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3.逃走防止の鎖なの!?
④
しおりを挟む気がつけば俺は膝を立てた師匠の身体に、後ろから抱え込まれていた。
腰に当たるのは、柔らかい布とまだ兆していない師匠のソレの感触だった。
俺だけは全裸のままだったのに、自分だけはちゃっかりとズボンを履いている。
おかげで明るい朝の光の中で陰部をさらすなんて恥ずかしい格好をしているのは俺だけだ。
「ほら、足を開けって」
そんな事を言われても、一人でこんな格好は居たたまれないし、昨日の続きだと思えば怖すぎる。
「こういう時は素直が一番じゃねぇの?もう1回反省しとくか?」
耳をカプッと銜えた師匠が舌で耳の形をなぞりながら、そんな事を囁いてきた。
反省、っていったらアレなはず・・・。
俺は慌てて周りを見回した。
いま俺の見える所には例のカテーテルは見当たらない。
「ここに突っ込んだアレを探してるのか?すぐに出せるぞ」
ニヤニヤと笑う師匠に、冗談じゃないと俺は大きく首を振った。
何でもありな師匠の事だ。
空間魔法で亜空間に保管してるか、転移魔法で取り寄せるって事だろう。
近くに無いからって安心できるわけじゃなかった。
「で、どうする?もう1回やっとくか?」
恐ろしい事をサラリと言いながら、昨日散々弄っていた箇所を皮膚の上から撫でていた。
「あ、やっ…いや、です・・・」
だって、ありえない所があんなに痛かった。
差し込まれて、いつ引き抜かれるか分からなくて。
ようやく抜かれたって、また入れられて。
何度も止めて欲しいって言ったのに、全然終わりにしてもらえなかった。
いつになったら許して貰えるのかが分からなくて、あの時は本当に怖かったのだ。
「ひっ…あぁ、やめ…いたぁ、ぃ…」
グイッと回された腕が、ゆっくりと押し込むように膀胱の箇所を押さえてくる。
わざと師匠は昨日と同じようにしているのかもしれない。
だって師匠の動きにリンクして、実際に昨日の痛みがはっきりと思い出されてきているし。
身体だって冷や汗が薄らと浮かんできているのだ。
「痛くねぇよ。昨日は傷だってつけてねぇし、念のためにちゃんと回復もさせといたからな」
俺だって分かっているんだ、錯覚だって。
朝起きてからこんな事が始まるまでは、身体には痛みなんて残ってなかった。
だからこれは、身体の記憶なはずなのだ。
だけどそれって、記憶だけでもこんなに辛いって事だから。
それに実際の苦痛が加わるなんてとんでもない。
「き、きのうのは、いやで、す……」
「じゃあ、素直に開いてろ」
その声は俺が断るなんて思っていないんだろう。
まぁ、確かに俺に拒否権なんてあるはずがない。
いや、日常生活の中ぐらいなら、さすがに俺だって全力の抵抗を試みるし、上手くいく事だってたまにはある。
それでも、ベッドの中ではほとんどゼロの状態だ。
だけどさ。
素直に聞いて、それでどうなる?
だって、さっき昨日の続きだって言っていたよな。
例のアレを使わなくたって、この呪具が似たような物って可能性もあるだろう。
俺の股間についたゲル状のリングに目を落とす。
このまま居ても、得るモノよりも失うモノが多いような気がしてくる。
やっぱり弟子をやめようか。
今ならまだ引き返せるような気がするし。
大切な何かを失う前に逃げた方が得策だって、俺の理性が言っている。
だけどそれと同じぐらいに、せっかくここまで我慢したのに?
なんて、俺の欲も言っていた。
だって、こんな理不尽な思いも耐えてきたのだ。
ここまで我慢してたんだから、せめて中級クラスまでは習得したい。
理性と欲を行ったり来たりで、俺は一向に決められなかった。
時間は全く残ってなくて、今すぐ決めないとヤバいのに。
「あれ?お前。結局、今日も反抗するの?」
「そんな事はありません!!」
俺のバカ!!
耳元で聞こえた声の不機嫌さに押し負けて、結局足を開いちゃったよ。
そんな俺の股間を楽しそうに師匠が握り始めてた。
あぁ、神様、どうか俺にもその慈悲を下さい。
無駄だと思いつつ、思わず願わずには居られなかった。
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