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第一部
陽光の中 1
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「えっ、欲しい物ですか?」
いつも通りに抱えた膝の上。よほど意外な質問だったのか、きょとんと聞き返すレフラはよく意味が分かっていないようだった。
躾の始まりとして仕方がなかったとは言え、嫁いでからは笑うより泣く事の方が多かったはずだ。すり減ったレフラの心を思い、労りを込めてギガイは促すように頷いた。
「贈り物なんて初めてです」
頬をわずかに緩ませて嬉しそうな笑みが浮かぶ。控えめな表情だったが、光を受けてキラキラと輝く目は本当に嬉しいのだと物語る。どことなく幼さを感じさせる表情だった。
物わかり良く常に自分を律している様子のある御饌だ。常とは違う表情から取り繕っていないレフラの素を感じた心が温かい。それと同時に初めてという言葉にギガイが一瞬引っかかった。
(確かに豊かとは言えない村だったが……)
それでも些細な贈り物ぐらいはあってもおかしくないはずだ。そんなギガイの疑問は、何かを思い出したのか、突然曇ったレフラの表情が押し遣った。
「どうした?」
さっきまでの表情は間違いなく嬉しいと物語っていたはずなのに、感情が入り混じったような表情のまま、レフラがポスッとギガイの胸に顔を埋めてくる。
少し前に、独りは嫌だと泣いた時に最後の砦が壊れたのだろう。あれからずいぶん素直になったレフラの姿に、ギガイの口元が思わず緩んだ。
「心配な事でもあるのか?」
何かを逡巡しているのか小さく唸りながら額を擦り付けてくる姿は微笑ましかった。心の内を晒す事は相変わらず苦手のようだが、温もりに弱い身体は不安でも甘えでも存外に素直に身体を擦り寄せる。
都度その素直さを褒めるように、ギガイはレフラの身体を撫でてやった。そして今日もまたいつものように触れながら、レフラの言葉を促していく。
「でも、私は昨日も上手くできていません…。そんな私が何かを頂くなんて……」
何も言わずに受け取る事も出来たはずだ。だが実直であろうとするレフラの本質さ故か、そう言って落ち込むレフラの真っ直ぐさは好ましく、俯いたレフラの頭をギガイは柔らかな目で眺めた。
梳いていた指を髪に絡めて戯れのように軽く引けば、意図を察したレフラが素直に顔を上げてくる。
その唇に啄むようなキスをする。
「次はまた頑張るのだろう?」
羞恥と不安と恐れを入り混じらせているのか。紅く頬を染めながらもレフラの目は少し揺れていた。それでも唇が触れ合いそうな距離で「どうだ?」と尋ねるギガイの唇へ「はい…」という返事と共に触れ合わせてきたのはレフラの方からだった。
合わさった唇を食んで空いた隙間から舌先を滑らせる。早急な刺激ではなく、あくまでも誘い出すように何度も口蓋を舌先で往復させる。
「ふっぁ、ぁっ、ぁ…」
耐えきれないと言うように鼻から声が漏れ、レフラの舌がギガイの舌へと絡まった。拙い動きで懸命に応じるレフラの様子は心地良い。ギガイは順調だと満足した。
(もう今までのような躾は不要のようだな)
そんな事をしなくても。
仕置きの恐怖や痛みを。
飴の癒やしや心地良さを。
幾重に刷り込んだ後、最後の砦さえも壊れた今は、『従うべき者を教え込む』始まりの躾は完了しているようだ。
(これならもう次に進んでも良いな)
その為にも心は解けている方が都合が良かった。
次の躾は快楽の甘受なのだから。心から受け入れていればいるほど、快楽は強く深くなっていく。だから、これからも与えられる温もりに素直に身を寄せていろとほくそ笑む。
身も心も甘やかして解かしながら与える淫虐は、今度は甘くレフラを鳴かせるはずだ。
