに、私が出したものは量も多く、白くねっとりとしていた。

「いさーく……ごめん、ごめんね……っ」
「何故謝るんですか?」
「だって……僕……」
「私が兄上に触れたくて触れているんです。謝らないでください」
「触れたい……?」
「はい。……もっと、触れたい」

 萎えた兄上の陰茎を、勃起したままの私の物に重ねて緩く擦った。

「ひ、ひぁ、ぁっ」
「……兄上は、どうして私が触れることを許してくれたのですか?父上から注意されたばかりですよ」
「あぅ、んっ、あっ、わ、わか、んない……っ」
「わからないですか?」
「ん、うんっ、でも、いさーくにふれられるの、いやじゃ、ない………ひゃぁっ」
「……兄上っ」
「あ、あっ、いさーく……っ」

 ほろほろと流れる涙を唇で拭った。
 また少し固くなった兄上の陰茎。
 兄上、私に触れられるのは嫌じゃない……ということは、私のことが好きだということですか?

「……………エリアス」
「きゃぁぁっっ!!」

 耳もとで低く低く名前を呼ぶと、兄上はまた可愛い悲鳴を上げて、達した。陰茎からはプシャリと透明な体液が飛び出してくる。
 兄上ははくはくと息継ぎをしながら、とろんと瞼を落とした。
 完全に寝落ちた様子の兄上を抱き直し、風呂場に向かった。衣服を脱がせれば、胸の上では小さな桃色が控えめに主張していた。
 それを唇で食んだ。びくんと跳ねる体と、漏れる甘い声。
 ……父上たちがあの部屋に母様を閉じ込めてる理由が少しだけわかる。
 誰の目にも触れさせたくない。常に私の傍にいてほしい。他人と言葉をかわすことも、友人として他人と肩を叩きあったり、そんな触れ合いすらさせたくはない。
 兄上の全てを私のものにしたい。
 私だけを見て。
 私だけの声を聞いて。
 そんな仄暗い感情を自覚する。

 兄上を抱いたまま湯に浸かり、尻の間をなでて蕾の奥に指を入れた。そこはまだ濡れてもいないし、酷く狭い。母様のように愛液で濡れそぼることは今は、まだ、ない。
 でもいつか、ここに私の物を挿れる。
 揺籠の口をこじ開けて、子種を注ぐ。
 待っていて、兄上。



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