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6主人公視点
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私にとってとても息苦しい空間。
けれど、爽やかな風が入り口から吹いてきた。
第二王子ルーカスだ。
女性の多くが彼に見惚れて頬を赤らめる。それは、キャサリン派閥の人々すら私を弾圧するのを忘れて、喉を鳴らしている。
「兄様、父上と一度は約束した結婚。反故にするおつもりですか?」
「ふっ、ふん。王家の名を傷つけうる女だとわかったから、婚約破棄するだけだ」
「では、キャサリン嬢と結婚するわけではありませんよね」
ルーカスの言葉にキャサリンが人に懐かない野良犬のようにルーカスを警戒して、エドワードの背中に隠れた。
「なっ、それは・・・お前には関係ないだろうが」
毅然とするルーカス。毅然としようとても目が泳ぐエドワード。どちらが兄でどちらが弟なのかわからなくなる。
「どちらにしても、彼女と姑息な手を使いましたね」
「なっ、なんのことだ」
ルーカスはエドワードを無視して、ナンシーの元へと向かう。
「もう大丈夫ですよ」
ナンシーに微笑むルーカスの顔はとても優しくて素敵だった。
(いいなぁ・・・)
私は本が好きだ。小さい頃は絵本をたくさん読んだ。だから、ナンシーが主人公で白馬の王子様が助けに来たみたいで少し羨ましかった。
(って、寂しいからって何考えてるの、私っ)
ルーカスだって、王家の人間。少し、兄弟で確執があるのは知っているけれど、王家側の人間なのだから、私の味方なはずがない。
「兄様・・・いいや、エドワード。そして、キャサリン。君たちはナンシーのご両親を誘拐したね?」
「なんですって・・・」
私は思わず、声を出してしまった。ナンシーは申し訳なさそうに下を向き、ルーカスはナンシーの背中を擦ってあげていた。
「おい・・・誘拐って」
ざわつく貴族たち。
「おっおい、ルーカスっ。あっ、兄を呼び捨てにした上に、その、濡れ衣を着せるとは、良い度胸だ」
「そうよ、ひどいですわ。ルーカス様」
さっきまで周りに背中を押してもらっていた二人だったけれど、急に旗色が悪くなったことでエドワードは動揺し、キャサリンは・・・悲劇のヒロインのような顔をしていたけれど、
(・・・ん?)
一瞬、鬼のような形相で動揺するエドワードを睨んだのが見えた気がする・・・。
「君たちが雇った盗賊は全て捕まえさせてもらったよ」
「わっ、わたしのパパとママはっ!?」
「大丈夫、無事だ」
「よかった・・・」
泣き始めるナンシー。私が見ていると、私の元へ泣きながら走って来て、
「ごめんなさいっ、メリーっ。私、親友のあなたを・・・・・・っ」
「いいの、いいのよ・・・。私こそ、あなたの異変に気づけなくてごめんなさい」
親友と呼んでくれたのが嬉しかった。それで十分。私だって家族を人質に取られていたら・・・正常な判断が取れなかったかもしれないもの。私は彼女の手を握ってあげると、氷のように冷たかった。よっぽど、緊張していたに違いない。
けれど、爽やかな風が入り口から吹いてきた。
第二王子ルーカスだ。
女性の多くが彼に見惚れて頬を赤らめる。それは、キャサリン派閥の人々すら私を弾圧するのを忘れて、喉を鳴らしている。
「兄様、父上と一度は約束した結婚。反故にするおつもりですか?」
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「では、キャサリン嬢と結婚するわけではありませんよね」
ルーカスの言葉にキャサリンが人に懐かない野良犬のようにルーカスを警戒して、エドワードの背中に隠れた。
「なっ、それは・・・お前には関係ないだろうが」
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「どちらにしても、彼女と姑息な手を使いましたね」
「なっ、なんのことだ」
ルーカスはエドワードを無視して、ナンシーの元へと向かう。
「もう大丈夫ですよ」
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(いいなぁ・・・)
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「なんですって・・・」
私は思わず、声を出してしまった。ナンシーは申し訳なさそうに下を向き、ルーカスはナンシーの背中を擦ってあげていた。
「おい・・・誘拐って」
ざわつく貴族たち。
「おっおい、ルーカスっ。あっ、兄を呼び捨てにした上に、その、濡れ衣を着せるとは、良い度胸だ」
「そうよ、ひどいですわ。ルーカス様」
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「いいの、いいのよ・・・。私こそ、あなたの異変に気づけなくてごめんなさい」
親友と呼んでくれたのが嬉しかった。それで十分。私だって家族を人質に取られていたら・・・正常な判断が取れなかったかもしれないもの。私は彼女の手を握ってあげると、氷のように冷たかった。よっぽど、緊張していたに違いない。
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