痴漢冤罪に遭遇したニートな俺のダイハードな48時間

ご隠居

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東京高検検事長・藤川弘一郎は最高検の刑事部長、次長検事であった頃、調査活動費を私的に流用していた 2

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「…自分が新たに毎年、作った、それも検察のためとの藤川のその説明を真に受けたがために新たに増額した2000万もの裏金が、実は藤川の個人の遊興に使われたのではないか…、その疑いを強くした浅井事務官は藤川を尾行することにしたそうだ…」

「愛人との密会用に使っていたマンションを突き止めるため、ですか?」

「いや、その時点では浅井事務官もまだそこまでは…」

「ただ、藤川がどんな遊興を…、豪遊をしているのかと、それを確かめるためだったと?」

「ああ」

「その結果、愛人との密会用のマンションを突き止めてしまったと?」

「そうだ。港区虎ノ門一丁目×―×、レジデンス虎ノ門、だそうだ…」

 押田部長はそらんじてみせると、

「藤川が退庁したのを見計らって、その後をつけたらしい…」

 押田部長は思い出したようにそう告げた。恐らく浅井事務官が押田部長の元を訪れ、告発状を提出した時にでも説明したのであろう。

「でも、藤川は次長検事ですよね?次長検事ならハイヤーがつく筈では?だとしたら尾行と言っても結構、一苦労じゃありませんかね…、それともタクシーで尾行したとか?」

 俺は疑問点を挙げた。

「愛人との密会用のマンションまで行くのにハイヤーを使うと思うかね?」

「確かに…、運転手には知られたくないですしね…」

「まあ彼等にも一応の守秘義務はあるだろうが…、一応ってだけだからな…」

「それでは藤川は電車を使って虎ノ門の愛人宅に?それともハイヤーではなくてタクシーを使って?」

「電車だ。東京メトロ丸の内線で銀座駅まで向かい、銀座駅からメトロ銀座線で虎ノ門駅まで向かい、虎ノ門駅から徒歩でそのマンションに向かったそうだ」

「それにしても良く尾行が成功しましたね」

「まあ、次長検事ともなると人から尾行されることには慣れていないからな。案外、気付かないものだ。それとも自分はまさか尾行されるような人間ではない、と高を括っていたか、そのどちらかだろう」

「いや、そうではなくて…」

「何だ?」

「藤川が愛人との密会用のマンションに行く日時が良く割り出せたものだなぁ、とそれが疑問でしてね…」

「ああ。それなら以前から噂にはなっていたそうだ」

「噂…、遊興が過ぎるって噂ですか?」

「それもあるが、毎週金曜日にもなるとハイヤーも使わずに退庁する、って噂が立っていてな…」

「そんな噂が立っていたんですか…」

「ああ」

「ちなみに押田部長も御存知だったんですか?その噂を…」

「俺はもうその時には特捜部長で、ここ地検の住人だから、最高検のことまでは詳しく知らんが…」

 それでも押田部長のその口ぶりから察するに、噂の尾ひれぐらいは耳にしていた様子がうかがえた。

「それで…、その噂が浅井さんの耳にも入った…、そういうことですね?」

「そういうことだ。浅井事務官はその噂を耳にした時、裏金作りの更なる増額との関連が即座に頭に浮かんだらしい。いや、薄々はそうではないかと疑っていたので、その疑惑が確信に変わったと言うべきか…」

「だからことの…、噂の真偽を正すべく、浅井さんは藤川を尾行することに決めたと、そういうことですか?」

「ああ。浅井事務官はその噂を耳にすると、毎週金曜日は早めに仕事を切り上げて地検の正門前で藤川が出て来るのを、藤川に見つからぬよう息を殺して待っていたそうだ…」

「なるほど…、それで浅井事務官は藤川が正門から出て来るところを確認し、そしてその後をつけてみると虎ノ門にある愛人との密会用のマンションに行き当たった…、そういうことですか?」

「そうだ」

「そして確かに藤川がその虎ノ門にあるマンションに入るのを見た…、そういうことですか?」

「そうだ」

「でもそれだけなら…」

「愛人との密会用のマンションなのか分からない…、吉良君はそう言いたいんだろ?」

「ええ、まぁ…」

「だとしたらどうしてハイヤーを使わなかった?ハイヤーを使わずに電車、という公共交通機関を利用してその虎ノ門にあるマンションまで向かったのが疚しいことをしている何よりの証拠ではないのかね?」