もともと優しく甘やかしたい御饌なのだ。ギガイは機嫌良くレフラの舌を吸い上げた。
いつも通りに抱えた膝の上。よほど意外な質問だったのか、きょとんと聞き返すレフラはよく意味が分かっていないようだった。
躾の始まりとして仕方がなかったとは言え、嫁いでからは笑うより泣く事の方が多かったはずだ。すり減ったレフラの心を思い、労りを込めてギガイは促すように頷いた。
「贈り物なんて初めてです」
頬をわずかに緩ませて嬉しそうな笑みが浮かぶ。控えめな表情だったが、光を受けてキラキラと輝く目は本当に嬉しいのだと物語る。どことなく幼さを感じさせる表情だった。
物わかり良く常に自分を律している様子のある御饌だ。常とは違う表情から取り繕っていないレフラの素を感じた心が温かい。それと同時に初めてという言葉にギガイが一瞬引っかかった。
(確かに豊かとは言えない村だったが……)
それでも些細な贈り物ぐらいはあってもおかしくないはずだ。そんなギガイの疑問は、何かを思い出したのか、突然曇ったレフラの表情が押し遣った。
「どうした?」
さっきまでの表情は間違いなく嬉しいと物語っていたはずなのに、感情が入り混じったような表情のまま、レフラがポスッとギガイの胸に顔を埋めてくる。
少し前に、独りは嫌だと泣いた時に最後の砦が壊れたのだろう。あれからずいぶん素直になったレフラの姿に、ギガイの口元が思わず緩んだ。
「心配な事でもあるのか?」
何かを逡巡しているのか小さく唸りながら額を擦り付けてくる姿は微笑ましかった。心の内を晒す事は相変わらず苦手のようだが、温もりに弱い身体は不安でも甘えでも存外に素直に身体を擦り寄せる。
都度その素直さを褒めるように、ギガイはレフラの身体を撫でてやった。そして今日もまたいつものように触れながら、レフラの言葉を促していく。
「でも、私は昨日も上手くできていません…。そんな私が何かを頂くなんて……」
何も言わずに受け取る事も出来たはずだ。だが実直であろうとするレフラの本質さ故か、そう言って落ち込むレフラの真っ直ぐさは好ましく、俯いたレフラの頭をギガイは柔らかな目で眺めた。
梳いていた指を髪に絡めて戯れのように軽く引けば、意図を察したレフラが素直に顔を上げてくる。
その唇に啄むようなキスをする。
「次はまた頑張るのだろう?」
羞恥と不安と恐れを入り混じらせているのか。紅く頬を染めながらもレフラの目は少し揺れていた。それでも唇が触れ合いそうな距離で「どうだ?」と尋ねるギガイの唇へ「はい…」という返事と共に触れ合わせてきたのはレフラの方からだった。
合わさった唇を食んで空いた隙間から舌先を滑らせる。早急な刺激ではなく、あくまでも誘い出すように何度も口蓋を舌先で往復させる。
「ふっぁ、ぁっ、ぁ…」
耐えきれないと言うように鼻から声が漏れ、レフラの舌がギガイの舌へと絡まった。拙い動きで懸命に応じるレフラの様子は心地良い。ギガイは順調だと満足した。
(もう今までのような躾は不要のようだな)
そんな事をしなくても。
仕置きの恐怖や痛みを。
飴の癒やしや心地良さを。
幾重に刷り込んだ後、最後の砦さえも壊れた今は、『従うべき者を教え込む』始まりの躾は完了しているようだ。
(これならもう次に進んでも良いな)
その為にも心は解けている方が都合が良かった。
次の躾は快楽の甘受なのだから。心から受け入れていればいるほど、快楽は強く深くなっていく。だから、これからも与えられる温もりに素直に身を寄せていろとほくそ笑む。
身も心も甘やかして解かしながら与える淫虐は、今度は甘くレフラを鳴かせるはずだ。
もともと優しく甘やかしたい御饌なのだ。ギガイは機嫌良くレフラの舌を吸い上げた。
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