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第一章2人の未来(みく)
ドルチェ -marineside
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「おはよ、未来ちゃん。今日は早いね……そちらの方は?」
『ドルチェ』の扉を開けると、菊池さんはいつものあいさつをくれた。
「おはようございます。あ、母です」
「はじめまして、私、飯塚未来の母です。今回は娘が大変お世話になりました」
「とんでもない、こちらこそ恥ずかしながら急に嫁に逃げらて困ってたんです。おかげで助かってます」
ママの挨拶に菊池さんが照れて頭を掻きながら返した。
「それで、勝手な事を言うようなんですが、娘を連れて帰りたいと思います」
そして、ママは私が言う前にさっさと千葉に帰ることを口に出してしまう。
「そっか……迎えに来られたんですね。いえいえ、こちらはもう。やっぱり家族は一緒にいるのが一番ですよ」
菊池さんはそれに対して、彼は頭を振ってそう返した。それから言いにくそうに、
「じゃぁ、昨日のことってやっぱり……」
と聞いてきたので、私はこくりと肯いた。
「菊池さん分かってたんですか?」
私がそう聞くと、菊池さんは、
「俺だって、伊達に未来ちゃんの2倍歳とってる訳じゃないよ」
と言った。
「そうかいね、私は無駄に歳とってると思うがね」
すると奥の方から、きれいな女性が笑いながら出てきた。
「澄子、そりゃないだろ」
菊池さんはその女性-澄子さんに剥れながら返した。
「ほいでなきゃ、嫁に逃げられたりせんがね」
「お前が言うがか!?」
「たぁけ、私じゃなきゃ誰が言うがか」
菊池さんの文句に、澄子さんがばりばりの方言で捲し立てる。まるで漫才を見てるみたいだ。綺麗な外見とのギャップでかろうじて笑わずにいられたけど。彼女は私の方を向くと、
「あ、未来さんと会うのは初めでしたな。私がその逃げた嫁の菊池澄子ですわ」
と笑って自己紹介した。やっばりこの方が奥さんなのか……方言が慣れないからびっくりしたけど、明るくてはきはきとしていて、菊池さんとはお似合いな感じがする。
「はじめまして、飯塚未来です」
「未来の母親の夏海と申します。この度は娘が大変お世話になりまして……」
ママも澄子さんの迫力に気圧されていたのか、ここで、突然魔法が解けたかのように何度もお辞儀しながら挨拶をした。
「いやぁ、こっちこそ、どえりゃぁ世話になってまって」
澄子さんもそう言ってはにかみながら頭を下げた。
「ホントだで、未来ちゃんがいてくれんかったら、俺一人じゃにっちもさっちもいかんかったで」
それに対して、菊池さんが憮然とそういった。気が付けば菊池さんもいつの間にか訛っている。それがなおさら普段の二人の仲の良さを表しているような気がした。
「解っとるがね、感謝しとるで。
ま、私がここに戻ることになったで、未来さんも後のことは心配せんでな。それよりも元気な子供産んでもろうて。子供産むんは、女にしかできん仕事だで」
そう言って、澄子さんは私の手を握った。ふんわりとした手は温かかった。
「澄子さん、すいません。私が現れて本当ならもっと早くに帰れるはずだったのが、帰れなくなってたんじゃないんですか?」
私がそういうと、澄子さんは手を振って、
「いやいや、そんなことはないでな。こんお方も、意地っ張りやさけ、いきなりは謝れんかったんだわ。私にとってもええ骨休めやったで、気にせんで」
そして、謝る私にウインクしてそう答えた。それを見た菊池さんは、何か言いたげだったけど、澄子さんの顔を見て止めたみたいだった。今の澄子さんは、菊池さんが一言言おうもんなら、その何倍かになって返ってきそうだったから。
「ありがとうございます」
お礼の言葉を言ったら、涙がまた出た。そんな私を見た澄子さんは、