「確かに…。そうですね」

「それに決定的な証拠もあった」

「証拠?」

「登記簿だよ…」

「登記簿…、ああ、浅井さんはもしかして、虎ノ門にあるそのマンションの登記簿謄本を閲覧したとか?」

「その通りだ」

「でも、一戸建てならともかくマンションですよね?浅井さんは部屋番号まで突き止めたんですか?その藤川と愛人との密会用の部屋番号の…」

「いや、そこまでは分からなかったので、そこでマンション一棟分の登記簿を引っくり返したそうだ」

「それじゃあ結構な分量だったでしょうに…」

「ああ。手数料も何万円とかかったそうだが、それでも元は取った格好だったようだ」

「と言うと、浅井さんは突き止めたわけですか?その密会用の部屋を…」

「ああ。最上階の角部屋がそうで、藤川と愛人との共有名義だったそうだ」

「それじゃあ…、仮に藤川との共有名義じゃなかったら、浅井さん、部屋を突き止められなかったかも知れませんねぇ…」

「ああ、浅井事務官もそう言っていた。その点、ラッキーだったと…」

 だがそれで藤川の裏切りが明らかになったわけだから、果たしてラッキーと言えるのか、疑問であった。

「しかもその登記簿には抵当権の設定と、その抹消までが記録されていた…」

「さしずめ…、抵当権が設定されたのは浅井さんが藤川から裏金作りの増額を命じられた4年前、ってところですか?そして抵当権が抹消されたのは藤川が次長検事として2年目を終えようとしていた時、つまりは8000万が藤川に行き渡り、尚且つ、浅井さんが尾行を思い立ったのと同じ頃…、ってところですか?」

「正しくその通りだ。債権額6000万、金利5%、そいつが4年で返済されて、抵当権が抹消されていた…」

「ってことは6300万を4年で完済したってことですか?」

「そうなるな」

「毎年、1575万ずつ返済したと…」

「まぁ…、1500万については浅井事務官に作らせた裏金を充当し、75万についてはもしかしたらポケットマネーで、って可能性もあるがな…」

「ともあれそれで浅井さんは藤川の裏切りを確信し、捜査二課に告発状を提出したと…、ああ、人事とも関係があるとか、さっき押田部長は仰いましたけど、もしかして浅井さん、こんな野郎を次長検事からさらに高検検事長へと昇格させるなんてとんでもないと思い立ったから、ってことですか?それで捜査二課に告発状を提出したと…、ってことは浅井さんも検察人事に通じていたと?」

「その通りだ。浅井事務官も検察でメシを喰っている人間だ。検察人事のことには当然、通じていたはずだ。ある意味、並みの検事よりもな…」

「なるほど…、それで浅井さん、藤川はもう次長検事を2年も経験しているから、次は高検検事長のお呼びがかかるだろうが、そうはさせまいと…」

「そうだ。だがまさか、検察庁に告発状を提出するわけにもゆかず…」

「身内に告発状を提出したところで、握り潰されるのがオチでしょうからね…、そこで捜査二課を選んだと…」

「ああ、そういうことだ。もっとも、それも失敗だったわけだが…」

「警視庁にしても告発状を握り潰したから、ですか?」

「そうだ」

「それが分からないんですよねぇ…」

 俺は首をかしげた。

「何がだ?」

「だってそうでしょ?警視庁にしてみれば、東京高検検事長を目前に控えた最高検の次長検事を公金横領の疑いで逮捕できるかも知れないわけで、さらに言うなら最高検に家宅捜索に入れるかも知れない。そうなれば、マスコミ陣がシャッターやカメラを回す中で警視庁の捜査員…、捜査二課の刑事たちが最高検に強制捜査に入るわけで、最高の絵柄じゃありませんか…、警視庁の名が上がるし、何より検察、それも検察の元締めとも言うべき最高検に一泡吹かせられる、っつか。まぁ、ともかくこんな美味しい事件はないと思うんですけど…、何しろ警察と検察って仲悪そうだから…」

「その通りだよ」

 押田部長はニヤリと笑みを浮かべた。

「実は浅井事務官の告発状の取り扱いを巡って、警視庁本部内では少し、意見が分かれたそうでな…」

「真っ当に捜査を遂げるべきか、否かの対立、ですか?」

「そうだ」

「それにしても良くご存知ですねぇ…、押田部長の耳には捜査二課の動きまでリアルタイムで届くんですか?」

 だとしたら大したアンテナだなと、俺は思った。

「いや、さすがに俺でもそこまでのアンテナ能力はないよ…、まぁ、とは言え、リアルタイムではないものの、捜査二課の中でも知らない刑事がいないわけじゃないから、そいつらからそっと課内の事情を打ち明けられることもあって、それで…」

