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 人里離れた山奥をドレスで登るのは正直きつい!


 でも、ここにあの人がいるのなら…私はやる!!


 私ミルネ・ルルロはサラド様が大火傷を負ったと聞いて気を失いそうになるのと同時にこう思った。



 チャンスなのでは?



 そう思った私の行動力は凄い。


 手あたり次第に聞き込みをし、目撃情報を集め、ついに愛しのサラド様がいる小屋を見つけたのだ。


 いざ対面!


「見つけましたーーー!!サラド・マクトリーラ様!!私ミルネ・ルルロと申します!」


 サラド様は酷く驚かれた様子でこちらを見ている。


 もしかして…おかしな子と思われてますか?


「ええと!改めまして、ミルネ・ルルロと申します。サラド様ですよね?」


 私がサラド様を間違えるわけがない。


 どんな酷い火傷を負っていようとあの人の魅力は消えることが無いのだ。


 あ!頷いてくれた!!それだけでも幸せ~!


 おっといけない!まずはやることをやらなくては。 


「サラド様、先ほどは失礼な質問をお許しください。ですが今の返答で大体の状況は理解いたしました。それでですね……私と婚約してくれませんか!?ずっと好きだったんです!!」



 って何言っているんだ私はーーー!!!

 
 気持ちが先走りすぎだ!!これじゃあ流石にサラド様も引いて…あれ?ジェスチャー?


 火傷……酷い……何もできない……すまない……婚約……出来ない……。


 サラド様…そんな体になってまで私に気を使って…好きーーー!!!


 好きだからこそ、この苦しみからサラド様を救ってあげないと!




「サラド様のお気持ち、しっかり承りました。ですがご安心ください!私回復魔法の博士号を持っていますから!こんな火傷くらいすぐに回復させますよ!」




 私が呪文を唱えると小屋全体を覆うほどの緑色をした魔法陣が展開、同色の小さい球が上に向かって浮遊する。


「サラド様の火傷を治します。『フルケア』!!」


 魔法陣の光が一層濃くなり、球体たちがサラドの全身を優しく包むと霧のように霧散した。


 そして現れたのは…戦場に出る前の火傷を負っていない姿をしたサラドだった。

 
 サラドは己の体を確認すると何も言わず涙を流す。


 サラド様が泣いていらっしゃる!?早くハンカチを!!


 涙を拭こうとしたミルネの手をサラドは掴む。




「我は今ここにミルネ・ルルロへの生涯にかけた忠誠を誓う。また伴侶として、夫として、絶望の淵から救ってくれた君を…必ず幸せにする。どうか俺と結婚してください」




 今日私は幸せすぎて死ぬのかもしれない。

 
 けど…死ぬ前にこれだけは答えないと。


「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」


 そして私はあまりの幸せに意識を手放した。

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