「泣いたらいかんて。泣いたらお腹の子が泣き虫になってまう。女の子ならえぇけんど、男じゃそりゃいかんだろ、な」
そう言いながら私の頭を優しくなでてくれた。
『ドルチェ』の扉を開けると、菊池さんはいつものあいさつをくれた。
「おはようございます。あ、母です」
「はじめまして、私、飯塚未来の母です。今回は娘が大変お世話になりました」
「とんでもない、こちらこそ恥ずかしながら急に嫁に逃げらて困ってたんです。おかげで助かってます」
ママの挨拶に菊池さんが照れて頭を掻きながら返した。
「それで、勝手な事を言うようなんですが、娘を連れて帰りたいと思います」
そして、ママは私が言う前にさっさと千葉に帰ることを口に出してしまう。
「そっか……迎えに来られたんですね。いえいえ、こちらはもう。やっぱり家族は一緒にいるのが一番ですよ」
菊池さんはそれに対して、彼は頭を振ってそう返した。それから言いにくそうに、
「じゃぁ、昨日のことってやっぱり……」
と聞いてきたので、私はこくりと肯いた。
「菊池さん分かってたんですか?」
私がそう聞くと、菊池さんは、
「俺だって、伊達に未来ちゃんの2倍歳とってる訳じゃないよ」
と言った。
「そうかいね、私は無駄に歳とってると思うがね」
すると奥の方から、きれいな女性が笑いながら出てきた。
「澄子、そりゃないだろ」
菊池さんはその女性-澄子さんに剥れながら返した。
「ほいでなきゃ、嫁に逃げられたりせんがね」
「お前が言うがか!?」
「たぁけ、私じゃなきゃ誰が言うがか」
菊池さんの文句に、澄子さんがばりばりの方言で捲し立てる。まるで漫才を見てるみたいだ。綺麗な外見とのギャップでかろうじて笑わずにいられたけど。彼女は私の方を向くと、
「あ、未来さんと会うのは初めでしたな。私がその逃げた嫁の菊池澄子ですわ」
と笑って自己紹介した。やっばりこの方が奥さんなのか……方言が慣れないからびっくりしたけど、明るくてはきはきとしていて、菊池さんとはお似合いな感じがする。
「はじめまして、飯塚未来です」
「未来の母親の夏海と申します。この度は娘が大変お世話になりまして……」
ママも澄子さんの迫力に気圧されていたのか、ここで、突然魔法が解けたかのように何度もお辞儀しながら挨拶をした。
「いやぁ、こっちこそ、どえりゃぁ世話になってまって」
澄子さんもそう言ってはにかみながら頭を下げた。
「ホントだで、未来ちゃんがいてくれんかったら、俺一人じゃにっちもさっちもいかんかったで」
それに対して、菊池さんが憮然とそういった。気が付けば菊池さんもいつの間にか訛っている。それがなおさら普段の二人の仲の良さを表しているような気がした。
「解っとるがね、感謝しとるで。
ま、私がここに戻ることになったで、未来さんも後のことは心配せんでな。それよりも元気な子供産んでもろうて。子供産むんは、女にしかできん仕事だで」
そう言って、澄子さんは私の手を握った。ふんわりとした手は温かかった。
「澄子さん、すいません。私が現れて本当ならもっと早くに帰れるはずだったのが、帰れなくなってたんじゃないんですか?」
私がそういうと、澄子さんは手を振って、
「いやいや、そんなことはないでな。こんお方も、意地っ張りやさけ、いきなりは謝れんかったんだわ。私にとってもええ骨休めやったで、気にせんで」
そして、謝る私にウインクしてそう答えた。それを見た菊池さんは、何か言いたげだったけど、澄子さんの顔を見て止めたみたいだった。今の澄子さんは、菊池さんが一言言おうもんなら、その何倍かになって返ってきそうだったから。
「ありがとうございます」
お礼の言葉を言ったら、涙がまた出た。そんな私を見た澄子さんは、
「泣いたらいかんて。泣いたらお腹の子が泣き虫になってまう。女の子ならえぇけんど、男じゃそりゃいかんだろ、な」
そう言いながら私の頭を優しくなでてくれた。
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