「浅井さんの告発状を巡って、真っ当な捜査を遂げるべきか、それとも否…、もみ消すかで意見が割れていたことをご存知になったと…」

「それに浅井事務官当人からも聞かされた…」

「浅井さんから?それはつまり…、浅井さんが押田部長に告発状を提出した時に、という意味ですか?」

「その通りだ。浅井事務官は警視庁本部にも告発状を提出したと言ったが、その際、証拠品も添えていたんだよ」

「証拠品…、自分が藤川の命令で調査活動費を横領していた証拠の品って意味ですか?」

 俺は確かめるように尋ねた。

「その通りだ…」

 押田部長はそう言うと背広の内ポケットから一枚の紙を取り出すと、それを俺たちに差し出したので俺が受け取り、志貴に手渡した。俺が見てもチンプンカンプンのシロモノに違いなく、そうであれば俺にできることは志貴に手渡すことぐらいであった。

 ともあれ俺からその紙を受け取った志貴はその紙に目を落とすと、「これは…」とうなった。

「ああ。藤川からの指示書だ」

「指示書…、裏金を作れって指示書のことですか?」

 俺はその紙をとくと見たわけではないが、今の話の流れからそうと察して尋ねた。

「その通りだ」

 押田部長が答えると、志貴は気を利かせて俺にその紙を渡してくれた。どうやらもう、メモったようだ。

 俺はその紙に目を落とすと、紙に書いてある字を読み上げた。

「この…、H28、10、26、180…、ってのはさしずめ、平成28年10月26日に180万の裏金を作れって指示でしょうけど、VP…、ってのは一体何です?」

「ヴァイス・プレジデントの略だそうだ」

「ヴァイス・プレジデント?」

 俺が聞き返すと、志貴が「部長の意味だ」と教えてくれた。

「つまり…、ヴァイスなんとかってのは藤川…、最高検刑事部長だった藤川をあらわしていると?」

「その通りだ。平成28年…、2016年の時点では藤川はまだ、最高検の刑事部長だったからな…」

「その口ぶりだと…、さしずめ、藤川が次長検事に昇格してからはその名称に変更があったとか?次長検事を英語で何と表現するのかは分かりませんけど…」

「いい勘をしているよ、吉良君は…」

「そりゃどうも…」

 俺はペコリと会釈してみせた。すると藤川は背広の内ポケットからさらにもう一枚の紙を取り出してそれを俺に渡してくれたので、俺はやはりその紙に目を通さずに志貴へと回した。

 志貴は俺から紙を受け取ると、やはりその内容をメモしつつ、「なるほど…」と声を上げた。

「何が、なるほどなんだ?」

 俺が志貴に尋ねると、「お前の言った通りだよ」との答えが返ってきた。

「俺の言った通り…、ってことは名称に変更があったとか?」

「ああ。見てくれ…」

 志貴は俺にその紙を受け取らせると、お目当ての箇所を指差した。

「VCって書いてあるだろ?」

 志貴からそう言われたので俺は、「ああ」と頷いた。確かにそこには「VC」と書かれてあった。

「このVCが次長を表していると?」

「そうだ。ヴァイスチーフの略だ…、ですよね?」

 志貴は押田部長の方を見ると確かめるように尋ねた。

「その通りだ」

「だとしたらこれはいよいよもって、浅井事務官が藤川に命じられて裏金作りをしていた有力な物証となる…」

 志貴は独り言のようにそう呟き、それに対して押田部長はその通りだと言わんばかりに頷き、そんな中、俺だけが唯一、いまいちピンとこなかった。何だか一人、取り残された思いであった。

 するとそうと察した志貴が無知な俺のためにご親切にも解説してくれた。

「ここにはさらに、H30、11、6、200、ってあるだろ?」

「ああ。平成30年、すなわち2018年の11月6日に200万の裏金を作れ、って指示だろうな…」

「その通りだ。そしてこの時にはもう、藤川は刑事部長から次長検事に異動していた…、そうですよね?」

 やはり志貴は押田部長に確かめるように尋ね、押田部長を頷かせた。

「だとするならば、それは藤川が最高検の刑事部長時代から次長検事時代にかけて浅井事務官に対して裏金作りを指示していた重要な物証となる…」

 志貴にそう解説されて、俺もようやく飲み込めた。

「そうか…、これがVP名義の指示書だけだったら、次長検事時代の裏金作りの指示について藤川はシロ…、っつか証拠がないってことになるけど、この次長を意味するVC名義の指示書もあることで、藤川が刑事部長、そして次長検事にかけての4年間、浅井さんに裏金作りを指示していた物証となる…、そういうことか…」

「ああ、その通りだ」

「それにしても…、指示書ってことは藤川の直筆?」

 俺が押田部長に尋ねると、押田部長は頷いたので俺は慌てた。

 すると押田部長は俺の慌てぶりを見て失笑した。

「大丈夫だ。それは写しだから…」

「写し?ってことは浅井さんが警視庁捜査二課に告発状と共に指示書を添えるに当たってコピーしたってことですか?そのコピーされた指示書がこれだと…」

「ああ。その通りだ」

 言われてみれば確かにそれはコピーされたものであった。
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